ミズキ、誕生3

第一産婦人科、分娩準備室

「アスカ…頑張って…!」

「フンッ…もちろんよ!」

アスカは額に汗を浮かべながら笑ってくれる。
少しでも僕を心配させないように、笑ってくれている。

「碇アスカさん、分娩室に移動しますよ。
お父さんもどうぞ」

お父さん…
僕が…父親に…

「お父さん、お母さんはこれから必死に戦います。一緒に戦ってあげてくださいね?」

「…はっはい!」


アスカ、頑張ろう。
…一緒に。戦おう。

司令室
ガチャッ…
「…ああわかった。碇、アスカ君が分娩室に入ったそうだ」
「……冬月、後を頼む」
「…ああ、お孫さんによろしくな」

分娩室
「うう゛っ…あ゛ぁぁ!…あぁぁっ!」
アスカが苦痛に呻いている、…僕は応援しか出来ない…。…最低だ…、俺って…

「イヤぁっ!痛っ…シッ…ン…ジッ…助…けぇ…シ……ジィ…ッ!」
「ほら、お母さん頑張って!
お父さんも応援してあげて!一緒に戦うんでしょ!?」
「はっはいぃ!」
アスカの叫びと助産婦さんの声で僕は我に返った。…応援しか出来ないけど…一緒に戦ってるんだ…!

「ほら頭がでてきたわよ!後少し!」
「アスカァッ!頑張って…頑張って!」僕は、イスラフェルと戦った時と同じ感覚だった。
一緒に戦ってる、そう感じたんだ。

「アァッ!…う゛う゛…っ…シンッジ…!…シンジィ…!」
『オギャァーッ』

「おめでとう…これでお母さんね!ほら抱っこしてあげて…」
助産婦さんがアスカに僕たちの子供を抱かせる。

「…おめでとう、アスカ……ありがとう。」
「はぁっ…はぁっ……当然…!…ありがと…シンジ…」
いつの間にか涙が流れ、頬を濡らしていた。

「シンジッ!」
病院に父さんが飛び込んできた、もうアスカもミズキも病室に移っている
「…父…さん……」
「…良く、やったな。
…シンジ、…おめでとう」
「…父さん、…ありがとう…」

…父さんと二人でしばらく泣き続けていた、悲しいわけじゃない。ただ…うれしかった。
そして、看護士さんに案内されミズキのいる育児室に向かった。
「…父さん…、あの子が僕たちの子供…だよ。」
「…私の孫か……フッ…名は決めたのか…?」

父さんから唐突に聞かれた、……父さん、あのこは…
「ミズキ…碇、ミズキだよ」
「…ミズキか。……良い名だ…。」
「…そうだね、…おじいちゃん…」
「…おじいちゃんか、……そうだな。」
父さんは、一通りミズキとアスカの顔を見た後帰っていった。病室で、まだ眠っているアスカに声を掛ける
「アスカ……ありがとう…」
そのまま僕は、眠ってしまった。


『あなたがどこへ行こうと
私はいつもあなたを見てるわ
自分の進む道は
あなたが自分で決めるのよ』


総司令公務室
「碇、アスカ君の産休手続きと特別休暇申請書第参号だ。」
「ああ…判が必要だな、…」
「……なぁ。」
「どうした?」
「…良かったな、お前もおじいちゃんか。」
「フッ…」
「…ああ、碇…」

「おめでとう。」

「…ああ。」

第一産婦人科病室
「アスカ…」
「まぁったく…病院の食事はマズいわね、シンジの作ったのの方が美味しいわ」
「ハハッ、退院したら一杯作ってあげるからさ…」
「シンジ、約束よ?」

碇ミズキ
2027年、5月25日。
碇シンジ、碇アスカの子供として、誕生。

「…アハッ、…ミズキ君か…」
「…新たなる命の誕生はいつみても美しい」
「…全く、ラミエルはカタいよ?」
「タブリス。お主が人に感化されすぎなのだ。…まったく」
「…フフッ……かもね。
…碇ミズキ君…次に逢う時を楽しみにしてるよ…」


終劇
最終更新:2007年03月26日 05:13
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