この部屋で一緒に暮らそう


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折角の一緒の休みだと言うのに、アイツったら全く連絡が取れないの。
確かに一緒の職場で、一緒のセクションかも知れないけど、やっぱり同じ日に休める事って少ないのヨ?
一緒じゃない休日以外は毎日会えるけど、アタシ的には全然足りない訳よ。
「……全くぅ、どーこほっつき歩いてるんだか」
そう、休みだと言うのに今日は部屋に帰って来た形跡が無い。
お互いに交換した合鍵で、まだ寝てるのかなと部屋に覗きに来たらこれだもの。
無造作に乱れたベッドの上に脱ぎ散らかしたパジャマ。
洗濯機には数日分の洗濯物が放り込まれたまま。
キッチンのシンクには洗われていない幾つかのコーヒーカップ。
「忙しいのはお互い様だけど、もうちょっと何とかならないものかしらネ?」
どうせラボでそのまま寝ちゃったんだろうなぁ……。
昔はそんな無精じゃなかった筈だけど、これも時の流れってヤツかしら?
そろそろ帰って来いと携帯にラブコールをしてあげるべきか否か、非常に悩むトコロね。
アタシがこんな風に考えてる事なんか、気付きもしないんでしょうけど……。
取り敢えずは溜まった洗濯物から片付けなくちゃね。
その前に先に冷蔵庫に持って来た食材入れてっと…って!
何よ、コレ。
見事な位に空っぽ…ドアのポケットに一本だけ、申し訳なさそうに半分程中身の残ったミネラルウォーターのペットボトル。
「幾ら一人暮らしで気楽だからって、ここまで無精になるのぉ?」
これって、何時ぞやの誰かさんみたいにアルコールじゃないだけマシだと思うべきかしら?

洗濯物を片付けて部屋の掃除を終えて、食事の支度を始める頃には夕方に差し掛かる時間。
単身用の1LDKマンションだから掃除に大して時間が掛かる訳じゃないけど、洗濯物がちょっと多かったわね。
「休みもこれじゃあ意味が無いじゃないのよ…」
愚痴も溢したくなるってものよ、ホント。
だって、休日の度にこんな事繰り返してるんだもの。
単身赴任じゃないんだから、もうちょっと位一緒に過ごす時間が欲しい。
一人で食べる食事も、一人で眠る事も、味気無く感じて生きた心地がしないもの。
アタシの部屋の壁には姿見の鏡が一枚掛かってる。
仕事を終えて帰宅して、一息付く為にダイニングの椅子に座ると、気の抜けた様なアタシの姿が丁度映る位置。
もちろん、そんな事をする為に買った訳じゃない。
アタシが住む単身用の1DKマンションで掛ける場所を探したら、偶然にもダイニングが映る位置だっただけ。
それでも一人寝の寂しさを噛み締めるには充分過ぎた。
一緒に居られない時間が苦痛に思える程、アタシはアイツの事が好きだって事よ。

「後は帰宅を待つばかり…かぁ。それにしても遅いわね」
レタスを洗って千切り、食べる直前まで冷水に晒して鮮度を保つ。
他の野菜は一切入れない、レタスだけのサラダ。
一緒の休みの時にアタシが食事を作る時は、いつもこのサラダを作る。
このサラダの意味に気付くのは何時かしらネ?
妙な事には鋭い癖に普段は朴念仁に近い、超の付く鈍感な愛すべきバカの事ですから、気付くのは当分先に違いないわ。
そのお陰で他の女のアプローチに気付かないで居てくれたのは有難いけれど。
……そんなに何人も居た訳じゃないけどさ。
完熟トマトとホールトマトと玉葱を細かく刻み、バターと塩胡椒とたっぷりな量の合挽肉と一緒に炒める。
玉葱が半透明になったら赤ワインを少し入れて、アルコールを飛ばしてからトマトジュースとコンソメを入れて一煮立ち。
ここからがアタシの腕の見せ所、もう昔のアタシじゃないんだから。
一緒に暮らしてた懐かしき子供時代は、料理に関してはお世辞にも上手くなかったもの。
今はもちろん違うわよ?
アタシ特製のミートソースの隠し味は、ちょっとだけスパイスを効かせる為に辛口のカレールーを一欠け。
トマトに隠れて色も味もカレーだとは判らないけど、スパイスの風味だけは残るのよねぇ。
後はコトコト弱火で煮込むだけ。
たくさん作ったから今日の夕食で余った分は冷凍庫行き。
解凍してパスタを茹でるだけで、簡単にミートパスタの出来上がり。
忙しいと食事を作るのが面倒だと溢すアイツの為のささやかなアタシからの救済策。
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