ほのか・莉央 1-1


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; 場所分岐で学食を選択したところから。

【透】「・・・思ったんだが」

【莉央・ほのか】「?」

【透】「俺がお前等と昼飯を一緒に食う理由がない」

【ほのか】「いまさら!?」

何故か学食に来たらコイツらが居たのだ。俺は目立ちたくない(メイドと一緒に飯食ってたら否が応にも目立つだろう)ので、見付からない様にパンでも買って学食を出ようとしたのだが、ダメだった。見た目(抜けてそう)より予想以上にめざといお嬢様に、「あ!透くん!」とか叫ばれてしまい、集めなくても良い周囲の注目を集めまくって、結局メシをご一緒する事になってしまった。ちなみに、今も好奇の視線を浴びまくっている。

【莉央】「めんどくさい人ですね、ご飯を一緒に食べるのに理由がいるんですか?」

【透】「ああ、必要だ。少なくとも今の俺の心情をごまかせる程度の理由が」

出来れば一人静かに空き教室とかで食いたい。っていうか仲間だと思われたくない。今の俺たちは、良くてコスプレサークルの集まり、悪けりゃ個人的趣味でメイドを侍らせている変態といったところだ。

【ほのか】「仲良くなりたいから、じゃだめかなぁ・・・?」

【透】「仲良くするなら人の居ないところにしようぜ」

【ほのか】「え、それって・・・///」

そういう意味じゃない。本意は、「お前らと一緒にいると恥ずかしいから、話しかけるなら人の居ないところを選んでくれ」てな感じだ。このまま言ったら辛辣に過ぎるから、冗談めかして言ってみたんだが、この子はやっぱり見た目(抜けてそう)どおりだった。

【莉央】「私たちと一緒に居るのが恥ずかしいということですか」

【透】「ナイス解釈!!!それでこそ日本人だ!」

だが、"たち"じゃなくて主にお前だ。メイド。

【ほのか】「がーーん」

【透】「古っ」

郷愁すら感じさせるリアクションだ。

【ほのか】「やっぱり莉央ちゃんがメイドの恰好してるのがいけないんだよぉ!ね、ね、今すぐやめよ!莉央ちゃんは普通の恰好のが似合ってるよ!大学にまでメイドの恰好で来ることないよぉ!」

