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「みんなで広げよう勘違いの輪(後編)」(2007/07/18 (水) 11:40:30) の最新版変更点
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◆
あれから何合仕合っただろうか。徐々に赤坂はトウカの剣に押されて後退し始めていた。
なんとか彼女の攻撃を受け止め、いなし、かわしてはいるものの反撃の機がない。
それほどまでにトウカの攻撃の早さは異常だった。
トンファーでもう何度目かになるかも覚えていない攻撃を受け止め、彼女から離れる。
普段ならばともかく、身体能力の低下している今では長期戦となれば恐らく不利だ。
ふと、鉄塔に視線をやる。少女が送電線に触れたりすることなくその場でおとなしくいるかどうかを確かめるために。
そこでようやく、赤坂は気づく。
(!? いない……)
ずっと鉄塔の上にいると思っていた少女の姿が見えないのだ。
最初は夜の闇に紛れて見えないだけかと思っていたが、雲から月が出でて地上を明るく照らしている今となってはそれはない。
明らかに鉄塔にはいない。ひょっとすると転落した可能性もある。
「どこを見ている!」
(……っ)
気づくとトウカの振るう剣がすぐそこまで来ていた。
慌てて右手でガードするが、咄嗟の行動は大抵の場合良い結果を生み出さない。
衝撃により、唯一の武器といえるトンファーが片方弾き飛ばされてしまった。
(まずいっ)
こうなった以上、接近戦は厳しい。
襲い来る二撃目をもう片方の得物でなんとか防ぐと、先ほどトウカがしたように地を蹴って後方へ下がる。
だがこちらがその隙を逃がさなかったように、向こうもまたこの好機を逃すはずもなく。
「はっ、はっ、でやあっ!」
一閃。二閃。三閃。
それを防ぐ武器の片翼はもがれているため、赤坂はそれを避けつつなおも下がり続け、機を待つしかない。
だがそれをいつまでも許し続けるほどトウカも甘くはない。
「喰らえっ!」
トウカのそれは居合いではなかった。もっと単純で、基本的な動作。
相手側からすると、最も直線的であるが故に迅くて避けにくい厄介な攻撃といえる。
すなわち……突き。彼女の剣の切っ先が、確実に赤坂の喉元を捉えていた。
後方に下がろうとする赤坂と前方へ飛ぼうとするトウカ。その勢いの差は明白だ。
考える間もなく本能で首を左に曲げるが、正確にかわすことはできない。首の右側面の肉が削れたのがわかった。
「もらった!」
トウカは飛んだ先で右足1本で着地すると、更にもう1歩踏み込んできた。
そして剣を突き出したまま、赤坂の右肩口から体を一刀両断にせんとそれを振り下ろす!
「くっ!」
零距離から放たれるトウカの必殺の一撃。
これを防ごうにも右手にトンファーはない。
腕を1本犠牲にするのもありだが、彼女の全体重を乗せたこの攻撃はその程度じゃ防ぐことはできないだろう。
受け流すにしても体勢が悪すぎる。まともに喰らうしかない!
「でやああぁぁぁあああぁああぁあっ!」
ガギィィィン!
……人体を斬ったという割には、あまりにも不適切な音が響いた。
「!? なっ、なんと!」
ここでトウカは驚愕の表情を見せる。
彼女の気合と共に放たれた一撃は、確実に赤坂の体を骨も肉もまとめて両断するはずだった。
今この時には剣はきれいに振り下ろされていて、おびただしく血を噴き出して地に倒れ伏す赤坂が存在するはずだった。
だが現実は違う。
トウカが斬りつけたのは赤坂ではなく、その真後ろにあった鉄塔の鋼管。
赤坂は彼女の攻撃に押されて後退していると見せかけて、徐々に自分の背後に鉄塔が来るように誘導していったのだ。
そしてトウカの剣先が届く直前に体を一瞬沈めた。全てはこの瞬間のため。
いかに切れ味のいい剣とて、さすがに鉄を斬ることはできない。
結果、剣は赤坂を斬るどころかその体に触れることすらあたわず、
トウカの手元を離れて宙を舞った挙句に彼女の左方の地面に転がっていった。
だがトウカ自身はあまりに突然のことで何が起こったのかわからない。
状況を把握しようと努めるが、数瞬の間を置かず赤坂の右拳が彼女の鳩尾に飛んだ。
「ぐっ!」
衝撃が体を貫通する。
倒れまいと足を踏ん張ろうとするが、言うことを聞いてくれなかった。
全身から力が抜け、視界が暗転してゆく。
「む……無念」
その言葉を最後に、トウカの意識は闇に溶けた。
気を失ってこちらに預けてくる形となった彼女の体を抱え上げると、赤坂はすぐ側の地面に寝かせてやって
用心のために落ちていた剣とトンファーを拾い、自分のデイパックの中にしまった。
そして、呟く。
「やれやれ。やっぱり肉弾戦では慣れない武器を扱うより素手のほうが楽だな」
◆
「も、も、も、申し訳ない! 某としたことが……」
「いえ、こちらこそ手荒な真似をしてすみませんでした」
鉄塔の周りには、少女の姿を確認することができなかった。あらためて目をこらして上空を見てもやはりいない。
となると、地上で2人が戦っている内に忽然と姿を消してしまったということになる。
どこに行ってしまったのかはわからないが、この場で意識を失っているトウカを置いていくのも忍びないので
赤坂はそこから立ち去って少女を探すことができずにいた。
戦ってみて思ったことだが、いくら突然襲ってきたとはいえ赤坂には彼女がただの殺し合いに乗った人間だとは思えなかった。
彼女はあまりにも太刀筋がきれいなのだ。心技体の備わった者にしか行き着けない境地。
ひょっとしたら何か誤解しているだけなのかもしれないと、彼女の息が吹き返すのを待って
目覚めたところを……相当取り乱していて、落ち着かせるのに数分を要したが……腹を割って話し合ってみたら案の定だった。
赤坂はある少女……トウカが言うにはアルルゥという名前らしい……を知り合いの娘と勘違いして追っていた。
トウカはその少女の知り合いで、たまたまその光景を目撃して赤坂を狼藉者と勘違いして彼女を護ろうと襲い掛かってきた。
正直、トウカにも非はあるが誤解されるような行動をとった赤坂も悪いといえる。
怪我した左腿の止血をしながら赤坂は己の軽はずみな行為を反省する。
その他に情報交換した結果、
赤坂は彼女が自分の知りうる昔の日本と酷似した、だが明らかに日本ではないところからやってきたことや
彼女の知り合いにはアルルゥの他、ハクオロやエルルゥといった人たちがいて、
名簿で確認する限り彼女自身を含め計6名が飛ばされてきたことも知ることとなる。
……ついでに耳につけているそれはアクセサリーなどではなく、自前であるということも。これには相当驚かされた。
職業上、超常現象や宇宙人なんかを信じるような立場にはいないが
あの梨花の不思議な言動を知る身としては心からそれを否定するわけにもいかない。
現に目の前に人間ではないヒトが存在しているのだ。
ひょっとすると、この殺し合いの主催者であるあのタカノ……どこかで見たことがあるような気もするが……も
この類ではなかろうか、などと思ってしまう。
「しかし、アルルゥ殿は一体どこへ行ってしまわれたというのか……」
「自分からどこかへ行ってしまったという可能性もありますが、もしそうでなければ……何者かに連れ去られたか」
「つ、連れ去られた!?」
トウカはあからさまにショックを受けた顔をしている。
なんとも感情の起伏の激しい人だ、と赤坂は思う。その分裏表のない人であるとも言えるが。
おたおたとしばし慌てていたが、やがて決意したようにトウカは立ち上がる。
「こうしてはおれぬ! アカサカ殿と申したか? 此度の非はいずれ必ず報いてみせる!
