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「予期せず出会うもの」(2007/09/29 (土) 00:52:28) の最新版変更点
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**予期せず出会うもの ◆SVzkoBaims
痛みとは、その人間が生きているという証明である。
今、この殺戮の島においては誰もが心と体に痛みを感じ、それに抗い、もがき、泣き、そして死に到る者もいる。
それはゲームに乗ったものであろうと反逆するものであろうと関係ない。
そして、これから始まる戦いを彩るのも傷つき、痛みを背負った者達だ。
役者は女優が二名。
名を佐藤良美、川澄舞と称す。
観客よ、二人の演じる劇の序章をとくと御覧あれ。
※
(一体何があったのかな)
それはごく単純な疑問にすぎない。
圭一たち三人と武から離れた良美は北西へと移動した結果、山火事の現場へと足を踏み入れていた。
ここに到った事に大きな理由はない。
ただ圭一たちに拘らない為に異なる方向へ向かった結果として、この場所へ来ただけである。
良美が到着したときもまだ炎はあちらこちらで炎上していた。
(馬鹿な誰かさんが、キャンプファイアーをしたわけじゃないよね)
のん気な参加者がいたとしても、自分から人に見つかるようなことをホイホイする奴がいるとは思えない。
いや、一人だけ心あたりがある。
自分の言を信じて乙女と大石に毒を盛ったあの少女ならばやるかもしれない。
(そういえば、あゆちゃんはどこに行ったのかな)
住宅街では圭一たちと一緒に行動していたあゆの姿が、先ほど遭遇したときは見当たらなかった。
あの時、住宅街での戦いの時に美凪がいなくなったとか言っていたような気がしたがよく覚えていない。
救急車の中に引きこもっていたのか、それともどこかで圭一たちから離れたのか。
あゆについても、見つけたら殺す必要があると思う。
彼女が圭一たちと出会ったおかげで自分が圭一の知人である大石を殺した首謀者であるとバレてしまい、更には名雪を説得されてしまうところだった。
あの場は演技で切り抜け、名雪の離脱は避けられたが沙羅は圭一のもとへ走り、仲間として行動している。
そう考えると彼女の存在もまた、良美にとって害毒以外のなんでもない。
いや、この場合自分以外の人間、利用できそうなコマを除けば全員害毒というべきかもしれないが。
(もしあゆちゃんを見つけたらおしおきする必要があるね。あの子のせいでせっかくの包囲網の一角が崩れたんだから)
あの無邪気そうで人を簡単に信じ込む性格は、コマとして使える可能性があった。
だが、もう無理だ。
ならば圭一たちともども殺してしまえばいい。
鬱陶しい圭一たちも自分の小指を奪った武も憎いがこうやって考えればあゆもまた憎い。
なぜエリカやレオが死んで、あの見るからに弱そうな小娘がのうのうと生きているのかと思うと憎しみも増すというものだ。
だがそこまで熱を持ち沸騰しそうなところでレオの言葉を思い出す。
――テンションに流されるな――
そう、ここはクールになってから行動しなければならない。
何のために圭一たちから離れて違う道を歩いてきたか忘れてはならない。
そんなことを考えながら火元近くを離れ、北に進んでいた時あるものを蹴飛ばした。
(何かな?)
良美が拾い上げたモノは携帯電話、いや正しくは携帯電話型のPDAだ。
もっともそれがPDAであると分かっても彼女が拾い上げる理由にはならない。
彼女の興味を引いたのは、液晶画面に表示された画像。
ここに写っている人物「倉田佐祐理」が死んでいるのはすぐわかった。
例え額の銃創が前髪で隠れ、目立たない状態であっても遺体の後ろに写る血だまりや皮膚の色がその事実を如実に物語ってくる。
その服装から住宅地で出会った水瀬名雪と同じ学校の生徒であるというのもわかる。
だが、それらも良美の興味を引く理由にはならない。
画像が彼女の興味を引いた最大の理由。
それは「画像の主があまりにも安らかな死に顔だったから」に尽きる。
なぜ、どうしてここまで安らかな、微笑さえ浮かべて死ねるのか?
