「彼女は眠らぬ山猫の様に、深く静かに休息す」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「彼女は眠らぬ山猫の様に、深く静かに休息す」(2007/07/19 (木) 14:30:19) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
**彼女は眠らぬ山猫の様に、深く静かに休息す ◆/P.KoBaieg
「この辺りがよろしいでしょうね」
亜沙の一団との戦闘後、その場を離脱したネリネがたどり着いたのは、神社の南東側にあたる鬱蒼とした森の一角だった。
そこは、丁度緩やかな上り斜面が一段落する場所であり、周囲を深い草木に覆われ、かなり近づいてみなければ人が
いるかどうか分からないという休息するにはこれ以上に無いうってつけの場所だった。
「ふう……」
周りに自分以外の人間がいないのを確認したネリネは、ディパックを地面に下ろし自らもその場に座り込む。
誰かに見つかることなくゆっくりと休息し、体力と魔力を回復するという目的を考えればここは絶好の場所と言えた。
(ここならば、そう簡単に見つかる事もないでしょう)
その考えの通り、ネリネは神社を無視してあえてここを休息の場に選んだ。
もし、これが以前の彼女ならばストレートに神社へ向かい、社務所か本殿のどこかで休息したはずである。
しかし、今の彼女はこれ以上になく慎重に行動していた。
(もし、神社で休息しているときに人が来たならばその時が一番危険です。それが複数だったならば……)
ネリネは、ここに到るまで何度かの戦闘を経験したが、最初の古手梨花を殺し損じた時を除けば、その後のつぐみ・音夢との遭遇、
二人組みとの博物館における戦い、そして先ほどの亜沙の一団との戦闘はいずれも複数の相手と戦い、いずれも彼女の敗北に終わっている。
「出会ったものは、誰であろうと皆殺し」という覚悟の一方で、ここまでに殺したのは身動きの取れなかった音夢一人だけ……。
そして今、ネリネは体力と魔力を大きく消耗し、これらの回復に稟探索の貴重な時間を割くこととなった。
だが、これらの戦いが単なる徒労に終わったわけではない。
ここまでの戦闘はネリネに経験を積ませ、彼女の冷静さと慎重さ、そして思慮深さを確実に鍛え上げてきたのだ。
その事は、此処を休息の場に選んだ事にもあらわれている。
森の中に存在する、特定のフィールドである「神社」あるいは「学校」には必ず人が集まるはず。
ならば、敢えてそのような場所に立ち寄らず、むしろその近辺で休息し、その場所へやってくる或いは出て行く人間を狙えばよい、というわけだ。
(今後は、単独で行動している人を狙う方がいいかもしれません)
支給品のミネラルウォーターを口に含み、喉を潤しながらネリネは思う。
考えてみれば、最初の失敗を除けばその後に遭遇したのはいずれも複数だった。
しかも、先程の戦闘では永遠神剣“献身”による身体能力の向上を行ない、あと一歩だったにも関わらず不意を突かれた事により後退を余儀なくされた。
結局、身体能力を向上したところで複数の敵を相手にするのは難しいということなのだろう。
ネリネはそう結論付けた上で、今後は一人で行動している者、または既に深い手傷を負っている人間を狙うのがベターだと考え始めていた。
(ですが、それ以上に大事なことがあります……)
ネリネの懸念すべき重要事項、それは「稟の発見」と「自身の魔力」――。
前者については何よりも優先するべき事項だが、ここに来てネリネは後者についても気にし始めていた。
それは「魔力の回復が遅すぎる」という事だ。
自身の攻撃魔法が何らかの手段で封印されている事については、早くから気が付いていたから気にしていない。
だからこそ、亜沙の一団との戦いで“献身”に魔力を送り込み身体能力を向上させて戦ったが、ここへ逃げてくる途中自身の魔力が