だが某、これよりアルルゥ殿を探しに行かねばならぬ! それではこれにて失礼致す!」
「あ、トウカさん待ってくださいっ」
「否! こうしている内にアルルゥ殿や聖上らにもしものことがあれば某、とても会わせる顔がない!」
「……今あなた、丸腰ですよ」
「…………。なっ!? し、しまった! 某としたことが……武士たる者が己の武器の不在に気づかぬとは一生の不覚ッ!」
「…………」
トウカに関して赤坂が見つけ出したものはもう1つ。
この人は日常においては思い込みが激しく、いわゆるうっかり者に属する人間だ。
注意力が散漫といおうか、先の闘いでの集中していた姿とはまるで別人のようだ。
とりあえず赤坂は先ほど回収していた一振りの剣を手渡した。鋼管を斬りつけたせいか、多少刃こぼれしている。
それを見てトウカは少しがっくりしたようではあるが、気を取り直したようにそれを腰にしまい直す。
「では、アカサカ殿。今度こそさらばだ。某、これよりアルルゥ殿を探しに……」
再度トウカがこちらに別れの言葉を告げようとしたその時。
(――――!)
赤坂とトウカはほぼ同時に、一点の場所を向いた。
何者かが近づいている。数は1人だ。アルルゥかと思うが、それにしてはどうも様子がおかしい。
地に落ちている小枝や枯葉を踏み割る音が、彼女のような小柄な少女にしては明らかに重い。
これは成人男性、それもそれなりに体重のある男だ。
(……トウカさん)
(うむ)
互いに顔を見合わせると、やってくる男の姿を影から確認するため2人は相手に気づかれないように
散開してその身を近場に隠し、そのまま息を殺す。
いざとなれば飛び出して一気に取り押さえることも可能だ。
幸いにもこちらの行動に感づいた風もなく、その男はさほどの警戒なしに進んできていた。
他の参加者だろうが、一体どんな奴だろうかと影から顔を覗かせる。
やがて、茂みを掻き分けて『彼』は現れた。
(少年……?)
年の頃は17,8といったところか。学生服を着ていて、見た目的にはごく普通の若者といった風だ。
何やらキョロキョロと周りを見回している。
その右手に刀を納刀している状態で持ち歩いており、腕にはデイパックをぶら下げている。
そして本来そのデイパックがおぶられているべき場所には、獣耳の少女がぐったりとした状態で存在していた。
彼をそれなりに体重のある成人男性と勘違いしたのは、彼女を背負っていたためだということなのだろうが……
……獣耳の、少女。
(アルルゥちゃん!?)
それを赤坂が理解したと同時。
「アルルゥ殿!」
トウカが隠れていた木の陰からその姿を現し、怒りに震える声で叫んだ。
少年が驚いたようにびくっとしてそちらを向く。
「貴様ぁっ! アルルゥ殿に何をしたああああ!」
剣を抜いて一直線に少年に向かって襲い掛かってゆく。
彼は困惑しているようで、「え、え、え?」などと呟くだけであとは立ち尽くしているだけだ。
このままだとまず間違いなく彼女に斬られる。
正直、少年が何者であるかということがわからない内に飛び出したトウカのこの行動は
軽率であると言わざるを得ないが、こうなった以上は仕方ない。
トウカが少年に到達する前にこちらも飛び出して、彼女の激情を収めさせなければ。
(つっ……!?)
そう決断して今いるその場から飛び出そうとした時、赤坂は自身の足が一瞬動かないことに気づいた。
先ほどの闘いで斬られた左の腿だ。
戦闘中はアドレナリンが活性化していたためそうでもなかったが、一旦沈静化した後では
普通に動くならともかく咄嗟に急激な運動をしようとしても足としてのその機能を果たしてくれなかった。
それにより、赤坂のスタートが数秒遅れる。
そして俊足のトウカは、赤坂が痛みを抑えてようやく動き出す頃にはまさに少年に襲い掛からんとしているところだった。
「トウカさんっ!」
「うおおおお! アルルゥ殿の仇!」
「な、ちょ、待った! 俺は別に何もしてな……」
問答無用。聞く耳持たず。
トウカの振るう剣が少年の首を刈り取ろうとしたその時!
「……ぐう~」
――背中の少女の、この緊迫した場面とは場違いななんとも能天気ないびきが聞こえてきた。
◆
「も~~~~~しわけない! 誠に申し訳ない! 某、かくなる上は割腹をもってお詫び申し上げ奉る!」
「いや! いやいやいやンなことやめてくださいってば! ほら俺、実際無傷だし!」
「しかし某、1度ならず2度までも勝手な誤解の末に罪の無い人に襲い掛かるとはまさに一生の不覚!
死~ん~で~お~侘~び~を~!!」
「と、トウカさん大丈夫ですから! 私も彼も、もう特に気にしてませんから!」
「ぐ~」
鉄塔の前で、赤坂とレオはさっきから罪の意識で切腹しようとするトウカをなだめるのに必死だった。
こんなに大声を張り上げることで誰かに見つかるかもしれないという危険性は今のところ全員の思考から抜け落ちている。
アルルゥはといえば、やはりこんな夜中にしばらく追いかけっこしたため疲れが溜まっていたのか
相変わらず側で幸せそうに丸まって眠りこけている。
男2人は心底、できることなら今アルルゥと立場を交代したい衝動に駆られていた。
「ほら、トウカさん! アルルゥちゃんが目覚めた時、貴女がいなくなったと知ったら悲しみますよ!?」
「アルルゥ殿には聖上やエルルゥ殿たちがおられる! 某1人いなくなったところできっと大丈夫であろう!」
「あ、あんた……ええとトウカさんだっけ? この娘を護らなくていいんですか?
あんたがいなくなったら、この娘の危険性が増すだけですって!」
「……ッ! む、むうう……ッ」
トウカの顔が歪んだ。
(ナイスだ、レオくん!)
「そ、そうですよトウカさん。そもそもアルルゥちゃんを護りたいという一心で私とやりあったんでしょう?
そしてこの通り、アルルゥちゃんは無事です。ならば今こそ使命を果たす時じゃないですか!」
「使命……某の、使命……」
「今ここであんたが責任をもって命を捨てたとしても、誰も喜びやしませんって!」
「……たしかに、そうかもしれぬな……某、アルルゥ殿や皆を無事に元のトゥスクルに送り届けねばならぬ!
