オープニング
「往人さん、起きて、起きてーーーっ!」
(ん……?)
光無き暗闇の世界に一人の少女の声が木霊する。
暗いのは自分が眠っていたからだと国崎往人が気づいたのは、今自分を起こしている少女、神尾観鈴が彼の体を揺さぶり始めた時であった。
「ふぁ……。なんだよ観鈴?」
まだ眠り足りないとばかりにとろんとしていた己の目を手でごしごしとこすって覚醒させながら往人はゆっくりと起き上がった。
「ん……?」
完全に目を覚ました往人は次の瞬間、頭の上にハテナマークを浮かべ、ひとつの疑問を口にしながら周囲を見回した。
「――ここは……何処だ?」
(ん……?)
光無き暗闇の世界に一人の少女の声が木霊する。
暗いのは自分が眠っていたからだと国崎往人が気づいたのは、今自分を起こしている少女、神尾観鈴が彼の体を揺さぶり始めた時であった。
「ふぁ……。なんだよ観鈴?」
まだ眠り足りないとばかりにとろんとしていた己の目を手でごしごしとこすって覚醒させながら往人はゆっくりと起き上がった。
「ん……?」
完全に目を覚ました往人は次の瞬間、頭の上にハテナマークを浮かべ、ひとつの疑問を口にしながら周囲を見回した。
「――ここは……何処だ?」
そう。今往人が目を覚ました場所は、普段彼が寝泊りしている神尾家の納屋ではなく、薄暗い見知らぬホールであった。
どうやら、そこには往人や観鈴の他にも大勢の人――その数は数十人といったところだろうか――がいるらしく、ざわざわと戸惑いや不安の声があちこちで響き渡っていた。
――声の響き具合からして、このホールは学校の体育館くらいの広さの場所だろうと往人は予想した。
そして、今度は自分を起こしてくれた観鈴の方に顔を向け、今一番気になっている疑問を再び口にする。
「観鈴、どこなんだここは? あと、この周りにいる連中は何なんだ?」
「わ、私も分かんない。気が付いたらみんなここにいたんだもん……」
「はあ? なんだよそりゃ?」
どうやら、そこには往人や観鈴の他にも大勢の人――その数は数十人といったところだろうか――がいるらしく、ざわざわと戸惑いや不安の声があちこちで響き渡っていた。
――声の響き具合からして、このホールは学校の体育館くらいの広さの場所だろうと往人は予想した。
そして、今度は自分を起こしてくれた観鈴の方に顔を向け、今一番気になっている疑問を再び口にする。
「観鈴、どこなんだここは? あと、この周りにいる連中は何なんだ?」
「わ、私も分かんない。気が付いたらみんなここにいたんだもん……」
「はあ? なんだよそりゃ?」
もう一度周辺を見回す往人であったが、やはりわけが分からなかった。
ここはどこなのか、なぜ自分たちはこのような所にいるのか、なぜここは薄暗いのか等、疑問に思うことは山ほどあった。
これにはさすがの往人も混乱しそうになったが、こういう時こそ冷静になれと自分に言い聞かせることで冷静さを保つことが出来た。
ここはどこなのか、なぜ自分たちはこのような所にいるのか、なぜここは薄暗いのか等、疑問に思うことは山ほどあった。
これにはさすがの往人も混乱しそうになったが、こういう時こそ冷静になれと自分に言い聞かせることで冷静さを保つことが出来た。
とりあえず、まずは落ち着いて観鈴以外の周りにいる誰かに話を聞いてみようと思った往人だったが、周りの者たち――というより、このホールにいる自分たち含む全ての者は皆、いったいなにがどうなっているのか分からず混乱しているようだった。
「くそっ。本当にどうなってやがる……」
「全員お目覚めのようかしら?」
「!?」
