「破滅の詩。」(2007/11/10 (土) 18:09:34) の最新版変更点
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**破滅の詩。
――――二人の囚人が鉄格子の窓から外を眺めたとさ。一人は泥を見た。一人は星を見た。
フレデリック・ラングブリッジ 『不滅の詩』
「う……ここは……?」
森の中で起きた惨劇からどれぐらいの時間が経過したのか。
ネリネによって拉致された千影が目覚めた場所。
そこは暗い闇の中だった。
(そうだ……。私はホテルを目指そうとして背後から襲われて……気を失ったん
だ……)
直前の出来事を千影は思い出す。
放送で咲耶の死を知った後、悠人と共に休んでいたところへ銃声が響いたのが始まり。
悠人は偵察に向かう前「ここで待って19時半にまで戻らなかったら先にホテルへ行け」と言い残した。
それが、彼と交わした最後の言葉になるとは思いもしなかった……。
悠人の言ったとおりに帰りを待ち続けた結果、襲撃してきた参加者の罠にはめられた彼は
炎の海に呑まれ、そして……帰らなかった。
その後、炎の海の前で愕然とした千影は単身ホテルに向かおうとして立ち上がった時、
背後から何者かに襲われ、麻酔をかがされて気を失った。
当たり前だけど、それからのことは何も覚えていない……。
「なんで……こんなことになってしまったんだろうね…………わからないよ……咲耶くん……悠人くん……」
不帰の人となった二人の名を呟く千影。
自分は放送の時、神社にいるのは危険という予感からあえて西へ移動して隣のエリアへ入った。
それがあの時点での最良の選択と思えたから、少しでも不吉な予感から逃れたかったから。
だけど、放送で咲耶が死んだ事を知って衝撃を受け倒れそうになった。
最初は咲耶の死が自分の中で膨れ上がってた不吉な予感と考えていたけどそうではなかった。
その後に起こった悠人の死、あれはあまりにも衝撃的だった。
きっとあの時感じた不吉な予感はこの全てだったに違いないのだろう……。
そうしている間にも目が闇に慣れて周囲の様子が見えてくる。
床はコンクリート、闇の中で機械類が整然と配置されている様子から、ここは地下室の様に思えた。
「どう見ても……ホテルじゃないね……。とりあえず……ここを出ないと……うあっ!?」
その場から動こうとした千影は、ようやく体の自由がきかないことを知る。
体がロープか何かで縛られ、飼い犬みたいに壁か柱につながれていた。
解こうにも後ろ手にきつく縛られていて自分の力ではどうにもならない。
足についても同じで、足首のところで縛られ歩く事はおろか満足に立つ事もできなかった。
だが、仮にこの拘束が解けても千影が逃げる事は難しい。
なぜなら今の千影は何もまとわぬ生まれたままの姿、すなわち全裸なのだから。
(私の服を持っていくなんて……酷いことをするね……。だけど……この肩の傷は……どういうことかな……?)
神社でネリネによって負わされた左肩を見ると、そこに巻かれている包帯は新しい物に換えられていた。
襲撃者がゲームに乗っているならば、とっくにあの場で殺している筈。
なのに、自分を全裸にしながら包帯を巻きなおすとはどういうことだろうか。
千影が疑問に思っていると、不意に正面にある扉が開く。
扉は閉じられ、スイッチが押される音と共に部屋の照明である蛍光灯が点灯し、
部屋の状況と入ってきた者の姿が明らかになる。
入ってきた人物の姿を足元から上へと見上げた千影は、その顔を見たとき思わず息を呑む。
一瞬置いて千影は、できることなら遭遇したくなかったある人物の名を口にしていた。
「ネリネ……くん……?」
肩からディパックを提げ、手には槍を握り締めた黒髪の少女がそこにいた。
千影は思う。
彼女は本当にネリネか?彼女の髪の色は青かったはず。
だけどあの長い耳、一度見たら忘れない形の耳は間違いなく彼女と同じだし、手にしている
槍も彼女が持っていた永遠神剣と同じものだ。
なにより、ゲームに乗った彼女が自分を手当てした理由からしてわからない。
千影の頭の中でそんなことがグルグル回っていた時、少女が口を開いた。
「ええ、またお会いできましたね。千影さん」
その声を聞いて千影は自分の予想、それも最悪のものが当たってしまったと思っ
た。
おそらく髪が黒いのは染めたのだろう。
だが、それ以上になぜ自分を一思いに殺さず拉致という手段で連れ去ったのか、
ここはどこなのか等、知りたいことはいくつもあった。
だから、千影は再び口を開きネリネに質問する事にした。
「教えてくれないか……。どうしてあの時……私を殺さず連れ去ったんだい……?それに……ここは一体どこなのかな……?」
「気を失っていた千影さんには分からないことだらけでしょうね。いいでしょう。
私が順を追って教えてあげましょう」
千影の弱弱しい姿を見たネリネはその姿に満足したのか、静かに笑ってみせると口を開いた。
「まず、ここは博物館です。千影さんのいる場所は地下室の一番奥にある機械室……」
自分が閉じ込められた場所でもあると、ネリネは言わなかった。
それは不名誉だからではなく、単に千影の質問の事項に含まれてなかっただけのこと。
「私を……さらった理由は……なんだい?」
「簡単なこと、千影さんにはこれから私の魔力を回復する為の『器』になっていただこうと思いましてね」
「それは……私の魔力を奪い取るということかい……?ならばあの時……永遠神剣で一突きにしていれば……なぜ?」
千影にはこの点が分からなかった。
神社でネリネの槍が刺さったとき、魔力が吸収されたことから永遠神剣で攻撃されれば魔力を奪われるのは確かだった。
今回も魔力が目的だったならば、気を失っている間に永遠神剣で一突きにすれば魔力を全て奪い取れたはずなのに。
「まだお分かりになりませんか?私は『器』と言いました。要するにこれからの千影さんは私に必要な魔力を供給し続けていただこうと思うのです」
千影の疑問に対して、ネリネはストレートに返した。
要するに「自分の道具として魔力を供給し続けろ」ということだ。
何も魔力を得るのに魔力持ちの人間を殺す必要は何処にも無い。
だったら、生かしたまま従属させ魔力の供給源にしてしまえばいいだけ。
生きている以上、魔力は確実に回復するからだ。
千影の魔力がどれぐらいの時間で回復するのか分からないが、魔力の絶対量が自分より
少ない分回復も早いのではないかとネリネは推測していた。
魔力の量が少なかったら回数で補えばいい――
単純だが、ネリネはこの様に考えていたのである。
「私は……、ネリネくんの物には……ならないよ……。魔力を……どれだけ奪われてもね……」
ネリネの言葉に千影は当然の如く反発する。
