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森はどこまで歩いても途切れなかった。 もうかれこれ何時間歩き通しただろうか?行けども行けども視界には樹、樹、樹… 「なんちゅう場所だ…ここは…」 額から流れる汗を拭いつつ彼は巨樹の根と岩でデコボコの道を歩いていた。 幸いにも大森林は熱帯林のような高温多湿では無く湿気はあるがヒンヤリとしていた。 それでも、体を動かす事で発生する体熱を冷やし切る事は出来なかった。 それから約10分ほど彼は歩いた。 すると前を見ても樹しか映らなかった空間が喪失した。 「ん?…まさか」 彼は足取り早くそこへ急ぐ。 近付くにつれ空気がよりヒンヤリする。 足取り早くその空間に到着した彼の瞳に湖が拡がる。 「水…」 彼はそれだけ言うと白い砂浜に跪き両手で湖水を掬い上げ顔に勢いよくかける。 「気持ちいい!」 痛いほど冷たい湖水は一気に顔の体温を下げた。 透き通った水を飲み水分を存分に補給し白い砂浜に寝転ぶ。 樹々の枝葉により今まで空を見る事が出来なかったが湖の上空間には枝葉が無いため空を見る事が出来た。 太陽のように輝く光源が“二つ”空にあった。 「二つの太陽か…」 (やはりここは…) ―日本どころか地球でもなさそうだな… 彼の“もしかして…”を打ち砕いた二つの太陽は今まさに最高点、時間に換算するなら昼の12:00にあった。 「何でこんな事に…?」 真っ青に透き通った空を見上げ彼はぼやいた。 ―なんで俺が… ―誰もいないこんな場所に居るんだよ ―勉強は普通、運動がちょっと出来る位なのにな… ―それに――― 彼はあれこれ考えて居たが気を緩めたのだろうか、そのまま瞳を閉じ寝てしまった。 ---- 「ん・・・?」 そこはなぜだかボンヤリとしている空間だった。 確かに眼には鮮明に映っている、だが何故かボンヤリしていると言った妙な空間だった。 そこは、彼が“前に”いた世界での彼自身の部屋であった。 机に、鞄、テレビにセットされたままになっているゲーム……。 無造作に机に積まれている教科書。 本棚には、乱雑に並べられた小説が並べてある。 連作のものが多いのか1巻・2巻・3巻と並んでいる。 「…俺の部屋だ…」 昨日まで……いや、目覚める前まで“そこ”に居た筈なのに。 “ここ”が異様に懐かしく感じられた。 「………」 そして、次に頭に浮かんだのは (さっきのは……夢…か?) だか、そう考えるにはそこはあまりにもぼやけていた。 あまりにも現実味を欠いた世界だった。 脳裏に浮かぶのは、先ほどまでいた世界。 そこで見たもの、感じたもの- ここと比べてどれほど現実味があったことか……。 冷静に事実を処理していく自分に半ば呆れ、自嘲気味に笑みを浮かべる。  すでにここは『夢』と結論付けている自分にも呆れた笑みでもあった。 -まったく何なんだよ。『今日』は -目覚めたと思ったら、見たことも無い大森林で寝ていて。そこが現実で……。歩きとおして湖に着いて。 -そこで寝て……夢を見て…… 普段からの常識で考えれば『ありえない』という事だった。 昨日まで、まったく普通の学生であったはずの『彼』は普段から考えればまったく『ありえない』事を体験していた。 普通で考えれば発狂もありえなくない状況で、理性をとどめ、冷静である自分に内心、感心していた。 「なんか……、やけに冷静だな。俺」 いまさらの呟きを発し、ベットに腰掛ける。 やわらかい感触、わずかな温もり。 「ベットだ……うん。」 妙に納得しながら、そのまま横たわる彼。 天井を見つめ、特に何も考えることも無くボーっとしている。 廊下からの妙に懐かしく感じられるやかましい足音を聞きながら…。 第2章終わり-
