「第三回定時放送」(2007/12/17 (月) 19:00:42) の最新版変更点
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**第三回定時放送 ◆4JreXf579k
「参加者の皆さん、定時放送の時間が来たわ。
この時間まで生き残れた人は今日という日の夕日をしっかりと目に焼き付けておくことをお勧めするわ。
明日のこの時間まで生きていられる保証なんてないのだから。
今日は100点満点をつけたくなるような素晴らしい夕日よ。
冥土の土産には丁度良いんじゃないかしら?
……おしゃべりはこれくらいにして本題に入ろうかしら。
皆さんも待ち望んでいたでしょう?
それでは始めましょう、今回も私が担当させてもらうわ。
くすくすくす……そろそろ私の声も聞き飽きてきた頃かもしれないけど、今回は我慢してね。
もう少ししたら別の人間にも放送させるから……。
まず禁止エリアの発表は二十時からD-4、二十二時からA-3。
ごめんなさいね、私達も主要な建物のあるエリアはあまり禁止にしたくないの。
けれど、恥ずかしがりやなウサギさんたちが隠れたままでいる事が出来ないように今回の処置に踏み切らせてもらったわ。
それに、あまり一箇所に人が集まられても困るしね。
楽しくないじゃない? そんなの。
血で血を洗うのがこのゲームの本質なのよ。
今回指定された禁止エリアは、貴方達が参加させられたこのゲームの主旨を忘れないように釘を刺す意味もあることを教えておくわ。
じゃあ、次は死亡者の発表ね。
大丈夫、今回は死人も少ないから貴方の大切な人が死んだ確率も低いわ。
もし、大切な人が死んだりしたら……その時は運がなかったと素直に諦めましょう。
――第二回放送から今までの六時間で死亡したものは
神尾観鈴
鳴海孝之
涼宮茜
咲耶
土見稟
時雨亜沙
赤坂衛
以上、七名よ。
まあ参加者も半分を切ったし、ペースが落ちるのは無理がないわね。
それでも私達の予想を遥かに上回るペースなのだから、貴方達は間違いなく人殺しの才能があるわよ。
まだゲーム開始から18時間しか経ってないのにもう半分以下なんだから……。
この様子では明日には全てが終わるかもしれないわね。
大切な人を殺されたそこの貴方、その気持ちを忘れずにいつまでも大切になさい。
そして憎みなさい。 貴方の大切な人を殺した人物を。
その気持ちは必ず貴方を動かす原動力となるわ。
憎しみほど生きる力になる物は無いのよ。
それじゃあ、次の放送は六時間後よ。
この六時間を生き残れば貴方達はめでたくこのゲームが始まって24時間生き抜いたことになるわ。
貴方達に神の祝福がありますように……」
いつものように放送を終えると鷹野はマイクを置いてメインモニターに視線を移した。
放送を聞き終えた参加者の悲しみと怒りの声がモニターとスピーカーを通してリアルタイムでこの司令部全体に伝わってくる。
モニターを見ていた鷹野の顔に浮かんだ表情、それは悪魔のような、いや、悪魔でさえゾッとするような笑みであった。
こんな冷酷な表情を出来る人間がこの世にいるのか?
このような非現実的な行為に手を貸している自分は一体何をしているのだろうか?