だが、ここまで姉妹を含めて多くの知り合いが死に、少し前にも悠人の死を目の当たりにした事から
千影の精神はボロボロもいいところで、声のトーンも神社で会った時と比べて明らかに落ちていた。
そんな千影の様子を見たネリネは、反発された事に腹を立てるどころか嬉しそうに笑ってみせる。
「そうやって今のうちにせいぜい強がってられることですね。そのうち嫌でも私
に従いたくなりますから」
確かにネリネは笑っていたが、目は笑っていなかった。
彼女は、千影に一度永遠神剣を用いた驚くべき瞬間移動で攻撃を回避された経験から、
この期に及んで反抗する千影を警戒していた。
いくらあの短剣型の永遠神剣が自分の手元にあるとはいえど、反抗するからにはまだ何か
隠し玉があると思って警戒した方がいい。
だが、色々とやりたい事もある。
休憩して体力と魔力を少しでも回復し、次の戦いに備える必要もあるからだ。
そう思ったネリネは千影に背を向けると扉の方に向かう。
だが、途中で振り返ったネリネは千影に向かって口を開いた。
「また千影さんを暗闇の中で一人にしますけど、私もやりたい事がありますから我慢してくださいね。それから」
次にネリネは自分のディパックからある物を取り出す。
その物体を見た千影は、衝撃を受けた。
「次にここへ来るときには、この永遠神剣についても詳しく教えていただきたいものですね」
ネリネの手に握られていたのは“時詠”だった。
なんということだろうか。恐らくこの島において最上位に位置するであろう永遠神剣が
最悪の参加者の手に渡ってしまったのだ。
(大変なことになったね……よりによって“時詠”をネリネくんに奪われるなんて……)
普通なら喜びいさんで永遠神剣を使いそうにも思えるが、ネリネはやはり警戒しているのか
“時詠”をまたディパックにしまいこんだ。
地下室の照明はスイッチを切られ、扉が閉じられる。
再び室内を暗闇が支配した……。
ここで、話は戦闘後から博物館に到着するまでの時間帯にさかのぼる。
悠人は自分の仕掛けた火攻めで死亡ないしひん死の重症をおったと判断したネリネは、
気絶した千影を担ぎ上げ“献身”の力で身体能力を増幅させると、北へ向かって一気に
走りぬいた。
博物館前に到着したネリネは千影を近くの植え込みに隠すと周囲を歩き回り、誰もいないのを
確認して千影を担ぎ敷地内へと踏み込んだのだ。
館内は昼間にあの男女と戦ったとき同様真っ暗で唯一1階の事務室だけ明かりが点いていた。
最初はそこに誰かいると思ったネリネだったが、結局そこは無人であった。
そこから荷造り用のロープを入手したネリネは地下室へ向かい、自分が閉じ込められた
機械室へ千影を放り込み、全裸にした上でロープを用いて締め上げると今度は館内の探索にうつった。
2階3階と探索し、誰もいない事を確認したネリネだがここに自分たち、ここで殺した
朝倉音夢とあの男女以外の人間がいたという痕跡は発見できた。
それは、いまだ1階の展示ホールに転がっている音夢の首無し死体。
確か音夢の首を切り取った時、首輪はそのままにしていたはずだ。
だが、死体を見たところ首輪はなかった。
大方、誰かが持ち去ったのだろう。
何の目的で持ち去ったのかは知らないが、そんな事はネリネにとってどうでもよかった。
そして、ホール内にポツンと置かれた箱。
最初はそれが何なのかわからず、警戒していたが見たところ爆弾でもなさそうであった為、
ネリネは思い切って回収してみた。
箱を開いてみると中に入っていたのは銃の弾丸だった。
ネリネはすぐに銃が無いかと周囲を見渡したが銃本体はなかった。
(そういえば、森の中で弾の無い銃を拾いましたね。もしかしてこれがあの銃の弾でしょうか?)
ネリネの発想はかなり単純なものだったが、実はこれがまたドンピシャだった。
とりあえず、弾丸の入った箱をディパックにしまいこんだネリネは、その後事務室と
つながっている給湯室のシンクで髪を染めるオレンジの染髪剤を洗い落とし、新たに
黒の染髪剤で染め直した。
移動中も思ったが、やはりこれからも暗闇での戦いやゲリラ戦を中心にする以上は
地の色である青でも目立つ。
だから今後、ネリネは余程のことが無い以上は髪の色を黒や茶といった目立ちにくい色で
通すつもりだった。
亜沙への哀悼を示す上で一度は緑に髪を染めたいとも思ったが、それは別の機会にしようと
決めたネリネは、小休止のあと千影のいる地下室へ向かったのである。
再び、時間は現在に戻る。
千影と少しだけ話したネリネは、地下室を出て博物館の屋上に上がり、入手した
千影の支給品の一つである銃火器予備弾セットと自分のディパックから銃器を取り出し、
弾薬の装填を行なっていた。
(これで当分弾に困る事はありませんね)
苦労しながらも、デザートイーグルのマガジンに弾を装填し終えたネリネは、先ほどより
多少慣れた動作で、9ミリパラベラム弾をホテルで撃ち尽くしたイングラムの空マガジンへと
装填する。
続いてに、あの戦闘に先立って森の中で回収したベネリM3にショットシェルを装填し、
作業は終わった。
どの銃にどの弾が合うのかを探すのが一番の苦労だったが、そこは予備マガジンに入っている
弾丸を見ながら予備弾薬を見比べて発見し、その弾だけが入っているケースを取り出すことで
解決した。
最後のベネリについては最初から弾が入ってなかったが、館内で回収した弾丸が合うのではと
考えて装填したところこれがぴったりだった為、装填を終えた後に予備弾セットから同じ弾の
入ったケースを取り出し、先の2丁と同様に銃器を入れるディパックへ収めた。
残る2丁の銃、九七式自動砲とS&W M37 エアーウェイトについては装填を後回しにしたが、
これは、今後どの銃の使用頻度が高くなるか考えた結果後回しにしただけである。
武器の準備は確実に整いつつあった。
これからどうするか。
ネリネは残った二丁の一つ、九七式自動砲へ予備弾丸を装填しながら考える。
予備弾丸が手に入ったことで弾薬の不足に悩む事はなくなった。
もっとも、何が起こるか分からない以上大事に使うに越したことはない。
とりあえずは、千影から手に入れた永遠神剣について本人に聞く必要があるだろう。
もしかつての自分ならば後先を考えずに使用していただろうが、ここでは一つの小さな
ミスが後々大きな失策につながる恐れがある。
この先も一人で戦い続けることを考えれば焦りは禁物。
その為にも千影から詳しい話を聞き出す必要がある。
(ですが、あの態度では素直に話してくれそうにもないですね)
地下室から出る前に、千影が自分へ反抗する言葉を口にしたことからそれは明らかだ。
簡単な尋問では口を割らないだろう。
“献身”で手足を切り裂いたり銃で撃ち抜くという手もあるが、彼女は貴重な魔力の供給源だ。
