North wind ◆E.0cGN4l7I
北川潤はスタートしてからすぐに、海岸沿いにあった百貨店にて身を潜めていた。
理由は簡単。夜の一人歩きは危険だからだ。
別にこれは冗談でも何でもなく、暗い森のなかを無闇矢鱈と歩き回ってもし『乗って』いる人間と遭遇して戦闘にでもなったら命がいくつあっても足りやしないとの結論を得るに至ったからである。
そのためスタートしてから一度もデイパックの封を切っていない。安全地帯(ってもこの島で本当に安全なところなんてありゃしませんがね)に着くまでは開けないと決めていた。
今は、その『一応』安全な状態ではあるのだが……
「……なーんか、イヤ~な予感がするんだよなぁ」
どうしてかは知らないが、頭の中にもずくだの便座カバーだのといったものが浮かんでくる。うかつに期待しないほうが良さそうだ。
「待て、まず開ける前にこれからの行動指針を考えるべきじゃあないのか」
万が一、大当たりな支給品だったとしても一人が出来る事なんてたかが知れている。序盤はどのような行動を取るにしろ味方は多い方がいい。そしてその味方たり得る人物は……
「やっぱ、相沢か水瀬ってことになるんだろうな」
寂しい事に北川の知り合いは相沢祐一、水瀬名雪くらいしかいないのである。
決して普段の行いが悪いってわけじゃないぞ、多分。
「……ともかく、まずは知り合いに合流。それから……ええと、うん、なるようになれだ」
ただの学生である北川にはこれくらいしかやれることがなかった。というか、学生でハッキングだの爆弾を作ったりするだのするほうがおかしい……
「いかんいかん、つい思考が横道に……よし、開けるぞ! もしもずくや便座カバーが出てきたって驚かないからな!」
覚悟を決めてデイパックのジッパーをゆっくりと開ける北川。
理由は簡単。夜の一人歩きは危険だからだ。
別にこれは冗談でも何でもなく、暗い森のなかを無闇矢鱈と歩き回ってもし『乗って』いる人間と遭遇して戦闘にでもなったら命がいくつあっても足りやしないとの結論を得るに至ったからである。
そのためスタートしてから一度もデイパックの封を切っていない。安全地帯(ってもこの島で本当に安全なところなんてありゃしませんがね)に着くまでは開けないと決めていた。
今は、その『一応』安全な状態ではあるのだが……
「……なーんか、イヤ~な予感がするんだよなぁ」
どうしてかは知らないが、頭の中にもずくだの便座カバーだのといったものが浮かんでくる。うかつに期待しないほうが良さそうだ。
「待て、まず開ける前にこれからの行動指針を考えるべきじゃあないのか」
万が一、大当たりな支給品だったとしても一人が出来る事なんてたかが知れている。序盤はどのような行動を取るにしろ味方は多い方がいい。そしてその味方たり得る人物は……
「やっぱ、相沢か水瀬ってことになるんだろうな」
寂しい事に北川の知り合いは相沢祐一、水瀬名雪くらいしかいないのである。
決して普段の行いが悪いってわけじゃないぞ、多分。
「……ともかく、まずは知り合いに合流。それから……ええと、うん、なるようになれだ」
ただの学生である北川にはこれくらいしかやれることがなかった。というか、学生でハッキングだの爆弾を作ったりするだのするほうがおかしい……
「いかんいかん、つい思考が横道に……よし、開けるぞ! もしもずくや便座カバーが出てきたって驚かないからな!」
覚悟を決めてデイパックのジッパーをゆっくりと開ける北川。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
数分後、北川はくずおれた格好になっていた。
予測はしていた。
ある程度は覚悟を決めていたはずなのに……
北川の支給品はラーメン、さらに詳しく言うならば3分クッキングの代名詞、カップメンであった。
「それだけならいいんだよ、むしろ喜ぶさ……けど……けど……」
北川のカップメンにはでかでかと――――
ある程度は覚悟を決めていたはずなのに……
北川の支給品はラーメン、さらに詳しく言うならば3分クッキングの代名詞、カップメンであった。
「それだけならいいんだよ、むしろ喜ぶさ……けど……けど……」
北川のカップメンにはでかでかと――――
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――――と書かれていたからである。
「チキンラーメンじゃないのか!? 何だよチンゲラーメンって! 見ただけで食い気失せるって! つーか食わない、食えない、食えるかーっ!」
見事な三段活用だった。
そのまま奇声をあげ、叫び続ける北川。数分前の北川ならこんな行為は敵に自分の居場所を知らせてしまうだけだと思っていただろうが今の北川にはそんな余裕はない。
そして、そんな北川の奇声につられて忍び寄ってくる一人の人影があった。もちろんテンパっている北川はその気配にまったく気付いていない。
「まったく何だよもう……これは異物混入だぞ、訴えてやる、訴えてやるぅ……」
その『影』は北川までもう1メートルと迫っていた。さらにその『影』が北川まで接近しようとしたとき、店内に置いてある何かに当たったのか、ごとっ、という音がして商品が棚から落ちた。
「なっ!?」
それでようやく忍び寄っていた人間がいることに気付いた北川は、慌ててデイパックを掴んで後ずさりする。
(しまった、まともな武器もなくてこんな場所で戦えないぞ! どーする俺……どーすんの!?)