往人が毒づくのとほぼ同時、一人の女性の声がホール響き渡った。
その瞬間、ホール中に響いていたざわめきもピタッと止み、その場にいた誰もが声のした方へと目を向けた。
「くそっ。本当にどうなってやがる……」
「全員お目覚めのようかしら?」
「!?」
往人が毒づくのとほぼ同時、一人の女性の声がホール響き渡った。
その瞬間、ホール中に響いていたざわめきもピタッと止み、その場にいた誰もが声のした方へと目を向けた。
薄暗かったホールに光が差し込める。――といっても、それは往人たちの目の前にあった壇上の明かりが点いただけであったが、ホールから闇を振り払うには充分すぎるものだった。
明るくなったおかげではっきりとした周囲を往人がまたしても見渡すと、ファンタジーに登場するエルフみたいなとんがった耳をした少女や和服っぽい服装で顔におかしな仮面を付けた男、さらに『なぜか』オウムといった一癖も二癖もありそうな面子がそこにはいた。
そして――壇上には一人の女性と銃や迷彩服などで武装した数名の男たちが立っていた。
あの女性がさっきの声の主か、と往人をはじめホールにいる者全員は即悟る。
明るくなったおかげではっきりとした周囲を往人がまたしても見渡すと、ファンタジーに登場するエルフみたいなとんがった耳をした少女や和服っぽい服装で顔におかしな仮面を付けた男、さらに『なぜか』オウムといった一癖も二癖もありそうな面子がそこにはいた。
そして――壇上には一人の女性と銃や迷彩服などで武装した数名の男たちが立っていた。
あの女性がさっきの声の主か、と往人をはじめホールにいる者全員は即悟る。
「た、鷹野さん!?」
女性の姿を確認した一人の少年が驚きの声を上げた。その様子からして壇上の女性と知り合いらしい。
「鷹野さん、これはいったい何の真似ですか!?」
人混みを抜けながら少年が壇上のタカノという女性に詰め寄っていく。
「落ち着いて前原くん。説明ならこれからちゃんとしてあげるから……」
少年(マエバラというらしい)に対してタカノはそう言葉を投げかけて制止させる。
「もう気づいている人も大勢いるだろうけど、前原くんたちをここに連れて来るよう仕向けたのは他でもなくこの私よ」
その言葉とともにタカノはマエバラ少年や往人をはじめとした数十名もの人々を一瞥する。
「そして、今回みんなに集まってもらった理由はただひとつ――――殺し合いをしてもらうためよ」
人々の様子を一通り見回し終わると同時にタカノは高らかにそう宣言した。
女性の姿を確認した一人の少年が驚きの声を上げた。その様子からして壇上の女性と知り合いらしい。
「鷹野さん、これはいったい何の真似ですか!?」
人混みを抜けながら少年が壇上のタカノという女性に詰め寄っていく。
「落ち着いて前原くん。説明ならこれからちゃんとしてあげるから……」
少年(マエバラというらしい)に対してタカノはそう言葉を投げかけて制止させる。
「もう気づいている人も大勢いるだろうけど、前原くんたちをここに連れて来るよう仕向けたのは他でもなくこの私よ」
その言葉とともにタカノはマエバラ少年や往人をはじめとした数十名もの人々を一瞥する。
「そして、今回みんなに集まってもらった理由はただひとつ――――殺し合いをしてもらうためよ」
人々の様子を一通り見回し終わると同時にタカノは高らかにそう宣言した。
「こ、殺し合いだって!?」
人混みの中の誰かが叫んだ。
「そう、殺し合いよ。これからあなたたち65人には最後の一人になるまで殺し合ってもらうわ」
「…………」
タカノのその言葉を聞いた一同は終始無言、ただ呆然と彼女のことを見つめていることしか出来なかった。