戻らない事をおかしいとネリネは感じていた。
最初は肉体の疲労が限界近くにあった為それほど気にかけてなかったが、ここで休息するにあたってまだ魔力が戻ってこないのはおかし過ぎる。
いや、正格に言えば確かに魔力は徐々に回復してきている。
曲者なのは、その「徐々に」という部分だ。
ネリネは魔族でも屈指の魔力を持つ存在である。
その事はかつてバーベナ学園の体育館を吹き飛ばしてみせた事からも明らかだ。
そして、その魔力に比例して非常に高い魔力の回復能力も持ち合わせている。
本来なら、あの戦闘の後でも魔力はそれなりに回復していてもおかしくないはずなのだ。
にも関わらず、あれから戻ってきたと感じられる魔力は微々たる物でしかない。
加えて、“献身”を使った後にネリネが感じた事だが、あまりにも魔力の消耗が早すぎる――。
あの時戦っていたのは時間にして十数分のことだったはず。
しかし今、ネリネの魔力は丸一日休みなしで魔法を使い続けたかの様に酷く消耗している。
それに対し、雀の涙程しか回復しない魔力……。
(どうやら、魔法だけではなく魔力そのものも制限が加えられているみたいですね……)
改めて、この殺人遊戯の主催者が持つ力を認識するネリネ。
しかしその一方で彼女は傍らの“献身”を見つめながら思う。
(魔力を制限する一方で、この様に魔力へ深く関わる物を支給するというのなら、手っ取り早く魔力を回復する道具や手段もこの島にあるはずです)
確かに“献身”は、ただの槍としても用いることが出来るが、ネリネが知る限り“献身”の特性は「魔力を身体能力の増幅に変換できる」「“献身”を通じて魔法が使える」という事だ。
つまりは、所有者が魔力を持つか魔法を使える事が大前提であり、そうでなければ“献身”はただの槍としての意味しかない。
更に、自分の様に魔法を使える者が、何らかの制限が加えられながらも参加させられているというのは、主催者は「魔力を活用して戦ってみろ」と言っているのだろう。
だとすれば、なんらかの方法で驚異的に魔力を回復する支給品、或いは手段があると考えてもおかしくない――。
ネリネはその様に推測したのである。
(もしそのような方法があるのなら、そちらの探索も必要になります)
今のペースで魔力が完全に回復するのを待っていては、あと何日かかるか分からない。
それならば、おそらく存在すると思われる魔力の回復方法を探しだし、強引に魔力を回復するのも一つの手だ。
仮にそれが一生魔法を使えなくなる、あるいは寿命を大きく削るといったリスクの大きなものであっても構わないとネリネは思っている。
稟を守り通して最後に自決する事が自分の基本方針である以上、この島で戦っている間だけ生きていられればいいのだから。
(そうなったら、暫くこの槍を使うのはここぞという時だけにしたほうがいいでしょうね)
ネリネはそう考えながら“献身”を傍らに置いたままディパックから音夢の持っていた九十七式自動砲を取り出す。
新市街でこの銃を使った時は、初めて銃を撃った事とその反動もあって、狙った相手を仕留められなかったが魔力を
回復するまでの間はこれを武器として使えばいいだろう。
弾数が5発と少ないが、サイズから言って殺傷能力はこの銃が最も大きいから一発一殺に徹すれば良いし、弾が尽きれば他の銃を使えばいい。
(だけど、本当に扱いきれるのでしょうか、この銃を……)
神社へ銃口を向けて地面に置かれた九十七式自動砲を見つめながらネリネは思う。
確かにこの銃を「撃つ」ことは自分でも出来るだろう。
しかし、それを「命中させる」となったら不安がある。
どんなに強力な武器を持とうと、それを命中させられねば弾の無駄使い、無用の長物に他ならない。
やはり、ここは体力の回復に専念するしか無いのだろうか……。
(体力……? そう、その方法が有りましたわ!)