「チキンラーメンじゃないのか!? 何だよチンゲラーメンって! 見ただけで食い気失せるって! つーか食わない、食えない、食えるかーっ!」
見事な三段活用だった。
そのまま奇声をあげ、叫び続ける北川。数分前の北川ならこんな行為は敵に自分の居場所を知らせてしまうだけだと思っていただろうが今の北川にはそんな余裕はない。
そして、そんな北川の奇声につられて忍び寄ってくる一人の人影があった。もちろんテンパっている北川はその気配にまったく気付いていない。
「まったく何だよもう……これは異物混入だぞ、訴えてやる、訴えてやるぅ……」
その『影』は北川までもう1メートルと迫っていた。さらにその『影』が北川まで接近しようとしたとき、店内に置いてある何かに当たったのか、ごとっ、という音がして商品が棚から落ちた。
「なっ!?」
それでようやく忍び寄っていた人間がいることに気付いた北川は、慌ててデイパックを掴んで後ずさりする。
(しまった、まともな武器もなくてこんな場所で戦えないぞ! どーする俺……どーすんの!?)
1・ハンサムの北川は突如起死回生のアイデアをひらめく
2・仲間が来て助けてくれる
3・殺される。現実は非情である
2・仲間が来て助けてくれる
3・殺される。現実は非情である
北川としてはもちろん2に○をつけたいところではあるがこれは現実の世界なのだ、漫画やアニメのようにそう都合良くいくわけがない。
「となれば……1しか選択肢はないわけだな……!」
手にチンゲラーメンを持ち、いつでも投げられるようにする。投げつければ怯ませるくらいのことはできるはずだ。
「となれば……1しか選択肢はないわけだな……!」
手にチンゲラーメンを持ち、いつでも投げられるようにする。投げつければ怯ませるくらいのことはできるはずだ。
「来るなら来い……!」
手にじんわりと汗が滲んできているのが分かる。落ちつけ、こんなときこそ冷静に行動するんだ、と自分に言い聞かせる。
隠れていた人物がゆっくりと北川の前に姿を現わす。それは北川よりも遥かに小柄な女の子だった。
その子は仁王立ちするように北川の前に立つと、軽やかに言い放つ。
「迷える子羊の味方……風子、参上!」
手にじんわりと汗が滲んできているのが分かる。落ちつけ、こんなときこそ冷静に行動するんだ、と自分に言い聞かせる。
隠れていた人物がゆっくりと北川の前に姿を現わす。それは北川よりも遥かに小柄な女の子だった。
その子は仁王立ちするように北川の前に立つと、軽やかに言い放つ。
「迷える子羊の味方……風子、参上!」
【A-3/1日目 時間 深夜】
【北川潤@Kanon】
【所持品:支給品一式、チンゲラーメン(3日分)】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:風子を警戒
2:知り合い(相沢祐一、水瀬名雪)の捜索
3:乗るかどうかはまだ決めてない
【備考】チンゲラーメンの具がアレかどうかは不明
【所持品:支給品一式、チンゲラーメン(3日分)】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:風子を警戒
2:知り合い(相沢祐一、水瀬名雪)の捜索
3:乗るかどうかはまだ決めてない
【備考】チンゲラーメンの具がアレかどうかは不明
【伊吹風子@CLANNAD】
【装備:不明】
【所持品:支給品一式、ランダムアイテム不明】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:風子……参上!
【備考】今のところ敵意はないようです
【装備:不明】
【所持品:支給品一式、ランダムアイテム不明】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:風子……参上!
【備考】今のところ敵意はないようです
008:あねぇができました | 投下順に読む | 010:戻らない日常、始まる異常 |
008:あねぇができました | 時系列順に読む | 010:戻らない日常、始まる異常 |
北川潤 | 019:たかだか数十分 | |
伊吹風子 | 019:たかだか数十分 |