今後も連れ移動する際に担いでいてはこちらの体力がもたない。
だが、今のままでは隙を見て逃げられる可能性も十分ある。
(そのために服を脱がしたのですが、それでも逃げるときは逃げるでしょうね……)
はてさて、どうするべきか。
暫く考えたネリネはある方法を思いついた。
ならば、心を壊すというのはどうだろう――
単純に言えば、千影の眼前で彼女の親しい友人や知り合いを拷問にかけ、ジワジワと
嬲り殺しにするのだ。
目の前で自分の知り合いが殺されるというのを見せつけられたらあのクールな千影も
たまらず悲鳴を上げるだろう。
あとは頃合いを見て話を聞き出せばいいという算段だ。
(ですけど、千影さんの知り合いを今から捜すのは骨が折れますね……)
この場合、これが最大のネックだった。
やはり、拷問にかけるべきかとネリネは思いながら弾薬の装填を中断し、屋上から
双眼鏡で周囲の状況を伺う。
その時、ネリネは博物館に近づいてくる二つの人影を見つけた。
見つからぬよう、屋上の床に伏せたネリネはそのまま目を凝らして人影の正体を見極める。
(……あれは、確かトウカさん……。そう、楓さんの仇……)
双眼鏡の向こう側に見えたのは自分の仇敵とも言うべきトウカ、そしてその100メートルほど
後ろを歩く長髪の女性――坂上智代――だった。
(どうやらあの後ろにいる女性がトウカさんの後を付けているみたいですね)
様子からして、二人が仲間という可能性は低い。
むしろ、長髪の女性がトウカを尾行し、隙をうかがっている様に見える。
あの二人は恐らく敵対しているというのがネリネの判断だった。
(二人ともこちらに気付いてないみたいですね……そういえばトウカさんは……)
そう、トウカは神社で千影を逃がす為に一人残って自分と楓に戦いを挑んできた。
彼女と千影がそれなりに強い信頼関係で結ばれている可能性は極めて高い。
トウカを捕らえられれば、先ほど考えた千影に対する精神的拷問という策も不可能ではない。
だが、神社での戦いぶりを考えればこれだけの装備があっても苦しいだろうとネリネは思う。
トウカは自分と楓による攻撃、剣に対して槍と拳銃という装備の不利を覆して楓を倒した
人物であり、ネリネ自身も“献身”による身体能力の強化をはかったところで勝てる確率は
五分五分と考えていたほどだ。
ここで奇襲するべきか、それとも機をうかがうか……。
これまでの戦いは万全の準備を整えて攻撃を仕掛けたが、今回は必ずしも万全とはいえない。
何より、このままどちらかに博物館へ入られたらそれはそれで困りものだ。
(とりあえずは、様子を伺いましょう。それからでも遅くはありません)
それに、あの長髪の女性がトウカを狙っている可能性も十分にある。
もし、二人が戦闘に突入し血みどろの殺し合いを演じるなら頃合を見て介入するのもありだろう。
そういうことを考えながらネリネは、一旦ここは様子見にする事とした。
この時点でトウカと智代は自分たちがネリネによって監視されているのに気づいていない。
トウカは春原陽平を切り殺し、智代と袂を分かった事によりどこか喪失感を味わいながらも
ハクオロや千影を探していた事に加えてここまでの疲労もあって警戒感が鈍っていたし、
智代は智代で、ハクオロをはじめとするすべての参加者に対する殺意が異様に膨れ上がった
状態でようやく発見したトウカだけを見てたことにより「自分が第三者に見られている」という
考えにいたらなかった。
二人にすれば、最悪のタイミングとしか言い様がないだろう。
そんな二人を双眼鏡で見ながら、ネリネは一瞬夜空を見上げた。
月と星の輝く夜空を。
その中に一際輝く星を見つめながら思う。
あれはきっと自分を勝利に導く星に違いないと。
それは、同時刻に地下室の千影が漆黒の闇の中で絶望に浸っていたのとあまりにも
好対照であった。
――――二人の少女が同じ建物から未来を見つめたとさ。一人は勝利を見た。一人は絶望を見た。
【C-3 博物館・屋上/1日目 夜中】
【ネリネ@SHUFFLE! ON THE STAGE】
【装備:永遠神剣第七位“献身” 登山用ブーツ 双眼鏡】
【所持品1:支給品一式×6 IMI デザートイーグル 10/10+1 IMI デザートイーグル の予備マガジン10 デザートイーグルの予備弾92発
九十七式自動砲 弾数2/7 九十七式自動砲の予備弾100発 S&W M37 エアーウェイト 弾数0/5 コンバットナイフ 出刃包丁@ひぐらしのなく頃に 祭
イングラムM10(9ミリパラベラム弾32/32) イングラムの予備マガジン(9ミリパラベラム弾32発)×8 9ミリパラベラム弾68発
ベネリM3 7/7+1 12ゲージショットシェル127発 永遠神剣第三位“時詠”@永遠のアセリア -この大地の果てで-】
【所持品2:トカレフTT33の予備マガジン10 洋服・アクセサリー・染髪剤いずれも複数、食料品・飲み物多数】
【所持品3:朝倉音夢の生首(左目損失・ラム酒漬け) 朝倉音夢の制服 桜の花びら コントロール室の鍵 ホテル内の見取り図ファイル】
【所持品4:謎ジャム(半分消費)@Kanon、『参加者の術、魔法一覧』、四葉のデイパック】
【所持品5:C120入りのアンプル×8と注射器@ひぐらしのなく頃に、ゴルフクラブ、各種医薬品】
【所持品6:銃火器予備弾セット各100発(クロスボウの予備ボルトのみ残数80/100)、 バナナ(フィリピン産)(2房)】
【状態:肉体的疲労小・魔力消費中、精神的疲労小、腹部に痣(消えかけ)、左腕打撲、右耳に裂傷、左足首に切り傷(いずれも治りかけ)、非常に強い意志】
【思考・行動】
0:現在はトウカと智代(智代については名前知らず)について様子を伺う。
1-1:千影から“時詠”をはじめとする情報を聞き出す為、自分に従属させる方法を探る。
1-2:“時詠”の情報が得られるまでは武器として用いるつもりはない。
2:稟の遺体を持ち帰り、楓や亜沙、他の参加者の最後を忘れぬ為に優勝を目指す。
その途中であった人間は皆殺し(戦い方は一撃離脱・ゲリラ戦中心、出来る限り単独行動している者を狙う) 。
3:ハイリスク覚悟で魔力を一気に回復する為の方法、或いはアイテムを探す
4:千影を魔力の回復源として用いる(当然体の自由は拘束等で奪う)
5:トウカを殺し、楓の仇を討つ
6:純一に音夢の生首を浸したラム酒を飲ませ、最後に音夢の生首を見せつけ殺す
7:つぐみの前で武を殺して、その後つぐみも殺す
8:桜の花びらが気になる
【備考】
現在は髪を黒に染め、黒の髪留めでポニーテールにしています。
私服(ゲーム時の私服に酷似。ただし高級品)に着替えました。(汚れた制服と前の私服はビニールに包んでデイパックの中に)
私服の上からウィンドブレーカーをはおっています。