森はどこまで歩いても途切れなかった。 もうかれこれ何時間歩き通しただろうか?行けども行けども視界には樹、樹、樹… 「なんちゅう場所だ…ここは…」 額から流れる汗を拭いつつ彼は巨樹の根と岩でデコボコの道を歩いていた。 幸いにも大森林は熱帯林のような高温多湿では無く湿気はあるがヒンヤリとしていた。 それでも、体を動かす事で発生する体熱を冷やし切る事は出来なかった。 それから約10分ほど彼は歩いた。 すると前を見ても樹しか映らなかった空間が喪失した。 「ん?…まさか」 彼は足取り早くそこへ急ぐ。 近付くにつれ空気がよりヒンヤリする。 足取り早くその空間に到着した彼の瞳に湖が拡がる。 「水…」 彼はそれだけ言うと白い砂浜に跪き両手で湖水を掬い上げ顔に勢いよくかける。 「気持ちいい!」 痛いほど冷たい湖水は一気に顔の体温を下げた。 透き通った水を飲み水分を存分に補給し白い砂浜に寝転ぶ。 樹々の枝葉により今まで空を見る事が出来なかったが湖の上空間には枝葉が無いため空を見る事が出来た。 太陽のように輝く光源が“二つ”空にあった。 「二つの太陽か…」 (やはりここは…) ―日本どころか地球でもなさそうだな… 彼の“もしかして…”を打ち砕いた二つの太陽は今まさに最高点、時間に換算するなら昼の12:00にあった。 「何でこんな事に…?」 真っ青に透き通った空を見上げ彼はぼやいた。 ―なんで俺が… ―誰もいないこんな場所に居るんだよ ―勉強は普通、運動がちょっと出来る位なのにな… ―それに――― 彼はあれこれ考えて居たが気を緩めたのだろうか、そのまま瞳を閉じ寝てしまった。 ---- 「ん・・・?」 そこはなぜだかボンヤリとしている空間だった。 確かに眼には鮮明に映っている、だが何故かボンヤリしていると言った妙な空間だった。 そこは、彼が“前に”いた世界での彼自身の部屋であった。 机に、鞄、テレビにセットされたままになっているゲーム……。 無造作に机に積まれている教科書。 本棚には、乱雑に並べられた小説が並べてある。 連作のものが多いのか1巻・2巻・3巻と並んでいる。 「…俺の部屋だ…」 昨日まで……いや、目覚める前まで“そこ”に居た筈なのに。 “ここ”が異様に懐かしく感じられた。 「………」 そして、次に頭に浮かんだのは (さっきのは……夢…か?) だか、そう考えるにはそこはあまりにもぼやけていた。 あまりにも現実味を欠いた世界だった。 脳裏に浮かぶのは、先ほどまでいた世界。 そこで見たもの、感じたもの- ここと比べてどれほど現実味があったことか……。 冷静に事実を処理していく自分に半ば呆れ、自嘲気味に笑みを浮かべる。  すでにここは『夢』と結論付けている自分にも呆れた笑みでもあった。 -まったく何なんだよ。『今日』は -目覚めたと思ったら、見たことも無い大森林で寝ていて。そこが現実で……。歩きとおして湖に着いて。 -そこで寝て……夢を見て…… 普段からの常識で考えれば『ありえない』という事だった。 昨日まで、まったく普通の学生であったはずの『彼』は普段から考えればまったく『ありえない』事を体験していた。 普通で考えれば発狂もありえなくない状況で、理性をとどめ、冷静である自分に内心、感心していた。 「なんか……、やけに冷静だな。俺」 いまさらの呟きを発し、ベットに腰掛ける。 やわらかい感触、わずかな温もり。 「ベットだ……うん。」 妙に納得しながら、そのまま横たわる彼。 天井を見つめ、特に何も考えることも無くボーっとしている。 廊下からの妙に懐かしく感じられるやかましい足音を聞きながら…。

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