――――と思いきや、次の瞬間、65人のうちの一人の少年が面白可笑しく口を開き、その沈黙を一気に吹き飛ばした。
「ハハハハハ……。もう、やだなあお姉さん。殺し合いだって? そんなこと言って俺たちをびっくりさせようとしたって、この俺は騙されませんよ?」
その声とともに人混みを掻き分けてタカノの前に姿を現したのは、メガネをかけた少年だった。服装からして間違いなく学生だろう。
「これってドッキリか何かなんでしょ? そこらへんに隠しカメラとかが設置されていて、ビビってる俺たちの反応を隠れているスタッフさんたちが愉快に見物しているんだ」
メガネ少年のその言葉とともにホールはドッと笑いに包まれた。
確かにその通りだとメガネ少年の言葉を聞いた往人も思った。殺し合いなんて現在の日本の法律においてまず許されるものではない。ドッキリにしてはターゲットの多さと、やけに大掛かりで本格的なセッティングには目を見張るものがあるが…………
「ほらほら。さっさと『ドッキリ』ってかかれた看板とスタッフさんたちを出してくださいよ。このまま無理に続ける必要は……」
人混みの中の誰かが叫んだ。
「そう、殺し合いよ。これからあなたたち65人には最後の一人になるまで殺し合ってもらうわ」
「…………」
タカノのその言葉を聞いた一同は終始無言、ただ呆然と彼女のことを見つめていることしか出来なかった。
――――と思いきや、次の瞬間、65人のうちの一人の少年が面白可笑しく口を開き、その沈黙を一気に吹き飛ばした。
「ハハハハハ……。もう、やだなあお姉さん。殺し合いだって? そんなこと言って俺たちをびっくりさせようとしたって、この俺は騙されませんよ?」
その声とともに人混みを掻き分けてタカノの前に姿を現したのは、メガネをかけた少年だった。服装からして間違いなく学生だろう。
「これってドッキリか何かなんでしょ? そこらへんに隠しカメラとかが設置されていて、ビビってる俺たちの反応を隠れているスタッフさんたちが愉快に見物しているんだ」
メガネ少年のその言葉とともにホールはドッと笑いに包まれた。
確かにその通りだとメガネ少年の言葉を聞いた往人も思った。殺し合いなんて現在の日本の法律においてまず許されるものではない。ドッキリにしてはターゲットの多さと、やけに大掛かりで本格的なセッティングには目を見張るものがあるが…………
「ほらほら。さっさと『ドッキリ』ってかかれた看板とスタッフさんたちを出してくださいよ。このまま無理に続ける必要は……」
パァンッ!
メガネ少年の言葉は突如ホールに響き渡ったひとつの音によって中断された。
そして、その音とともにメガネ少年はゆっくりと床に崩れ落ちる。
「えっ!? ちょ…フカヒレ、なんの冗談だよ!?」
「お、オマエまで俺たちを驚かそうっていうのか…………!?」
「い、い、い、いくらお前でも程ってもんがあるぞ!?」
ホールに何人かの少年、少女たちの慌てた声が木霊した。
フカヒレと呼ばれたメガネ少年はピクリとも動かない。
「お、おい、フカヒレ。いい加減起きろよ…………」
人混みの中から今度は小柄な少女が姿を現し、うつ伏せに倒れているフカヒレというメガネ少年に声をかけた。
「…………」
――――それでもメガネ少年はピクリともしない。
「…………お……起きろよ、コノヤロー!!」
その声と同時に少女はメガネ少年を思いっきり蹴り飛ばした。
――――しかし、それでもメガネ少年はピクリともしなかった。
そして、その音とともにメガネ少年はゆっくりと床に崩れ落ちる。