ネリネの魔法(体育館を吹き飛ばしたやつ)は使用不可能です。
※これはネリネは魔力は大きいけどコントロールは下手なので、 制限の結果使えなくなっただけで他の魔法を使えるキャラの制限とは違う可能性があります。
※永遠神剣第七位“献身”は神剣っていってますが、形は槍です。
※永遠神剣第七位“献身”は制限を受けて、以下のような性能となっています。
永遠神剣の自我は消し去られている。
魔力を送れば送る程、所有者の身体能力を強化する(但し、原作程圧倒的な強化は不可能)。
魔力持ちの敵に突き刺せば、ある程度魔力を奪い取れる。
以下の魔法が使えます。
尚、使える、といってもウインドウィスパー以外は、実際に使った訳では無いので、どの位の強さなのかは後続の書き手に委ねます。
アースプライヤー 回復魔法。単体回復。大地からの暖かな光によって、マナが活性化し傷を癒す。
ウィンドウィスパー 防御魔法。風を身体の周りに纏うことで、僅かな間だけ防御力を高める。
ハーベスト 回復魔法。全体回復。戦闘域そのものを活性化させ、戦う仲間に力を与える。
※古手梨花を要注意人物と判断(容姿のみの情報)
※音夢とつぐみの知り合いに関する情報を知っています。
※音夢の生首はビニール袋へ詰め込みラム酒漬けにした上、ディパックの中に入れてます。
※魔力が極端に消耗する事と、回復にひどく時間がかかる(ネリネの魔力なら完全回復まで数日)という事に気が付きました。
※トウカと、川澄舞(舞に関しては外見の情報のみ)を危険人物と認識しました。
※千影の“時詠”を警戒。ただし“時詠”の能力までは把握していません。
※魔力持ち及び永遠神剣の持ち主を献身で殺せばさらに魔力が回復する仮説を思いつきました。
※ある程度他の永遠神剣の気配を感じ取れます。
※桜の花びらは管理者の一人である魔法の桜のものです。
※見取り図によってホテルの内部構造をかなり熟知しています。
※博物館についても歩き回ったため、最初に比べて内部構造を把握しています。
※回収したディパックは武器を入れたものに丸ごと突っ込んで移動に支障が無いようにしています。
※悠人(外見のみ、名前は知らない)は死んだか重症を負ったと思っています。
【C-3 博物館・地下機械室/1日目 夜中】
【千影@Sister Princess】
【装備:なし】
【所持品:なし】
【状態:現在全裸、ロープにより拘束中、左肩重傷(治療済み)、肉体的疲労中、魔力消費小、精神的疲労極大、咲耶の死に対する深い悲しみ】
【思考・行動】
基本行動方針:襲ってくるものには手加減しない。衛が生きている以上はゲームに乗らない。
0:拘束中。拉致されたことと“時詠”を奪われたことで精神的ショック大。
1:咲耶くん、そして悠人くん君まで……
2:鷹野の発言に強い興味。
3:永遠神剣に興味
4:北川潤、月宮あゆ、朝倉純一の捜索
5:魔力を持つ人間とコンタクトを取りたい
6:『時詠』を使って首輪が外せないか考える
7:もう一度舞に会いたい
※千影は『時詠』により以下のスキルが使用可能です。 但し魔力・体力の双方を消耗します。
タイムコンポーズ:最大効果を発揮する行動を選択して未来を再構成する。
タイムアクセラレイト…自分自身の時間を加速する。他のスキルの運用は現時点では未知数です。 詳しくはwiki参照。
またエターナル化は何らかの力によって妨害されています。
※未来視は時詠の力ではありません。
※四葉とオボロの事は衛と悠人には話してません(衛には話すつもりは無い)
※千影は原作義妹エンド後から参戦。
※ハクオロ、トウカ、悠人を強く信頼。
※悠人は死んだと思っています。
【C-3 博物館周辺/1日目 夜中】
【トウカ@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄】
【装備:舞の剣@Kanon(少々の刃こぼれ有り)】
【所持品:支給品一式】
【状態:全身に軽い打撲、胸に中度の打撲、右脇腹軽傷(応急処置済み)、精神的疲労大、中度の肉体的疲労、若干視力低下中(催涙スプレーの影響)】
【思考・行動】
基本方針:殺し合いはしないが、襲ってくる者は容赦せず斬る。
0:博物館に入るかどうかは次の書き手さん任せ。
1:ハクオロと千影、千影の姉妹達を探し出して守る。
2:ネリネを討つ。
3:次に蟹沢きぬと出会ったら真偽を問いただす。
【備考】
※『声真似』の技能を持った殺人鬼がいると考えています。
※蟹沢きぬが殺し合いに乗っていると疑っていますが、疑惑は薄れています。
※ハクオロは無実だと判断しました。
※ネリネに監視されていること、智代に尾行されていることに気づいていません。
【坂上智代@CLANNAD】
【装備:永遠神剣第七位『存在』@永遠のアセリア-この大地の果てで-】
【所持品:支給品一式×3、サバイバルナイフ、トランシーバー×2、多機能ボイスレコーダー(ラジオ付き)、十徳工具@うたわれるもの、スタンガン、
催涙スプレー(残り2分の1)、ホログラムペンダント@Ever17 -the out of infinity-】
【状態:疲労大、血塗れ、重度の精神的疲労、左胸に軽度の打撲、右肩刺し傷(動かすと激しく痛む・応急処置済み)、両腕共に筋肉痛、
左耳朶損失、全ての参加者に対する強い殺意】
【思考・行動】
基本方針:全ての参加者を殺害する。
0:トウカを尾行し、隙あらば襲撃し殺害する。
1:何としてでもハクオロを殺害する。
2:トウカも殺害する。
3:ハクオロに組し得る者、即ち全ての参加者を殺害する。
【備考】
※トウカを襲撃するかは次の書き手さんまかせ。
※トウカの後方100メートル辺りから追尾中。
※ネリネに監視されていることに気づいていません。
※ネリネと舞を危険人物として認識しています。
※『声真似』の技能を持った殺人鬼がいると考えています。
※トウカからトゥスクルとハクオロの人となりについてを聞いています。
※永遠神剣第七位"存在"
アセリア・ブルースピリットが元の持ち主。両刃の大剣。
魔力を持つ者は水の力を行使できる。
ウォーターシールド…水の壁を作り出し、敵の攻撃を受け止める。
フローズンアーマー…周囲の温度を急激に低下させ、水分を凍結させ鎧とする。
他のスキルの運用については不明。
|155:[[救心少女夢想(後編) ]]|投下順に読む|157:[[決断の代償 ]]|
|155:[[救心少女夢想(後編) ]]|時系列順に読む|158:[[「塔-THE TOWER」「正義-JUSTICE-」(前編)]]|
|152:[[炎の魔法少女(後編) ]]|ネリネ|Don't be afraid./散りゆくものへの子守唄(前編)|