何かに気づいたのか、ネリネはその場へうつ伏せに寝そべり右手に九十七式自動砲のグリップを、左手に“献身”を握る。
(そう、自身の体力が無ければそれを他の方法で補えばいいのです)
ネリネが思いついたのは「射撃の間だけ“献身”によって身体能力を向上する」というものだった。
“献身”による身体能力の向上は単に膂力や脚力だけにとどまらない。
それらには聴力や動体視力も含まれてくるのだ。
(この槍で身体能力を強化し、その間に銃を撃てば相手に命中させる事は可能でしょう)
身体能力が向上していれば、銃の反動は膂力で押さえ込めるし、動体視力も向上するわけだから動いている相手にも
弾丸を命中させられる事は出来る。
確かにネリネは魔力をコントロールする事が苦手であるし、余計な量の魔力を“献身”へ送りこんでしまうだろう。
だが「時間を区切って」魔力を送りこむ事は不可能ではない。
この方法をならば、銃器を使うときも魔力を消耗することになるが、先程の戦闘で魔力を垂れ流し同然に“献身”へ注ぎ込む事に比べれば
その消耗はかなり押さえられるはずだ。
(あとは、撃つときのタイミングの問題……。ここで休息している間、実際に銃を撃つわけにもいきませんから、イメージトレーニングしかありませんね)
早速ネリネは目を閉じ、“献身”と銃をそれぞれ手に持ちながら、魔力を送り込みつつ照準を合わせる自分の姿をイメージする。
その間、どうしても稟の顔が浮かんでしまうが、ネリネはそれを自制し改めて集中し始めた。
(稟様……今の間は稟様の事を忘れます。これは稟様をお守りする為に必要なことですから……)
未だ稟を見つけられない事への不安はある。
しかし、今の自分の体力では稟を見つけても守り抜く事は出来ない。
むしろ自分の方が稟に守られる事になりかねない、それでは駄目なのだ。
なればこそ、ネリネは今の間だけ稟の事を忘れて、自分が稟を守り抜き戦うために必要な修練へ傾注する。
森の中、茂みの奥で深く静かに休息しながら、獲物が来るときを待つ山猫の様に……。
【D-4 森(神社の南東)/1日目 時間 午前】
【ネリネ@SHUFFLE】
【装備:永遠神剣第七位“献身” 九十七式自動砲 弾数5/7】
【所持品1:支給品一式 IMI デザートイーグル 10/2+1 IMI デザートイーグル の予備マガジン10】
【所持品2:支給品一式 トカレフTT33の予備マガジン10 S&W M37 エアーウェイト 弾数1/5】
【所持品3:出刃包丁@ひぐらしのなく頃に 祭 コンバットナイフ 朝倉音夢の制服及び生首】
【状態:肉体的疲労極大・魔力消費大、腹部に痣、左腕打撲、右耳に裂傷、左足首に切り傷、非常に強い意志】
【思考・行動】
0:現在休息、体力・魔力回復中及び銃を使うためのイメージトレーニング中
1: 稟を探す。その途中であった人間は皆殺し。知人であろうとも容赦無く殺す(出来る限り単独行動している者を狙う)
2:ハイリスク覚悟で魔力を一気に回復する為の方法、或いはアイテムを探す。
3:神社にやってくる人間&出て行く人間の様子を伺う。
4:出来れば次の定時放送までに純一を見つけ出し、音夢の生首を見せつけ最大級の絶望を味あわせた後で殺す。
5:つぐみの前で武を殺して、その後つぐみも殺す
6:亜沙の一団と決着をつける
7:稟を守り通して自害。
【備考】
私服(ゲーム時の私服に酷似)に着替えました。(汚れた制服はビニールに包んでデイパックの中に)
ネリネの魔法(体育館を吹き飛ばしたやつ)は使用不可能です。
※これはネリネは魔力は大きいけどコントロールは下手なので、 制限の結果使えなくなっただけで他の魔法を使えるキャラの制限とは違う可能性があります。