「えっ!? ちょ…フカヒレ、なんの冗談だよ!?」
「お、オマエまで俺たちを驚かそうっていうのか…………!?」
「い、い、い、いくらお前でも程ってもんがあるぞ!?」
ホールに何人かの少年、少女たちの慌てた声が木霊した。
フカヒレと呼ばれたメガネ少年はピクリとも動かない。
「お、おい、フカヒレ。いい加減起きろよ…………」
人混みの中から今度は小柄な少女が姿を現し、うつ伏せに倒れているフカヒレというメガネ少年に声をかけた。
「…………」
――――それでもメガネ少年はピクリともしない。
「…………お……起きろよ、コノヤロー!!」
その声と同時に少女はメガネ少年を思いっきり蹴り飛ばした。
――――しかし、それでもメガネ少年はピクリともしなかった。
「…………お、お~い、フカヒレ~? お、オメー本当にどうし…………」
さすがにおかしいと感じたのか、恐る恐る少女はメガネ少年の体をゴロンと転がして仰向けにすると、彼の顔色を確認した。
すると次の瞬間……
「うわああああああああああああっ!! ふふふふふふ…フカヒレの奴、本当に死んでやがるうううううううううううううううううっ!!」
少女の大絶叫がホールに響き渡った。
その叫び声と同時にメガネ少年の顔がごろんと向きを変え、己の顔を往人たちに見せ付けた。
メガネ少年は両目を不気味に見開いたまま往人たちの方をじっと見つめていた。そして、その額にはひとつの穴が開いており、鮮血をドクドクと溢れさせていた。
それは、誰がどう見ても――――即死だった。
さすがにおかしいと感じたのか、恐る恐る少女はメガネ少年の体をゴロンと転がして仰向けにすると、彼の顔色を確認した。
すると次の瞬間……
「うわああああああああああああっ!! ふふふふふふ…フカヒレの奴、本当に死んでやがるうううううううううううううううううっ!!」
少女の大絶叫がホールに響き渡った。
その叫び声と同時にメガネ少年の顔がごろんと向きを変え、己の顔を往人たちに見せ付けた。
メガネ少年は両目を不気味に見開いたまま往人たちの方をじっと見つめていた。そして、その額にはひとつの穴が開いており、鮮血をドクドクと溢れさせていた。
それは、誰がどう見ても――――即死だった。
「ゆ、往人さん!?」
「見るな、観鈴! 見るんじゃないっ!!」
往人は咄嗟に観鈴の顔を自分の胸元に押し当てて彼女の視界を塞いだ。
――――その時、往人は観鈴の首に見たこともない首輪が取り付けられていたことに気がついた。
(なんだ、この首輪は…………?)
往人がその首輪の存在に疑問を抱いたのとほぼ同時に、絶叫や悲鳴、目の前の現実を否定しようとする声、誰かが自身の胃の中のものを嘔吐する音などが一斉にホールに響き渡った。
「ふ、フカヒレええええええええええええええっ!!」
「いやああああああああああああああああっ!!」
「嘘だ……こんなの嘘だ…………!」
「うっ…おええええええええええ…………」
そんな者たちのことなどつい知らずタカノは再び口を開いた。
「これで私の言っていることが冗談じゃないってことを分かってもらえたかしら?」
そう言って薄っすらと微笑んだタカノだったが、往人たちには、その微笑みはとても恐ろしく感じた。なぜなら、彼女の手には今しがたメガネ少年こと鮫氷新一を死に至らしめた拳銃が握られていたからだ。
「見るな、観鈴! 見るんじゃないっ!!」
往人は咄嗟に観鈴の顔を自分の胸元に押し当てて彼女の視界を塞いだ。
――――その時、往人は観鈴の首に見たこともない首輪が取り付けられていたことに気がついた。
(なんだ、この首輪は…………?)