画像を見たとき良美の中に浮かんだ疑問がそれだった。
彼女がここに到達するまで見てきた死者は皆、苦痛故に絶望と失望の表情を浮かべて死んでいた。
自らが殺した藤林杏や伊達スバルにしかり、死に顔こそ確認しなかったが乙女や大石もそうだったに違いない。
否、すでにここまでの放送で命を落とした30余名は皆そうだと思っていた。
なのになぜ?
良美には笑いながら死ねる彼女の気持ちが理解できない。
まさかどこかのメロドラマみたいに愛する者に殺されたから笑っていられたのか。
だとしても、そんなものは気分を悪くする要素以外のなんでもない。
ズキン……。
その時、切り落とされた小指の跡が再び痛み出す。
痛みとともに湧き上がる苛立ち。
目に入った画像すらうざったく感じ、こんなもの!とばかりに画像を消去してやろうかと良美が思ったその時。
ズガンッ!!
銃声が響き、彼女の脇をかすめる。
莫迦な!?気配を感じなかった?いや、周囲に気を配ってなかったから?
そんなことを良美が考えながら銃声のなった方向を見上げると、そこには一番会いたくない人種がそこにいた。
一番会いたくない人種。
早い話が自分同様このゲームに乗った人種にして、話し合いも策謀も通じないタイプ。
武力の暴風で一方的に突っ込んでくる無差別型マーダー。
その名を川澄舞と言った。
(……千影じゃない……。でも、逃がさない……)
良美の到着前から山火事の現場近くに潜伏していた舞はその姿を確認したとき、わずかに失望した。
千影ならば自分の最強装備であるキャリバー50の予備弾薬を持っているはずだった。
神社が禁止エリアに指定されたことで、こちらに誰か来ると思いながら潜伏しそのときを待っていたが
一時間以上待ち伏せして姿を現したのは一人だけ、それも目当ての人物ではなかった。
千影はああ言っておきながら結局こなかったのか、それとも来られなかったのか。
どうであれ何時までたっても待ち人来ずなら打って出るだけ。
佐祐理の為に他の参加者を皆殺しにするしかない以上は前に進むしかない。
(それに……、あの女の銃や刀を奪えばいいから……)
舞がめざとく見つけた武器類。
良美の手にある一丁の銃に刀に手斧といずれもぜひほしい武器だ。
あれらが手に入ればまた当分は戦える。
だから、自分から仕掛けることにした。
これを誘惑というのか、欲に目がくらんだというのか。
否、舞は勝算あってこそ勝負に出たのだ。
相手は左手に包帯を巻き、負傷してるのを確認したからこそ勝てると踏んだ。
そうでなければ彼女とて本当に仕掛けたかどうか……。
ハッキリしているのは、初弾は当たらず感づかれたということ。
接近戦に持ち込まれればきわめて分が悪いということだった。
(だとしてもあの手の怪我なら、仕留められる――)
今度はよりハッキリと見えた相手の左手の怪我。
その左手には5本あるべきはずの指が4本しかなかった。
一見すると軽症に見えるが、武器を持てばその負担は10本全てそろっているときとは比較にならないはず。
そこまで舞は考えたわけではないが、指のことを確認した時点で勝算は自分にあると確信していた。
(これまでで最大のピンチかもしれないね)
撃たれた良美の方は木に隠れて撃ってきた相手の様子を探ろうとする。
彼女は冷静だったが、冷静だから今の自分がどれだけ危機的な状況にあるかわかっていた。
まず相手が何者なのかわからない。
自分と同じぐらいの年頃の少女というぐらいしか。
次に武装だが、銃を持っているのはわかったがそれが複数なのか一丁なのか。
自分と同様に傷を負っているのかどうかすら分からないのだから。
もっとも、それ以上に彼女をして「ピンチ」と思わせる要素は相手が一方的に撃ってきたという点にある。
考えてみれば、人を騙し利用して優勝を目指す自分にとって必要だったのはコマとして使えそうな他の参加者であって、
狂犬のごとく噛み付いてくる参加者は御免被りたいものだった。
圭一に固執しないために彼らとはあえて逆の方向へ移動したことが、よりによってこんな形で裏目に出るとは。