礼を言おう。アカサカ殿に……」
「レオです。対馬レオ」
「レオ殿!」
どっと疲れが噴出して、2人はその場にへたれこむ。
なんとか説得することができたものの、まさかトウカがここまで思いつめる人種だとは思わなかった。
おかげでなだめすかして話を進めるのにかなり時間をくってしまった。
だが、これでようやく本題に入れる。
赤坂はあぐらをかいて体を丸めているレオに向き直り、あらためて質問を開始する。
「ゴホン……それで、君……対馬レオくん。君はここの近くでこのアルルゥちゃんと出会い、事情を聞いて
私たちの戦闘を止めようとやってきてくれた、と。そういうわけかい?」
「あ……はい」
何故か少し物憂げにレオは返事をする。
あの時――アルルゥがレオの目の前に飛び出してきた時。
アルルゥからすると、ようやく2人のケンカを止められる助けを見つけたという気持ちでいっぱいで
極度の人見知りであるということも一時的に忘れて走ってきたのだが、レオからすればたまったものではなかった。
なにせ、危惧していたとおりに相手が何者かを確認する間もなく突然こちらに突進するのを許してしまったのだから。
今思えばやはり銃は撃つべきだった。納刀した刀で殴りつけるべきだった。
そうでもしなきゃこのアルルゥがもし殺人者だった場合、自分は確実に死んでいる。
……だが引き金を引きかけた瞬間にフカヒレの顔が思い出されて、指があと1歩のところで動かなかったのだ。
結果的には今回はそれでよかったものの、これから毎回このアルルゥと同じような奴が現れるとは限らない。
というかむしろ現れないだろう。
その時のためにも、たとえそれが威嚇目的であろうとも武器を扱うという覚悟が必要だったのに
自分はそれが足りなかったのだ。
その事実が、レオの気持ちを陰鬱とさせていた。
「赤坂さんやトウカさんは、このゲームに乗っていないんですか?」
「ああ」
「当然! エヴェンクルガ族の武士として、このような馬鹿げた遊戯に付き合ってはおれぬ!」
2人は即答してきた。
レオの見たところ、嘘をついているようには見えない。
彼らは自分の探していた、信頼できる仲間なのかもしれないと。そう思えた。
しっかりと自分の意思を持った強い人間だ。この人たちを味方につければこれほど心強いものはない。
武器を扱う覚悟云々は置いておくにしても、そのような人物に出会えたことについてはレオにとって幸運なことだった。
情報交換は続く。
「私はここについてから今のところ、あなた方に出会っただけです。恐らくアルルゥちゃんも同じでしょう。レオくん、君は?」
「あ、俺もです。最初にこの……アルルゥ? に出会って、それからここに来たんで」
「……某は、アカサカ殿たちと出会う前に1度襲撃に遭った」
「襲撃っ!?」
2人は目を見開いて、トウカを見る。
トウカはその時のことを思い出しているようで、顔が憎憎しげに歪んでいる。
何かよほど嫌なことでもあったのだろうか。まあとはいえ、普通は突然の襲撃ほど嫌なこともないだろうが。
「突如として刃物の投擲で狙われたが故に某、にっくき犯人のその姿を拝見することは叶わなかった……が!
この耳はしかとその卑劣な凶悪犯の声を聞き申した!
あれはまるで柄の悪い少年のような口調。しかれども某は確かに覚えている。
あの、最初に皆が一同に介した場において、ある1人の少年が殺されたときに近くに駆け寄っていた少女のことを!
その少女の口調もまた、某が聞いたものとまったく同じ口調であったことを! たしか体格は小柄だったはず。
アカサカ殿、レオ殿、これから小柄な少女を見かけたら重々用心召されよ!」
「え……」
唖然として口を開いたのはレオだ。それも当然のこと。
最初に殺された少年といえば、それはやはりフカヒレだろう。
そしてそこに駆け寄った柄の悪い少年のような口調の少女といえば、彼にとって思い当たるのはたった1人しかいない。
「ちょっと待ってくださいよ!」
「む? どうしたレオ殿」
昂ぶる感情を隠そうともせず、レオはトウカに向かって叫んだ。
心底不思議そうな顔で、彼女はこちらを見つめてくる。その顔がレオには信じられなかった。
「あんたの言う殺された少年ってのは、俺の親友だ! あいつが殺されたとき、俺もその場にいた!」
「むっ!? ……な、なるほど言われてみれば、そなたの顔にもどことなく見覚えがあるような」
「そしてフカヒレに駆け寄った少年みたいな口調の女っていえば、カニの奴しかいない。
こいつも俺の大事な親友なんだ! 俺はあいつのことを誰より知ってる。
馬鹿で騒がしくて乱暴者で負けず嫌いで馬鹿で仕方ない馬鹿な奴だけど、あいつは絶対に自分から進んで人を殺そうなんてしない!
適当なことを言うな!」
あまりのレオの剣幕にトウカは押されかけていたが、
しかしそれでも適当なことと言われては彼女も黙っているわけにもいかない。
自分はたしかに、その少女に襲われたのだから。エヴェンクルガ族の耳は伊達ではない。
レオの迫力に負けないよう、トウカもしっかりと彼の目を見据えて真っ向から反論する。
「否! あれは正真正銘そのカニと申す少女の声であった! 証拠もある! 現場に残されていたのを某が拾ったものだ!」
言いつつ、トウカはデイパックからスペツナズナイフの柄……本人はそれが何なのか正確にはわかっていないが……
という唯一ともいえる状況証拠を取り出してレオに堂々と見せつけた。
これがある限り、自分が襲撃されたという事実は揺るぎはしないと、そういう自負を込めて。
だがそれは一笑に伏されてしまう。
「はっ、それがあるからなんだってんですか? 元々トウカさんに支給されたものかもしれないし、
たまたま落ちてただけかもしれない。いずれにしろこれだけじゃあ、あいつがあんたを襲ったっていう証拠にはなりませんよ!
もしかしてトウカさん、何かの理由があってわざと誰かに罪をなすりつけたいんじゃないんですか!?」
「んなっ、なっ、なっ、なにを!? レオ殿! 言って良いことと悪いことがあるぞッ!」
トウカの顔が見る見る紅潮してゆく。
それは自信満々に出した証拠品を否定されてしまったことの恥からではなく、侮辱されたことへの怒り。
ブルブルと体を震わせ、剣の柄に手を掛けている。
「だってそうじゃないですか! 今んとこ、この場でカニがトウカさんを襲ったって主張してるのはあんた自身しかいない!
目撃者は他に誰もいないんだ! 本当はトウカさんがあいつを襲って失敗して、それをごまかすために言ってるだけかもしれない!
なんたって2回も無実の人を襲撃してますしねえっ!?」
「…………っ! それについての非はたしかにこちらにある……だがっ! それでも、某はたしかに襲撃された!