※永遠神剣第七位“献身”は神剣っていってますが、形は槍です。
※永遠神剣第七位“献身”は制限を受けて、以下のような性能となっています。
永遠神剣の自我は消し去られている。
魔力を送れば送る程、所有者の身体能力を強化する(但し、原作程圧倒的な強化は不可能)。
以下の魔法が使えます。
尚、使える、といってもウインドウィスパー以外は、実際に使った訳では無いので、どの位の強さなのかは後続の書き手に委ねます。
アースプライヤー 回復魔法。単体回復。大地からの暖かな光によって、マナが活性化し傷を癒す。
ウィンドウィスパー 防御魔法。風を身体の周りに纏うことで、僅かな間だけ防御力を高める。
ハーベスト 回復魔法。全体回復。戦闘域そのものを活性化させ、戦う仲間に力を与える。
※古手梨花を要注意人物と判断(容姿のみの情報)
※音夢とつぐみの知り合いに関する情報を知っています。
※音夢の生首は音夢の制服と一緒にビニール袋へ詰め込みディパックの中に入れてます。
※魔力が極端に消耗する事と、回復にひどく時間がかかる(ネリネの魔力なら完全回復まで数日)という事に気が付きました。
※ネリネの休息している場所は神社とホテルの対角線上。神社の敷地外縁から直線距離で約200メートルの地点(地図における深緑の場所)。
※休息している場所からは神社の様子を伺う事が出来ますが、神社の方からネリネの存在を確認することはできません。
※また、草木が生い茂っていますので彼女が休息しているかどうかは余程近づいてみないと確認できません。
※九十七式自動砲はその銃口を神社に向けています(万一の時はいつでも神社へ発射可能ということ)。
|095:[[忘れていた感情]]|投下順に読む|097:[[静かな湖畔?]]|
|093:[[恋獄少女]]|時系列順に読む||
|087:[[魔法少女(後編)]]|ネリネ||
**彼女は眠らぬ山猫の様に、深く静かに休息す ◆/P.KoBaieg
「この辺りがよろしいでしょうね」
亜沙の一団との戦闘後、その場を離脱したネリネがたどり着いたのは、神社の南東側にあたる鬱蒼とした森の一角だった。
そこは、丁度緩やかな上り斜面が一段落する場所であり、周囲を深い草木に覆われ、かなり近づいてみなければ人が
いるかどうか分からないという休息するにはこれ以上に無いうってつけの場所だった。
「ふう……」
周りに自分以外の人間がいないのを確認したネリネは、ディパックを地面に下ろし自らもその場に座り込む。
誰かに見つかることなくゆっくりと休息し、体力と魔力を回復するという目的を考えればここは絶好の場所と言えた。
(ここならば、そう簡単に見つかる事もないでしょう)
その考えの通り、ネリネは神社を無視してあえてここを休息の場に選んだ。
もし、これが以前の彼女ならばストレートに神社へ向かい、社務所か本殿のどこかで休息したはずである。
しかし、今の彼女はこれ以上になく慎重に行動していた。
(もし、神社で休息しているときに人が来たならばその時が一番危険です。それが複数だったならば……)
ネリネは、ここに到るまで何度かの戦闘を経験したが、最初の古手梨花を殺し損じた時を除けば、その後のつぐみ・音夢との遭遇、
二人組みとの博物館における戦い、そして先ほどの亜沙の一団との戦闘はいずれも複数の相手と戦い、いずれも彼女の敗北に終わっている。
「出会ったものは、誰であろうと皆殺し」という覚悟の一方で、ここまでに殺したのは身動きの取れなかった音夢一人だけ……。
そして今、ネリネは体力と魔力を大きく消耗し、これらの回復に稟探索の貴重な時間を割くこととなった。
だが、これらの戦いが単なる徒労に終わったわけではない。
ここまでの戦闘はネリネに経験を積ませ、彼女の冷静さと慎重さ、そして思慮深さを確実に鍛え上げてきたのだ。