往人がその首輪の存在に疑問を抱いたのとほぼ同時に、絶叫や悲鳴、目の前の現実を否定しようとする声、誰かが自身の胃の中のものを嘔吐する音などが一斉にホールに響き渡った。
「ふ、フカヒレええええええええええええええっ!!」
「いやああああああああああああああああっ!!」
「嘘だ……こんなの嘘だ…………!」
「うっ…おええええええええええ…………」
そんな者たちのことなどつい知らずタカノは再び口を開いた。
「これで私の言っていることが冗談じゃないってことを分かってもらえたかしら?」
そう言って薄っすらと微笑んだタカノだったが、往人たちには、その微笑みはとても恐ろしく感じた。なぜなら、彼女の手には今しがたメガネ少年こと鮫氷新一を死に至らしめた拳銃が握られていたからだ。
「ほらほら、静かにしなさい。まだ説明は終わっていないのよ?」
タカノのその言葉でホールは再びシンと静まり返った。その静寂の原因の半分は諦めや絶望から生まれたものである。
無理も無いだろう。僅かな希望が目の前で、一人の少年の死という形で粉々に崩れ去られたのだから……
タカノのその言葉でホールは再びシンと静まり返った。その静寂の原因の半分は諦めや絶望から生まれたものである。
無理も無いだろう。僅かな希望が目の前で、一人の少年の死という形で粉々に崩れ去られたのだから……
「基本ルールは先ほども言ったとおり、ここにいる65人……ああ、失礼。一人死んじゃったから残り64人ね。その64人の参加者に最後の一人になるまで殺し合ってもらうわ。
唯一助かることが出来るのは最後まで生き残った一人だけ……。その生き残った一人――つまり優勝者は責任をもって元の世界に帰してあげる」
絶望という名の沈黙が支配するホールにタカノのルール説明だけが無情にも響き渡る。
唯一助かることが出来るのは最後まで生き残った一人だけ……。その生き残った一人――つまり優勝者は責任をもって元の世界に帰してあげる」
絶望という名の沈黙が支配するホールにタカノのルール説明だけが無情にも響き渡る。
「――稟くん、これから私たちどうなっちゃうのかな?」
「そんなこと……俺にも分からないよ…………」
そんな中、往人の近くにいた一組の少年と少女がひそひそと会話をしていた。
話の内容はよく聞き取れなかったが、これから自分たちに降りかかることになる数々の絶望的な運命に対して絶対的な恐怖を抱いているのは明確であった。
(――ん? あいつらにも観鈴と同じ首輪が付いている……。って、俺にも!?)
この時、往人はやっと自分を含むこの場にいる者全員の首に観鈴のものとまったく同じ首輪が取り付けられていたことに気がついた。
首筋にそっと手をやると、ひやりとした鉄の感触がした。
――タカノのルール説明は続く。
「制限時間は無制限。ただし、一日六時間おき、計四回行われる定時放送の際に禁止エリアを設けさせてもらうわ。
これは人数が少なくなると他の参加者との遭遇率が下がっちゃうからそれを防ぐための処置よ」
「そんなこと……俺にも分からないよ…………」
そんな中、往人の近くにいた一組の少年と少女がひそひそと会話をしていた。
話の内容はよく聞き取れなかったが、これから自分たちに降りかかることになる数々の絶望的な運命に対して絶対的な恐怖を抱いているのは明確であった。
(――ん? あいつらにも観鈴と同じ首輪が付いている……。って、俺にも!?)
この時、往人はやっと自分を含むこの場にいる者全員の首に観鈴のものとまったく同じ首輪が取り付けられていたことに気がついた。
首筋にそっと手をやると、ひやりとした鉄の感触がした。
――タカノのルール説明は続く。
「制限時間は無制限。ただし、一日六時間おき、計四回行われる定時放送の際に禁止エリアを設けさせてもらうわ。
これは人数が少なくなると他の参加者との遭遇率が下がっちゃうからそれを防ぐための処置よ」
「それと、おそらくほとんどの人は気づいたでしょうけど、あなたたちの首には特別製の首輪が取り付けられているわ。
――ああ、そうそう。無理に触ったり、破壊しようとしたり、取り外そうとしたりしないほうがいいわよ。その首輪には人一人の首なら簡単に吹き飛ばせる程の威力を持った爆弾が付いているから……」
「なっ!?」
その言葉を聞いて、往人をはじめとした首輪に手を触れていた者たちは皆慌てて首輪から手を放した。
「首輪が爆発する条件は今言った『無理に外そうとしたり、破壊しようとして一定以上の大きな衝撃を与えた場合』の他にもあと三つあるの。
ひとつは、先ほど言った禁止エリアに進入した場合。
もうひとつは、殺し合いに参加することを放棄して会場から逃げ出そうとしたり、脱出しようとした場合。
最後のひとつは、24時間誰も死ななかった場合。この場合は全員の首輪が爆発するわ。そうならないように頑張りなさい……」
(つまり、嫌でも殺し合いをさせようってわけか……!)