そのカニと申す少女の手によって! これ以上侮辱するというのであれば、レオ殿とてただではすまさ……」
「 落 ち 着 け 2 人 と も ! ! 」
2人の言い争いを打ち消すかのごとく赤坂の怒号が轟く。
あまりの声の大きさに草木はざわめき、アルルゥは水を浴びせられたかのように飛び起きた。
トウカもレオも、次に口に出そうとしていた言葉を忘れてしまったかのように黙り込んで赤坂のほうを向いた。
一瞬場が沈黙し、そこに先ほどとは打って変わったかのような赤坂の冷静で静かな言葉が挿し込まれる。
「……レオくん。証拠がないとは言うけれど、それは君も同じだ。
君の友達がトウカさんを襲わなかったという証拠は、どこにもない」
「そ、そうだ! アカサカ殿、某はたしかに……」
赤坂は自分の言葉に便乗して主導権を握ろうとするトウカのほうを向く。
「そしてトウカさんも。貴女は声は聞いたと言うけれど、肝心のその娘の姿を目撃していない。
声だけで確信を持つのは、少々危険すぎると思いますがどうでしょうか」
「む……むうう……しかし……」
まだ何か言いたそうではあるが、とりあえずトウカは沈黙した。
正直に言うと赤坂は、彼女の性質上ただの勘違いということも十分有り得ると思っていた。
だがここまで確信を持っているとなると、頭から否定することも難しい。
いずれにせよ、まずは頭を冷やすことが先決なのだ。話し合うのはそれからでいい。
「……いいですよ、赤坂さん」
その時、黙り込んでいたレオが口を開いた。
「なにがだい?」
「トウカさんはまだカニの奴を疑ってるようですし。
だったら俺、あいつに直接問いただしてみせますから。本当に人を襲ったのかってね」
「……?」
「あいつがどこにいるのかはわからないけど、急がないと本当のことがわかる前に死んでしまうかもしれない。
だから俺、一刻も早くあいつを見つけに行きますんで」
その言葉を最後にレオはこちらにぱっと背を向けると、自分のデイパックと刀を掴んで一気に駆け出した。
これは赤坂にとっても予想外のことだ。「待て」と声をかけようにも、あまりに突然のことで反応すらできなかった。
…………。
呆然とレオの後ろ姿を見送るだけの、残された3人。
その内、最初に静寂を破ったのはアルルゥの無邪気な質問だった。
「おにいちゃん、どこいったの?」
その言葉に弾かれたようにして、止まった時が再び動き出す。
「な、え、あ……す、すみませんトウカさん! 私、これからすぐにレオくんを追います!
アルルゥちゃんのことはよろしくお願いします!」
「お、お、お、あ、お、そ、そう、そうか! 了解致した! 任せられい!」
2人の取り乱しようが面白いのか、アルルゥはそれを見てけらけらと笑い出した。
それを見た赤坂は、とりあえずは彼女が元気そうでほっとする。
もう1人、本来の自分の探し人であるあの娘は無事だろうか。
そんなことが気にかかるが、今は対馬レオを追うのが先決だ。
怪我の出血はおさまったものの、この左足で彼に追いつくには少々時間がかかるだろう。
「もしも私が何らかの事情で1時間たっても戻ってこなかったら、その時はそちらも動いていただいてかまいません。
そうなった場合、今日の昼の12時に神社で合流しましょう!」
神社を集合場所に指定したのは、もしかしたらそこに梨花がいるかもしれないという淡い期待を込めたからだ。
トウカが頷くのを確認すると、赤坂は急いでレオの後を追おうと自分の分の荷物を手に取った。
その時、突然トウカに呼び止められる。
「アカサカ殿!」
振り向くと、彼女は剣を掲げて何故か笑みを浮かべていた。
「そなたとの仕合、誠に楽しかった。いずれまたやり合おう……今度は、障害物のないところで」
それは再戦の約束。そして必ず生きてまた会おうという再会の約束。
赤坂もそれに応えて微笑み、握り拳を作ってそれを掲げる。
「ええ、きっと。その時はトウカさんに、空手の真髄を見せてあげますよ」
「カラテ? それはどういう……」
トウカが聞き返そうとした時には既に、赤坂は少々危ない足取りではあるものの走り出していた。
◆
そしてこの場に、無機質な鉄の建造物と2人の同世界からの参加者が取り残される。
アルルゥは状況をいまだ把握していないようで、しきりに赤坂とレオの行方を聞いてきたがやがて眠ってしまった。
行ってしまった2人の身が案じられるが、きっと大丈夫だろうと信じるしかない。
それより、トウカはレオと出会ってからずっと気になっていたことがあった。
「レオ殿の持っていた得物……某の刀に似ていたような……」
【B-6 森(鉄塔付近)/1日目 黎明】
【赤坂衛@ひぐらしのなく頃に】
【装備:デリホウライのトンファー@うたわれるもの】
【所持品:支給品一式、椅子@SHUFFLE!】
【状態:トウカとの戦闘による疲労、左腿に怪我、首筋に軽い傷】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない。
1:対馬レオを連れ戻す。
2:1が達成次第、トウカとアルルゥの元に戻って一緒に人が集まりそうな場所に行く。
3:1が達成できなかった場合、昼の12時に神社へ向かう。
4:大石さんと合流したい。
5:梨花ちゃんが自分の知っている古手梨花かどうか確かめる。
【備考】
赤坂の怒号が周囲に鳴り響きました
【トウカ@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄】
【装備:舞の剣@Kanon】
【所持品:支給品一式、不明支給品0~2(本人確認済み)、スペツナズナイフの柄】
【状態:赤坂との戦闘による疲労】
【思考・行動】
基本:殺し合いはしないが、襲ってくる者は容赦せず斬る
1:アルルゥを守り通す
2:赤坂の帰りを待つ。1時間たって戻ってこなかったら行動開始、昼の12時に神社へ向かう
3:ハクオロ、エルルゥと早急に合流し守る
4:オボロ、カルラと合流、協力しハクオロ等を守る
5:次に蟹沢きぬと出会ったら真偽を問いただす
【備考】
蟹沢きぬが殺し合いに乗っていると疑っています
舞の剣は少々刃こぼれしています
【アルルゥ@うたわれるもの】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式(コンパス、時計、ランタン以外)、ベネリM3の予備弾(12番ゲージ弾)×35】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない。
1:もう一眠りする
2:おとーさんやおねーちゃんたちと合流したい
【備考】
※状況をあまり把握してませんが、赤坂とレオのことは仲間だと認識しました
【C-6森 1日目 黎明】
【対馬レオ@つよきす~Mighty Heart~】
【装備:トウカの刀@うたわれるもの、】
【所持品:FN P90(残弾50)、予備弾薬(5.7mm×28の専用カートリッジ弾)、支給品一式】
【状態:精神が若干不安定】
【思考・行動】
1:カニに真偽を問いただす
2:ひとまず仲間を集めに学校に向かう。
3:生徒会の仲間と合流。
4:前原に会い鷹野の情報を手に入れる。
5:フカヒレの仇を討つ。
基本行動方針:人に接触して仲間に誘う、敵対されたら武力で退ける。
【備考】
レオは魔法の存在に感づきました。鷹野は魔法を使えるのかもしれないと考えています。
赤坂やアルルゥはともかく、トウカのことは微妙に信用しきれていません。
カニについては基本的にトウカの話を信用していません。
|046:[[みんなで広げよう勘違いの輪(前編)]]|投下順に読む|047:[[悲しい決意]]|
|046:[[みんなで広げよう勘違いの輪(前編)]]|時系列順に読む|047:[[悲しい決意]]|
|046:[[みんなで広げよう勘違いの輪(前編)]]|赤坂衛|061:[[下半身に罪はない!~トイレを求めて全力疾走~]]|
|046:[[みんなで広げよう勘違いの輪(前編)]]|トウカ|061:[[下半身に罪はない!~トイレを求めて全力疾走~]]|
|046:[[みんなで広げよう勘違いの輪(前編)]]|アルルゥ|061:[[下半身に罪はない!~トイレを求めて全力疾走~]]|
|046:[[みんなで広げよう勘違いの輪(前編)]]|対馬レオ|055:[[猟人は鬼と獅子]]|
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** みんなで広げよう勘違いの輪(後編) ◆xnSlhy.Xp2
◆
あれから何合仕合っただろうか。徐々に赤坂はトウカの剣に押されて後退し始めていた。
なんとか彼女の攻撃を受け止め、いなし、かわしてはいるものの反撃の機がない。
それほどまでにトウカの攻撃の早さは異常だった。
トンファーでもう何度目かになるかも覚えていない攻撃を受け止め、彼女から離れる。
普段ならばともかく、身体能力の低下している今では長期戦となれば恐らく不利だ。
ふと、鉄塔に視線をやる。少女が送電線に触れたりすることなくその場でおとなしくいるかどうかを確かめるために。
そこでようやく、赤坂は気づく。
(!? いない……)
ずっと鉄塔の上にいると思っていた少女の姿が見えないのだ。
最初は夜の闇に紛れて見えないだけかと思っていたが、雲から月が出でて地上を明るく照らしている今となってはそれはない。
明らかに鉄塔にはいない。ひょっとすると転落した可能性もある。
「どこを見ている!」
(……っ)
気づくとトウカの振るう剣がすぐそこまで来ていた。
慌てて右手でガードするが、咄嗟の行動は大抵の場合良い結果を生み出さない。
衝撃により、唯一の武器といえるトンファーが片方弾き飛ばされてしまった。
(まずいっ)
こうなった以上、接近戦は厳しい。
襲い来る二撃目をもう片方の得物でなんとか防ぐと、先ほどトウカがしたように地を蹴って後方へ下がる。
だがこちらがその隙を逃がさなかったように、向こうもまたこの好機を逃すはずもなく。
「はっ、はっ、でやあっ!」
一閃。二閃。三閃。
それを防ぐ武器の片翼はもがれているため、赤坂はそれを避けつつなおも下がり続け、機を待つしかない。
だがそれをいつまでも許し続けるほどトウカも甘くはない。
「喰らえっ!」
トウカのそれは居合いではなかった。もっと単純で、基本的な動作。
相手側からすると、最も直線的であるが故に迅くて避けにくい厄介な攻撃といえる。
すなわち……突き。彼女の剣の切っ先が、確実に赤坂の喉元を捉えていた。
後方に下がろうとする赤坂と前方へ飛ぼうとするトウカ。その勢いの差は明白だ。
考える間もなく本能で首を左に曲げるが、正確にかわすことはできない。首の右側面の肉が削れたのがわかった。
「もらった!」
トウカは飛んだ先で右足1本で着地すると、更にもう1歩踏み込んできた。
そして剣を突き出したまま、赤坂の右肩口から体を一刀両断にせんとそれを振り下ろす!
「くっ!」
零距離から放たれるトウカの必殺の一撃。
これを防ごうにも右手にトンファーはない。
腕を1本犠牲にするのもありだが、彼女の全体重を乗せたこの攻撃はその程度じゃ防ぐことはできないだろう。
受け流すにしても体勢が悪すぎる。まともに喰らうしかない!
「でやああぁぁぁあああぁああぁあっ!」
ガギィィィン!
……人体を斬ったという割には、あまりにも不適切な音が響いた。
「!? なっ、なんと!」
ここでトウカは驚愕の表情を見せる。
彼女の気合と共に放たれた一撃は、確実に赤坂の体を骨も肉もまとめて両断するはずだった。
今この時には剣はきれいに振り下ろされていて、おびただしく血を噴き出して地に倒れ伏す赤坂が存在するはずだった。
だが現実は違う。
トウカが斬りつけたのは赤坂ではなく、その真後ろにあった鉄塔の鋼管。
赤坂は彼女の攻撃に押されて後退していると見せかけて、徐々に自分の背後に鉄塔が来るように誘導していったのだ。
そしてトウカの剣先が届く直前に体を一瞬沈めた。全てはこの瞬間のため。
いかに切れ味のいい剣とて、さすがに鉄を斬ることはできない。
結果、剣は赤坂を斬るどころかその体に触れることすらあたわず、
トウカの手元を離れて宙を舞った挙句に彼女の左方の地面に転がっていった。
だがトウカ自身はあまりに突然のことで何が起こったのかわからない。
状況を把握しようと努めるが、数瞬の間を置かず赤坂の右拳が彼女の鳩尾に飛んだ。
「ぐっ!」
衝撃が体を貫通する。
倒れまいと足を踏ん張ろうとするが、言うことを聞いてくれなかった。
全身から力が抜け、視界が暗転してゆく。
「む……無念」
その言葉を最後に、トウカの意識は闇に溶けた。
気を失ってこちらに預けてくる形となった彼女の体を抱え上げると、赤坂はすぐ側の地面に寝かせてやって
用心のために落ちていた剣とトンファーを拾い、自分のデイパックの中にしまった。
そして、呟く。
「やれやれ。やっぱり肉弾戦では慣れない武器を扱うより素手のほうが楽だな」
◆
「も、も、も、申し訳ない! 某としたことが……」
「いえ、こちらこそ手荒な真似をしてすみませんでした」
鉄塔の周りには、少女の姿を確認することができなかった。あらためて目をこらして上空を見てもやはりいない。
となると、地上で2人が戦っている内に忽然と姿を消してしまったということになる。
どこに行ってしまったのかはわからないが、この場で意識を失っているトウカを置いていくのも忍びないので
赤坂はそこから立ち去って少女を探すことができずにいた。
戦ってみて思ったことだが、いくら突然襲ってきたとはいえ赤坂には彼女がただの殺し合いに乗った人間だとは思えなかった。
彼女はあまりにも太刀筋がきれいなのだ。心技体の備わった者にしか行き着けない境地。
ひょっとしたら何か誤解しているだけなのかもしれないと、彼女の息が吹き返すのを待って
目覚めたところを……相当取り乱していて、落ち着かせるのに数分を要したが……腹を割って話し合ってみたら案の定だった。
赤坂はある少女……トウカが言うにはアルルゥという名前らしい……を知り合いの娘と勘違いして追っていた。
トウカはその少女の知り合いで、たまたまその光景を目撃して赤坂を狼藉者と勘違いして彼女を護ろうと襲い掛かってきた。
正直、トウカにも非はあるが誤解されるような行動をとった赤坂も悪いといえる。
怪我した左腿の止血をしながら赤坂は己の軽はずみな行為を反省する。
その他に情報交換した結果、
赤坂は彼女が自分の知りうる昔の日本と酷似した、だが明らかに日本ではないところからやってきたことや
彼女の知り合いにはアルルゥの他、ハクオロやエルルゥといった人たちがいて、
名簿で確認する限り彼女自身を含め計6名が飛ばされてきたことも知ることとなる。
……ついでに耳につけているそれはアクセサリーなどではなく、自前であるということも。これには相当驚かされた。
職業上、超常現象や宇宙人なんかを信じるような立場にはいないが
あの梨花の不思議な言動を知る身としては心からそれを否定するわけにもいかない。
現に目の前に人間ではないヒトが存在しているのだ。
ひょっとすると、この殺し合いの主催者であるあのタカノ……どこかで見たことがあるような気もするが……も
この類ではなかろうか、などと思ってしまう。
「しかし、アルルゥ殿は一体どこへ行ってしまわれたというのか……」
「自分からどこかへ行ってしまったという可能性もありますが、もしそうでなければ……何者かに連れ去られたか」
「つ、連れ去られた!?」
トウカはあからさまにショックを受けた顔をしている。
なんとも感情の起伏の激しい人だ、と赤坂は思う。その分裏表のない人であるとも言えるが。
おたおたとしばし慌てていたが、やがて決意したようにトウカは立ち上がる。
「こうしてはおれぬ! アカサカ殿と申したか? 此度の非はいずれ必ず報いてみせる!
だが某、これよりアルルゥ殿を探しに行かねばならぬ! それではこれにて失礼致す!」
「あ、トウカさん待ってくださいっ」
「否! こうしている内にアルルゥ殿や聖上らにもしものことがあれば某、とても会わせる顔がない!」
「……今あなた、丸腰ですよ」
「…………。なっ!? し、しまった! 某としたことが……武士たる者が己の武器の不在に気づかぬとは一生の不覚ッ!」
「…………」
トウカに関して赤坂が見つけ出したものはもう1つ。
この人は日常においては思い込みが激しく、いわゆるうっかり者に属する人間だ。
注意力が散漫といおうか、先の闘いでの集中していた姿とはまるで別人のようだ。
とりあえず赤坂は先ほど回収していた一振りの剣を手渡した。鋼管を斬りつけたせいか、多少刃こぼれしている。
それを見てトウカは少しがっくりしたようではあるが、気を取り直したようにそれを腰にしまい直す。
「では、アカサカ殿。今度こそさらばだ。某、これよりアルルゥ殿を探しに……」
再度トウカがこちらに別れの言葉を告げようとしたその時。
(――――!)
赤坂とトウカはほぼ同時に、一点の場所を向いた。
何者かが近づいている。数は1人だ。アルルゥかと思うが、それにしてはどうも様子がおかしい。
地に落ちている小枝や枯葉を踏み割る音が、彼女のような小柄な少女にしては明らかに重い。
これは成人男性、それもそれなりに体重のある男だ。
(……トウカさん)
(うむ)
互いに顔を見合わせると、やってくる男の姿を影から確認するため2人は相手に気づかれないように
散開してその身を近場に隠し、そのまま息を殺す。
いざとなれば飛び出して一気に取り押さえることも可能だ。
幸いにもこちらの行動に感づいた風もなく、その男はさほどの警戒なしに進んできていた。
他の参加者だろうが、一体どんな奴だろうかと影から顔を覗かせる。
やがて、茂みを掻き分けて『彼』は現れた。
(少年……?)
年の頃は17,8といったところか。学生服を着ていて、見た目的にはごく普通の若者といった風だ。
何やらキョロキョロと周りを見回している。
その右手に刀を納刀している状態で持ち歩いており、腕にはデイパックをぶら下げている。
そして本来そのデイパックがおぶられているべき場所には、獣耳の少女がぐったりとした状態で存在していた。
彼をそれなりに体重のある成人男性と勘違いしたのは、彼女を背負っていたためだということなのだろうが……
……獣耳の、少女。
(アルルゥちゃん!?)
それを赤坂が理解したと同時。
「アルルゥ殿!」
トウカが隠れていた木の陰からその姿を現し、怒りに震える声で叫んだ。
少年が驚いたようにびくっとしてそちらを向く。
「貴様ぁっ! アルルゥ殿に何をしたああああ!」
剣を抜いて一直線に少年に向かって襲い掛かってゆく。
彼は困惑しているようで、「え、え、え?」などと呟くだけであとは立ち尽くしているだけだ。
このままだとまず間違いなく彼女に斬られる。
正直、少年が何者であるかということがわからない内に飛び出したトウカのこの行動は
軽率であると言わざるを得ないが、こうなった以上は仕方ない。
トウカが少年に到達する前にこちらも飛び出して、彼女の激情を収めさせなければ。
(つっ……!?)
そう決断して今いるその場から飛び出そうとした時、赤坂は自身の足が一瞬動かないことに気づいた。
先ほどの闘いで斬られた左の腿だ。
戦闘中はアドレナリンが活性化していたためそうでもなかったが、一旦沈静化した後では
普通に動くならともかく咄嗟に急激な運動をしようとしても足としてのその機能を果たしてくれなかった。
それにより、赤坂のスタートが数秒遅れる。
そして俊足のトウカは、赤坂が痛みを抑えてようやく動き出す頃にはまさに少年に襲い掛からんとしているところだった。
「トウカさんっ!」
「うおおおお! アルルゥ殿の仇!」
「な、ちょ、待った! 俺は別に何もしてな……」
問答無用。聞く耳持たず。
トウカの振るう剣が少年の首を刈り取ろうとしたその時!
「……ぐう~」
――背中の少女の、この緊迫した場面とは場違いななんとも能天気ないびきが聞こえてきた。
◆
「も~~~~~しわけない! 誠に申し訳ない! 某、かくなる上は割腹をもってお詫び申し上げ奉る!」
「いや! いやいやいやンなことやめてくださいってば! ほら俺、実際無傷だし!」
「しかし某、1度ならず2度までも勝手な誤解の末に罪の無い人に襲い掛かるとはまさに一生の不覚!
死~ん~で~お~侘~び~を~!!」
「と、トウカさん大丈夫ですから! 私も彼も、もう特に気にしてませんから!」
「ぐ~」
鉄塔の前で、赤坂とレオはさっきから罪の意識で切腹しようとするトウカをなだめるのに必死だった。
こんなに大声を張り上げることで誰かに見つかるかもしれないという危険性は今のところ全員の思考から抜け落ちている。
アルルゥはといえば、やはりこんな夜中にしばらく追いかけっこしたため疲れが溜まっていたのか
相変わらず側で幸せそうに丸まって眠りこけている。
男2人は心底、できることなら今アルルゥと立場を交代したい衝動に駆られていた。
「ほら、トウカさん! アルルゥちゃんが目覚めた時、貴女がいなくなったと知ったら悲しみますよ!?」
「アルルゥ殿には聖上やエルルゥ殿たちがおられる! 某1人いなくなったところできっと大丈夫であろう!」
「あ、あんた……ええとトウカさんだっけ? この娘を護らなくていいんですか?
あんたがいなくなったら、この娘の危険性が増すだけですって!」
「……ッ! む、むうう……ッ」
トウカの顔が歪んだ。
(ナイスだ、レオくん!)
「そ、そうですよトウカさん。そもそもアルルゥちゃんを護りたいという一心で私とやりあったんでしょう?
そしてこの通り、アルルゥちゃんは無事です。ならば今こそ使命を果たす時じゃないですか!」
「使命……某の、使命……」
「今ここであんたが責任をもって命を捨てたとしても、誰も喜びやしませんって!」
「……たしかに、そうかもしれぬな……某、アルルゥ殿や皆を無事に元のトゥスクルに送り届けねばならぬ!
