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. 太鼓の音が聞こえる。出店の屋根につるされた電球が薄暗い世界をやさしく照らしている。あたりは浴衣を着た人々で埋め尽くされていた。そう、僕は夏祭りに来ていたんだ。
. 祭に行く事にしたきっかけはなんだったかな。家で一人酒をやっていて、夜風に当たろうとふらりと外に出たんだった。そしたら楽しそうな音が聞こえてきて、ふらっとそっちの方へ歩いて行った。そうだった。そうだった。
. 僕はこの幻想的な景色をカメラに収めたい衝動に襲われた。よし、ひとっ走りしてカメラを取りに家に戻ろう。そう思った僕はさっそくきびすを返した。その時、僕はある一点に心を奪われた。
. そこにいたのは齢15,6と思われる少女だった。彼女の黒髪は電球の明かりを受けて宝石のように輝き、瞳は漆黒でつややかだ。肌は透き通るような乳白色。女神の手と思えるほどに神々しい細身の手は胸元に寄せている。
. もはや僕には太鼓の音もあたりの喧噪も聞こえなくなっていた。僕は芸術とも言えるその少女の様子を視界から消えるまで半ば放心状態で見ていた。
. 少女が祭の雑踏に紛れて見えなくなると、僕は我に返った。