【莉央】「お嬢様が嫌がるからこの恰好をやめられないんです。察して下さい」

嫌がらせでその恰好してるのかよ。気に入ってるとか、メイドとしてのけじめとか、そーゆーのじゃないんだ。

【透】「俺は呆れた」

思わず心情がそのまま吐露された。

【ほのか】「呆れられてるよう」

【莉央】「甘んじて呆れられましょう。ですが、何人たりともこの私の意志を覆すことは出来ません」

【ほのか】「わたしが莉央ちゃんはメイド服でいて欲しいって言ったら・・・?」

【莉央】「お嬢様がそう言うならしょうがないですね、この恰好でいてあげましょう」

【ほのか】「うわーん!!」

【透】「お前は何でコイツをいじめるんだ?」

【莉央】「いじめるとは心外ですね、遊ぶといって下さい」

【ほのか】「・・・いじめだよ」

【透】「ほのかちゃんはこいつに何かしたの?」

【ほのか】「全然こころあたりがないよ?それに、あったとしてもずっと昔のことじゃないかな・・・もう、十数年はこんな感じだもん」

十数年・・・結構長い付き合いなんだな。っていうか、そんな長い間嫌がらせを続けてきて、よくクビにならないなこのメイド。

【莉央】「お嬢様の顔を見ていると何かこう嗜虐心が刺激されますよね」

【透】「同意を求めるな」

【ほのか】「理由も無しに色々嫌がらせを受ける方はたまんないよぉ!」

【透】「例えば、どんな嫌がらせをされるんだ?」

【ほのか】「お嬢様って呼ばれる」

【透】「それはまぁ、事実だから・・・」

【ほのか】「お気に入りに入れておいたページが、同じタイトルのエッチなサイトになってる」

【透】「友達と一緒に見てるときに開くと気まずいな」

【ほのか】「デスクトップの壁紙が、男の人同士がつながっている画像固定になってる」

【透】「起動した時点で既に気まずいな」

【ほのか】「ブラウザのホームページが、女の人の顔がアップで出てきて悲鳴が響き渡るサイトに変えられてる」

【透】「友達の心臓が止まるな。・・・っていうかPC系多いな!」

【莉央】「お嬢様はネットオタクなんです。自室に回線を引いてからは、部屋に引きこもりがちになってしまいまして。ですから私は、お嬢様がパソコン離れするお手伝いを」

【ほのか】「最終的には、マウスカーソルをアイコンに合わせようとすると、アイコンが逃げる様になってました」

ウィルスだそれは。

【透】「引きこもる原因の一端は確実にお前だと思うが」

【莉央】「お嬢様の為です」

【ほのか】「他にも、おでかけ用の服や靴が隠されていたり、外出しようとすると掃除用のバケツごと水をかけられたり、十代からの引きこもりマニュアルとかいう本が朝起きると枕元に置いてあったり・・・」

【透】「むしろ引きこもるように仕向けてるじゃねぇか!」

【莉央】「バレましたか」

【透】「ほくそ笑むな」

【ほのか】「透くん・・・わたしが引きこもったら後は任せたよ・・・」

何を?

【透】「何でこんな話になったんだっけ?」

【ほのか】「透くんが私たちと一緒に居るのが恥ずかしいっていう話からだよ」

そうだった。いつの間にかこいつらとの会話に馴染んでいる自分が怖い。

【莉央】「いっそのこと開き直って私と一緒に執事の恰好でもしてみませんか?」

【透】「開き直る意味がわからない」

【莉央】「お嬢様はそれちょっといいかもとか思ってますよ」

【ほのか】「!?思ってないよ?思ってないからね?」

【莉央】「それでお嬢様が派手目のドレスを着て、髪型を縦ロールにしたら完璧ですね」

何が?

【透】「俺を勝手に嫌がらせの計画に組み込まないでくれ」

【ほのか】「わたし、縦ロールなんかにしないよぉ」

【莉央】「口調も変えなければダメですね。語尾にはですわを付けて下さい」

【透】「何故、テンプレなお嬢様キャラに近付けたがる」

【莉央】「お嬢様には山吹家次期当主に相応しい人間になって頂きたいんです」

【透】「それなら外面より内面を磨かなきゃダメだろ」

【ほのか】「透くんはイイコト言うね~」

【莉央】「中身はもう無理です」

【ほのか】「ひどっ!?」

【透】「・・・諦めるなよ」

【莉央】「お嬢様の教育を任されてきた数年の経験を踏まえて言います。無理です。お嬢様が使用人をアゴで使っている姿を想像出来ますか?」

【透】「・・・アゴで使われている姿ならば想像出来るけども」

【ほのか】「もういいよ透くん・・・わたし明日から派手目のドレス着て縦ロールぶら下げて語尾にですわ付けるキャラになるから・・・」

ほのかはいじけた!

【透】「いやでも、当主としては失格でも、俺はお嬢様然としてない方が話しやすいよ」

【ほのか】「えへへ、それならいいかなぁ」

ほのかの機嫌が直った!

【透】「扱いやすいなオイ!」

【莉央】「もしお嬢様が恋愛シミュレーションゲームの登場キャラなら、確実に初回プレイで落とせる難易度ですよね」

【ほのか】「よくわからないけど、ひどいことを言われている気がするよ?」

【透】「もう少し人を疑う事を覚えた方がいいぞ」

【ほのか】「うん」

【莉央】「そうですね、特に透さんの言うことは疑ってかかった方がいいです」

【透】「何でだよ」

【莉央】「エロゲーの主人公みたいな軽薄そうな面してますから」

【透】「何それ。そういうメタな批判はやめてくんない。っていうか言いがかりだし」

【莉央】「これは失礼。ですが、これだけは覚えておいて下さい。お嬢様を泣かせたら消します」

【透】「何を」

【莉央】「セーブデータを」

【透】「だからそういうメタな発言はやめ・・・っていうか何のセーブデータ?」

【莉央】「透さんがプレイしているゲームのですよ」

【透】「ああ、そっちか。随分地味な嫌がらせだな」

【ほのか】「やられると意外とこたえるよ・・・」

やられたんかい。

【莉央】「お嬢様を泣かせていいのは私だけです」

【透】「お嬢様を泣かせたらのくだりで終わっとけばいい話だったものを・・・」

【ほのか】「オチがついたね!」

明るく言うな。明るく。

<<終>>