「勇気ある者の選択」(2007/07/18 (水) 11:47:24) の最新版変更点
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**勇気ある者の選択 ◆XiuNNPj.bE
静寂に包まれた住宅街。
薄暗い街灯と、まん丸の月明かりが道を照らしている。
そこに学生服を着た男性が一人、立っていた。
彼、朝倉純一は支給された武器のチェックを行っている。
純一の思考は当初からただ一つ、殺し合いからの脱出だった。
もちろん妹の音夢、従妹のさくら、親友のことり、悪友の杉並。
誰一人欠かさずに脱出。
さらに、出来るならば他の巻き込まれた人も一人でも多く。
かったるいとか言っていられる状況じゃない。
純一は決意を胸に支給武器を確認する。
最初にバッグから出てきた物はちょっと特殊な品だった。
「なんだこれ?」
それは大きな鉄扇。
使いこなすにはかなりの訓練が必要そうだ。
純一は鉄扇を横に置き、残りの支給品を確認する。
「……」
出てきたのはオオアリクイのヌイグルミと古風な器に入れられた怪我を治す薬一式。
純一は二つをバッグに戻し、鉄扇を持つ。
「これしかないか。まあ無いよりマシだろ」
覚悟を決めると同時に、女性の声が耳に届く。
「稟くん、稟くん! どこっ! 返事してっ! おねがいっ、一人にしないで……」
その声はドンドン冷静さを欠いていた。
涙が混じり、声が裏返る。
この殺し合いの最中に大声を出すなど自殺行為でしかない。
油断させておびき寄せて返り討ちにする?
その可能性はもちろんあるが、この声にはそんな計算高さは感じられなかった。
それに落ち着いて考えてみると、見通しが悪い夜に声を張り上げるのはリスクの方が上だ。
的にされる危険の方が高いのだから。
油断させておびき寄せる作戦の可能性は低い。
なにより、貧弱な装備の自分にとっても人殺しを呼び寄せるような行為は一刻も早くやめてほしい。
純一は意を決して、声の主に声をかけることにした。
「声を出してる人、名前は?」
「ひっ!? だ、誰ですか!?」
予想通り少女は怯えていた。
銃口を自分に向けてくる。だがその両手は震えて方向がまるで定まっていなかった。
街灯で顔がよく見える位置にゆっくりと移動して、出来る限りの笑顔で応対する。
「俺は朝倉純一。安心しろ。女の子に危害を加えたりはしない」
楓は純一の笑顔に逆に疑いを覚えるが、銃口を向けても笑顔を崩さない行為に、少しだけ稟の面影を見た。
「ふっ、ふええぇーん!」
楓は稟の面影を純一に重ね、感情が昂って泣き出す。
純一は女の子の頭を撫でて、少しでも早く落ち着かせるように努めた。
数分後。
「もう大丈夫か?」
「はい、純一くんに恥ずかしい姿見せてしまって……申し訳ないです」
「いや、それは別にいいよ。それより名前……」
「あっ。ごめんなさい。芙蓉楓と申します」
「楓か。良い名前だ」
一通り泣いて、楓もようやく落ち着いて会話が出来るようになった。
そしてお互いの知人の情報の交換を行った。
純一は楓の世界の魔王や神王には驚いたが、自分の世界にも色々と驚くべきことはあった。
その延長といえば言いすぎであるが、全然納得出来ないことも無い。
この状況の時点で、すでに十分ありえないことだったから。
楓はリシアンサスの事だけはわざと話さなかった。
話しても意味が無いから。
純一くんを無意味に動揺させないよう、楓なりの気遣いだった、
「ところで楓の武器はその銃だけ?」
「いいえ、もう一つありますけど、物凄く重くて」
楓がバッグから出したそれは、確かに物凄く重く、そして大きかった。
男の純一ですら持てる代物ではない。
「……これは確かに、な」
やむおえず、これはバッグに戻す。
バックに入れると重さを感じないことにわずかに疑問を覚えたが、やはりこの状況の時点で……考えるだけ無駄と悟る。
「……じゃあ行くか。楓と俺と、そして二人の友達全員で元の世界に帰る。絶対に」
「はい。純一くん」
――でも、何となく嫌な予感がする。さくら、お前の魔法と頭の良さなら何とかしてくれるよな。
――杉並、お前なら飄々と脱出方法を見つけ出してくれるよな。
――だから俺は、お前達の代わりに人を一人でも助けるから。音夢もことりも、楓の友達も…絶対に!
