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星空の辻 ◆rnjkXI1h76


 空に月が浮かび、星々が広がっているいる深夜でありながらも、あちらこちらに設置されている街灯により明るく、完全なる『闇』という概念とは無縁な新市街の一角。
 そこをメイドさんのような服を着た一人の少女が歩いていた。
 彼女の名はエスペリア、ラキオス王国のスピリット隊に所属するグリーンスピリットにして永遠神剣第七位『献身』の使い手である。
 ――しかし、今彼女の手に握られている武器は永遠神剣ではない。なんの能力も持たないただの木刀である。

「――それにしても、本当にここは何処なのでしょう?」
 この疑問を口にしたのはもう何回目だろうかと思いながらもエスペリアは月を見上げながら呟く。
 ――少なくとも周辺の建物などの文明レベルとマナの濃度の薄さ――といっても行動に支障をきたすほどではないが――からしてここがファンタズマゴリアではないということは間違いないのだが。
(やはりここはハイペリアなのでしょうか?)
 普段と変わらないように見えるが、さすがの彼女も内心は僅かに混乱していた。
 無理も無いだろう。異世界という概念はあったが、まさかスピリットである自身が異世界に飛ばされることになるとは思いもしなかったし、しかもその世界の人間にいきなり『殺し合え』などと命令されたのだから。
 ほかにも、配られた名簿や地図等には見たことも無い文字がずらずらと書き並べられているのに、それを何の違和感も無く理解し、読むことが出来るという自分自身のこの不思議な状態。
 ――(ちょっと違うが)悠人がファンタズマゴリアに来たばかりの頃もきっとこんな心境だったのだろうか? そんなことを思いながらエスペリアは市街地の奥へと進んでいく。
 同時に、この殺し合いにおいて自身はどうするべきか考えてみた。

 まず、この殺し合いに乗るか、乗らないかを考えてみる。
 スピリットである自分が人間たちと殺し合う――そんなことがはたして自分に出来るだろうか?
 答えは否。無理だ。自身はスピリットである以上、人間を傷つけることなど出来るわけが無い。
 この殺し合いの参加者はほとんどが人間だ。しかも皆あのタカノという女性の手により無理矢理参加させられている。おそらく、普段は戦場などというものとはまったく無縁の者たちなのだろう。
 そのような者たちを自身の手でマナの霧にする――そんなことをするくらいならば自身がマナの霧になったほうが数倍マシである。
 それに――殺し合いに乗るということは悠人やアセリアとも戦うということになる。
 敵であった者が味方になり、味方であった者が敵になるということは戦場ではよくあることだ。だが、エスペリアにはそのような真似はどうしても出来なかった。
 ――――ならば、この殺し合いにおいて自身がやるべきことは決まっているようなものだ。

「私はスピリットである以上、この島にいる人々を一人でも多くお救いしなくては…………」
 木刀を持つ手に軽く力を込めると、エスペリアはさらに足を進めた。



 それから少し歩いたところで交差点に差し掛かった。
 前方の信号には右に行くとプラネタリウム、左に行くと映画館、前に行くと役場方面と表記された看板が掛かっていた。
 もちろん、エスペリアは信号がどのようなものか分かるわけがない。したがって看板だけに目が止まる。
 どこに行くのが一番よいだろうか、と少し考えた結果、映画館という場所に行ってみようと思い、早速左――すなわち南へと足を進めるエスペリア。
「おんやあ? これはかわいらしい服を着たお嬢さんですなあ。しかし、信号は青になってから渡らなきゃ駄目ですよお、んっふっふ……」
「?」
 その時、不意に人の声がした。
 声のした方へ目を向けると、そこには一人の男が電柱を背に立っていた。
「何者です!?」
 思わず、いつでも戦闘に移行できるように身構えるエスペリア。それを見た男はまあまあとエスペリアをなだめる様な動作を見せながら再び口を開く。
「私は決して怪しいものではございませんよ。私は××県警興宮警察署の大石蔵人というものです」
 そう言うと大石というその男は警察手帳を取り出し、それをエスペリアに見せた。
 ――といってもエスペリアは警察手帳どころか警察というものが何なのかも分からないので、そう言った大石に対して「はぁ」と答えだけである。
「ですから私は自分から相手に危害を加えるような真似はしませんのでご心配なく」
 またしても「んっふっふ」と笑いながら大石はエスペリアの方へ一歩、また一歩と近づいていく。

