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「Hunting Field(後編)」(2007/11/03 (土) 16:52:52) の最新版変更点
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**Hunting Field(後編) ◆/P.KoBaieg
「この階に出たのはいいけど……。どうすりゃいいのさ……」
あゆが1階まで降りず4階の宴会場があるホールへ出た事に大きな意味はなかった。
殆ど苦し紛れの最後の足掻きと言っても差し支えない行動をとった結果があゆを4階へ向かわせたと言える。
だが、4階に来たとはいえ事態は好転しそうに無い。
背中の亜沙は既に呼吸も徐々に弱くなっており出血も酷い。
(この階にも監視カメラがあるだろうさ。どうせ、あたし等の行動は筒抜け……さてどうする……)
亜沙を背負ったままあゆはロビーの中を歩いていく。
その時、ロビーの隅にある赤く塗装された大きな箱が目に付いた。
箱には白い文字で「避難器具」と書かれている。
「なにさこれ?消火器じゃなさそうだけどさ……」
その箱に近づいたあゆは亜沙を床に下ろすと箱の蓋を開けてみる。
「……こいつはたまげたね。地獄に仏、干天の慈雨とはこのことだわ」
箱の中を見たあゆはこの危機的状況ながらも思わずにんまりと笑う。
そこにあったのは災害時に使用する非常用の避難ハシゴだったのだ。
しかも、箱のすぐ手前には脱出用の扉があり、すぐハシゴを下ろして脱出できそうだ。
これを使えば自分も時雨もホテルの外に逃げられる――。
あゆの心に小さな安心感が生まれる。
(だけど、このままじゃいかんね。あたしはいいけど時雨は自力でハシゴを降りれそうに無いからさ)
大急ぎで脱出口から下へ向かってハシゴを下ろしながらあゆは次の策を考える。
もう襲撃者も自分たちのいるここへ来る頃だろう。
自分と亜沙を結びつけるロープのようなものを大急ぎで探し、それで体を密着させる事をあゆは思いつく。
「おい、時雨。もうすぐ助かるぞ、しっかりしろ!」
「たす……かる……?」
「ああ、丁度いいものを見つけたのさ。あたしがすぐ体を結ぶロープを見つけてきてやるから待ってな」
「待って……」
すぐにその場を離れようとするあゆ。
しかし、満身創痍の亜沙はそんな彼女を呼び止める。
「どうしたのさ?もう時間が無いぞ!」
「ボクの……ことはいいから……先ににげて……」
「時雨、そんな事言うな!」
「この体……だよ……。逃げて……も助か……ると思う……?」
「うっ…………」
改めて亜沙の体を見たあゆは、思わずうめく。
亜沙の体は部屋を出たときより派手に血で染まっており、制服も元の色の部分を探すのが難しいぐらいだ。
顔色も蒼白という言葉が当てはまるぐらい悪いものとなっている。
ここで脱出できても医療設備のあるところまで亜沙が持ちこらえられるとはとても思えなかったし、あゆ自身にも今の亜沙を救える程の
医療技術は備わってなかった。
「わかったさ時雨。なら、あたしは行くからな……」
「その前に……手……握って……くれる……」
「ああ?」
別れの握手かなにかだろうか?あゆはそう思いつつ亜沙の手を握る。
直後、自分の体が暖かな光に包まれるのをあゆは感じた。
「? おい、時雨これは何なのさ!?」
「あゆちゃん……体に何か……変化は……ない……?」
「あ、ああそういえばなんだか調子が良くなってきているさ」
思わず自分の左足を見ると、ふくらはぎの銃創が塞がっている。
それだけではなく、良美に打たれた箇所の痛みも徐々に消えつつある。
「あゆ……ちゃん……魔法の……こと……聞い……てたよ……ね」
「あ、ああ、もしかしてこれがそうなのか?」
「う……ん……。これ……が、ボク……の……魔……法だ……よ」
そこまで亜沙が言うと光は収まり、亜沙は気を失いそうになる。
だが、恋太郎の時と異なり気を失うわけにはいかない。
まだ伝えたい言葉があるからだ。
そして、あゆは崩れ落ちそうになる亜沙の体を支える。
出血や負傷とは明らかに異なる亜沙の変調を見て、あゆも何が起こったのかすぐ悟った。
亜沙は魔法を使った為に残り少ない命を消耗したのだと。
「時雨!なんで!どうして!」
「あ……ゆ……ちゃ……んは、ボク……の……なか、ま……だか……ら……」
「そんな、だからってこんな事を」
「いっ……しょに……にげ……た時、ケ……ガ……してる……って……言って……た……よね……
本……当……は……魔……力が……回……復し……てか……ら、が……よかっ……たけど……」
「もういい!もういいから喋るなや!」
「もう……ボク……に……は……じ……か……んが……ない……か……ら……」
亜沙の言葉にあゆはうな垂れる。
自分はなりゆきで亜沙と行動を共にしただけだ。
それに、ずっと一緒にいるわけではなく、いずれどこかで別れるだろうと思っていた。
だが、亜沙は自分のことを「仲間」と言った。
それだけなら「甘ちゃんさ」の一言で済ませていたかもしれないが、このような状況になっても
泣き言の一つも口にせず、それどころか自分の傷を治癒してくれたのだ。
「時雨…………」
あゆは亜沙に感謝の言葉を口にしようとする。
だが、それより早く足音が聞こえてくる。
襲撃者がこのフロアに到着したようだ。
「ほ……ら、もう……じか……ん……が……な……いよ……早く……逃げ……てッ!」
「ああ、判った……それじゃ、縁があったらまたどこかでな」
その言葉が決して叶うことの無いものだとあゆも解っている。
だが、それでも亜沙は弱弱しいながらも笑顔で返してみせた。
「うん……」
最後にもう一度二人は握手を交わす。
そして、あゆは脱出口を出るとハシゴを伝って地上目指して降りはじめた。
(時雨……本当にスマン……)
心の中で亜沙への謝罪の言葉を口にしながら……。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
あゆがハシゴで地上へと下りていた頃、亜沙は襲撃者との対面を果たそうとしていた。
(あの人が、ボクとあゆちゃんを襲った人かな……。オレンジの髪……まるで楓みたい)
壁にもたれかかりながらも亜沙は、こちらに歩いてくる人物の方を見る。
オレンジの髪を赤いリボンでポニーテールにし、ウィンドブレーカーをまとった少女。
その耳の形から彼女もネリネと同じ魔族なのだろうかと思える。
少女は亜沙の前まで来ると立ち止まり、口を開いた。
「またお会いできましたね。時雨先輩」
「リン……ちゃん……?」
その声に亜沙は思わず少女の顔を見る。
だんだん五感が薄れつつあったが、その顔と声だけはハッキリとわかった。
少女の正体はネリネだったのだ。
「どうし……たの……、その髪……」
ネリネの様な子が髪を染めるなどと思ってなかった亜沙は少しだけ笑ってみせた。
一方のネリネは亜沙の表情を気にする様子もなく淡々と言葉を続ける。
「ともに戦って亡くなられた楓さんに敬意を表して同じ色に染めてみました。似合ってますでしょうか?」
「たたか……った……?」
本来ならばこれから死にゆく亜沙に残酷な現実を聞かせるべきではないのだろう。
だが、ネリネは真実を伝えるべきと思い、一連の出来事を亜沙に話すこととした。
「はい、楓さんは稟さまをお守りする為に他の男性は皆殺しにすると言っておられましたわ」
「う……そ……」
「嘘ではございません。楓さんは神社でトウカさんという方と戦われましたが、残念ながら……」
(神社?そういえばことみちゃんも楓が神社へ行ったって言ってたよね……)