|152:[[炎の魔法少女(後編) ]]|千影|Don't be afraid./散りゆくものへの子守唄(前編)|
|150:[[憎しみの果てに ]]|トウカ|Don't be afraid./散りゆくものへの子守唄(前編)|
|150:[[憎しみの果てに ]]|坂上智代|Don't be afraid./散りゆくものへの子守唄(前編)|
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**破滅の詩。
――――二人の囚人が鉄格子の窓から外を眺めたとさ。一人は泥を見た。一人は星を見た。
フレデリック・ラングブリッジ 『不滅の詩』
「う……ここは……?」
森の中で起きた惨劇からどれぐらいの時間が経過したのか。
ネリネによって拉致された千影が目覚めた場所。
そこは暗い闇の中だった。
(そうだ……。私はホテルを目指そうとして背後から襲われて……気を失ったん
だ……)
直前の出来事を千影は思い出す。
放送で咲耶の死を知った後、悠人と共に休んでいたところへ銃声が響いたのが始まり。
悠人は偵察に向かう前「ここで待って19時半にまで戻らなかったら先にホテルへ行け」と言い残した。
それが、彼と交わした最後の言葉になるとは思いもしなかった……。
悠人の言ったとおりに帰りを待ち続けた結果、襲撃してきた参加者の罠にはめられた彼は
炎の海に呑まれ、そして……帰らなかった。
その後、炎の海の前で愕然とした千影は単身ホテルに向かおうとして立ち上がった時、
背後から何者かに襲われ、麻酔をかがされて気を失った。
当たり前だけど、それからのことは何も覚えていない……。
「なんで……こんなことになってしまったんだろうね…………わからないよ……咲耶くん……悠人くん……」
不帰の人となった二人の名を呟く千影。
自分は放送の時、神社にいるのは危険という予感からあえて西へ移動して隣のエリアへ入った。
それがあの時点での最良の選択と思えたから、少しでも不吉な予感から逃れたかったから。
だけど、放送で咲耶が死んだ事を知って衝撃を受け倒れそうになった。
最初は咲耶の死が自分の中で膨れ上がってた不吉な予感と考えていたけどそうではなかった。
その後に起こった悠人の死、あれはあまりにも衝撃的だった。
きっとあの時感じた不吉な予感はこの全てだったに違いないのだろう……。
そうしている間にも目が闇に慣れて周囲の様子が見えてくる。
床はコンクリート、闇の中で機械類が整然と配置されている様子から、ここは地下室の様に思えた。
「どう見ても……ホテルじゃないね……。とりあえず……ここを出ないと……うあっ!?」
その場から動こうとした千影は、ようやく体の自由がきかないことを知る。
体がロープか何かで縛られ、飼い犬みたいに壁か柱につながれていた。
解こうにも後ろ手にきつく縛られていて自分の力ではどうにもならない。
足についても同じで、足首のところで縛られ歩く事はおろか満足に立つ事もできなかった。
だが、仮にこの拘束が解けても千影が逃げる事は難しい。
なぜなら今の千影は何もまとわぬ生まれたままの姿、すなわち全裸なのだから。
(私の服を持っていくなんて……酷いことをするね……。だけど……この肩の傷は……どういうことかな……?)
神社でネリネによって負わされた左肩を見ると、そこに巻かれている包帯は新しい物に換えられていた。
襲撃者がゲームに乗っているならば、とっくにあの場で殺している筈。
なのに、自分を全裸にしながら包帯を巻きなおすとはどういうことだろうか。
千影が疑問に思っていると、不意に正面にある扉が開く。
扉は閉じられ、スイッチが押される音と共に部屋の照明である蛍光灯が点灯し、
部屋の状況と入ってきた者の姿が明らかになる。
入ってきた人物の姿を足元から上へと見上げた千影は、その顔を見たとき思わず息を呑む。
一瞬置いて千影は、できることなら遭遇したくなかったある人物の名を口にしていた。
「ネリネ……くん……?」
肩からディパックを提げ、手には槍を握り締めた黒髪の少女がそこにいた。
千影は思う。
彼女は本当にネリネか?彼女の髪の色は青かったはず。
だけどあの長い耳、一度見たら忘れない形の耳は間違いなく彼女と同じだし、手にしている
槍も彼女が持っていた永遠神剣と同じものだ。
なにより、ゲームに乗った彼女が自分を手当てした理由からしてわからない。
千影の頭の中でそんなことがグルグル回っていた時、少女が口を開いた。
「ええ、またお会いできましたね。千影さん」
その声を聞いて千影は自分の予想、それも最悪のものが当たってしまったと思っ
た。
おそらく髪が黒いのは染めたのだろう。
だが、それ以上になぜ自分を一思いに殺さず拉致という手段で連れ去ったのか、
ここはどこなのか等、知りたいことはいくつもあった。
だから、千影は再び口を開きネリネに質問する事にした。
「教えてくれないか……。どうしてあの時……私を殺さず連れ去ったんだい……?それに……ここは一体どこなのかな……?」
「気を失っていた千影さんには分からないことだらけでしょうね。いいでしょう。
私が順を追って教えてあげましょう」
千影の弱弱しい姿を見たネリネはその姿に満足したのか、静かに笑ってみせると口を開いた。
「まず、ここは博物館です。千影さんのいる場所は地下室の一番奥にある機械室……」
自分が閉じ込められた場所でもあると、ネリネは言わなかった。
それは不名誉だからではなく、単に千影の質問の事項に含まれてなかっただけのこと。
「私を……さらった理由は……なんだい?」
「簡単なこと、千影さんにはこれから私の魔力を回復する為の『器』になっていただこうと思いましてね」
「それは……私の魔力を奪い取るということかい……?ならばあの時……永遠神剣で一突きにしていれば……なぜ?」
千影にはこの点が分からなかった。
神社でネリネの槍が刺さったとき、魔力が吸収されたことから永遠神剣で攻撃されれば魔力を奪われるのは確かだった。
今回も魔力が目的だったならば、気を失っている間に永遠神剣で一突きにすれば魔力を全て奪い取れたはずなのに。
「まだお分かりになりませんか?私は『器』と言いました。要するにこれからの千影さんは私に必要な魔力を供給し続けていただこうと思うのです」
千影の疑問に対して、ネリネはストレートに返した。
要するに「自分の道具として魔力を供給し続けろ」ということだ。
何も魔力を得るのに魔力持ちの人間を殺す必要は何処にも無い。
だったら、生かしたまま従属させ魔力の供給源にしてしまえばいいだけ。
生きている以上、魔力は確実に回復するからだ。
千影の魔力がどれぐらいの時間で回復するのか分からないが、魔力の絶対量が自分より
少ない分回復も早いのではないかとネリネは推測していた。
