きゃっち★The Rainbow!!(原案) 2話目


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●第2話

その後、30分ほどしてようやく目覚めた俺は、怒り冷めやらぬ夕華に引きずられながら『めんへる会』を後にし、
寝ている間に纏まった話を聞きながら帰途に着いた。
結局のところ、めんへる会の誰かが週単位でローテーションしながらシュゼ(と俺)の面倒をみることで落ち着いたらしい。
当初の予定通りというか、その陰には夕華の強い意見があったことは言うまでもない。
「今度やったら東京湾に沈めるからね」と語る夕華の表情は、これまで見たことがないほどの威圧感を湛えており、
俺は今度こそ過剰なスキンシップは控えようと心に決めた。

次の日には履修申請を一通り終え、あとはシュゼに学内の主要施設を案内したり、
近場を散策したりしながら、俺は久しぶりに心温まる週末を過ごすことができた。

そして、週明けの月曜日。
俺はシュゼとともに、彼女の大学生活で初めてとなる講義を受けていた。
題目は『コンピューター操作方法論(Ⅰ)』。

ブラウザを立ち上げてサイトを閲覧してメールを送って・・・という、小学生でも出来そうな一般教養の講義だ。
一日中パソコンの前にいることの多い俺にはぶっちゃけ面白くも何ともない内容だが、これならシュゼにも何とかなるだろう。
パソコン操作なんて国が変わっても変わるものではないし、大学の授業の雰囲気を味わうには丁度いいと思って、試しに入れてみたのだ。
まあ、俺も3年生まで無事進級できたとはいえ、取得単位はギリギリな状態だ。
これからの一年はまだ一般教養の科目もいくつか取っていかなければならないのだから、そう選り好みもしていられない。
シュゼに加えて「今週のお目付役」となった夕華もいることだし、両手に花だと思えば気分はいいな。

うん、それはいい。それはいいのだが・・・。

【ほのか】「わぁ~、やっぱりパソコン関係の講義は人気高いねー。すっごい人の数!教室に入りきるのかなぁ」
【莉央】「みたところ、ギリギリ大丈夫でしょう。一人分は予備席もありますし、溢れる人はいなさそうですね」
【ほのか】「え?予備?何か特別な設備でもあったっけ?」
【莉央】「いえ。溢れた人の代わりにお嬢様が出ていけばいいんです」
【ほのか】「そんなの聞いてないよ!?で、でも、そうなったら莉央も一緒に出てってくれるんだよね?」
【莉央】「予備は一人分と言ったはずです。私は残りますので」
【ほのか】「うわーん!!」

何故あんたたちまでいる!?
今週は担当じゃなかったろうが!!

【ほのか】「透く~ん、莉央がいじめるよぉ!!」
【莉央】「いじめてなどおりません。これは調教です」
【ほのか】「余計悪いよぉ!ねぇ、透くんも何か言ってあげてよぅ」
【莉央】「ウフフ、透さんも欲望の赴くままに色々仕込んでくださって結構ですよ?」
【ほのか】「えっ、透くんが・・・いやん ///」

そして何故俺に話しかけてくる。しかも下ネタで!!
特にメイド、お前は言動も服装も目立ってるぞ!
お前のせいで俺たちまで白い目で見られてるじゃないか!

【シュゼ】「(わぁ、みんな一緒に授業出れるんだ~。楽しいね、トオルちゃん!)」
【透】「(そうか?俺は激しく不安なんだが・・・)」
【ほのか】「おおっ、流暢なフランス語!さすがは帰国子女!語学だいっ嫌いな私には、透くんがジローラモに見えるよ」
【透】「あれイタリア人だし、俺そんなに老けてないし、毛深くもないし」
【莉央】「何を言っているのですか。お嬢様も、いずれ透さんみたいに外国語を話せるようにならなくてはいけませんよ?
     せっかくですから、透さんとシュゼちゃんから習ったらどうです?」
【ほのか】「えっ!無理、無理!!」
【夕華】「あ、それいいわね!シュゼちゃんの日本語の勉強にもなるし!どう、本当にやってみない?」
【透】「俺としてはうやうやしく辞退させていただきたいところだが・・・。
    第一、こういうのは習うもんじゃなくて慣れの問題だぜ。いっそのこと2年くらい留学しちゃえばいいんじゃね?」