亜沙はネリネの言葉を聞きながら、森の中でことみの言った言葉――楓がゲームに乗った――を思い出す。
そして、ネリネが嘘をつくとは到底思えない。
それならば、ことみの言っていたことは本当だった言う事か。
(あの時、ことみちゃんを疑うんじゃなかったね……)
「時雨先輩、その傷ではさぞ苦しいことでしょう。今楽にして差し上げます……」
そう言ったネリネは“献身”の穂先を亜沙に向ける。
彼女の体から感じられる魔力は微々たる物でしかないが、それは回復魔法を使った為であるとはネリネが知る由も無い。
「リン……ちゃ……ん、ひと……つ……おし……えて」
「お答えできる事でしたら」
「もう……引……き返す……事……は……できな……い……の……?楓……が死ん……だ……なら、な……
お……さら……殺……し……あっ……て……いい……は……ず……ない……よ」
「残念ですが、私の決意は変わりません……。例え稟さまがお亡くなりになっても、私は引き返すわけにはいかないのです」
亜沙はネリネの眼を見て理解した。
ああ、もう彼女は立ち止まるつもりなど無いのだと。
大好きな稟が死んでも引き返さないということは、彼女は完全にこのゲームに乗ったのだと思った。
「そ……う……」
「もうよろしいですか?でしたら、なるべく苦しまぬ様にとどめをして差し上げます。そのお体ではもう無理でしょうが、動かないで下さい」
「お……願い……する……ね……」
「では」
ネリネは“献身”を構え亜沙の心臓に狙いを定める。
亜沙は覚悟とともに目を閉じる。
亜沙の脳裏に走馬灯の様に今日までの出来事が浮かんでは消えていく。
そして、この島に連れて来られてから出会った人達の事も。
(色々あったね……四葉ちゃん、恋太郎さん、楓……今、ボクも行くよ……)
目を閉じているからネリネがどのタイミングで槍を突き立てるのか、彼女にはわからない。
(稟ちゃん……お願いだからリンちゃんを説得して……。ことみちゃん、疑ったりしてゴメンね……。
あゆちゃん、良美ちゃん……二人とも無事に生き延びて……)
槍が風を切る音が聞こえてくる。
ネリネが槍を繰り出したのだろう。
もう自分には時間がない。
だから最後の最後に亜沙は両親――父・葉と母・亜麻――の姿を思い浮かべた。
(お父さん、お母さん……帰れなくてごめんね……)
――その直後、ネリネの“献身”は亜沙の心臓を貫いた――
“献身”を通じて亜沙の残りわずかな魔力が体内に流れ込んでくるのを感じながらネリネは彼女の死に顔を見つめていた。
覚悟を決めた人間の死に顔とはこんなに安らかなものなのかと思う。
そして、“献身”が亜沙の魔力、その最後の一滴を吸い上げたのを確認するとネリネは“献身”を彼女の体から引き抜いた。
これ以上亜沙の体に“献身”を突き立てたくない、知り合いの体を傷つけていいはずがないと思ったからだ。
ネリネはそのまま崩れ落ちた亜沙の体を床に寝かせてやると胸の上で手を組ませる。
「時雨先輩、あなたは私の敵でした。ですが、弔いはさせていただきます」
そう言ったネリネはディパックからミネラルウォーターを取り出し、亜沙の顔や腕に付いた血を丁寧に洗い落とす。
そして、宴会場に入ると中にあった純白のテーブルクロスを持ち出して亜沙の体に被せてやった。
簡素な弔いだったが、次に誰が来るか判らない状況ではこれでも十分だとネリネは思う。
楓など、あの戦いの中でまともに弔う事もできなかったのだから。
「お休みなさいませ、時雨先輩」
最後に短い黙祷をささげたネリネはその場を後にした。
再びコントロール室に戻ったネリネは今後の事を考える。
残る一人は逃してしまったが、姿は最後まで見られることはなかった。
もっとも、努めてそうしていたのだから当たり前なのだが。
(今後も出来る限り姿を晒さない様に戦うのが一番かもしれませんね)
やはり、姿を晒さぬようにゲリラ的な戦い方をするのが一番だとネリネは思う。
銃が使える以上何も一撃必殺にこだわる必要は無い。
一方で魔力はまた少し回復したが、やはり完全回復には足りない。
もう暫く“献身”を使うのは九十七式自動砲を撃つ時に限定するべきだろう。
だが、先刻ホテルの外から奪ってきたディパックにあったファイルによると、参加者には魔法やそれに準じる力を持つものがまだいるらしい。
そういった者を殺し、魔力を奪っていけばかなり早く魔力を完全に回復させることも出来るだろう。
ならば、ここで待ち伏せするより積極的に動くべきだ。
「それなら、今度はどう動きましょうか?」
地図を見ながらネリネは考える。
既に開始から12時間以上経過し、生き残りの数は半数近くにまで減っている。
神社の方向――北――に向かうのは論外だ。
まだあの機関銃を持った女がいる可能性があるのを考えれば危険すぎる。
そうなるとあとは東へ向かうか、あるいは西へ向かうかだろう。
「そうですね。博物館にでも戻りましょうか」
最初はつぐみが博物館へ戻って来る可能性は低いと考えてこのホテルを目指したが魔力を持つ人間は複数いるし、
そういった人間がやってくる可能性も十分ある。
それにもう数時間で日没だ。
人間は夜になれば、おのずと行動力が落ちる。
寝込みを襲う戦法をとれば体力的に不利でも十分倒せる可能性がある。
「進む方向ですが……南周りで西へ行くべきでしょうね」
地図を指でなぞりながらネリネは進む方向を考える。
急ぐならば、ホテルのあるD-5からC-5を通って北上するのが早道だろうが「急がば回れ」という言葉もある。
ここは一旦C-5へ移動し、そこからC-6のつり橋を通って少し南へ下り、そこから西を目指すべきだろう。
そうとなったらすぐに移動しなければならない。
だが、その前にネリネは少し考える。
「その前に色々とやっておく事がありますね」
ネリネはそう言うとまず、エレベーターの主電源を入れ直すと最上階に向かい、二人がいた部屋を調べる。
モニターに映った映像からディパックを一つしか持ってなかったのをめざとく見つけたネリネは、もう一つが部屋にあると踏んでいたのだ。
「調べてみるものですね。案の定でしたか」
果たして予想通り、部屋の片隅にはディパックとゴルフクラブが転がっていた。
ディパックを開いたネリネは、そこにイングラムの予備マガジンが入っているのを発見する。
「ついてますね。ですが、この注射器はなんでしょうか?」
ディパックの中に入っていた「C120」というアンプルと注射器。
どうやら何かの薬品らしいが、医学知識の無いネリネにはその用途も効果も判らない。
「とりあえず、意味のあるものみたいですし貰っておきましょう」
ネリネは自分のディパックにイングラムの予備マガジンを放り込み、亜沙のディパックを回収すると部屋を後にした。
戻ってきたネリネが次に行なったのはコントロール室の防犯カメラの映像の消去だった。
できる事なら自分が此処にいた痕跡は極力残したくはなかった。
もっとも、消去と言ってもビデオデッキから取り出したテープを先ほど入手したゴルフクラブで粉々に叩き潰しただけだが。
テープを完全に再生不能な状態まで叩き潰したネリネは続いて再び地下のテナントエリアにおりた。
念のためもう一度十分な物資を入手しておくのと、倉庫などに使える物が無いか調べるためだ。
衣類、食料品を更に補充し、続いて調べてなかった倉庫も順番に調べていく。
移動のことや他の人間がここへ来ることを考えるとそれほど長く探索はできなかったが、それでも使えるものは幾つか入手できた。
まずは暖房器具に用いるであろう灯油の入った一斗缶が二つ。
このままでは使いにくいだろうが、中身を空き瓶に詰めれば火炎瓶が作れるだろう。
空き瓶や空ペットボトルについてだが、市街地のコンビニやここで補給した飲み物で空になった容器を使えばいいことだ。