魔力の量が少なかったら回数で補えばいい――
単純だが、ネリネはこの様に考えていたのである。
「私は……、ネリネくんの物には……ならないよ……。魔力を……どれだけ奪われてもね……」
ネリネの言葉に千影は当然の如く反発する。
だが、ここまで姉妹を含めて多くの知り合いが死に、少し前にも悠人の死を目の当たりにした事から
千影の精神はボロボロもいいところで、声のトーンも神社で会った時と比べて明らかに落ちていた。
そんな千影の様子を見たネリネは、反発された事に腹を立てるどころか嬉しそうに笑ってみせる。
「そうやって今のうちにせいぜい強がってられることですね。そのうち嫌でも私
に従いたくなりますから」
確かにネリネは笑っていたが、目は笑っていなかった。
彼女は、千影に一度永遠神剣を用いた驚くべき瞬間移動で攻撃を回避された経験から、
この期に及んで反抗する千影を警戒していた。
いくらあの短剣型の永遠神剣が自分の手元にあるとはいえど、反抗するからにはまだ何か
隠し玉があると思って警戒した方がいい。
だが、色々とやりたい事もある。
休憩して体力と魔力を少しでも回復し、次の戦いに備える必要もあるからだ。
そう思ったネリネは千影に背を向けると扉の方に向かう。
だが、途中で振り返ったネリネは千影に向かって口を開いた。
「また千影さんを暗闇の中で一人にしますけど、私もやりたい事がありますから我慢してくださいね。それから」
次にネリネは自分のディパックからある物を取り出す。
その物体を見た千影は、衝撃を受けた。
「次にここへ来るときには、この永遠神剣についても詳しく教えていただきたいものですね」
ネリネの手に握られていたのは“時詠”だった。
なんということだろうか。恐らくこの島において最上位に位置するであろう永遠神剣が
最悪の参加者の手に渡ってしまったのだ。
(大変なことになったね……よりによって“時詠”をネリネくんに奪われるなんて……)
普通なら喜びいさんで永遠神剣を使いそうにも思えるが、ネリネはやはり警戒しているのか
“時詠”をまたディパックにしまいこんだ。
地下室の照明はスイッチを切られ、扉が閉じられる。
再び室内を暗闇が支配した……。
ここで、話は戦闘後から博物館に到着するまでの時間帯にさかのぼる。
悠人は自分の仕掛けた火攻めで死亡ないしひん死の重症をおったと判断したネリネは、
気絶した千影を担ぎ上げ“献身”の力で身体能力を増幅させると、北へ向かって一気に
走りぬいた。
博物館前に到着したネリネは千影を近くの植え込みに隠すと周囲を歩き回り、誰もいないのを
確認して千影を担ぎ敷地内へと踏み込んだのだ。
館内は昼間にあの男女と戦ったとき同様真っ暗で唯一1階の事務室だけ明かりが点いていた。
最初はそこに誰かいると思ったネリネだったが、結局そこは無人であった。
そこから荷造り用のロープを入手したネリネは地下室へ向かい、自分が閉じ込められた
機械室へ千影を放り込み、全裸にした上でロープを用いて締め上げると今度は館内の探索にうつった。
2階3階と探索し、誰もいない事を確認したネリネだがここに自分たち、ここで殺した
朝倉音夢とあの男女以外の人間がいたという痕跡は発見できた。
それは、いまだ1階の展示ホールに転がっている音夢の首無し死体。
確か音夢の首を切り取った時、首輪はそのままにしていたはずだ。
だが、死体を見たところ首輪はなかった。
大方、誰かが持ち去ったのだろう。
何の目的で持ち去ったのかは知らないが、そんな事はネリネにとってどうでもよかった。
そして、ホール内にポツンと置かれた箱。
最初はそれが何なのかわからず、警戒していたが見たところ爆弾でもなさそうであった為、
ネリネは思い切って回収してみた。
箱を開いてみると中に入っていたのは銃の弾丸だった。
ネリネはすぐに銃が無いかと周囲を見渡したが銃本体はなかった。
(そういえば、森の中で弾の無い銃を拾いましたね。もしかしてこれがあの銃の弾でしょうか?)
ネリネの発想はかなり単純なものだったが、実はこれがまたドンピシャだった。
とりあえず、弾丸の入った箱をディパックにしまいこんだネリネは、その後事務室と
つながっている給湯室のシンクで髪を染めるオレンジの染髪剤を洗い落とし、新たに
黒の染髪剤で染め直した。
移動中も思ったが、やはりこれからも暗闇での戦いやゲリラ戦を中心にする以上は
地の色である青でも目立つ。
だから今後、ネリネは余程のことが無い以上は髪の色を黒や茶といった目立ちにくい色で
通すつもりだった。
亜沙への哀悼を示す上で一度は緑に髪を染めたいとも思ったが、それは別の機会にしようと
決めたネリネは、小休止のあと千影のいる地下室へ向かったのである。
再び、時間は現在に戻る。
千影と少しだけ話したネリネは、地下室を出て博物館の屋上に上がり、入手した
千影の支給品の一つである銃火器予備弾セットと自分のディパックから銃器を取り出し、
弾薬の装填を行なっていた。
(これで当分弾に困る事はありませんね)
苦労しながらも、デザートイーグルのマガジンに弾を装填し終えたネリネは、先ほどより
多少慣れた動作で、9ミリパラベラム弾をホテルで撃ち尽くしたイングラムの空マガジンへと
装填する。
続いてに、あの戦闘に先立って森の中で回収したベネリM3にショットシェルを装填し、
作業は終わった。
どの銃にどの弾が合うのかを探すのが一番の苦労だったが、そこは予備マガジンに入っている
弾丸を見ながら予備弾薬を見比べて発見し、その弾だけが入っているケースを取り出すことで
解決した。
最後のベネリについては最初から弾が入ってなかったが、館内で回収した弾丸が合うのではと
考えて装填したところこれがぴったりだった為、装填を終えた後に予備弾セットから同じ弾の
入ったケースを取り出し、先の2丁と同様に銃器を入れるディパックへ収めた。
残る2丁の銃、九七式自動砲とS&W M37 エアーウェイトについては装填を後回しにしたが、
これは、今後どの銃の使用頻度が高くなるか考えた結果後回しにしただけである。
武器の準備は確実に整いつつあった。
これからどうするか。
ネリネは残った二丁の一つ、九七式自動砲へ予備弾丸を装填しながら考える。
予備弾丸が手に入ったことで弾薬の不足に悩む事はなくなった。
もっとも、何が起こるか分からない以上大事に使うに越したことはない。
とりあえずは、千影から手に入れた永遠神剣について本人に聞く必要があるだろう。
もしかつての自分ならば後先を考えずに使用していただろうが、ここでは一つの小さな
ミスが後々大きな失策につながる恐れがある。
この先も一人で戦い続けることを考えれば焦りは禁物。
その為にも千影から詳しい話を聞き出す必要がある。