「――私も人間を傷つけるような真似はしたくありません。ですが……万一の場合、抵抗はさせて頂きます」
 近づいてくる大石に対してエスペリアは木刀の剣先を彼の方に向け、警戒の意思を示す。
「おお、これはこれは。しかしですねお嬢さん、もし私が殺し合いに乗っていた場合あなたに声などお掛けしませんよ?
 人前に姿を堂々と晒して殺人を犯す殺人犯なんていないと思いますがねえ?」
「…………確かに、言われて見ればその通りです。しかし、見知らぬ相手をそう易々と信じるほど私はお人好しではございません」
「そうですか…………。まあ、私は貴方にちょ~っとあなたにお聞きしたいことがあっただけので、すぐに退散しますよ」
 そう言うと大石はまた「んっふっふ」と笑った。
「そういえば、あなたのお名前を聞いておりませんでしたなあ。お名前は何とおっしゃるのです?」
「……エスペリアです」
「そうですか。ではエスペリアさん、早速本題に入りましょうか。私が聞きたいことは三つだけです。
 まずはひとつ目ですが――――赤坂衛という男性、もしくは前原圭一という少年にお会いしませんでしたか?」
 大石の口から上げられた二人の人間の名前――その内の一人の名前はエスペリアも聞き覚えがあった。
 前原圭一――――確かあの時、タカノという女性と僅かばかりではあるが話しをしていた悠人と同年代の少年の名前だ。
「残念ですが、私はこれまでこの島では誰ともお会いしてはいません」
「そうですか……。では次の質問、あなたはこの殺し合いが始まった時、どこに飛ばされていましたか?」
「――ここです」
 エスペリアは地図を取り出し、そう言ってある一箇所を指差した。
 ――――そこは図書館だった。
「ほう、図書館ですか……。ちなみに私が飛ばされたのはここです」
 言う必要があるかは分かりませんがねえ、と付け加えながら大石は博物館を指差す。
「――――こんなことを聞いて、いったい何を考えているのですか?」
「いや……これは私の憶測に過ぎないんですが、この殺し合いの参加者の数は当初65名――そしてこの地図で記されているエリアの数は8×8の計64マスです。
 もしかしたら、スタート時は各エリア一箇所につき参加者は最低一名配置されるのでは、などと思っていただけですよ」
 大石のその言葉を聞いたエスペリアは、若干はっとすると同時に、その憶測は間違いではないかもしれないと心の中で思った。
 そして、実は悠人やアセリアは自分がスタートしたエリアの近隣エリアに配置されていたのではないかなどともと考え、特に何も憶測せずにここまで来てしまったことに少し悔やむ。
「最後の質問に移ってよろしいでしょうか?」
「え? あ、はい……」
 大石の声にはっと我に返り、エスペリアは返事をする。
「では、最後の質問ですが…………。ちょっとこんなこと聞くのも馬鹿馬鹿しいかもしれませんがねえ…………」
 そう言いながら、大石はどこか苦笑いのような、そして気まずいような顔をする。
 それから、数秒ばかりしたところで大石は口を開き、そして言った。



「――――エスペリアさん。あなた、死んだ人間が生き返るなんてことがあると思いますか?」



【D-2 新市街/1日目 黎明】


【大石蔵人@ひぐらしのなく頃に】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式、ランダムアイテム不明】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本:不明
1:エスペリアから話を聞き情報を集める。
2:1の後、別の場所に行く。
3:赤坂衛、前原圭一と合流。
【備考】
※綿流し編終了後からの参加です。

【エスペリア@永遠のアセリア】
【装備:木刀】
【所持品:支給品一式、他ランダムアイテム不明】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本1:ゲームには乗らず、スピリットとして人間のために行動する。
基本2:人間と戦ったり、傷つけたくはないが、万一の場合は戦う。
1:死んだ人間が生き返る…………ですか?
2:大石との話が終わったら『映画館』という所に行ってみる。
3:悠人、アセリアと合流。
【備考】
※登場時間軸などは後続の書き手さんにお任せします。


034:パートナー 投下順に読む 036:もう戻れない優しい日々
034:パートナー 時系列順に読む 036:もう戻れない優しい日々
大石蔵人 066:そこには、もう誰もいない
エスペリア 066:そこには、もう誰もいない






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