次に入手したのは双眼鏡。
武器ではないものの、これを使えば遠方の状況が一目でわかる。
今後もゲリラ戦的な戦いをするうえでは必需品だ。
続いて入手したのは登山用ブーツだ。
ここまでは普通の靴を履いていたが、これから森の中などを歩くとなると普通の靴では頼りない。
サイズも丁度ピッタリのものであった為、ネリネはすぐ履き替えた。
最後に手に入れたのは各種医薬品だ。
これは倉庫ではなく医務室から入手したものだが、少量ずつながらも睡眠薬や麻酔薬が含まれており
食料品や飲み物に仕込めば、かなりの効果を発揮するだろう。
ネリネとしては青酸カリのような毒劇物が欲しかったが、どうやらこういう場所では手に入らないらしい。
「これぐらい色々入手できれば十分でしょう」
決定的な破壊力を持つ武器は手に入らなかったものの、その収穫に満足したネリネは最後にコントロール室に鍵をかけて
ホテルを離れる事とした。
彼女にすればもうホテルへ戻るつもりはなかったが、これだけの設備と情報が得られる場所はそうそう無い。
鍵を壊して侵入しようとする者もいるだろうが、それでも鍵ぐらいはかけておけばと考えたのである。
「では、参りましょうか。博物館へ」
そう呟いたネリネは完全装備でホテルを後にした。
戦いの舞台となったホテルに静寂が戻る、各部にその痕跡と犠牲者の遺体を残して……。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
さて、ネリネがホテルを出た頃、それに先んじてホテルから脱出したあゆはE-5の小屋に身を隠していた。
正直なところ、彼女は一連の戦闘で疲れきっていた。
いくら回復魔法で傷が癒えたといっても、疲労までは回復しきれないものらしい。
(時雨……)
あゆの心はまったく晴れてなかった。
当然だろう、彼女は自分の傷を癒してくれた亜沙を置き去りにして脱出しなければならなかったのだから。
そして、今だからこそ解る。
亜沙は間違いなく自分にとっての「仲間」であったのだ。
短い間だったが行動を共にし、自らは致命傷を負いながらも自分の傷を癒してくれた大切な仲間。
恐らくもう二度と生きて再会する事はかなわぬだろう貴重な仲間。
あゆはそんな彼女を見捨てざるを得なかった自分に腹立たしさを抱いていた。
できる事ならば、例え助けられなくてもその最後ぐらい看取ってやるべきだったと思う。
だが、そんな余裕もあの時はなかった。
そんな事をしていたら、多分二人揃ってあの世行きになったのは間違いない。
その一方で亜沙を殺した襲撃者への怒りも湧き上がってくる。
襲撃者の姿こそ確認できなかったが、あゆはホテルでの出来事を一つ一つ思い出し、その記憶から襲撃者のアタリをつけていく。
二種類の異なる銃声。
短時間での場所移動。
監視カメラを使った場所の特定。
更にマシンガンによる屋外からの奇襲。
そして、ここまで自分が出会った人物で自分に対して敵対的な立場であって、なおかつ生存している人物。
これらの条件に合致する人物はあゆの知る限り二名しかいなかった。
(ようやく本性を現したってことかね、一ノ瀬ことみ……。そしてあんたもそうなんだろう、佐藤……)
襲撃者は一ノ瀬ことみと佐藤良美――
それが、あゆの導き出した答えだった。
(時雨はともかくとして、あたしはあんた等に狙われる理由が十分にあるさ……)
ことみについては最初から怪しいと踏んでいたし、あゆの方から彼女へ銃を向けたから狙われる理由にはなる。
大方、あの小競り合いの後でことみは自分たちを狙ってホテルまで後をつけてきていたのだろう。
しかも銃の名前がスラスラと口に出てきたところから彼女の頭がいいのはあゆも解っていた。
恐らくホテル内での停電も彼女が何らかの手で意図的に引き起こしたのだろう。
いや、そうとしか考えられない。
なにより決定的な証拠がある。
それは、窓の外から銃撃するのに用いたマシンガン。
あのような当たり武器がそうそう支給されるとは思えない。
そうなれば、あの時の人影はことみだったと考えてほぼ間違いない。
良美についても同じ事が言える。
もしあの睨み合いを止めたかったのなら、いきなり背中を撃つ必要はなかったはずだ。
にも関わらず彼女は「ずっと単独行動をとっていたから信用できない」という理由だけで撃ったのである。
しかも、それはあゆがことみに銃を向けたこれ以上に無いタイミングであり、それまではそんなそぶりも見せなかった。
(片方が危なくなったらもう一方が助けるということかね。まぁあたしを撃つ口実なんざ何だってよかったのだろうさ)
良美がいきなり撃った時、ことみはどうしていたか?
もし乗ってないならあの時すぐ良美を止めただろうし、それが出来るだけの武器も所持していたではないか。
にも関わらずただ傍目から見ていたということは、あの時の出来事――会話、行動――そのいずれもが予定調和であり演技だったともとれる。
この時点で、あゆの頭の中では二人は組んでいるという図式が出来上がっていた。
(それならキッチリと一ノ瀬と佐藤にこの礼はしてやらにゃならんよな、時雨……)
あゆの中で今後のハッキリとした行動方針が完成する。
それは「ゲームには乗らないが、一ノ瀬ことみと佐藤良美はどんなことがあっても絶対に殺す」というものだ。
他の人間と組むつもりはなかったが、あの二人がこうしている間にも犠牲者を増やしていると思うと腸が煮えくり返る思いである。
(ああ、解っているさ時雨。こんなことやってもアンタは喜びやしないってことぐらい)
亜沙とは短い時間しか行動を共にしなかったが、あゆは彼女の性格がどういうものか理解していた。
亜沙は優しい、優しかった。
事実あの小競り合いの後逃走する際にあって、ことみの安否を気遣っていたぐらいだ。
だが、そのことみにマシンガンで射殺されるとはなんという皮肉か。
そんな亜沙の事だ。
多分自分が二人を殺すと知れば彼女は絶対に止めるだろう。
だが、その優しさが彼女の命取りになったのだ。
だからこそ余計に、だ。
少なくとも自分にとって亜沙は恩人でもある。
あだ討ちなど自分の性にあわないが、礼が出来ないならこれぐらいはしてやりたい。
何より、その恩人を殺した奴がまだ生きているならここで放っておくことはできない。
(そうと決まったら早速行動に移るかね)
今すぐホテルに戻ればあの二人がいるかもしれないが、今の装備では到底勝てない。
それならば、もっと強力な武器を準備してから挑めばいいだけのこと。
(武器と言ってもこんな拳銃みたいなものじゃ駄目さ。そう、あの二人やまだ他にいるかもしれない仲間も
まとめて吹っ飛ばせる爆弾でもありゃいいが、そんな都合のいいものが支給されてるとは思えんね。だったら……)
無いならば作るしかない。
これが最終的な結論だった。
幸いここから東に移動すれば商店街がある。
材料はそこで調達すればいいだろう。
それだけではない、賢しい奴を二人も相手にする事を考えればそれなりの手順も必要だろう。
二人が集まったところを狙うか、各個に撃破するのか、あるいは更に別の方法を用いるのか。
(それは爆弾を作りながらでも考えるかね。とにかく、この屈辱は100倍にして返してやるさ)
そう思うとあゆはディパックを手にすると、小屋を離れる事にした。
まず目指すべきは東の商店街だ。
だが、あゆは知らない。
自分と亜沙を襲った人間が彼女の考えている二人ではない事に。
更に、良美はともかくことみはゲームに乗ってないという事実に。
そして、ことみが自分と同じ方向へ向かっているという事も。
だが、彼女の心に生まれた確固たる方針を変えさせる事は容易ではない。
果たしてその考えが変わるときは来るのだろうか?