礼を言おう。アカサカ殿に……」
「レオです。対馬レオ」
「レオ殿!」
どっと疲れが噴出して、2人はその場にへたれこむ。
なんとか説得することができたものの、まさかトウカがここまで思いつめる人種だとは思わなかった。
おかげでなだめすかして話を進めるのにかなり時間をくってしまった。
だが、これでようやく本題に入れる。
赤坂はあぐらをかいて体を丸めているレオに向き直り、あらためて質問を開始する。
「ゴホン……それで、君……対馬レオくん。君はここの近くでこのアルルゥちゃんと出会い、事情を聞いて
私たちの戦闘を止めようとやってきてくれた、と。そういうわけかい?」
「あ……はい」
何故か少し物憂げにレオは返事をする。
あの時――アルルゥがレオの目の前に飛び出してきた時。
アルルゥからすると、ようやく2人のケンカを止められる助けを見つけたという気持ちでいっぱいで
極度の人見知りであるということも一時的に忘れて走ってきたのだが、レオからすればたまったものではなかった。
なにせ、危惧していたとおりに相手が何者かを確認する間もなく突然こちらに突進するのを許してしまったのだから。
今思えばやはり銃は撃つべきだった。納刀した刀で殴りつけるべきだった。
そうでもしなきゃこのアルルゥがもし殺人者だった場合、自分は確実に死んでいる。
……だが引き金を引きかけた瞬間にフカヒレの顔が思い出されて、指があと1歩のところで動かなかったのだ。
結果的には今回はそれでよかったものの、これから毎回このアルルゥと同じような奴が現れるとは限らない。
というかむしろ現れないだろう。
その時のためにも、たとえそれが威嚇目的であろうとも武器を扱うという覚悟が必要だったのに
自分はそれが足りなかったのだ。
その事実が、レオの気持ちを陰鬱とさせていた。
「赤坂さんやトウカさんは、このゲームに乗っていないんですか?」
「ああ」
「当然! エヴェンクルガ族の武士として、このような馬鹿げた遊戯に付き合ってはおれぬ!」
2人は即答してきた。
レオの見たところ、嘘をついているようには見えない。
彼らは自分の探していた、信頼できる仲間なのかもしれないと。そう思えた。
しっかりと自分の意思を持った強い人間だ。この人たちを味方につければこれほど心強いものはない。
武器を扱う覚悟云々は置いておくにしても、そのような人物に出会えたことについてはレオにとって幸運なことだった。
情報交換は続く。
「私はここについてから今のところ、あなた方に出会っただけです。恐らくアルルゥちゃんも同じでしょう。レオくん、君は?」
「あ、俺もです。最初にこの……アルルゥ? に出会って、それからここに来たんで」
「……某は、アカサカ殿たちと出会う前に1度襲撃に遭った」
「襲撃っ!?」
2人は目を見開いて、トウカを見る。
トウカはその時のことを思い出しているようで、顔が憎憎しげに歪んでいる。
何かよほど嫌なことでもあったのだろうか。まあとはいえ、普通は突然の襲撃ほど嫌なこともないだろうが。
「突如として刃物の投擲で狙われたが故に某、にっくき犯人のその姿を拝見することは叶わなかった……が!
この耳はしかとその卑劣な凶悪犯の声を聞き申した!
あれはまるで柄の悪い少年のような口調。しかれども某は確かに覚えている。
あの、最初に皆が一同に介した場において、ある1人の少年が殺されたときに近くに駆け寄っていた少女のことを!
その少女の口調もまた、某が聞いたものとまったく同じ口調であったことを! たしか体格は小柄だったはず。
アカサカ殿、レオ殿、これから小柄な少女を見かけたら重々用心召されよ!」
「え……」
唖然として口を開いたのはレオだ。それも当然のこと。
最初に殺された少年といえば、それはやはりフカヒレだろう。
そしてそこに駆け寄った柄の悪い少年のような口調の少女といえば、彼にとって思い当たるのはたった1人しかいない。
「ちょっと待ってくださいよ!」
「む? どうしたレオ殿」
昂ぶる感情を隠そうともせず、レオはトウカに向かって叫んだ。
心底不思議そうな顔で、彼女はこちらを見つめてくる。その顔がレオには信じられなかった。
「あんたの言う殺された少年ってのは、俺の親友だ! あいつが殺されたとき、俺もその場にいた!」
「むっ!? ……な、なるほど言われてみれば、そなたの顔にもどことなく見覚えがあるような」
「そしてフカヒレに駆け寄った少年みたいな口調の女っていえば、カニの奴しかいない。
こいつも俺の大事な親友なんだ! 俺はあいつのことを誰より知ってる。
馬鹿で騒がしくて乱暴者で負けず嫌いで馬鹿で仕方ない馬鹿な奴だけど、あいつは絶対に自分から進んで人を殺そうなんてしない!
適当なことを言うな!」
あまりのレオの剣幕にトウカは押されかけていたが、
しかしそれでも適当なことと言われては彼女も黙っているわけにもいかない。
自分はたしかに、その少女に襲われたのだから。エヴェンクルガ族の耳は伊達ではない。
レオの迫力に負けないよう、トウカもしっかりと彼の目を見据えて真っ向から反論する。
「否! あれは正真正銘そのカニと申す少女の声であった! 証拠もある! 現場に残されていたのを某が拾ったものだ!」
言いつつ、トウカはデイパックからスペツナズナイフの柄……本人はそれが何なのか正確にはわかっていないが……
という唯一ともいえる状況証拠を取り出してレオに堂々と見せつけた。
これがある限り、自分が襲撃されたという事実は揺るぎはしないと、そういう自負を込めて。
だがそれは一笑に伏されてしまう。
「はっ、それがあるからなんだってんですか? 元々トウカさんに支給されたものかもしれないし、
たまたま落ちてただけかもしれない。いずれにしろこれだけじゃあ、あいつがあんたを襲ったっていう証拠にはなりませんよ!
もしかしてトウカさん、何かの理由があってわざと誰かに罪をなすりつけたいんじゃないんですか!?」
「んなっ、なっ、なっ、なにを!? レオ殿! 言って良いことと悪いことがあるぞッ!」
トウカの顔が見る見る紅潮してゆく。
それは自信満々に出した証拠品を否定されてしまったことの恥からではなく、侮辱されたことへの怒り。
ブルブルと体を震わせ、剣の柄に手を掛けている。
「だってそうじゃないですか! 今んとこ、この場でカニがトウカさんを襲ったって主張してるのはあんた自身しかいない!
目撃者は他に誰もいないんだ! 本当はトウカさんがあいつを襲って失敗して、それをごまかすために言ってるだけかもしれない!
なんたって2回も無実の人を襲撃してますしねえっ!?」
「…………っ! それについての非はたしかにこちらにある……だがっ! それでも、某はたしかに襲撃された!