その事は、此処を休息の場に選んだ事にもあらわれている。
森の中に存在する、特定のフィールドである「神社」あるいは「学校」には必ず人が集まるはず。
ならば、敢えてそのような場所に立ち寄らず、むしろその近辺で休息し、その場所へやってくる或いは出て行く人間を狙えばよい、というわけだ。
(今後は、単独で行動している人を狙う方がいいかもしれません)
支給品のミネラルウォーターを口に含み、喉を潤しながらネリネは思う。
考えてみれば、最初の失敗を除けばその後に遭遇したのはいずれも複数だった。
しかも、先程の戦闘では永遠神剣“献身”による身体能力の向上を行ない、あと一歩だったにも関わらず不意を突かれた事により後退を余儀なくされた。
結局、身体能力を向上したところで複数の敵を相手にするのは難しいということなのだろう。
ネリネはそう結論付けた上で、今後は一人で行動している者、または既に深い手傷を負っている人間を狙うのがベターだと考え始めていた。
(ですが、それ以上に大事なことがあります……)
ネリネの懸念すべき重要事項、それは「稟の発見」と「自身の魔力」――。
前者については何よりも優先するべき事項だが、ここに来てネリネは後者についても気にし始めていた。
それは「魔力の回復が遅すぎる」という事だ。
自身の攻撃魔法が何らかの手段で封印されている事については、早くから気が付いていたから気にしていない。
だからこそ、亜沙の一団との戦いで“献身”に魔力を送り込み身体能力を向上させて戦ったが、ここへ逃げてくる途中自身の魔力が
戻らない事をおかしいとネリネは感じていた。
最初は肉体の疲労が限界近くにあった為それほど気にかけてなかったが、ここで休息するにあたってまだ魔力が戻ってこないのはおかし過ぎる。
いや、正格に言えば確かに魔力は徐々に回復してきている。
曲者なのは、その「徐々に」という部分だ。
ネリネは魔族でも屈指の魔力を持つ存在である。
その事はかつてバーベナ学園の体育館を吹き飛ばしてみせた事からも明らかだ。
そして、その魔力に比例して非常に高い魔力の回復能力も持ち合わせている。
本来なら、あの戦闘の後でも魔力はそれなりに回復していてもおかしくないはずなのだ。
にも関わらず、あれから戻ってきたと感じられる魔力は微々たる物でしかない。
加えて、“献身”を使った後にネリネが感じた事だが、あまりにも魔力の消耗が早すぎる――。
あの時戦っていたのは時間にして十数分のことだったはず。
しかし今、ネリネの魔力は丸一日休みなしで魔法を使い続けたかの様に酷く消耗している。
それに対し、雀の涙程しか回復しない魔力……。
(どうやら、魔法だけではなく魔力そのものも制限が加えられているみたいですね……)
改めて、この殺人遊戯の主催者が持つ力を認識するネリネ。
しかしその一方で彼女は傍らの“献身”を見つめながら思う。
(魔力を制限する一方で、この様に魔力へ深く関わる物を支給するというのなら、手っ取り早く魔力を回復する道具や手段もこの島にあるはずです)
確かに“献身”は、ただの槍としても用いることが出来るが、ネリネが知る限り“献身”の特性は「魔力を身体能力の増幅に変換できる」「“献身”を通じて魔法が使える」という事だ。
つまりは、所有者が魔力を持つか魔法を使える事が大前提であり、そうでなければ“献身”はただの槍としての意味しかない。
更に、自分の様に魔法を使える者が、何らかの制限が加えられながらも参加させられているというのは、主催者は「魔力を活用して戦ってみろ」と言っているのだろう。
だとすれば、なんらかの方法で驚異的に魔力を回復する支給品、或いは手段があると考えてもおかしくない――。
ネリネはその様に推測したのである。