いや、彼女の性格からすれば死ぬまで変わることはないだろう。
それも絶対と言い切れるぐらいに。
&COLOR(red){【時雨亜沙@SHUFFLE! ON THE STAGE 死亡】}
【D-5 ホテル前 /1日目 夕方】
【ネリネ@SHUFFLE! ON THE STAGE】
【装備:永遠神剣第七位“献身” 登山用ブーツ 双眼鏡】
【所持品1:支給品一式×5 IMI デザートイーグル 7/10+1 IMI デザートイーグル の予備マガジン10 九十七式自動砲 弾数2/7
S&W M37 エアーウェイト 弾数0/5 出刃包丁@ひぐらしのなく頃に 祭 コンバットナイフ イングラムM10(9ミリパラベラム弾32/32)
イングラムの予備マガジン(9ミリパラベラム弾32発)×7】
【所持品2:トカレフTT33の予備マガジン10 洋服・アクセサリー・洗髪剤いずれも複数、食料品・飲み物多数】
【所持品3:朝倉音夢の生首(左目損失・ラム酒漬け) 朝倉音夢の制服 桜の花びら コントロール室の鍵 ホテル内の見取り図ファイル】
【所持品4:謎ジャム(半分消費)@Kanon、『参加者の術、魔法一覧』、四葉のデイパック】
【所持品5:C120入りのアンプル×8と注射器@ひぐらしのなく頃に、ゴルフクラブ、灯油入り一斗缶×2、各種医薬品】
【状態:肉体的疲労は僅か・魔力消費小、腹部に痣(消えかけ)、左腕打撲、右耳に裂傷、左足首に切り傷(いずれも治りかけ)、非常に強い意志】
【思考・行動】
1:西へ移動、C-5へ移動後、一度C-6へ南下し、時計回りに移動して博物館を目指す。
2:稟を探す。その途中であった人間は皆殺し。知人であろうとも容赦無く殺す(戦い方は一撃離脱・ゲリラ戦中心、出来る限り単独行動している者を狙う)
3:ハイリスク覚悟で魔力を一気に回復する為の方法、或いはアイテムを探す
4:トウカを殺し、楓の仇を討つ
5:純一に音夢の生首を浸したラム酒を飲ませ、最後に音夢の生首を見せつけ殺す
6:つぐみの前で武を殺して、その後つぐみも殺す
7:桜の花びらが気になる
8:稟を守り通して自害
9:最悪、稟が死亡した時は稟の遺体を持ち帰るために優勝を目指す。
【備考】
現在は髪を鮮やかなオレンジに染め、赤いリボンでポニーテールにしています。
私服(ゲーム時の私服に酷似。ただし高級品)に着替えました。(汚れた制服と前の私服はビニールに包んでデイパックの中に)
ネリネの魔法(体育館を吹き飛ばしたやつ)は使用不可能です。
私服の上からウィンドブレーカーをはおっています。
※これはネリネは魔力は大きいけどコントロールは下手なので、 制限の結果使えなくなっただけで他の魔法を使えるキャラの制限とは違う可能性があります。
※永遠神剣第七位“献身”は神剣っていってますが、形は槍です。
※永遠神剣第七位“献身”は制限を受けて、以下のような性能となっています。
永遠神剣の自我は消し去られている。
魔力を送れば送る程、所有者の身体能力を強化する(但し、原作程圧倒的な強化は不可能)。
魔力持ちの敵に突き刺せば、ある程度魔力を奪い取れる。
以下の魔法が使えます。
尚、使える、といってもウインドウィスパー以外は、実際に使った訳では無いので、どの位の強さなのかは後続の書き手に委ねます。
アースプライヤー 回復魔法。単体回復。大地からの暖かな光によって、マナが活性化し傷を癒す。
ウィンドウィスパー 防御魔法。風を身体の周りに纏うことで、僅かな間だけ防御力を高める。
ハーベスト 回復魔法。全体回復。戦闘域そのものを活性化させ、戦う仲間に力を与える。
※古手梨花を要注意人物と判断(容姿のみの情報)
※音夢とつぐみの知り合いに関する情報を知っています。
※音夢の生首はビニール袋へ詰め込みラム酒漬けにした上、ディパックの中に入れてます。
※魔力が極端に消耗する事と、回復にひどく時間がかかる(ネリネの魔力なら完全回復まで数日)という事に気が付きました。
※トウカと、川澄舞(舞に関しては外見の情報のみ)を危険人物と認識しました。
※千影の“時詠”を警戒。ただし“時詠”の能力までは把握していません。
※魔力持ち及び永遠神剣の持ち主を献身で殺せばさらに魔力が回復する仮説を思いつきました。
※ある程度他の永遠神剣の気配を感じ取れます。
※桜の花びらは管理者の一人である魔法の桜のものです。
※見取り図によってホテルの内部構造をかなり熟知しています。
※回収したディパックは武器を入れたものに丸ごと突っ込んで移動に支障が無いようにしています。
【E-5 小屋/1日目 夕方】
【大空寺あゆ@君が望む永遠】
【装備:肋骨左右各1本亀裂骨折 S&W M10 (6/6) 防弾チョッキ】
【所持品:予備弾丸11発・支給品一式 閃光弾セット(催涙弾x1)ホテル最上階の客室キー(全室分)】
【状態:肉体的疲労度軽、強い意志、背中が亜沙の血で汚れている】
【思考・行動】
行動方針:殺し合いに乗るつもりは無い。しかし、亜沙を殺した一ノ瀬ことみと佐藤良美は絶対に殺す。
1:二人を殺すだけの武器を作る材料調達の為に商店街へ向かう(現在考えているのは爆弾)
2:二人を殺す為の作戦・手順を練る
3:なるべく神社方面には行かない
4:ことみと良美を警戒
【備考】
※亜沙から第一回放送の禁止エリアについて聞きました。
※赤坂が遥を殺したかもしれないと疑っています(赤坂と遥の名前は知りません)
※ことみが恋太郎を殺害したと判断しています
※ことみが人殺しと断定しました。良美も危険人物として警戒。二人が手を組んで人を殺して回っていると判断しています。
※ハクオロを危険人物と認識。
※閃光弾セット
発煙筒(白)二本と催涙弾一本、閃光弾一本のセット。
※魔法の存在を信じました
※支給品一式はランタンが欠品
※作る武器が爆弾か他のものになるかは次の書き手さん任せ
ホテルについて
建物は高さ数十メートル、地上15階建てぐらい。
1階のコントロール室からはホテル内の照明、空調などを制御可能。
さらに監視カメラで人間の動きを知る事が可能。
地下はテナントエリアと従業員のエリア、他に駐車場や倉庫が存在する。
※現在、コントロール室の鍵はかけられています。また、防犯カメラの録画テープも証拠隠滅の為、再生不能なまで破壊されてます。
※あゆと亜沙のいた最上階のロイヤルスィートルームはネリネの銃撃で窓ガラスが割られ、
室内にもバリケードが作られたままになってます。
※4階のロビーにはテーブルクロスをかけられた亜沙の遺体があります。
ロビーの脱出口は開かれており、地上に向かって避難用ハシゴが下ろされてます。
※屋上には高所作業用のゴンドラがあります。
※1階メインロビーはネリネの銃撃によりカウンターの一部が破損しており、あゆのランタンが放置されてます。
|138:[[Hunting Field(前編) ]]|投下順に読む|139:[[朝焼けと青空の境界線を越えて]]|
|138:[[Hunting Field(前編) ]]|時系列順に読む|139:[[朝焼けと青空の境界線を越えて]]|
|138:[[Hunting Field(前編) ]]|ネリネ|144:[[先の先、後の先。]]|
|138:[[Hunting Field(前編) ]]|一ノ瀬ことみ|147:[[一ノ瀬コトミの激走]]|
|138:[[Hunting Field(前編) ]]|大空寺あゆ|143:[[血みどろ天使と金色夜叉]]|
|138:[[Hunting Field(前編) ]]|時雨亜沙||