そのカニと申す少女の手によって! これ以上侮辱するというのであれば、レオ殿とてただではすまさ……」
「 落 ち 着 け 2 人 と も ! ! 」
2人の言い争いを打ち消すかのごとく赤坂の怒号が轟く。
あまりの声の大きさに草木はざわめき、アルルゥは水を浴びせられたかのように飛び起きた。
トウカもレオも、次に口に出そうとしていた言葉を忘れてしまったかのように黙り込んで赤坂のほうを向いた。
一瞬場が沈黙し、そこに先ほどとは打って変わったかのような赤坂の冷静で静かな言葉が挿し込まれる。
「……レオくん。証拠がないとは言うけれど、それは君も同じだ。
君の友達がトウカさんを襲わなかったという証拠は、どこにもない」
「そ、そうだ! アカサカ殿、某はたしかに……」
赤坂は自分の言葉に便乗して主導権を握ろうとするトウカのほうを向く。
「そしてトウカさんも。貴女は声は聞いたと言うけれど、肝心のその娘の姿を目撃していない。
声だけで確信を持つのは、少々危険すぎると思いますがどうでしょうか」
「む……むうう……しかし……」
まだ何か言いたそうではあるが、とりあえずトウカは沈黙した。
正直に言うと赤坂は、彼女の性質上ただの勘違いということも十分有り得ると思っていた。
だがここまで確信を持っているとなると、頭から否定することも難しい。
いずれにせよ、まずは頭を冷やすことが先決なのだ。話し合うのはそれからでいい。
「……いいですよ、赤坂さん」
その時、黙り込んでいたレオが口を開いた。
「なにがだい?」
「トウカさんはまだカニの奴を疑ってるようですし。
だったら俺、あいつに直接問いただしてみせますから。本当に人を襲ったのかってね」
「……?」
「あいつがどこにいるのかはわからないけど、急がないと本当のことがわかる前に死んでしまうかもしれない。
だから俺、一刻も早くあいつを見つけに行きますんで」
その言葉を最後にレオはこちらにぱっと背を向けると、自分のデイパックと刀を掴んで一気に駆け出した。
これは赤坂にとっても予想外のことだ。「待て」と声をかけようにも、あまりに突然のことで反応すらできなかった。
…………。
呆然とレオの後ろ姿を見送るだけの、残された3人。
その内、最初に静寂を破ったのはアルルゥの無邪気な質問だった。
「おにいちゃん、どこいったの?」
その言葉に弾かれたようにして、止まった時が再び動き出す。
「な、え、あ……す、すみませんトウカさん! 私、これからすぐにレオくんを追います!
アルルゥちゃんのことはよろしくお願いします!」
「お、お、お、あ、お、そ、そう、そうか! 了解致した! 任せられい!」
2人の取り乱しようが面白いのか、アルルゥはそれを見てけらけらと笑い出した。
それを見た赤坂は、とりあえずは彼女が元気そうでほっとする。
もう1人、本来の自分の探し人であるあの娘は無事だろうか。
そんなことが気にかかるが、今は対馬レオを追うのが先決だ。
怪我の出血はおさまったものの、この左足で彼に追いつくには少々時間がかかるだろう。
「もしも私が何らかの事情で1時間たっても戻ってこなかったら、その時はそちらも動いていただいてかまいません。
そうなった場合、今日の昼の12時に神社で合流しましょう!」
神社を集合場所に指定したのは、もしかしたらそこに梨花がいるかもしれないという淡い期待を込めたからだ。
トウカが頷くのを確認すると、赤坂は急いでレオの後を追おうと自分の分の荷物を手に取った。
その時、突然トウカに呼び止められる。
「アカサカ殿!」
振り向くと、彼女は剣を掲げて何故か笑みを浮かべていた。
「そなたとの仕合、誠に楽しかった。いずれまたやり合おう……今度は、障害物のないところで」
それは再戦の約束。そして必ず生きてまた会おうという再会の約束。
赤坂もそれに応えて微笑み、握り拳を作ってそれを掲げる。
「ええ、きっと。その時はトウカさんに、空手の真髄を見せてあげますよ」
「カラテ? それはどういう……」
トウカが聞き返そうとした時には既に、赤坂は少々危ない足取りではあるものの走り出していた。
◆
そしてこの場に、無機質な鉄の建造物と2人の同世界からの参加者が取り残される。
アルルゥは状況をいまだ把握していないようで、しきりに赤坂とレオの行方を聞いてきたがやがて眠ってしまった。
行ってしまった2人の身が案じられるが、きっと大丈夫だろうと信じるしかない。
それより、トウカはレオと出会ってからずっと気になっていたことがあった。
「レオ殿の持っていた得物……某の刀に似ていたような……」
【B-6 森(鉄塔付近)/1日目 黎明】
【赤坂衛@ひぐらしのなく頃に】
【装備:デリホウライのトンファー@うたわれるもの】
【所持品:支給品一式、椅子@SHUFFLE!】
【状態:トウカとの戦闘による疲労、左腿に怪我、首筋に軽い傷】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない。
1:対馬レオを連れ戻す。
2:1が達成次第、トウカとアルルゥの元に戻って一緒に人が集まりそうな場所に行く。
3:1が達成できなかった場合、昼の12時に神社へ向かう。
4:大石さんと合流したい。
5:梨花ちゃんが自分の知っている古手梨花かどうか確かめる。
【備考】
赤坂の怒号が周囲に鳴り響きました
【トウカ@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄】
【装備:舞の剣@Kanon】
【所持品:支給品一式、不明支給品0~2(本人確認済み)、スペツナズナイフの柄】
【状態:赤坂との戦闘による疲労】
【思考・行動】
基本:殺し合いはしないが、襲ってくる者は容赦せず斬る
1:アルルゥを守り通す
2:赤坂の帰りを待つ。1時間たって戻ってこなかったら行動開始、昼の12時に神社へ向かう
3:ハクオロ、エルルゥと早急に合流し守る
4:オボロ、カルラと合流、協力しハクオロ等を守る
5:次に蟹沢きぬと出会ったら真偽を問いただす
【備考】
蟹沢きぬが殺し合いに乗っていると疑っています
舞の剣は少々刃こぼれしています
【アルルゥ@うたわれるもの】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式(コンパス、時計、ランタン以外)、ベネリM3の予備弾(12番ゲージ弾)×35】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない。
1:もう一眠りする
2:おとーさんやおねーちゃんたちと合流したい
【備考】
※状況をあまり把握してませんが、赤坂とレオのことは仲間だと認識しました
【C-6森 1日目 黎明】
【対馬レオ@つよきす~Mighty Heart~】
【装備:トウカの刀@うたわれるもの、】
【所持品:FN P90(残弾50)、予備弾薬(5.7mm×28の専用カートリッジ弾)、支給品一式】
【状態:精神が若干不安定】
【思考・行動】
1:カニに真偽を問いただす
2:ひとまず仲間を集めに学校に向かう。
3:生徒会の仲間と合流。
4:前原に会い鷹野の情報を手に入れる。
5:フカヒレの仇を討つ。
基本行動方針:人に接触して仲間に誘う、敵対されたら武力で退ける。
【備考】
レオは魔法の存在に感づきました。鷹野は魔法を使えるのかもしれないと考えています。
赤坂やアルルゥはともかく、トウカのことは微妙に信用しきれていません。
カニについては基本的にトウカの話を信用していません。
|046:[[みんなで広げよう勘違いの輪(前編)]]|投下順に読む|047:[[悲しい決意]]|
|046:[[みんなで広げよう勘違いの輪(前編)]]|時系列順に読む|047:[[悲しい決意]]|
|046:[[みんなで広げよう勘違いの輪(前編)]]|赤坂衛|061:[[下半身に罪はない!~トイレを求めて全力疾走~]]|
|046:[[みんなで広げよう勘違いの輪(前編)]]|トウカ|061:[[下半身に罪はない!~トイレを求めて全力疾走~]]|
|046:[[みんなで広げよう勘違いの輪(前編)]]|アルルゥ|061:[[下半身に罪はない!~トイレを求めて全力疾走~]]|
|046:[[みんなで広げよう勘違いの輪(前編)]]|対馬レオ|055:[[猟人は鬼と獅子]]|
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