往人はギリッと歯を噛み締めながら、目の前にいるタカノを睨みつけた。
「往人さん……」
そんな往人のことを心配そうに観鈴が見つめる。
「――大丈夫だ、観鈴。俺が絶対におまえを殺させなんかしないし、おまえに誰も殺させなんてしない……」
そう言って往人は、もう一度観鈴の顔を自分の胸元に押し当てた。
――ああ、そうそう。無理に触ったり、破壊しようとしたり、取り外そうとしたりしないほうがいいわよ。その首輪には人一人の首なら簡単に吹き飛ばせる程の威力を持った爆弾が付いているから……」
「なっ!?」
その言葉を聞いて、往人をはじめとした首輪に手を触れていた者たちは皆慌てて首輪から手を放した。
「首輪が爆発する条件は今言った『無理に外そうとしたり、破壊しようとして一定以上の大きな衝撃を与えた場合』の他にもあと三つあるの。
ひとつは、先ほど言った禁止エリアに進入した場合。
もうひとつは、殺し合いに参加することを放棄して会場から逃げ出そうとしたり、脱出しようとした場合。
最後のひとつは、24時間誰も死ななかった場合。この場合は全員の首輪が爆発するわ。そうならないように頑張りなさい……」
(つまり、嫌でも殺し合いをさせようってわけか……!)
往人はギリッと歯を噛み締めながら、目の前にいるタカノを睨みつけた。
「往人さん……」
そんな往人のことを心配そうに観鈴が見つめる。
「――大丈夫だ、観鈴。俺が絶対におまえを殺させなんかしないし、おまえに誰も殺させなんてしない……」
そう言って往人は、もう一度観鈴の顔を自分の胸元に押し当てた。
「――それと、私たちに逆らって牙を向けたりしても首輪を爆発させるかもしれないから、そのことをよぉく肝に銘じておきなさい……。
まあ、私たちも別に鬼ってわけじゃあないから、殺し合いが始まったら他の参加者と徒党を組もうが、何をしようが、それはあなたたちの勝手よ。
でもね、もし度が過ぎるような真似をした場合は…………」
まあ、私たちも別に鬼ってわけじゃあないから、殺し合いが始まったら他の参加者と徒党を組もうが、何をしようが、それはあなたたちの勝手よ。
でもね、もし度が過ぎるような真似をした場合は…………」
ボンッ!
往人たちの近くで突然そのような音がした。やや大きめの音だった。
何事かと思い、往人は音のした方へと目を向ける。もちろん、万一のことも想定して観鈴の顔は胸元に押し当てたままだ。
すると、そこには――――
何事かと思い、往人は音のした方へと目を向ける。もちろん、万一のことも想定して観鈴の顔は胸元に押し当てたままだ。
すると、そこには――――
「あ、あああ、ああああ……あああああああああああああああああああっ!!」
先ほど見知らぬ少年とひそひそ話をしていたこれまた見知らぬ少女の首から上が無くなった姿があった。
「シアあああああああああああああああああああ!!」
少年の絶叫がホールに響き渡る。
その声を皮切りに、再びホールに悲鳴や絶叫が響き渡った。
シアというらしい少女の体は、先ほどのメガネ少年同様、ゆっくりと床に崩れ落ちていった。
――タカノが彼女の首輪を爆破したのはほんの偶然、そう。本当にただの偶然である。
ただ首輪が爆発するということを他の参加者に知らしめるために――それだけの理由で彼女の命は奪われたのである。
先ほど見知らぬ少年とひそひそ話をしていたこれまた見知らぬ少女の首から上が無くなった姿があった。
「シアあああああああああああああああああああ!!」
少年の絶叫がホールに響き渡る。
その声を皮切りに、再びホールに悲鳴や絶叫が響き渡った。
シアというらしい少女の体は、先ほどのメガネ少年同様、ゆっくりと床に崩れ落ちていった。
――タカノが彼女の首輪を爆破したのはほんの偶然、そう。本当にただの偶然である。
ただ首輪が爆発するということを他の参加者に知らしめるために――それだけの理由で彼女の命は奪われたのである。
「……こうなっちゃうから、精々気をつけなさい」
ホールが再び静まり返ったところで、タカノは再び口を開いてそう言った。
三度静まり返ったホールにはタカノの説明のほかに、誰かのすすり泣く声やボソボソと何かを呟く声などが微かに響いていた。
ホールが再び静まり返ったところで、タカノは再び口を開いてそう言った。
三度静まり返ったホールにはタカノの説明のほかに、誰かのすすり泣く声やボソボソと何かを呟く声などが微かに響いていた。
「最後に、殺し合いがスタートする際、あなたたちには支給品として一人につきひとつデイパックを与えるわ。
そのデイパックの中には水と食料、会場の地図にコンパス、時計といった必要最低限の品物の他に、ランダムでひとつから三つまでの武器などの道具が入っているの。
ランダムで入っている支給品は、誰に何が当たるかは開けてみるまで誰にも分からない。もし入っていたのが武器だった時は運が良かったと思い、武器ではない物が入っていたときは己の不幸を呪いなさい」
その言葉とともに、タカノからのルール説明は終わった。
そのデイパックの中には水と食料、会場の地図にコンパス、時計といった必要最低限の品物の他に、ランダムでひとつから三つまでの武器などの道具が入っているの。
ランダムで入っている支給品は、誰に何が当たるかは開けてみるまで誰にも分からない。もし入っていたのが武器だった時は運が良かったと思い、武器ではない物が入っていたときは己の不幸を呪いなさい」
その言葉とともに、タカノからのルール説明は終わった。
「――さて。じゃあこれからあなたたちには早速会場へと行ってもらうわ。
大丈夫。一人一人順番になんて面倒なことはしない、全員一斉にスタートしてもらうわ。
ああ、会場までは絶対安全に連れていってあげるし、支給品も一緒に運んであげるから安心しなさい。
――それじゃあ、会場に着き次第ゲームスタートよ。精々一秒でも長く生き残れるように頑張りなさいな……」
「!? ゆ、往人さん!?」
「観鈴!? 観鈴ーーーーーーっ!!」
タカノがそう宣言し、高々と右手を上げると同時に、ホールにいた参加者は一人、また一人と消え――いや、転移していった。
それは往人も、そして観鈴も例外ではなかった。
大丈夫。一人一人順番になんて面倒なことはしない、全員一斉にスタートしてもらうわ。
ああ、会場までは絶対安全に連れていってあげるし、支給品も一緒に運んであげるから安心しなさい。
――それじゃあ、会場に着き次第ゲームスタートよ。精々一秒でも長く生き残れるように頑張りなさいな……」
「!? ゆ、往人さん!?」
「観鈴!? 観鈴ーーーーーーっ!!」
タカノがそう宣言し、高々と右手を上げると同時に、ホールにいた参加者は一人、また一人と消え――いや、転移していった。
それは往人も、そして観鈴も例外ではなかった。
――なぜ、こんなことになってしまったのか? それは誰にも分からない。
ただ分かることはひとつ――これから先、自分たちには恐ろしく、そして残酷な出来事が数多く待ち受けているということだけ。
ただ分かることはひとつ――これから先、自分たちには恐ろしく、そして残酷な出来事が数多く待ち受けているということだけ。
逃げ道はどこにもない。一寸先から延々と続く光無き運命の闇路。
バトル・ロワイアルの火蓋が切って落とされた――――
バトル・ロワイアルの火蓋が切って落とされた――――
【鮫氷新一@つよきす 死亡】
【リシアンサス@SHUFFLE! 死亡】
[残り63人]
【リシアンサス@SHUFFLE! 死亡】
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