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**Hunting Field(後編) ◆/P.KoBaieg
「この階に出たのはいいけど……。どうすりゃいいのさ……」
あゆが1階まで降りず4階の宴会場があるホールへ出た事に大きな意味はなかった。
殆ど苦し紛れの最後の足掻きと言っても差し支えない行動をとった結果があゆを4階へ向かわせたと言える。
だが、4階に来たとはいえ事態は好転しそうに無い。
背中の亜沙は既に呼吸も徐々に弱くなっており出血も酷い。
(この階にも監視カメラがあるだろうさ。どうせ、あたし等の行動は筒抜け……さてどうする……)
亜沙を背負ったままあゆはロビーの中を歩いていく。
その時、ロビーの隅にある赤く塗装された大きな箱が目に付いた。
箱には白い文字で「避難器具」と書かれている。
「なにさこれ?消火器じゃなさそうだけどさ……」
その箱に近づいたあゆは亜沙を床に下ろすと箱の蓋を開けてみる。
「……こいつはたまげたね。地獄に仏、干天の慈雨とはこのことだわ」
箱の中を見たあゆはこの危機的状況ながらも思わずにんまりと笑う。
そこにあったのは災害時に使用する非常用の避難ハシゴだったのだ。
しかも、箱のすぐ手前には脱出用の扉があり、すぐハシゴを下ろして脱出できそうだ。
これを使えば自分も時雨もホテルの外に逃げられる――。
あゆの心に小さな安心感が生まれる。
(だけど、このままじゃいかんね。あたしはいいけど時雨は自力でハシゴを降りれそうに無いからさ)
大急ぎで脱出口から下へ向かってハシゴを下ろしながらあゆは次の策を考える。
もう襲撃者も自分たちのいるここへ来る頃だろう。
自分と亜沙を結びつけるロープのようなものを大急ぎで探し、それで体を密着させる事をあゆは思いつく。
「おい、時雨。もうすぐ助かるぞ、しっかりしろ!」
「たす……かる……?」
「ああ、丁度いいものを見つけたのさ。あたしがすぐ体を結ぶロープを見つけてきてやるから待ってな」
「待って……」
すぐにその場を離れようとするあゆ。
しかし、満身創痍の亜沙はそんな彼女を呼び止める。
「どうしたのさ?もう時間が無いぞ!」
「ボクの……ことはいいから……先ににげて……」
「時雨、そんな事言うな!」
「この体……だよ……。逃げて……も助か……ると思う……?」
「うっ…………」
改めて亜沙の体を見たあゆは、思わずうめく。
亜沙の体は部屋を出たときより派手に血で染まっており、制服も元の色の部分を探すのが難しいぐらいだ。
顔色も蒼白という言葉が当てはまるぐらい悪いものとなっている。
ここで脱出できても医療設備のあるところまで亜沙が持ちこらえられるとはとても思えなかったし、あゆ自身にも今の亜沙を救える程の
医療技術は備わってなかった。
「わかったさ時雨。なら、あたしは行くからな……」
「その前に……手……握って……くれる……」
「ああ?」
別れの握手かなにかだろうか?あゆはそう思いつつ亜沙の手を握る。
直後、自分の体が暖かな光に包まれるのをあゆは感じた。
「? おい、時雨これは何なのさ!?」
「あゆちゃん……体に何か……変化は……ない……?」
「あ、ああそういえばなんだか調子が良くなってきているさ」
思わず自分の左足を見ると、ふくらはぎの銃創が塞がっている。
それだけではなく、良美に打たれた箇所の痛みも徐々に消えつつある。
「あゆ……ちゃん……魔法の……こと……聞い……てたよ……ね」
「あ、ああ、もしかしてこれがそうなのか?」
「う……ん……。これ……が、ボク……の……魔……法だ……よ」
そこまで亜沙が言うと光は収まり、亜沙は気を失いそうになる。
だが、恋太郎の時と異なり気を失うわけにはいかない。
まだ伝えたい言葉があるからだ。
そして、あゆは崩れ落ちそうになる亜沙の体を支える。
出血や負傷とは明らかに異なる亜沙の変調を見て、あゆも何が起こったのかすぐ悟った。
亜沙は魔法を使った為に残り少ない命を消耗したのだと。
「時雨!なんで!どうして!」
「あ……ゆ……ちゃ……んは、ボク……の……なか、ま……だか……ら……」
「そんな、だからってこんな事を」
「いっ……しょに……にげ……た時、ケ……ガ……してる……って……言って……た……よね……
本……当……は……魔……力が……回……復し……てか……ら、が……よかっ……たけど……」
「もういい!もういいから喋るなや!」
「もう……ボク……に……は……じ……か……んが……ない……か……ら……」
亜沙の言葉にあゆはうな垂れる。
自分はなりゆきで亜沙と行動を共にしただけだ。
それに、ずっと一緒にいるわけではなく、いずれどこかで別れるだろうと思っていた。
だが、亜沙は自分のことを「仲間」と言った。
それだけなら「甘ちゃんさ」の一言で済ませていたかもしれないが、このような状況になっても
泣き言の一つも口にせず、それどころか自分の傷を治癒してくれたのだ。
「時雨…………」
あゆは亜沙に感謝の言葉を口にしようとする。
だが、それより早く足音が聞こえてくる。
襲撃者がこのフロアに到着したようだ。
「ほ……ら、もう……じか……ん……が……な……いよ……早く……逃げ……てッ!」
「ああ、判った……それじゃ、縁があったらまたどこかでな」
その言葉が決して叶うことの無いものだとあゆも解っている。
だが、それでも亜沙は弱弱しいながらも笑顔で返してみせた。
「うん……」
最後にもう一度二人は握手を交わす。
そして、あゆは脱出口を出るとハシゴを伝って地上目指して降りはじめた。
(時雨……本当にスマン……)
心の中で亜沙への謝罪の言葉を口にしながら……。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
あゆがハシゴで地上へと下りていた頃、亜沙は襲撃者との対面を果たそうとしていた。
(あの人が、ボクとあゆちゃんを襲った人かな……。オレンジの髪……まるで楓みたい)
壁にもたれかかりながらも亜沙は、こちらに歩いてくる人物の方を見る。
オレンジの髪を赤いリボンでポニーテールにし、ウィンドブレーカーをまとった少女。
その耳の形から彼女もネリネと同じ魔族なのだろうかと思える。
少女は亜沙の前まで来ると立ち止まり、口を開いた。
「またお会いできましたね。時雨先輩」
「リン……ちゃん……?」
その声に亜沙は思わず少女の顔を見る。
だんだん五感が薄れつつあったが、その顔と声だけはハッキリとわかった。
少女の正体はネリネだったのだ。
「どうし……たの……、その髪……」
ネリネの様な子が髪を染めるなどと思ってなかった亜沙は少しだけ笑ってみせた。
一方のネリネは亜沙の表情を気にする様子もなく淡々と言葉を続ける。
「ともに戦って亡くなられた楓さんに敬意を表して同じ色に染めてみました。似合ってますでしょうか?」
「たたか……った……?」
本来ならばこれから死にゆく亜沙に残酷な現実を聞かせるべきではないのだろう。
だが、ネリネは真実を伝えるべきと思い、一連の出来事を亜沙に話すこととした。
「はい、楓さんは稟さまをお守りする為に他の男性は皆殺しにすると言っておられましたわ」
「う……そ……」
「嘘ではございません。楓さんは神社でトウカさんという方と戦われましたが、残念ながら……」
(神社?そういえばことみちゃんも楓が神社へ行ったって言ってたよね……)
亜沙はネリネの言葉を聞きながら、森の中でことみの言った言葉――楓がゲームに乗った――を思い出す。
そして、ネリネが嘘をつくとは到底思えない。
それならば、ことみの言っていたことは本当だった言う事か。