純一は今この島のどこかにいる仲間達に誓う、その表情はとても逞しかった。
――稟くんはきっと悲しんでると思う。シアちゃんが死んだから。
――でも…だから私が頑張らないと。
――シアちゃんの分まで…私は稟くんと…そしてみんなと生き残るよ。
楓は死んでいった友に誓った。稟と、そして他の友達と生き残ることを。
【F-4の市街地/1日目 深夜】
【朝倉純一@D.C.P.S.】
【装備:ハクオロの鉄扇@うたわれるもの】
【所持品:支給品一式 エルルゥの傷薬@うたわれるもの オオアリクイのヌイグルミ@Kanon】
【状態:健康、強い決意と正義感】
【思考・行動】
1:音夢、ことり、さくら、杉並を探す。
2:楓の友達(稟、ネリネ、亜沙)を探す。
3:殺し合いからの脱出方法を考える。
基本行動方針
人を殺さない。
【備考】
芙蓉楓の知人の情報を入手しました。
【芙蓉楓@SHUFFLE! ON THE STAGE】
【装備:】 ベレッタ M93R(21/20+1)
【所持品:支給品一式 ブラウニング M2 “キャリバー.50”(ベルト給弾式、残弾200) ベレッタ M93Rの残弾40】
【状態:生き残ることを決意、泣き疲れ】
【思考・行動】
1:稟くんに会いたい
2:亜沙先輩やネリネちゃんにも会いたい
3:純一くんを信じて、行動を共にする。
4:人を殺したくない。
5:シアの分まで生きる。
【備考】
朝倉純一の知人の情報を入手しました。
|000:[[オープニング]]|投下順に読む|002:[[STRANGE ENCOUNTER]]|
|000:[[オープニング]]|時系列順に読む|002:[[STRANGE ENCOUNTER]]|
||朝倉純一|023:[[今、この場で生まれた私達の目的の違い]]|
||芙蓉楓|023:[[今、この場で生まれた私達の目的の違い]]|
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**勇気ある者の選択 ◆XiuNNPj.bE
静寂に包まれた住宅街。
薄暗い街灯と、まん丸の月明かりが道を照らしている。
そこに学生服を着た男性が一人、立っていた。
彼、朝倉純一は支給された武器のチェックを行っている。
純一の思考は当初からただ一つ、殺し合いからの脱出だった。
もちろん妹の音夢、従妹のさくら、親友のことり、悪友の杉並。
誰一人欠かさずに脱出。
さらに、出来るならば他の巻き込まれた人も一人でも多く。
かったるいとか言っていられる状況じゃない。
純一は決意を胸に支給武器を確認する。
最初にバッグから出てきた物はちょっと特殊な品だった。
「なんだこれ?」
それは大きな鉄扇。
使いこなすにはかなりの訓練が必要そうだ。
純一は鉄扇を横に置き、残りの支給品を確認する。
「……」
出てきたのはオオアリクイのヌイグルミと古風な器に入れられた怪我を治す薬一式。
純一は二つをバッグに戻し、鉄扇を持つ。
「これしかないか。まあ無いよりマシだろ」
覚悟を決めると同時に、女性の声が耳に届く。
「稟くん、稟くん! どこっ! 返事してっ! おねがいっ、一人にしないで……」
その声はドンドン冷静さを欠いていた。
涙が混じり、声が裏返る。
この殺し合いの最中に大声を出すなど自殺行為でしかない。
油断させておびき寄せて返り討ちにする?