そばにいた一人のオペレーターは自問せずにはいられない。
自分の人生の半分も生きてない幼い子らが命を散らせて行く光景は目の毒というレベルではない。
才気溢れる若人達はなにか何か特別な罪を犯したわけでもないのに、このような殺し合いに選択肢も無く参加せられたのだ。
酒の味も、徒に過ぎていく時間を楽しむことも知らない子供らの口から発せられる生への渇望と助けを求める声に、男は応えてやる術を持ってない。
モニターに映し出されるのまだ成人していない子供たちの命の炎が燃え尽きる瞬間。
スピーカーに入ってくる音声は断末魔の叫び。
その協奏曲を男は黙って見続けることしか出来ないのである。
頭を抱えて今一度自分が何をやっているのかを考える。
そんな男の苦悩する様子を見て、鷹野は声をかけた。
「くすくすくす……貴方もあそこにいる人たちのように割り切ればいいのに」
そういって鷹野はこの司令部の一角に集まっている集団を指差した。
メインモニターの前に集まった彼らは映画を見るかのような目つきで殺戮劇を楽しんでいる。
参加者が半分になったら、その分参加者の監視や行動ログの把握などやる仕事も半分になる。
この司令部にも自然と余裕が生まれ、メインモニターの前はちょっとした映画館のように人を集めていた。
「おお~すげぇ! フィクションとは一味も二味も違うぜ!」
「やっぱリアリティが半端じゃないよな!」
「お前誰に賭けた? 俺童貞」
「いや、童貞は見ていて面白いけど優勝は無理だろ」
この殺し合いを、自分には一切関係ないことだと割り切り楽しむことにした人物。
誰が優勝するかお金を賭けている人物。
彼らは純粋にこの殺し合いを楽しんでた。
だが、男はそんな気分には到底なれそうになかった。
「……残念ながら割り切れそうにないです」
「そう、残念ね」
残念だと言う割にはちっとも残念そうには聞こえない言い方だ。
男との会話に興味を失ったのか鷹野は再びメインモニターの方へ視線を戻す。
今度は悪魔のような笑みではなく、天使のような恍惚とした表情を浮かべていた。
その表情を見てオペレーターの男は、ああ、やはりこの女は人間ではないと思うのだった。
残り30人。
この殺し合いの折り返し地点に、とうとうたどり着いてしまった。
鷹野三四の計画は未だ滞りなく進行している。
【残り30人】
|145:[[心の瑕、見えないもの]]|投下順に読む|147:[[一ノ瀬コトミの激走]]|
|145:[[心の瑕、見えないもの]]|時系列順に読む|147:[[一ノ瀬コトミの激走]]|
|113:[[第二回定時放送]]|鷹野三四|158:[[「塔-THE TOWER」「正義-JUSTICE-」(前編)]]|
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**第三回定時放送 ◆4JreXf579k
「参加者の皆さん、定時放送の時間が来たわ。
この時間まで生き残れた人は今日という日の夕日をしっかりと目に焼き付けておくことをお勧めするわ。
明日のこの時間まで生きていられる保証なんてないのだから。
今日は100点満点をつけたくなるような素晴らしい夕日よ。
冥土の土産には丁度良いんじゃないかしら?
……おしゃべりはこれくらいにして本題に入ろうかしら。
皆さんも待ち望んでいたでしょう?
それでは始めましょう、今回も私が担当させてもらうわ。
くすくすくす……そろそろ私の声も聞き飽きてきた頃かもしれないけど、今回は我慢してね。
もう少ししたら別の人間にも放送させるから……。
まず禁止エリアの発表は二十時からD-4、二十二時からA-3。
ごめんなさいね、私達も主要な建物のあるエリアはあまり禁止にしたくないの。
けれど、恥ずかしがりやなウサギさんたちが隠れたままでいる事が出来ないように今回の処置に踏み切らせてもらったわ。
それに、あまり一箇所に人が集まられても困るしね。
楽しくないじゃない? そんなの。
血で血を洗うのがこのゲームの本質なのよ。
今回指定された禁止エリアは、貴方達が参加させられたこのゲームの主旨を忘れないように釘を刺す意味もあることを教えておくわ。
じゃあ、次は死亡者の発表ね。
大丈夫、今回は死人も少ないから貴方の大切な人が死んだ確率も低いわ。
もし、大切な人が死んだりしたら……その時は運がなかったと素直に諦めましょう。
――第二回放送から今までの六時間で死亡したものは
神尾観鈴
鳴海孝之
涼宮茜
咲耶
土見稟
時雨亜沙
赤坂衛
以上、七名よ。
まあ参加者も半分を切ったし、ペースが落ちるのは無理がないわね。
それでも私達の予想を遥かに上回るペースなのだから、貴方達は間違いなく人殺しの才能があるわよ。
まだゲーム開始から18時間しか経ってないのにもう半分以下なんだから……。
この様子では明日には全てが終わるかもしれないわね。
大切な人を殺されたそこの貴方、その気持ちを忘れずにいつまでも大切になさい。
そして憎みなさい。 貴方の大切な人を殺した人物を。
その気持ちは必ず貴方を動かす原動力となるわ。
憎しみほど生きる力になる物は無いのよ。
それじゃあ、次の放送は六時間後よ。
この六時間を生き残れば貴方達はめでたくこのゲームが始まって24時間生き抜いたことになるわ。
貴方達に神の祝福がありますように……」
いつものように放送を終えると鷹野はマイクを置いてメインモニターに視線を移した。
放送を聞き終えた参加者の悲しみと怒りの声がモニターとスピーカーを通してリアルタイムでこの司令部全体に伝わってくる。
モニターを見ていた鷹野の顔に浮かんだ表情、それは悪魔のような、いや、悪魔でさえゾッとするような笑みであった。
こんな冷酷な表情を出来る人間がこの世にいるのか?