(あの時、ことみちゃんを疑うんじゃなかったね……)
「時雨先輩、その傷ではさぞ苦しいことでしょう。今楽にして差し上げます……」
そう言ったネリネは“献身”の穂先を亜沙に向ける。
彼女の体から感じられる魔力は微々たる物でしかないが、それは回復魔法を使った為であるとはネリネが知る由も無い。
「リン……ちゃ……ん、ひと……つ……おし……えて」
「お答えできる事でしたら」
「もう……引……き返す……事……は……できな……い……の……?楓……が死ん……だ……なら、な……
お……さら……殺……し……あっ……て……いい……は……ず……ない……よ」
「残念ですが、私の決意は変わりません……。例え稟さまがお亡くなりになっても、私は引き返すわけにはいかないのです」
亜沙はネリネの眼を見て理解した。
ああ、もう彼女は立ち止まるつもりなど無いのだと。
大好きな稟が死んでも引き返さないということは、彼女は完全にこのゲームに乗ったのだと思った。
「そ……う……」
「もうよろしいですか?でしたら、なるべく苦しまぬ様にとどめをして差し上げます。そのお体ではもう無理でしょうが、動かないで下さい」
「お……願い……する……ね……」
「では」
ネリネは“献身”を構え亜沙の心臓に狙いを定める。
亜沙は覚悟とともに目を閉じる。
亜沙の脳裏に走馬灯の様に今日までの出来事が浮かんでは消えていく。
そして、この島に連れて来られてから出会った人達の事も。
(色々あったね……四葉ちゃん、恋太郎さん、楓……今、ボクも行くよ……)
目を閉じているからネリネがどのタイミングで槍を突き立てるのか、彼女にはわからない。
(稟ちゃん……お願いだからリンちゃんを説得して……。ことみちゃん、疑ったりしてゴメンね……。
あゆちゃん、良美ちゃん……二人とも無事に生き延びて……)
槍が風を切る音が聞こえてくる。
ネリネが槍を繰り出したのだろう。
もう自分には時間がない。
だから最後の最後に亜沙は両親――父・葉と母・亜麻――の姿を思い浮かべた。
(お父さん、お母さん……帰れなくてごめんね……)
――その直後、ネリネの“献身”は亜沙の心臓を貫いた――
“献身”を通じて亜沙の残りわずかな魔力が体内に流れ込んでくるのを感じながらネリネは彼女の死に顔を見つめていた。
覚悟を決めた人間の死に顔とはこんなに安らかなものなのかと思う。
そして、“献身”が亜沙の魔力、その最後の一滴を吸い上げたのを確認するとネリネは“献身”を彼女の体から引き抜いた。
これ以上亜沙の体に“献身”を突き立てたくない、知り合いの体を傷つけていいはずがないと思ったからだ。
ネリネはそのまま崩れ落ちた亜沙の体を床に寝かせてやると胸の上で手を組ませる。
「時雨先輩、あなたは私の敵でした。ですが、弔いはさせていただきます」
そう言ったネリネはディパックからミネラルウォーターを取り出し、亜沙の顔や腕に付いた血を丁寧に洗い落とす。
そして、宴会場に入ると中にあった純白のテーブルクロスを持ち出して亜沙の体に被せてやった。
簡素な弔いだったが、次に誰が来るか判らない状況ではこれでも十分だとネリネは思う。
楓など、あの戦いの中でまともに弔う事もできなかったのだから。
「お休みなさいませ、時雨先輩」
最後に短い黙祷をささげたネリネはその場を後にした。
再びコントロール室に戻ったネリネは今後の事を考える。
残る一人は逃してしまったが、姿は最後まで見られることはなかった。
もっとも、努めてそうしていたのだから当たり前なのだが。
(今後も出来る限り姿を晒さない様に戦うのが一番かもしれませんね)
やはり、姿を晒さぬようにゲリラ的な戦い方をするのが一番だとネリネは思う。
銃が使える以上何も一撃必殺にこだわる必要は無い。
一方で魔力はまた少し回復したが、やはり完全回復には足りない。
もう暫く“献身”を使うのは九十七式自動砲を撃つ時に限定するべきだろう。
だが、先刻ホテルの外から奪ってきたディパックにあったファイルによると、参加者には魔法やそれに準じる力を持つものがまだいるらしい。
そういった者を殺し、魔力を奪っていけばかなり早く魔力を完全に回復させることも出来るだろう。
ならば、ここで待ち伏せするより積極的に動くべきだ。
「それなら、今度はどう動きましょうか?」
地図を見ながらネリネは考える。
既に開始から12時間以上経過し、生き残りの数は半数近くにまで減っている。
神社の方向――北――に向かうのは論外だ。
まだあの機関銃を持った女がいる可能性があるのを考えれば危険すぎる。
そうなるとあとは東へ向かうか、あるいは西へ向かうかだろう。
「そうですね。博物館にでも戻りましょうか」
最初はつぐみが博物館へ戻って来る可能性は低いと考えてこのホテルを目指したが魔力を持つ人間は複数いるし、
そういった人間がやってくる可能性も十分ある。
それにもう数時間で日没だ。
人間は夜になれば、おのずと行動力が落ちる。
寝込みを襲う戦法をとれば体力的に不利でも十分倒せる可能性がある。
「進む方向ですが……南周りで西へ行くべきでしょうね」
地図を指でなぞりながらネリネは進む方向を考える。
急ぐならば、ホテルのあるD-5からC-5を通って北上するのが早道だろうが「急がば回れ」という言葉もある。
ここは一旦C-5へ移動し、そこからC-6のつり橋を通って少し南へ下り、そこから西を目指すべきだろう。
そうとなったらすぐに移動しなければならない。
だが、その前にネリネは少し考える。
「その前に色々とやっておく事がありますね」
ネリネはそう言うとまず、エレベーターの主電源を入れ直すと最上階に向かい、二人がいた部屋を調べる。
モニターに映った映像からディパックを一つしか持ってなかったのをめざとく見つけたネリネは、もう一つが部屋にあると踏んでいたのだ。
「調べてみるものですね。案の定でしたか」
果たして予想通り、部屋の片隅にはディパックとゴルフクラブが転がっていた。
ディパックを開いたネリネは、そこにイングラムの予備マガジンが入っているのを発見する。
「ついてますね。ですが、この注射器はなんでしょうか?」
ディパックの中に入っていた「C120」というアンプルと注射器。
どうやら何かの薬品らしいが、医学知識の無いネリネにはその用途も効果も判らない。
「とりあえず、意味のあるものみたいですし貰っておきましょう」
ネリネは自分のディパックにイングラムの予備マガジンを放り込み、亜沙のディパックを回収すると部屋を後にした。
戻ってきたネリネが次に行なったのはコントロール室の防犯カメラの映像の消去だった。
できる事なら自分が此処にいた痕跡は極力残したくはなかった。
もっとも、消去と言ってもビデオデッキから取り出したテープを先ほど入手したゴルフクラブで粉々に叩き潰しただけだが。
テープを完全に再生不能な状態まで叩き潰したネリネは続いて再び地下のテナントエリアにおりた。
念のためもう一度十分な物資を入手しておくのと、倉庫などに使える物が無いか調べるためだ。
衣類、食料品を更に補充し、続いて調べてなかった倉庫も順番に調べていく。
移動のことや他の人間がここへ来ることを考えるとそれほど長く探索はできなかったが、それでも使えるものは幾つか入手できた。
まずは暖房器具に用いるであろう灯油の入った一斗缶が二つ。
このままでは使いにくいだろうが、中身を空き瓶に詰めれば火炎瓶が作れるだろう。
空き瓶や空ペットボトルについてだが、市街地のコンビニやここで補給した飲み物で空になった容器を使えばいいことだ。
次に入手したのは双眼鏡。
武器ではないものの、これを使えば遠方の状況が一目でわかる。