その可能性はもちろんあるが、この声にはそんな計算高さは感じられなかった。
それに落ち着いて考えてみると、見通しが悪い夜に声を張り上げるのはリスクの方が上だ。
的にされる危険の方が高いのだから。
油断させておびき寄せる作戦の可能性は低い。
なにより、貧弱な装備の自分にとっても人殺しを呼び寄せるような行為は一刻も早くやめてほしい。
純一は意を決して、声の主に声をかけることにした。
「声を出してる人、名前は?」
「ひっ!? だ、誰ですか!?」
予想通り少女は怯えていた。
銃口を自分に向けてくる。だがその両手は震えて方向がまるで定まっていなかった。
街灯で顔がよく見える位置にゆっくりと移動して、出来る限りの笑顔で応対する。
「俺は朝倉純一。安心しろ。女の子に危害を加えたりはしない」
楓は純一の笑顔に逆に疑いを覚えるが、銃口を向けても笑顔を崩さない行為に、少しだけ稟の面影を見た。
「ふっ、ふええぇーん!」
楓は稟の面影を純一に重ね、感情が昂って泣き出す。
純一は女の子の頭を撫でて、少しでも早く落ち着かせるように努めた。
数分後。
「もう大丈夫か?」
「はい、純一くんに恥ずかしい姿見せてしまって……申し訳ないです」
「いや、それは別にいいよ。それより名前……」
「あっ。ごめんなさい。芙蓉楓と申します」
「楓か。良い名前だ」
一通り泣いて、楓もようやく落ち着いて会話が出来るようになった。
そしてお互いの知人の情報の交換を行った。
純一は楓の世界の魔王や神王には驚いたが、自分の世界にも色々と驚くべきことはあった。
その延長といえば言いすぎであるが、全然納得出来ないことも無い。
この状況の時点で、すでに十分ありえないことだったから。
楓はリシアンサスの事だけはわざと話さなかった。
話しても意味が無いから。
純一くんを無意味に動揺させないよう、楓なりの気遣いだった、
「ところで楓の武器はその銃だけ?」
「いいえ、もう一つありますけど、物凄く重くて」
楓がバッグから出したそれは、確かに物凄く重く、そして大きかった。
男の純一ですら持てる代物ではない。
「……これは確かに、な」
やむおえず、これはバッグに戻す。
バックに入れると重さを感じないことにわずかに疑問を覚えたが、やはりこの状況の時点で……考えるだけ無駄と悟る。
「……じゃあ行くか。楓と俺と、そして二人の友達全員で元の世界に帰る。絶対に」
「はい。純一くん」
――でも、何となく嫌な予感がする。さくら、お前の魔法と頭の良さなら何とかしてくれるよな。
――杉並、お前なら飄々と脱出方法を見つけ出してくれるよな。
――だから俺は、お前達の代わりに人を一人でも助けるから。音夢もことりも、楓の友達も…絶対に!
純一は今この島のどこかにいる仲間達に誓う、その表情はとても逞しかった。
――稟くんはきっと悲しんでると思う。シアちゃんが死んだから。
――でも…だから私が頑張らないと。
――シアちゃんの分まで…私は稟くんと…そしてみんなと生き残るよ。
楓は死んでいった友に誓った。稟と、そして他の友達と生き残ることを。
【F-4の市街地/1日目 深夜】
【朝倉純一@D.C.P.S.】
【装備:ハクオロの鉄扇@うたわれるもの】
【所持品:支給品一式 エルルゥの傷薬@うたわれるもの オオアリクイのヌイグルミ@Kanon】
【状態:健康、強い決意と正義感】
【思考・行動】
1:音夢、ことり、さくら、杉並を探す。
2:楓の友達(稟、ネリネ、亜沙)を探す。
3:殺し合いからの脱出方法を考える。
基本行動方針
人を殺さない。
【備考】
芙蓉楓の知人の情報を入手しました。
【芙蓉楓@SHUFFLE! ON THE STAGE】
【装備:】 ベレッタ M93R(21/20+1)
【所持品:支給品一式 ブラウニング M2 “キャリバー.50”(ベルト給弾式、残弾200) ベレッタ M93Rの残弾40】
【状態:生き残ることを決意、泣き疲れ】
【思考・行動】
1:稟くんに会いたい
2:亜沙先輩やネリネちゃんにも会いたい
3:純一くんを信じて、行動を共にする。
4:人を殺したくない。
5:シアの分まで生きる。
【備考】
朝倉純一の知人の情報を入手しました。
|000:[[オープニング]]|投下順に読む|002:[[STRANGE ENCOUNTER]]|
|000:[[オープニング]]|時系列順に読む|002:[[STRANGE ENCOUNTER]]|
||朝倉純一|023:[[今、この場で生まれた私達の目的の違い]]|
||芙蓉楓|023:[[今、この場で生まれた私達の目的の違い]]|
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