このような非現実的な行為に手を貸している自分は一体何をしているのだろうか?
そばにいた一人のオペレーターは自問せずにはいられない。
自分の人生の半分も生きてない幼い子らが命を散らせて行く光景は目の毒というレベルではない。
才気溢れる若人達はなにか何か特別な罪を犯したわけでもないのに、このような殺し合いに選択肢も無く参加せられたのだ。
酒の味も、徒に過ぎていく時間を楽しむことも知らない子供らの口から発せられる生への渇望と助けを求める声に、男は応えてやる術を持ってない。
モニターに映し出されるのまだ成人していない子供たちの命の炎が燃え尽きる瞬間。
スピーカーに入ってくる音声は断末魔の叫び。
その協奏曲を男は黙って見続けることしか出来ないのである。
頭を抱えて今一度自分が何をやっているのかを考える。
そんな男の苦悩する様子を見て、鷹野は声をかけた。
「くすくすくす……貴方もあそこにいる人たちのように割り切ればいいのに」
そういって鷹野はこの司令部の一角に集まっている集団を指差した。
メインモニターの前に集まった彼らは映画を見るかのような目つきで殺戮劇を楽しんでいる。
参加者が半分になったら、その分参加者の監視や行動ログの把握などやる仕事も半分になる。
この司令部にも自然と余裕が生まれ、メインモニターの前はちょっとした映画館のように人を集めていた。
「おお~すげぇ! フィクションとは一味も二味も違うぜ!」
「やっぱリアリティが半端じゃないよな!」
「お前誰に賭けた? 俺童貞」
「いや、童貞は見ていて面白いけど優勝は無理だろ」
この殺し合いを、自分には一切関係ないことだと割り切り楽しむことにした人物。
誰が優勝するか金を賭けている人物。
彼らは純粋にこの殺し合いを楽しんでた。
だが、男はそんな気分には到底なれそうになかった。
「……残念ながら割り切れそうにないです」
「そう、残念ね」
残念だと言う割にはちっとも残念そうには聞こえない言い方だ。
男との会話に興味を失ったのか鷹野は再びメインモニターの方へ視線を戻す。
今度は悪魔のような笑みではなく、天使のような恍惚とした表情を浮かべていた。
その表情を見てオペレーターの男は、ああ、やはりこの女は人間ではないと思うのだった。
残り30人。
この殺し合いの折り返し地点に、とうとうたどり着いてしまった。
鷹野三四の計画は未だ滞りなく進行している。
【残り30人】
|145:[[心の瑕、見えないもの]]|投下順に読む|147:[[一ノ瀬コトミの激走]]|
|145:[[心の瑕、見えないもの]]|時系列順に読む|147:[[一ノ瀬コトミの激走]]|
|113:[[第二回定時放送]]|鷹野三四|158:[[「塔-THE TOWER」「正義-JUSTICE-」(前編)]]|
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