今後もゲリラ戦的な戦いをするうえでは必需品だ。
続いて入手したのは登山用ブーツだ。
ここまでは普通の靴を履いていたが、これから森の中などを歩くとなると普通の靴では頼りない。
サイズも丁度ピッタリのものであった為、ネリネはすぐ履き替えた。
最後に手に入れたのは各種医薬品だ。
これは倉庫ではなく医務室から入手したものだが、少量ずつながらも睡眠薬や麻酔薬が含まれており
食料品や飲み物に仕込めば、かなりの効果を発揮するだろう。
ネリネとしては青酸カリのような毒劇物が欲しかったが、どうやらこういう場所では手に入らないらしい。
「これぐらい色々入手できれば十分でしょう」
決定的な破壊力を持つ武器は手に入らなかったものの、その収穫に満足したネリネは最後にコントロール室に鍵をかけて
ホテルを離れる事とした。
彼女にすればもうホテルへ戻るつもりはなかったが、これだけの設備と情報が得られる場所はそうそう無い。
鍵を壊して侵入しようとする者もいるだろうが、それでも鍵ぐらいはかけておけばと考えたのである。
「では、参りましょうか。博物館へ」
そう呟いたネリネは完全装備でホテルを後にした。
戦いの舞台となったホテルに静寂が戻る、各部にその痕跡と犠牲者の遺体を残して……。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
さて、ネリネがホテルを出た頃、それに先んじてホテルから脱出したあゆはE-5の小屋に身を隠していた。
正直なところ、彼女は一連の戦闘で疲れきっていた。
いくら回復魔法で傷が癒えたといっても、疲労までは回復しきれないものらしい。
(時雨……)
あゆの心はまったく晴れてなかった。
当然だろう、彼女は自分の傷を癒してくれた亜沙を置き去りにして脱出しなければならなかったのだから。
そして、今だからこそ解る。
亜沙は間違いなく自分にとっての「仲間」であったのだ。
短い間だったが行動を共にし、自らは致命傷を負いながらも自分の傷を癒してくれた大切な仲間。
恐らくもう二度と生きて再会する事はかなわぬだろう貴重な仲間。
あゆはそんな彼女を見捨てざるを得なかった自分に腹立たしさを抱いていた。
できる事ならば、例え助けられなくてもその最後ぐらい看取ってやるべきだったと思う。
だが、そんな余裕もあの時はなかった。
そんな事をしていたら、多分二人揃ってあの世行きになったのは間違いない。
その一方で亜沙を殺した襲撃者への怒りも湧き上がってくる。
襲撃者の姿こそ確認できなかったが、あゆはホテルでの出来事を一つ一つ思い出し、その記憶から襲撃者のアタリをつけていく。
二種類の異なる銃声。
短時間での場所移動。
監視カメラを使った場所の特定。
更にマシンガンによる屋外からの奇襲。
そして、ここまで自分が出会った人物で自分に対して敵対的な立場であって、なおかつ生存している人物。
これらの条件に合致する人物はあゆの知る限り二名しかいなかった。
(ようやく本性を現したってことかね、一ノ瀬ことみ……。そしてあんたもそうなんだろう、佐藤……)
襲撃者は一ノ瀬ことみと佐藤良美――
それが、あゆの導き出した答えだった。
(時雨はともかくとして、あたしはあんた等に狙われる理由が十分にあるさ……)
ことみについては最初から怪しいと踏んでいたし、あゆの方から彼女へ銃を向けたから狙われる理由にはなる。
大方、あの小競り合いの後でことみは自分たちを狙ってホテルまで後をつけてきていたのだろう。
しかも銃の名前がスラスラと口に出てきたところから彼女の頭がいいのはあゆも解っていた。
恐らくホテル内での停電も彼女が何らかの手で意図的に引き起こしたのだろう。
いや、そうとしか考えられない。
なにより決定的な証拠がある。
それは、窓の外から銃撃するのに用いたマシンガン。
あのような当たり武器がそうそう支給されるとは思えない。
そうなれば、あの時の人影はことみだったと考えてほぼ間違いない。
良美についても同じ事が言える。
もしあの睨み合いを止めたかったのなら、いきなり背中を撃つ必要はなかったはずだ。
にも関わらず彼女は「ずっと単独行動をとっていたから信用できない」という理由だけで撃ったのである。
しかも、それはあゆがことみに銃を向けたこれ以上に無いタイミングであり、それまではそんなそぶりも見せなかった。
(片方が危なくなったらもう一方が助けるということかね。まぁあたしを撃つ口実なんざ何だってよかったのだろうさ)
良美がいきなり撃った時、ことみはどうしていたか?
もし乗ってないならあの時すぐ良美を止めただろうし、それが出来るだけの武器も所持していたではないか。
にも関わらずただ傍目から見ていたということは、あの時の出来事――会話、行動――そのいずれもが予定調和であり演技だったともとれる。
この時点で、あゆの頭の中では二人は組んでいるという図式が出来上がっていた。
(それならキッチリと一ノ瀬と佐藤にこの礼はしてやらにゃならんよな、時雨……)
あゆの中で今後のハッキリとした行動方針が完成する。
それは「ゲームには乗らないが、一ノ瀬ことみと佐藤良美はどんなことがあっても絶対に殺す」というものだ。
他の人間と組むつもりはなかったが、あの二人がこうしている間にも犠牲者を増やしていると思うと腸が煮えくり返る思いである。
(ああ、解っているさ時雨。こんなことやってもアンタは喜びやしないってことぐらい)
亜沙とは短い時間しか行動を共にしなかったが、あゆは彼女の性格がどういうものか理解していた。
亜沙は優しい、優しかった。
事実あの小競り合いの後逃走する際にあって、ことみの安否を気遣っていたぐらいだ。
だが、そのことみにマシンガンで射殺されるとはなんという皮肉か。
そんな亜沙の事だ。
多分自分が二人を殺すと知れば彼女は絶対に止めるだろう。
だが、その優しさが彼女の命取りになったのだ。
だからこそ余計に、だ。
少なくとも自分にとって亜沙は恩人でもある。
あだ討ちなど自分の性にあわないが、礼が出来ないならこれぐらいはしてやりたい。
何より、その恩人を殺した奴がまだ生きているならここで放っておくことはできない。
(そうと決まったら早速行動に移るかね)
今すぐホテルに戻ればあの二人がいるかもしれないが、今の装備では到底勝てない。
それならば、もっと強力な武器を準備してから挑めばいいだけのこと。
(武器と言ってもこんな拳銃みたいなものじゃ駄目さ。そう、あの二人やまだ他にいるかもしれない仲間も
まとめて吹っ飛ばせる爆弾でもありゃいいが、そんな都合のいいものが支給されてるとは思えんね。だったら……)
無いならば作るしかない。
これが最終的な結論だった。
幸いここから東に移動すれば商店街がある。
材料はそこで調達すればいいだろう。
それだけではない、賢しい奴を二人も相手にする事を考えればそれなりの手順も必要だろう。
二人が集まったところを狙うか、各個に撃破するのか、あるいは更に別の方法を用いるのか。
(それは爆弾を作りながらでも考えるかね。とにかく、この屈辱は100倍にして返してやるさ)
そう思うとあゆはディパックを手にすると、小屋を離れる事にした。
まず目指すべきは東の商店街だ。
だが、あゆは知らない。
自分と亜沙を襲った人間が彼女の考えている二人ではない事に。
更に、良美はともかくことみはゲームに乗ってないという事実に。
そして、ことみが自分と同じ方向へ向かっているという事も。
だが、彼女の心に生まれた確固たる方針を変えさせる事は容易ではない。
果たしてその考えが変わるときは来るのだろうか?
