迎え火~一年半後~3


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6月6日、シンジの誕生日。
今日でシンジは16歳、アタシより半年だけお兄さん。
1年前は同じ位の身長だったのにすっかり追い抜かされちゃった。
夕方から5人でシンジの誕生日パーティ。
まだぎこちないけど、シンジと鈴原の仲もちょっとずつ解れて来たみたい。
ヒカリは気にしないでって言ってくれるけど、シンジは「はい、そうですか」って開き直れる性格じゃない。
気になるならさっさと仲直りすれば良いのに、出来ない所があの二人らしいと言うか何と言うか。
相田も苦労するよね、これじゃ。
まぁ、アタシとヒカリにもそれは当てはまるか…。
料理のメインディッシュはシンジが担当、アタシは付け合わせ担当。
ケーキはミルクレープにした。
お店で買って来ても良かったんだけど、アタシの誕生日の事を思い出したから。
ネルフの喫茶室に特別に頼んでホールでキープして貰った。
ヒカリに怒られながら、余ったケーキを全部食べた鈴原。
バッチリ怒られてる所を相田に撮られる。
去年はこんな事をする所か、誕生日すら忘れてた。
シンジには悪い事しちゃったな…。
でも今年からは違うから。
この先も、毎年一緒に誕生日を祝ってあげられればと思う。
アタシからのプレゼントは新しいチェロの楽譜。
弾ける様になったら一番にアタシに聴かせてね、シンジ。
それにしてもプレゼントを渡す段になって、鈴原も相田もなんて事言い出すのかしら?!
プレゼントはア・タ・シ♪なんて事は絶対に無いんだからっ!
それに……それはもう済ませちゃった様な物だし。
そんな事、絶対ヒカリには話せない…「不潔よーっ!」って騒がれるのがオチね。
因みに鈴原とヒカリからはエプロンが2枚、何故かお揃い。
相田からはまだアタシ達が心を壊す前のスナップのパネル。
何時の間にこんな物撮ってたの?
昼食を食べた後に屋上で飛行機雲を見上げるアタシとシンジ、それを眺めるレイ。
ずっとあの頃のままが良かったなんて言わない。
でも出来れば今、一緒にこの写真を見たかったわ……レイ。

夏。
サードインパクトから1年。
日向さんもマヤも、発令所に倒れていたのを発見された。
お見舞いに行ったら二人共結構元気だった。
ちょっと衰弱して記憶に混乱があったみたいだけど、大した事無いみたい。
また一緒に仕事が出来るって青葉さんが嬉しそうに話してくれた。
アタシ達が直接知ってる職員で、まだ戻って来てないのはこれで副司令だけ。
ミサトはまだ意識が回復してない。
ただ眠っているだけ。
ミサト、アンタはLCLの中でどんな夢を見てるの?
リツコもアンタが目覚めるのを待ってるのよ?
司令だって、辛そうにしてるリツコを見てるのが苦しそうだもの。
アタシもシンジも待ってるのよ?
アンタが戻って来ないと、シンジはずっと苦しむ事になる。
そんなシンジを見ているとアタシも苦しいの。
第一アンタが戻って来ないと、アタシ達の事自慢出来ないじゃない…。
憎み合い、傷付け合ったけど、解り合えて、一番大切だって思える様になったのよ?
色々言いたい事もあるけど、アタシとシンジを引き合わせてくれた事は感謝してるんだから。
だから早く目を覚ましてよ、ミサト。

秋。
大体寒さは去年の冬と同じ位。
日本は四季の美しい国だって聞いていたけど、こんなに綺麗だとは思わなかった。
セカンドインパクト前、とても美しい紅葉が見ることの出来ると言われていた場所の一つが、第3だったなんて信じられない。
ただ暑いだけで山に囲まれただけのつまらない街だと思ってたから。
休日にシンジと二人で箱根山に出掛けた。
遊歩道を歩くと紅葉のトンネルを歩いているみたい。
落ち葉もとても綺麗なのね。
紅葉狩りって表す風習も趣きがあって素敵だと思う。
何枚か持って帰って栞にして、ドイツの両親への手紙の中に同封する。
パパ、ママ、アタシは元気です。
日本と言う美しい四季が廻る国で暮らせる事が出来て、幸せです。
キョウコママが死んじゃってからは、辛い事の方が多かったけど、エヴァが無ければ日本に来る事も無かったから。
やっと2ndチルドレンじゃない、ただの女の子としてのアタシで居られるから。
キョウコママのもう一つの祖国で、アタシは宝物を見付ける事が出来たから。
シンジっていう一番大切な人に出逢えたから。
だから、キョウコママにも伝えて。
アスカは今、とても幸せですって。

「何してたの?」
「ん? 日記読み返してたの。もうすぐ二人で暮らし始めて1年でしょ? 色んな事があったなぁって」
一緒に暮らし始めてもうすぐ1年近くになる。
誕生日が来たら、アタシもシンジと同い年。
「早いね、もうそんなになるのか…」
「やぁね、この間司令とリツコの結婚記念日過ぎた所じゃない」
「そうだっけ?」
「実の父親の結婚記念日忘れる訳? そんな事じゃ薄情だって司令が気を落とすわよ?」
「そういう訳じゃないよ…僕よりもアスカの方が父さんと仲が良いみたいだからさ。よく覚えてるなぁって思って」
「あっきれたぁ…」
「隣同士で住んでるけど、やっぱりちょっとね…以前よりはマシだけど苦手な部分の方がまだ多いよ」
ティーポットにお湯を注ぎながら、シンジは隣の部屋の方向の壁を見つめる。
毎日顔を合わせる訳じゃないけど、仮にも隣同士に住んでいるというのに。
シンジも司令も親子揃って不器用なんだから。
まぁ、その分アタシとリツコが間に入って苦労する事になるのよね。
「でもホント、この1年色々あったよ…父さんと隣同士で住む事なんて考えもしなかったし」
「それはアタシだって同じよ。てっきり親子で住むものだと思ってたし、アタシも寮に入るつもりにしてたから」
「はい、紅茶入ったよ」
「ありがと」

ふと、窓の外を見ればちらちらと雪が舞っている。
「…見て、雪よ。冷える筈だわ」
「これが…雪?」
「今年初めてだから初雪ね。シンジは初めてだったっけ?」
「うん、実物は初めてだ…セカンドインパクト前の記録映像でしか見た事無かったよ」
「どう? ご感想は?」
「氷とはまた別なんだね、見た感じもふわふわしてる気がする」
「積もるともっとふわふわしてるのが判るわよ。クリスマス迄には積もるかしら…」
去年は結局何もせずに終わってしまった。
今年が実質、二人で初めて過ごすクリスマス。
「積もると良いね…」
「うん…積もったら何しようか?」
「雪ダルマに雪兎、かまくらも良いな。みんなで作ろうよ」
「良いわね、それ…でも雪兎は解るんだけど、雪ダルマとかまくらって何?」
「えっとね、雪ダルマは…英語のスノーマンの事。かまくらはテントが一番近いかも知れない」
「雪でテント作るの?」
「喩えだよ、ただの。僕も資料でしか見た事無いけどさ」
ドイツに居た頃は、雪が降ると憂鬱だった。
吹雪いて外に出れないし、太陽の光さえ射す事が稀な事すらあった。
セカンドインパクトの影響で常冬に近い気候だったのも、憂鬱さに拍車を掛けていたかも知れない。
でも、今年はそうじゃないのが嬉しくて。

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