ストーリー

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ストーリー


<ストーリー>

 1967年10月7日、千葉市内の公立高校において、当時高校二年生であった岩波文子が魔人として覚醒。クラスメートを中心に、学内の一部にて言語障害、ならびに意思疎通の阻害現象が現れる。通称「岩波事件」の発端である。

 1967年10月8-11日、岩波文子の能力によるものと思われる情報の不整合が、岩波を中心に半円状に拡大。学園外部にも広がる。11日の時点で千葉市内の半ばまでが岩波の能力に汚染されていたと言われる。市民の間に、岩波に対する危機感が蔓延していく。

 1967年10月12日、千葉市の警官十数名が一部市民の後援を受けて、独断により岩波の高校を襲撃。岩波文子、ならびに彼女を守ろうとしたクラスメート男女数名が殺害される。何らの法的根拠も持たない、暴動に等しい事件であったが、警察当局は岩波の危険性を訴え、事件を正当化する。

 1968年4月22日 岩波事件を独自調査していた、さる記者が「岩波事件の真相」なる記事を週刊誌上にて発表。一大センセーションを巻き起こす。後年の研究により、記者の見解は概ね正確なものであったことが判明している。

 岩波事件の真相とはこうである。岩波文子の能力は「バベル2世」(彼女の手記より発見)。他者の認識に影響する能力で、これの影響を受けたものは外部からの情報の受信ならびに外部への情報発信の際に、情報がランダムな外国語へと翻訳され、さらに日本語に再翻訳された後に送受信される。再翻訳の際には日本語は極めて難解な語彙へと置き換えられ、また、誤訳による単語レベルでの変化や、語順の変化などが発生した状態で受け取られる。これにより意思疎通の阻害や、結果としての情報の不整合などの現象が発生する。しかし、これは彼女の身の周り、ごく僅かな範囲においてのみ発現する能力であり、能力範囲の拡大や二次感染などはない。実質的な影響は「友人との会話が多少困難になる」程度。

 だが、岩波の能力が「意思疎通の阻害」であったことが後の悲劇を招く。岩波の能力に関する情報は岩波を中心に人伝いに広がっていき、伝言ゲームの要領でその情報は変化していく。結果として、岩波の能力範囲外においても「情報の不整合」は発生し広がっていった。これを岩波による能力汚染と捉えた人々は、岩波の存在を危険視し始め、わずか五日間で千葉市内は集団ヒステリー状態へと陥る。これにより一部市民の間で暴動が発生。鎮圧に乗り出した警官隊も「情報の不整合」を目の当たりにし、一部が恐慌状態へと陥り、岩波文子のリンチへと繋がったのである。

 千葉市内に見られた大規模な恐慌状態が、岩波の能力それ自体によるものではなく、岩波の能力を誤解した人々により引き起こされたものであることは、岩波に近い位置にいた者ほど彼女のことを怖れていなかったことからも証明される。高校襲撃の際、クラスメートの数名が彼女を庇い、死亡したことからもそれは裏付けられた。

 1968年4月23日、警察当局は週刊誌の発表を全面否定。これに対し、東大など一部の魔人大学生が反発する。以降、岩波事件は魔人差別問題の一環として論じられることとなる。

 1968年4月下旬~5月、一部魔人大学生のアジテーションに扇動され、警察当局に対する非難の声が全国的に高まる。また、関連して魔人の社会的地位向上なども訴えられ始める。魔人にあらぬ一般学生も多くは魔人に協力的な態度を見せ始め、全国的な学生運動へと発展していく。そして、非難の矛先は警察だけでなく、警察の暴行から岩波を守れなかった高校へも向けられるようになる。学園ごとに自然発生的に誕生した魔人の学生運動グループは連合し、全学生魔人共闘会議、通称、「学共闘」の結成に至る。

 1968年6月以降、奇しくも同年、フランスにおいて試験的に学園自治を認める動きが見られたことから、学共闘も学園自治を求める運動を展開する。学園のバリケード封鎖などが行われ、さらに警察側の弾圧に呼応して、武力闘争へと発展していき、全国的に市街戦が散発するようになる。また、警察の魔人公安に煽られ、学共闘内部での内ゲバも発生し始める。

 1969年1月18~19日、東大安田講堂事件発生。安田講堂に立てこもる学共闘を機動隊、魔人機動隊が包囲するも、学共闘側に存在したEFB指定能力者により、警察側は全滅する。この事件を契機に、国会にて『学園自治法』が討議され始める。

 1969年9月、後の世で「世紀の悪法」と呼ばれることになる『学園自治法』の成立が確実視される。戦後、未曾有の規模で発生した学生運動は学生たちの勝利に終わった。この結果を受けて、ほとんどの学生たちは満足し、一時の祭りを終えて社会復帰し始めるが、魔人学生たちは…………。

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