(ですが、あの態度では素直に話してくれそうにもないですね)
地下室から出る前に、千影が自分へ反抗する言葉を口にしたことからそれは明らかだ。
簡単な尋問では口を割らないだろう。
“献身”で手足を切り裂いたり銃で撃ち抜くという手もあるが、彼女は貴重な魔力の供給源だ。
今後も連れ移動する際に担いでいてはこちらの体力がもたない。
だが、今のままでは隙を見て逃げられる可能性も十分ある。
(そのために服を脱がしたのですが、それでも逃げるときは逃げるでしょうね……)
はてさて、どうするべきか。
暫く考えたネリネはある方法を思いついた。
ならば、心を壊すというのはどうだろう――
単純に言えば、千影の眼前で彼女の親しい友人や知り合いを拷問にかけ、ジワジワと
嬲り殺しにするのだ。
目の前で自分の知り合いが殺されるというのを見せつけられたらあのクールな千影も
たまらず悲鳴を上げるだろう。
あとは頃合いを見て話を聞き出せばいいという算段だ。
(ですけど、千影さんの知り合いを今から捜すのは骨が折れますね……)
この場合、これが最大のネックだった。
やはり、拷問にかけるべきかとネリネは思いながら弾薬の装填を中断し、屋上から
双眼鏡で周囲の状況を伺う。
その時、ネリネは博物館に近づいてくる二つの人影を見つけた。
見つからぬよう、屋上の床に伏せたネリネはそのまま目を凝らして人影の正体を見極める。
(……あれは、確かトウカさん……。そう、楓さんの仇……)
双眼鏡の向こう側に見えたのは自分の仇敵とも言うべきトウカ、そしてその100メートルほど
後ろを歩く長髪の女性――坂上智代――だった。
(どうやらあの後ろにいる女性がトウカさんの後を付けているみたいですね)
様子からして、二人が仲間という可能性は低い。
むしろ、長髪の女性がトウカを尾行し、隙をうかがっている様に見える。
あの二人は恐らく敵対しているというのがネリネの判断だった。
(二人ともこちらに気付いてないみたいですね……そういえばトウカさんは……)
そう、トウカは神社で千影を逃がす為に一人残って自分と楓に戦いを挑んできた。
彼女と千影がそれなりに強い信頼関係で結ばれている可能性は極めて高い。
トウカを捕らえられれば、先ほど考えた千影に対する精神的拷問という策も不可能ではない。
だが、神社での戦いぶりを考えればこれだけの装備があっても苦しいだろうとネリネは思う。
トウカは自分と楓による攻撃、剣に対して槍と拳銃という装備の不利を覆して楓を倒した
人物であり、ネリネ自身も“献身”による身体能力の強化をはかったところで勝てる確率は
五分五分と考えていたほどだ。
ここで奇襲するべきか、それとも機をうかがうか……。
これまでの戦いは万全の準備を整えて攻撃を仕掛けたが、今回は必ずしも万全とはいえない。
何より、このままどちらかに博物館へ入られたらそれはそれで困りものだ。
(とりあえずは、様子を伺いましょう。それからでも遅くはありません)
それに、あの長髪の女性がトウカを狙っている可能性も十分にある。
もし、二人が戦闘に突入し血みどろの殺し合いを演じるなら頃合を見て介入するのもありだろう。
そういうことを考えながらネリネは、一旦ここは様子見にする事とした。
この時点でトウカと智代は自分たちがネリネによって監視されているのに気づいていない。
トウカは春原陽平を切り殺し、智代と袂を分かった事によりどこか喪失感を味わいながらも
ハクオロや千影を探していた事に加えてここまでの疲労もあって警戒感が鈍っていたし、
智代は智代で、ハクオロをはじめとするすべての参加者に対する殺意が異様に膨れ上がった
状態でようやく発見したトウカだけを見てたことにより「自分が第三者に見られている」という
考えにいたらなかった。
二人にすれば、最悪のタイミングとしか言い様がないだろう。
そんな二人を双眼鏡で見ながら、ネリネは一瞬夜空を見上げた。
月と星の輝く夜空を。
その中に一際輝く星を見つめながら思う。
あれはきっと自分を勝利に導く星に違いないと。
それは、同時刻に地下室の千影が漆黒の闇の中で絶望に浸っていたのとあまりにも
好対照であった。
――――二人の少女が同じ建物から未来を見つめたとさ。一人は勝利を見た。一人は絶望を見た。
【C-3 博物館・屋上/1日目 夜中】
【ネリネ@SHUFFLE! ON THE STAGE】
【装備:永遠神剣第七位“献身” 登山用ブーツ 双眼鏡】
【所持品1:支給品一式×6 IMI デザートイーグル 10/10+1 IMI デザートイーグル の予備マガジン10 デザートイーグルの予備弾92発
九十七式自動砲 弾数2/7 九十七式自動砲の予備弾100発 S&W M37 エアーウェイト 弾数0/5 コンバットナイフ 出刃包丁@ひぐらしのなく頃に 祭
イングラムM10(9ミリパラベラム弾32/32) イングラムの予備マガジン(9ミリパラベラム弾32発)×8 9ミリパラベラム弾68発
ベネリM3 7/7+1 12ゲージショットシェル127発 永遠神剣第三位“時詠”@永遠のアセリア -この大地の果てで-】
【所持品2:トカレフTT33の予備マガジン10 洋服・アクセサリー・染髪剤いずれも複数、食料品・飲み物多数】
【所持品3:朝倉音夢の生首(左目損失・ラム酒漬け) 朝倉音夢の制服 桜の花びら コントロール室の鍵 ホテル内の見取り図ファイル】
【所持品4:謎ジャム(半分消費)@Kanon、『参加者の術、魔法一覧』、四葉のデイパック】
【所持品5:C120入りのアンプル×8と注射器@ひぐらしのなく頃に、ゴルフクラブ、各種医薬品】
【所持品6:銃火器予備弾セット各100発(クロスボウの予備ボルトのみ残数80/100)、 バナナ(フィリピン産)(2房)】
【状態:肉体的疲労小・魔力消費中、精神的疲労小、腹部に痣(消えかけ)、左腕打撲、右耳に裂傷、左足首に切り傷(いずれも治りかけ)、非常に強い意志】
【思考・行動】
0:現在はトウカと智代(智代については名前知らず)について様子を伺う。
1-1:千影から“時詠”をはじめとする情報を聞き出す為、自分に従属させる方法を探る。
1-2:“時詠”の情報が得られるまでは武器として用いるつもりはない。
2:稟の遺体を持ち帰り、楓や亜沙、他の参加者の最後を忘れぬ為に優勝を目指す。
その途中であった人間は皆殺し(戦い方は一撃離脱・ゲリラ戦中心、出来る限り単独行動している者を狙う) 。
3:ハイリスク覚悟で魔力を一気に回復する為の方法、或いはアイテムを探す
4:千影を魔力の回復源として用いる(当然体の自由は拘束等で奪う)
5:トウカを殺し、楓の仇を討つ
6:純一に音夢の生首を浸したラム酒を飲ませ、最後に音夢の生首を見せつけ殺す
7:つぐみの前で武を殺して、その後つぐみも殺す