いや、彼女の性格からすれば死ぬまで変わることはないだろう。
それも絶対と言い切れるぐらいに。
&COLOR(red){【時雨亜沙@SHUFFLE! ON THE STAGE 死亡】}
【D-5 ホテル前 /1日目 夕方】
【ネリネ@SHUFFLE! ON THE STAGE】
【装備:永遠神剣第七位“献身” 登山用ブーツ 双眼鏡】
【所持品1:支給品一式×5 IMI デザートイーグル 7/10+1 IMI デザートイーグル の予備マガジン10 九十七式自動砲 弾数2/7
S&W M37 エアーウェイト 弾数0/5 出刃包丁@ひぐらしのなく頃に 祭 コンバットナイフ イングラムM10(9ミリパラベラム弾32/32)
イングラムの予備マガジン(9ミリパラベラム弾32発)×7】
【所持品2:トカレフTT33の予備マガジン10 洋服・アクセサリー・洗髪剤いずれも複数、食料品・飲み物多数】
【所持品3:朝倉音夢の生首(左目損失・ラム酒漬け) 朝倉音夢の制服 桜の花びら コントロール室の鍵 ホテル内の見取り図ファイル】
【所持品4:謎ジャム(半分消費)@Kanon、『参加者の術、魔法一覧』、四葉のデイパック】
【所持品5:C120入りのアンプル×8と注射器@ひぐらしのなく頃に、ゴルフクラブ、灯油入り一斗缶×2、各種医薬品】
【状態:肉体的疲労は僅か・魔力消費小、腹部に痣(消えかけ)、左腕打撲、右耳に裂傷、左足首に切り傷(いずれも治りかけ)、非常に強い意志】
【思考・行動】
1:西へ移動、C-5へ移動後、一度C-6へ南下し、時計回りに移動して博物館を目指す。
2:稟を探す。その途中であった人間は皆殺し。知人であろうとも容赦無く殺す(戦い方は一撃離脱・ゲリラ戦中心、出来る限り単独行動している者を狙う)
3:ハイリスク覚悟で魔力を一気に回復する為の方法、或いはアイテムを探す
4:トウカを殺し、楓の仇を討つ
5:純一に音夢の生首を浸したラム酒を飲ませ、最後に音夢の生首を見せつけ殺す
6:つぐみの前で武を殺して、その後つぐみも殺す
7:桜の花びらが気になる
8:稟を守り通して自害
9:最悪、稟が死亡した時は稟の遺体を持ち帰るために優勝を目指す。
【備考】
現在は髪を鮮やかなオレンジに染め、赤いリボンでポニーテールにしています。
私服(ゲーム時の私服に酷似。ただし高級品)に着替えました。(汚れた制服と前の私服はビニールに包んでデイパックの中に)
ネリネの魔法(体育館を吹き飛ばしたやつ)は使用不可能です。
私服の上からウィンドブレーカーをはおっています。
※これはネリネは魔力は大きいけどコントロールは下手なので、 制限の結果使えなくなっただけで他の魔法を使えるキャラの制限とは違う可能性があります。
※永遠神剣第七位“献身”は神剣っていってますが、形は槍です。
※永遠神剣第七位“献身”は制限を受けて、以下のような性能となっています。
永遠神剣の自我は消し去られている。
魔力を送れば送る程、所有者の身体能力を強化する(但し、原作程圧倒的な強化は不可能)。
魔力持ちの敵に突き刺せば、ある程度魔力を奪い取れる。
以下の魔法が使えます。
尚、使える、といってもウインドウィスパー以外は、実際に使った訳では無いので、どの位の強さなのかは後続の書き手に委ねます。
アースプライヤー 回復魔法。単体回復。大地からの暖かな光によって、マナが活性化し傷を癒す。
ウィンドウィスパー 防御魔法。風を身体の周りに纏うことで、僅かな間だけ防御力を高める。
ハーベスト 回復魔法。全体回復。戦闘域そのものを活性化させ、戦う仲間に力を与える。
※古手梨花を要注意人物と判断(容姿のみの情報)
※音夢とつぐみの知り合いに関する情報を知っています。
※音夢の生首はビニール袋へ詰め込みラム酒漬けにした上、ディパックの中に入れてます。
※魔力が極端に消耗する事と、回復にひどく時間がかかる(ネリネの魔力なら完全回復まで数日)という事に気が付きました。
※トウカと、川澄舞(舞に関しては外見の情報のみ)を危険人物と認識しました。
※千影の“時詠”を警戒。ただし“時詠”の能力までは把握していません。
※魔力持ち及び永遠神剣の持ち主を献身で殺せばさらに魔力が回復する仮説を思いつきました。
※ある程度他の永遠神剣の気配を感じ取れます。
※桜の花びらは管理者の一人である魔法の桜のものです。
※見取り図によってホテルの内部構造をかなり熟知しています。
※回収したディパックは武器を入れたものに丸ごと突っ込んで移動に支障が無いようにしています。
【E-5 小屋/1日目 夕方】
【大空寺あゆ@君が望む永遠】
【装備:肋骨左右各1本亀裂骨折 S&W M10 (6/6) 防弾チョッキ】
【所持品:予備弾丸11発・支給品一式 閃光弾セット(催涙弾x1)ホテル最上階の客室キー(全室分)】
【状態:肉体的疲労度軽、強い意志、背中が亜沙の血で汚れている】
【思考・行動】
行動方針:殺し合いに乗るつもりは無い。しかし、亜沙を殺した一ノ瀬ことみと佐藤良美は絶対に殺す。
1:二人を殺すだけの武器を作る材料調達の為に商店街へ向かう(現在考えているのは爆弾)
2:二人を殺す為の作戦・手順を練る
3:なるべく神社方面には行かない
4:ことみと良美を警戒
【備考】
※亜沙から第一回放送の禁止エリアについて聞きました。
※赤坂が遥を殺したかもしれないと疑っています(赤坂と遥の名前は知りません)
※ことみが恋太郎を殺害したと判断しています
※ことみが人殺しと断定しました。良美も危険人物として警戒。二人が手を組んで人を殺して回っていると判断しています。
※ハクオロを危険人物と認識。
※閃光弾セット
発煙筒(白)二本と催涙弾一本、閃光弾一本のセット。
※魔法の存在を信じました
※支給品一式はランタンが欠品
※作る武器が爆弾か他のものになるかは次の書き手さん任せ
ホテルについて
建物は高さ数十メートル、地上15階建てぐらい。
1階のコントロール室からはホテル内の照明、空調などを制御可能。
さらに監視カメラで人間の動きを知る事が可能。
地下はテナントエリアと従業員のエリア、他に駐車場や倉庫が存在する。
※現在、コントロール室の鍵はかけられています。また、防犯カメラの録画テープも証拠隠滅の為、再生不能なまで破壊されてます。
※あゆと亜沙のいた最上階のロイヤルスィートルームはネリネの銃撃で窓ガラスが割られ、
室内にもバリケードが作られたままになってます。
※4階のロビーにはテーブルクロスをかけられた亜沙の遺体があります。
ロビーの脱出口は開かれており、地上に向かって避難用ハシゴが下ろされてます。
※屋上には高所作業用のゴンドラがあります。
※1階メインロビーはネリネの銃撃によりカウンターの一部が破損しており、あゆのランタンが放置されてます。
|138:[[Hunting Field(前編) ]]|投下順に読む|139:[[朝焼けと青空の境界線を越えて]]|
|138:[[Hunting Field(前編) ]]|時系列順に読む|139:[[朝焼けと青空の境界線を越えて]]|
|138:[[Hunting Field(前編) ]]|ネリネ|144:[[先の先、後の先。]]|
|138:[[Hunting Field(前編) ]]|一ノ瀬ことみ|147:[[一ノ瀬コトミの激走]]|
|138:[[Hunting Field(前編) ]]|大空寺あゆ|143:[[血みどろ天使と金色夜叉]]|
|138:[[Hunting Field(前編) ]]|&color(red){時雨亜沙}||
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