思わずほぞを噛む気分で表情を歪める良美。
(逃げるのは難しいかな)
ダイナマイトがあればどうにかなっただろうが、アレは武から逃げるために使ったためもうない。
火の中に飛び込んでそのまま走って逃げるという方法はリスクが大きすぎる。
結局のところ戦うしかないという結論に彼女が到達するまで、そうそう時間はかからなかった。
覚悟を決めた良美はS&W M627PCカスタムの弾数を確認する。
だが、自分が拾い上げたPDAが銃撃の主に対する最大の武器となることはさしもの彼女も気がついていない。
それがいいのか悪いのか、果たしてどっちか。
【C-4 森/1日目 夜中】
【佐藤良美@つよきす -Mighty Heart-】
【装備:S&W M627PCカスタム(8/8)、地獄蝶々@つよきす、破邪の巫女さんセット(巫女服のみ)、ハンドアックス(長さは40cmほど)】
【所持品:支給品一式×3、S&W M36(0/5)、錐、食料・水x4、タロットカード@Sister Princess、
大石のデイパック、 S&W M627PCカスタムの予備弾45、肉まん×5@Kanon、虎玉@shuffle、オペラグラス
日本酒x1(アルコール度数は46)、発火装置、医療品一式、倉成武のPDA@Ever17-the out of infinity-、倉田佐祐理の死体の写真】
【状態:左肩に銃創、重度の疑心暗鬼、巫女服の肩の辺りに赤い染み、左手小指損失】
【思考・行動】
基本方針:あらゆる手段を用いて、優勝する。
1:とりあえずは目の前の相手と交戦
2:あらゆるもの、人を利用して優勝を目指す
3:いつか圭一とその仲間を自分の手で殺してやりたい
【備考】
※メイド服はエンジェルモートは想定。現在は【F-4】に放置されています。
※ハクオロを危険人物と認識。(詳細は聞いていない)
※千影の姉妹の情報を得ました(名前のみ)
※名雪の第三回放送の時に神社に居るようにする、の情報を得ました
(禁止エリアになった場合はホテル、小屋、学校、図書館、映画館の順に変化)
※ネリネを危険人物と判断しました(名前のみ)
※大空寺あゆ、ことみのいずれも信用していません。
※大石の鞄に、未確認支給品が1個入っています(武器ではない)
※大石の支給品の一つは鍵です。 現在は倉成武が所有
※商店街で医療品とその他色々なものを入手しました。 具体的に何を手に入れたかは後続書き手任せ。ただし武器は無い)
※次に何処へ行くかは後続の書き手さん任せ。 但し北東(主に学校、図書館方面)にはいかない
※倉田佐祐理の死体の写真は額の銃痕が髪の毛で隠れた綺麗な姿。
撮影時間(一日目夕方)も一緒に写っています。
【川澄舞@Kanon】
【装備:ニューナンブM60(.38スペシャル弾5/5) 学校指定制服(かなり短くなっています)】
【所持品:支給品一式 ニューナンブM60の予備弾32 バナナ(フィリピン産)(3房)、ブラウニング M2 “キャリバー.50”(ベルト給弾式、残弾45) 】
【状態:疲労(中)、肋骨にひび、腹部に痣、肩に刺し傷(止血済。痛いが普通に動かせる)、太腿に切り傷(止血済。痛いが普通に動かせる)、後頭部にたんこぶ】
【思考・行動】
基本方針:佐祐理のためにゲームに乗る
1:目の前の相手を殺し、武器を奪う。
2:佐祐理を救う。
3:全ての参加者を殺す。ことりも千影も殺す。
4:相手が強い場合、多人数の場合は無理はしない。
追記:現在周囲はまだ炎上中。火勢は弱まる傾向。
|159:[[安息と憂鬱の狭間]]|投下順に読む|161:[[Don't be afraid./散りゆくものへの子守唄(前編)]]|
|158:[[「塔-THE TOWER」「正義-JUSTICE-」(後編)]]|時系列順に読む|161:[[Don't be afraid./散りゆくものへの子守唄(前編) ]]|
|153:[[歯車二つ(後編)]]|佐藤良美|:[[]]|