(もしそのような方法があるのなら、そちらの探索も必要になります)
今のペースで魔力が完全に回復するのを待っていては、あと何日かかるか分からない。
それならば、おそらく存在すると思われる魔力の回復方法を探しだし、強引に魔力を回復するのも一つの手だ。
仮にそれが一生魔法を使えなくなる、あるいは寿命を大きく削るといったリスクの大きなものであっても構わないとネリネは思っている。
稟を守り通して最後に自決する事が自分の基本方針である以上、この島で戦っている間だけ生きていられればいいのだから。
(そうなったら、暫くこの槍を使うのはここぞという時だけにしたほうがいいでしょうね)
ネリネはそう考えながら“献身”を傍らに置いたままディパックから音夢の持っていた九十七式自動砲を取り出す。
新市街でこの銃を使った時は、初めて銃を撃った事とその反動もあって、狙った相手を仕留められなかったが魔力を
回復するまでの間はこれを武器として使えばいいだろう。
弾数が5発と少ないが、サイズから言って殺傷能力はこの銃が最も大きいから一発一殺に徹すれば良いし、弾が尽きれば他の銃を使えばいい。
(だけど、本当に扱いきれるのでしょうか、この銃を……)
神社へ銃口を向けて地面に置かれた九十七式自動砲を見つめながらネリネは思う。
確かにこの銃を「撃つ」ことは自分でも出来るだろう。
しかし、それを「命中させる」となったら不安がある。
どんなに強力な武器を持とうと、それを命中させられねば弾の無駄使い、無用の長物に他ならない。
やはり、ここは体力の回復に専念するしか無いのだろうか……。
(体力……? そう、その方法が有りましたわ!)
何かに気づいたのか、ネリネはその場へうつ伏せに寝そべり右手に九十七式自動砲のグリップを、左手に“献身”を握る。
(そう、自身の体力が無ければそれを他の方法で補えばいいのです)
ネリネが思いついたのは「射撃の間だけ“献身”によって身体能力を向上する」というものだった。
“献身”による身体能力の向上は単に膂力や脚力だけにとどまらない。
それらには聴力や動体視力も含まれてくるのだ。
(この槍で身体能力を強化し、その間に銃を撃てば相手に命中させる事は可能でしょう)
身体能力が向上していれば、銃の反動は膂力で押さえ込めるし、動体視力も向上するわけだから動いている相手にも
弾丸を命中させられる事は出来る。
確かにネリネは魔力をコントロールする事が苦手であるし、余計な量の魔力を“献身”へ送りこんでしまうだろう。
だが「時間を区切って」魔力を送りこむ事は不可能ではない。
この方法をならば、銃器を使うときも魔力を消耗することになるが、先程の戦闘で魔力を垂れ流し同然に“献身”へ注ぎ込む事に比べれば
その消耗はかなり押さえられるはずだ。
(あとは、撃つときのタイミングの問題……。ここで休息している間、実際に銃を撃つわけにもいきませんから、イメージトレーニングしかありませんね)
早速ネリネは目を閉じ、“献身”と銃をそれぞれ手に持ちながら、魔力を送り込みつつ照準を合わせる自分の姿をイメージする。
その間、どうしても稟の顔が浮かんでしまうが、ネリネはそれを自制し改めて集中し始めた。
(稟様……今の間は稟様の事を忘れます。これは稟様をお守りする為に必要なことですから……)
未だ稟を見つけられない事への不安はある。
しかし、今の自分の体力では稟を見つけても守り抜く事は出来ない。
むしろ自分の方が稟に守られる事になりかねない、それでは駄目なのだ。
なればこそ、ネリネは今の間だけ稟の事を忘れて、自分が稟を守り抜き戦うために必要な修練へ傾注する。
森の中、茂みの奥で深く静かに休息しながら、獲物が来るときを待つ山猫の様に……。