【ほのか】「そんなぁ!透くんは、私が留学先でチョイ悪風のイケメンと恋に落ちて、実はそれがマフィアの若頭で、
      綺麗になれる薬だよとか言われて白い粉飲んでるうちにシャブ漬けになっちゃって、
      クスリのお金を稼ぐために人気のない裏路地で春を売るようになっちゃって、そのうち通りがかった
      敵ファミリーのボスに見初められて、お前のためにカレを殺すとか言われちゃって、
      私をめぐって血で血を洗う抗争劇が始まっちゃってもいいの?」
【透】「いやそれもイタリアだし、想像力逞しすぎだし、そもそも心配いらねーし」
【ほのか】「あっ、いま馬鹿にした!お前みたいな子供体型に引っかかる男はいないって、馬鹿にした!!」
【透】「そこまで言っていない・・・ていうか自覚あったのか」
【ほのか】「ああっ!!心のなかでは思ってたのね、ヒドイっ!!
      優しい人かと思ったのに、透くんはウソつきだっ!!」
【シュゼ】「(トオルちゃん、ホノカ泣かせたの?女の子泣かせちゃダメだよ~)」
【透】「ああ・・・もうカオスすぎる・・・」

お嬢様たちに合わせていると、どんどん話が脇に逸れていく。
ヤバい、この講義を生きて帰れる気がしなくなってきたぞ、俺・・・。

【夕華】「・・・ちょっと透、漫才も程々にしとかないと叱られるよ」

夕華が諌めてくれたおかげで、俺ははっと我に返る。
なるほど、珍獣ショーでも見るかのように周囲の視線は俺たちへと注がれていた。
痛い。痛すぎるっ。
授業が始まる前からこの騒ぎ・・・大丈夫なんだろうか本当に。

【透】「で、何でほのかちゃんたちまで一般教養の講義に出てるんだ。3年なら普通はもう単位取り終えてるだろ?」
【ほのか】「やだなぁ、透くんに逢いたかったからに決まってるじゃん・・・///」
【透】「え゛っ」
【ほのか】「そこは嬉しがったり恥ずかしがったりするところだよぉ!何で本気でイヤそうな声なの!?」
【透】「イヤァ、ソンナコトナイデスヨ?」
【ほのか】「棒読みになってるよ!感情がまったく感じられないよ!!うわぁーん!!」

何だか俺も莉央ちゃんのようなキャラになってきてるような・・・。
しかも、小動物のようなほのかちゃんが俺の一挙手一投足で表情を変える様は、ちょっと楽しかったりして・・・。
イジラレ体質の魔力は何とも恐ろしい。

【透】「それはそうと、実際のところどうなんだ」
【莉央】「実は、お嬢様は昨年もこの講義を受けているのです」
【透】「そうなの?じゃあ何でまた・・・まさか、単位落とした!?」
【ほのか】「違うんだよぅ・・・話すと色々あるから言わないけど」
【透】「?」
【莉央】「お嬢様は、講義を最後まで受けておきながら、講義そのものの履修登録を忘れていて単位にならなかったのです」
【ほのか】「あっ、言っちゃダメぇ~!!」

何という凡ミス・・・。
笑い話としてはよく聞くが、まさか実際にやった奴がいるとは。
大学生にもなって、恥ずかしすぎる失敗だ。
それにしても、登録できていなかったという事実を知った時のほのかちゃんの落胆ぶりはいかほどだったのだろう。
あまりに不憫で、想像もできない。

【透】「じゃあ二人揃って今年度に単位取り直しってことか。そりゃ災難だったな」
【莉央】「いえ、私は昨年度はちゃんと登録して単位取得しましたが?」
【ほのか】「えっ」
【透】「えっ」
【莉央】「えっ」
【ほのか】「・・・莉央、履修登録の時、一緒にいてくれたよね・・・?」
【莉央】「いましたが?」
【ほのか】「履修内容も、合わせて書いてくれてたよね・・・?」
【莉央】「書きましたが?」
【ほのか】「じゃあ、何で一言教えてくれないの~!!?」
【莉央】「ウフフ・・・事実を知って無様にも打ちひしがれるお嬢様の姿・・・可愛かった(ジュン」
【ほのか】「うわぁ~ん!!ひどいよ!!ひどいよぉ!!」

・・・駄目だコイツ、早く何とかしないと。


(途中)