|152:[[炎の魔法少女(後編)]]|川澄舞|:[[]]|
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**予期せず出会うもの ◆SVzkoBaims
痛みとは、その人間が生きているという証明である。
今、この殺戮の島においては誰もが心と体に痛みを感じ、それに抗い、もがき、泣き、そして死に到る者もいる。
それはゲームに乗ったものであろうと反逆するものであろうと関係ない。
そして、これから始まる戦いを彩るのも傷つき、痛みを背負った者達だ。
役者は女優が二名。
名を佐藤良美、川澄舞と称す。
観客よ、二人の演じる劇の序章をとくと御覧あれ。
※
(一体何があったのかな)
それはごく単純な疑問にすぎない。
圭一たち三人と武から離れた良美は北西へと移動した結果、山火事の現場へと足を踏み入れていた。
ここに到った事に大きな理由はない。
ただ圭一たちに拘らない為に異なる方向へ向かった結果として、この場所へ来ただけである。
良美が到着したときもまだ炎はあちらこちらで炎上していた。
(馬鹿な誰かさんが、キャンプファイアーをしたわけじゃないよね)
のん気な参加者がいたとしても、自分から人に見つかるようなことをホイホイする奴がいるとは思えない。
いや、一人だけ心あたりがある。
自分の言を信じて乙女と大石に毒を盛ったあの少女ならばやるかもしれない。
(そういえば、あゆちゃんはどこに行ったのかな)
住宅街では圭一たちと一緒に行動していたあゆの姿が、先ほど遭遇したときは見当たらなかった。
あの時、住宅街での戦いの時に美凪がいなくなったとか言っていたような気がしたがよく覚えていない。
救急車の中に引きこもっていたのか、それともどこかで圭一たちから離れたのか。
あゆについても、見つけたら殺す必要があると思う。
彼女が圭一たちと出会ったおかげで自分が圭一の知人である大石を殺した首謀者であるとバレてしまい、更には名雪を説得されてしまうところだった。
あの場は演技で切り抜け、名雪の離脱は避けられたが沙羅は圭一のもとへ走り、仲間として行動している。
そう考えると彼女の存在もまた、良美にとって害毒以外のなんでもない。
いや、この場合自分以外の人間、利用できそうなコマを除けば全員害毒というべきかもしれないが。
(もしあゆちゃんを見つけたらおしおきする必要があるね。あの子のせいでせっかくの包囲網の一角が崩れたんだから)
あの無邪気そうで人を簡単に信じ込む性格は、コマとして使える可能性があった。
だが、もう無理だ。
ならば圭一たちともども殺してしまえばいい。
鬱陶しい圭一たちも自分の小指を奪った武も憎いがこうやって考えればあゆもまた憎い。
なぜエリカやレオが死んで、あの見るからに弱そうな小娘がのうのうと生きているのかと思うと憎しみも増すというものだ。
だがそこまで熱を持ち沸騰しそうなところでレオの言葉を思い出す。
――テンションに流されるな――
そう、ここはクールになってから行動しなければならない。
何のために圭一たちから離れて違う道を歩いてきたか忘れてはならない。
そんなことを考えながら火元近くを離れ、北に進んでいた時あるものを蹴飛ばした。
(何かな?)
良美が拾い上げたモノは携帯電話、いや正しくは携帯電話型のPDAだ。
もっともそれがPDAであると分かっても彼女が拾い上げる理由にはならない。
彼女の興味を引いたのは、液晶画面に表示された画像。
ここに写っている人物「倉田佐祐理」が死んでいるのはすぐわかった。
例え額の銃創が前髪で隠れ、目立たない状態であっても遺体の後ろに写る血だまりや皮膚の色がその事実を如実に物語ってくる。
その服装から住宅地で出会った水瀬名雪と同じ学校の生徒であるというのもわかる。
だが、それらも良美の興味を引く理由にはならない。
画像が彼女の興味を引いた最大の理由。
それは「画像の主があまりにも安らかな死に顔だったから」に尽きる。
なぜ、どうしてここまで安らかな、微笑さえ浮かべて死ねるのか?