8:桜の花びらが気になる
【備考】
現在は髪を黒に染め、黒の髪留めでポニーテールにしています。
私服(ゲーム時の私服に酷似。ただし高級品)に着替えました。(汚れた制服と前の私服はビニールに包んでデイパックの中に)
私服の上からウィンドブレーカーをはおっています。
ネリネの魔法(体育館を吹き飛ばしたやつ)は使用不可能です。
※これはネリネは魔力は大きいけどコントロールは下手なので、 制限の結果使えなくなっただけで他の魔法を使えるキャラの制限とは違う可能性があります。
※永遠神剣第七位“献身”は神剣っていってますが、形は槍です。
※永遠神剣第七位“献身”は制限を受けて、以下のような性能となっています。
永遠神剣の自我は消し去られている。
魔力を送れば送る程、所有者の身体能力を強化する(但し、原作程圧倒的な強化は不可能)。
魔力持ちの敵に突き刺せば、ある程度魔力を奪い取れる。
以下の魔法が使えます。
尚、使える、といってもウインドウィスパー以外は、実際に使った訳では無いので、どの位の強さなのかは後続の書き手に委ねます。
アースプライヤー 回復魔法。単体回復。大地からの暖かな光によって、マナが活性化し傷を癒す。
ウィンドウィスパー 防御魔法。風を身体の周りに纏うことで、僅かな間だけ防御力を高める。
ハーベスト 回復魔法。全体回復。戦闘域そのものを活性化させ、戦う仲間に力を与える。
※古手梨花を要注意人物と判断(容姿のみの情報)
※音夢とつぐみの知り合いに関する情報を知っています。
※音夢の生首はビニール袋へ詰め込みラム酒漬けにした上、ディパックの中に入れてます。
※魔力が極端に消耗する事と、回復にひどく時間がかかる(ネリネの魔力なら完全回復まで数日)という事に気が付きました。
※トウカと、川澄舞(舞に関しては外見の情報のみ)を危険人物と認識しました。
※千影の“時詠”を警戒。ただし“時詠”の能力までは把握していません。
※魔力持ち及び永遠神剣の持ち主を献身で殺せばさらに魔力が回復する仮説を思いつきました。
※ある程度他の永遠神剣の気配を感じ取れます。
※桜の花びらは管理者の一人である魔法の桜のものです。
※見取り図によってホテルの内部構造をかなり熟知しています。
※博物館についても歩き回ったため、最初に比べて内部構造を把握しています。
※回収したディパックは武器を入れたものに丸ごと突っ込んで移動に支障が無いようにしています。
※悠人(外見のみ、名前は知らない)は死んだか重症を負ったと思っています。
【C-3 博物館・地下機械室/1日目 夜中】
【千影@Sister Princess】
【装備:なし】
【所持品:なし】
【状態:現在全裸、ロープにより拘束中、左肩重傷(治療済み)、肉体的疲労中、魔力消費小、精神的疲労極大、咲耶の死に対する深い悲しみ】
【思考・行動】
基本行動方針:襲ってくるものには手加減しない。衛が生きている以上はゲームに乗らない。
0:拘束中。拉致されたことと“時詠”を奪われたことで精神的ショック大。
1:咲耶くん、そして悠人くん君まで……
2:鷹野の発言に強い興味。
3:永遠神剣に興味
4:北川潤、月宮あゆ、朝倉純一の捜索
5:魔力を持つ人間とコンタクトを取りたい
6:『時詠』を使って首輪が外せないか考える
7:もう一度舞に会いたい
※千影は『時詠』により以下のスキルが使用可能です。 但し魔力・体力の双方を消耗します。
タイムコンポーズ:最大効果を発揮する行動を選択して未来を再構成する。
タイムアクセラレイト…自分自身の時間を加速する。他のスキルの運用は現時点では未知数です。 詳しくはwiki参照。
またエターナル化は何らかの力によって妨害されています。
※未来視は時詠の力ではありません。
※四葉とオボロの事は衛と悠人には話してません(衛には話すつもりは無い)
※千影は原作義妹エンド後から参戦。
※ハクオロ、トウカ、悠人を強く信頼。
※悠人は死んだと思っています。
【C-3 博物館周辺/1日目 夜中】
【トウカ@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄】
【装備:舞の剣@Kanon(少々の刃こぼれ有り)】
【所持品:支給品一式】
【状態:全身に軽い打撲、胸に中度の打撲、右脇腹軽傷(応急処置済み)、精神的疲労大、中度の肉体的疲労、若干視力低下中(催涙スプレーの影響)】
【思考・行動】
基本方針:殺し合いはしないが、襲ってくる者は容赦せず斬る。
0:博物館に入るかどうかは次の書き手さん任せ。
1:ハクオロと千影、千影の姉妹達を探し出して守る。
2:ネリネを討つ。
3:次に蟹沢きぬと出会ったら真偽を問いただす。
【備考】
※『声真似』の技能を持った殺人鬼がいると考えています。
※蟹沢きぬが殺し合いに乗っていると疑っていますが、疑惑は薄れています。
※ハクオロは無実だと判断しました。
※ネリネに監視されていること、智代に尾行されていることに気づいていません。
【坂上智代@CLANNAD】
【装備:永遠神剣第七位『存在』@永遠のアセリア-この大地の果てで-】
【所持品:支給品一式×3、サバイバルナイフ、トランシーバー×2、多機能ボイスレコーダー(ラジオ付き)、十徳工具@うたわれるもの、スタンガン、
催涙スプレー(残り2分の1)、ホログラムペンダント@Ever17 -the out of infinity-】
【状態:疲労大、血塗れ、重度の精神的疲労、左胸に軽度の打撲、右肩刺し傷(動かすと激しく痛む・応急処置済み)、両腕共に筋肉痛、
左耳朶損失、全ての参加者に対する強い殺意】
【思考・行動】
基本方針:全ての参加者を殺害する。
0:トウカを尾行し、隙あらば襲撃し殺害する。
1:何としてでもハクオロを殺害する。
2:トウカも殺害する。
3:ハクオロに組し得る者、即ち全ての参加者を殺害する。
【備考】
※トウカを襲撃するかは次の書き手さんまかせ。
※トウカの後方100メートル辺りから追尾中。
※ネリネに監視されていることに気づいていません。
※ネリネと舞を危険人物として認識しています。
※『声真似』の技能を持った殺人鬼がいると考えています。
※トウカからトゥスクルとハクオロの人となりについてを聞いています。
※永遠神剣第七位"存在"
アセリア・ブルースピリットが元の持ち主。両刃の大剣。
魔力を持つ者は水の力を行使できる。
ウォーターシールド…水の壁を作り出し、敵の攻撃を受け止める。
フローズンアーマー…周囲の温度を急激に低下させ、水分を凍結させ鎧とする。
他のスキルの運用については不明。
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