【D-4 森(神社の南東)/1日目 時間 午前】
【ネリネ@SHUFFLE】
【装備:永遠神剣第七位“献身” 九十七式自動砲 弾数5/7】
【所持品1:支給品一式 IMI デザートイーグル 10/2+1 IMI デザートイーグル の予備マガジン10】
【所持品2:支給品一式 トカレフTT33の予備マガジン10 S&W M37 エアーウェイト 弾数1/5】
【所持品3:出刃包丁@ひぐらしのなく頃に 祭 コンバットナイフ 朝倉音夢の制服及び生首】
【状態:肉体的疲労極大・魔力消費大、腹部に痣、左腕打撲、右耳に裂傷、左足首に切り傷、非常に強い意志】
【思考・行動】
0:現在休息、体力・魔力回復中及び銃を使うためのイメージトレーニング中
1: 稟を探す。その途中であった人間は皆殺し。知人であろうとも容赦無く殺す(出来る限り単独行動している者を狙う)
2:ハイリスク覚悟で魔力を一気に回復する為の方法、或いはアイテムを探す。
3:神社にやってくる人間&出て行く人間の様子を伺う。
4:出来れば次の定時放送までに純一を見つけ出し、音夢の生首を見せつけ最大級の絶望を味あわせた後で殺す。
5:つぐみの前で武を殺して、その後つぐみも殺す
6:亜沙の一団と決着をつける
7:稟を守り通して自害。
【備考】
私服(ゲーム時の私服に酷似)に着替えました。(汚れた制服はビニールに包んでデイパックの中に)
ネリネの魔法(体育館を吹き飛ばしたやつ)は使用不可能です。
※これはネリネは魔力は大きいけどコントロールは下手なので、 制限の結果使えなくなっただけで他の魔法を使えるキャラの制限とは違う可能性があります。
※永遠神剣第七位“献身”は神剣っていってますが、形は槍です。
※永遠神剣第七位“献身”は制限を受けて、以下のような性能となっています。
永遠神剣の自我は消し去られている。
魔力を送れば送る程、所有者の身体能力を強化する(但し、原作程圧倒的な強化は不可能)。
以下の魔法が使えます。
尚、使える、といってもウインドウィスパー以外は、実際に使った訳では無いので、どの位の強さなのかは後続の書き手に委ねます。
アースプライヤー 回復魔法。単体回復。大地からの暖かな光によって、マナが活性化し傷を癒す。
ウィンドウィスパー 防御魔法。風を身体の周りに纏うことで、僅かな間だけ防御力を高める。
ハーベスト 回復魔法。全体回復。戦闘域そのものを活性化させ、戦う仲間に力を与える。
※古手梨花を要注意人物と判断(容姿のみの情報)
※音夢とつぐみの知り合いに関する情報を知っています。
※音夢の生首は音夢の制服と一緒にビニール袋へ詰め込みディパックの中に入れてます。
※魔力が極端に消耗する事と、回復にひどく時間がかかる(ネリネの魔力なら完全回復まで数日)という事に気が付きました。
※ネリネの休息している場所は神社とホテルの対角線上。神社の敷地外縁から直線距離で約200メートルの地点(地図における深緑の場所)。
※休息している場所からは神社の様子を伺う事が出来ますが、神社の方からネリネの存在を確認することはできません。
※また、草木が生い茂っていますので彼女が休息しているかどうかは余程近づいてみないと確認できません。
※九十七式自動砲はその銃口を神社に向けています(万一の時はいつでも神社へ発射可能ということ)。
|095:[[忘れていた感情]]|投下順に読む|097:[[静かな湖畔?]]|
|093:[[恋獄少女]]|時系列順に読む|098:[[交錯する意志]]|
|087:[[魔法少女(後編)]]|ネリネ|105:[[武人として/鮮血の結末 (前編)]]|
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: