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或るカップメンの思考


我輩は保存食である。中身はもう無い。
何処で作られたのやもとんと見当がつかぬ。
良く解らぬバックの中、ぞぉりぞぉりとした感触をしておった所を、
もずくや便座と縁のありそうな少年に拾われた事だけは記憶している。

我輩はそこで初めて人間と言う物を見た。
しかもそれは人間と言う生き物の仲で最も邪悪な生き物であるそうだ。
同輩の氷菓子君に聞いたところでは、時々、彼らは我々を湯で煮て食ってしまうらしい。
しかれども、その書生は我輩の中身を婦女子にぶちまけると言う暴挙をしでかした。
漸くの所で河を渡ってみれば、ここはどうやら冥府であるらしい。
死人が死ぬ事は無いらしく、中身が減らぬのはありがたいが残された同輩が心配でならぬ。
(後略)



(前略)

我輩は保存食である。
黄泉の人間の言う所によると、どうやらカップメンと言う種族であるらしい。
片隅で暫くは心地よく眠っておった所を、誰かが我輩に向けてそう言ったのだ。
我思う、故に我ありとは人間の言った言葉であった。
成る程、元来生き物でさえない我輩にとっては実に上手く物を言ったものであると思う。
我はカップメンであると自ら思う。故に我はカップメンである。
実に単純な事だ。しかしながら氷菓子君、つまりはアイスクリン君の言う所によれば、
人間は実に長い時間をかけてなければこのような単純な事にさえ到達できなかったと聞く。
このような事を言う彼が歴史有る老碩学であるというのは、ぱかりと啓いた頭の中が実に滑らかで純粋である事からも知れる。
一方の我輩は、なにやらモシャモシャとしたわけの解らぬ物が詰まつておる。
このような脳漿にも自明と知れる事へ時間をかけるとは、人間とはわからぬ物である。

我輩は新たなる住人達が現れた時も、甚だ不人望であつた。
誰も彼もが箸にもフォークにも手をかけぬと言う事からも知れる。
同族を物のやうに持ち帰るなどと言う娘に至つては、端からおらぬものとして扱つているやうだ。
我輩は仕方が無いから、はるかと言う人間の興味を引くように勤めた。
食われども減らぬ身であるから、湯を注がれれば必ず旨そうな匂いをさせる。氷菓子君で冷えた口を暖めようとする。
これはあながちこの人間が好きだからと言う訳ではないが、別に構い手も居らぬのでやむをえんのである。

(後略)




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