画像を見たとき良美の中に浮かんだ疑問がそれだった。
彼女がここに到達するまで見てきた死者は皆、苦痛故に絶望と失望の表情を浮かべて死んでいた。
自らが殺した藤林杏や伊達スバルにしかり、死に顔こそ確認しなかったが乙女や大石もそうだったに違いない。
否、すでにここまでの放送で命を落とした30余名は皆そうだと思っていた。
なのになぜ?
良美には笑いながら死ねる彼女の気持ちが理解できない。
まさかどこかのメロドラマみたいに愛する者に殺されたから笑っていられたのか。
だとしても、そんなものは気分を悪くする要素以外のなんでもない。
ズキン……。
その時、切り落とされた小指の跡が再び痛み出す。
痛みとともに湧き上がる苛立ち。
目に入った画像すらうざったく感じ、こんなもの!とばかりに画像を消去してやろうかと良美が思ったその時。
ズガンッ!!
銃声が響き、彼女の脇をかすめる。
莫迦な!?気配を感じなかった?いや、周囲に気を配ってなかったから?
そんなことを良美が考えながら銃声のなった方向を見上げると、そこには一番会いたくない人種がそこにいた。
一番会いたくない人種。
早い話が自分同様このゲームに乗った人種にして、話し合いも策謀も通じないタイプ。
武力の暴風で一方的に突っ込んでくる無差別型マーダー。
その名を川澄舞と言った。
(……千影じゃない……。でも、逃がさない……)
良美の到着前から山火事の現場近くに潜伏していた舞はその姿を確認したとき、わずかに失望した。
千影ならば自分の最強装備であるキャリバー50の予備弾薬を持っているはずだった。
神社が禁止エリアに指定されたことで、こちらに誰か来ると思いながら潜伏しそのときを待っていたが
一時間以上待ち伏せして姿を現したのは一人だけ、それも目当ての人物ではなかった。
千影はああ言っておきながら結局こなかったのか、それとも来られなかったのか。
どうであれ何時までたっても待ち人来ずなら打って出るだけ。
佐祐理の為に他の参加者を皆殺しにするしかない以上は前に進むしかない。
(それに……、あの女の銃や刀を奪えばいいから……)
舞がめざとく見つけた武器類。
良美の手にある一丁の銃に刀に手斧といずれもぜひほしい武器だ。
あれらが手に入ればまた当分は戦える。
だから、自分から仕掛けることにした。
これを誘惑というのか、欲に目がくらんだというのか。
否、舞は勝算あってこそ勝負に出たのだ。
相手は左手に包帯を巻き、負傷してるのを確認したからこそ勝てると踏んだ。
そうでなければ彼女とて本当に仕掛けたかどうか……。
ハッキリしているのは、初弾は当たらず感づかれたということ。
接近戦に持ち込まれればきわめて分が悪いということだった。
(だとしてもあの手の怪我なら、仕留められる――)
今度はよりハッキリと見えた相手の左手の怪我。
その左手には5本あるべきはずの指が4本しかなかった。
一見すると軽症に見えるが、武器を持てばその負担は10本全てそろっているときとは比較にならないはず。
そこまで舞は考えたわけではないが、指のことを確認した時点で勝算は自分にあると確信していた。
(これまでで最大のピンチかもしれないね)
撃たれた良美の方は木に隠れて撃ってきた相手の様子を探ろうとする。
彼女は冷静だったが、冷静だから今の自分がどれだけ危機的な状況にあるかわかっていた。
まず相手が何者なのかわからない。
自分と同じぐらいの年頃の少女というぐらいしか。
次に武装だが、銃を持っているのはわかったがそれが複数なのか一丁なのか。
自分と同様に傷を負っているのかどうかすら分からないのだから。
もっとも、それ以上に彼女をして「ピンチ」と思わせる要素は相手が一方的に撃ってきたという点にある。
考えてみれば、人を騙し利用して優勝を目指す自分にとって必要だったのはコマとして使えそうな他の参加者であって、
狂犬のごとく噛み付いてくる参加者は御免被りたいものだった。
圭一に固執しないために彼らとはあえて逆の方向へ移動したことが、よりによってこんな形で裏目に出るとは。
思わずほぞを噛む気分で表情を歪める良美。
(逃げるのは難しいかな)
ダイナマイトがあればどうにかなっただろうが、アレは武から逃げるために使ったためもうない。
火の中に飛び込んでそのまま走って逃げるという方法はリスクが大きすぎる。
結局のところ戦うしかないという結論に彼女が到達するまで、そうそう時間はかからなかった。
覚悟を決めた良美はS&W M627PCカスタムの弾数を確認する。
だが、自分が拾い上げたPDAが銃撃の主に対する最大の武器となることはさしもの彼女も気がついていない。
それがいいのか悪いのか、果たしてどっちか。
【C-4 森/1日目 夜中】
【佐藤良美@つよきす -Mighty Heart-】
【装備:S&W M627PCカスタム(8/8)、地獄蝶々@つよきす、破邪の巫女さんセット(巫女服のみ)、ハンドアックス(長さは40cmほど)】
【所持品:支給品一式×3、S&W M36(0/5)、錐、食料・水x4、タロットカード@Sister Princess、
大石のデイパック、 S&W M627PCカスタムの予備弾45、肉まん×5@Kanon、虎玉@shuffle、オペラグラス
日本酒x1(アルコール度数は46)、発火装置、医療品一式、倉成武のPDA@Ever17-the out of infinity-、倉田佐祐理の死体の写真】
【状態:左肩に銃創、重度の疑心暗鬼、巫女服の肩の辺りに赤い染み、左手小指損失】
【思考・行動】
基本方針:あらゆる手段を用いて、優勝する。
1:とりあえずは目の前の相手と交戦
2:あらゆるもの、人を利用して優勝を目指す
3:いつか圭一とその仲間を自分の手で殺してやりたい
【備考】
※メイド服はエンジェルモートは想定。現在は【F-4】に放置されています。
※ハクオロを危険人物と認識。(詳細は聞いていない)
※千影の姉妹の情報を得ました(名前のみ)
※名雪の第三回放送の時に神社に居るようにする、の情報を得ました
(禁止エリアになった場合はホテル、小屋、学校、図書館、映画館の順に変化)
※ネリネを危険人物と判断しました(名前のみ)
※大空寺あゆ、ことみのいずれも信用していません。
※大石の鞄に、未確認支給品が1個入っています(武器ではない)
※大石の支給品の一つは鍵です。 現在は倉成武が所有
※商店街で医療品とその他色々なものを入手しました。 具体的に何を手に入れたかは後続書き手任せ。ただし武器は無い)
※次に何処へ行くかは後続の書き手さん任せ。 但し北東(主に学校、図書館方面)にはいかない
※倉田佐祐理の死体の写真は額の銃痕が髪の毛で隠れた綺麗な姿。
撮影時間(一日目夕方)も一緒に写っています。
【川澄舞@Kanon】
【装備:ニューナンブM60(.38スペシャル弾5/5) 学校指定制服(かなり短くなっています)】
【所持品:支給品一式 ニューナンブM60の予備弾32 バナナ(フィリピン産)(3房)、ブラウニング M2 “キャリバー.50”(ベルト給弾式、残弾45) 】
【状態:疲労(中)、肋骨にひび、腹部に痣、肩に刺し傷(止血済。痛いが普通に動かせる)、太腿に切り傷(止血済。痛いが普通に動かせる)、後頭部にたんこぶ】
【思考・行動】
基本方針:佐祐理のためにゲームに乗る
1:目の前の相手を殺し、武器を奪う。
2:佐祐理を救う。
3:全ての参加者を殺す。ことりも千影も殺す。
4:相手が強い場合、多人数の場合は無理はしない。
追記:現在周囲はまだ炎上中。火勢は弱まる傾向。
|159:[[安息と憂鬱の狭間]]|投下順に読む|161:[[Don't be afraid./散りゆくものへの子守唄(前編)]]|
|158:[[「塔-THE TOWER」「正義-JUSTICE-」(後編)]]|時系列順に読む|161:[[Don't be afraid./散りゆくものへの子守唄(前編) ]]|
|153:[[歯車二つ(後編)]]|佐藤良美|168:[[悪夢の夢は終わって始まる(前編)]]|
|152:[[炎の魔法少女(後編)]]|川澄舞|168:[[悪夢の夢は終わって始まる(前編)]]|
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