「お母さんはどうだったの?お父さんと付き合った時とか…」
レイカはまだ少し紅い顔で私に質問を返す。まぁ、この感じだと彼氏なんかはまだ居ないみたいね。勿体無い…
でもシンジは喜びそうね。ふふっ、あの人レイカの事大切にしてるから。
この子が結婚する時なんてどうなる事やら…
「私とシンジ?私の魅力で一撃必殺よ♪」
「もう…お母さん。私は真面目に聞いてるのよ」
冗談って訳でもないんだけどなぁ~。私はシンジと幼馴染みだし小さい時から一緒に居た。シンジが犬に追いかけられた時は私が助けたし、近所のいじめっこにからかわれた時は私がソイツを逆に泣かしたし…
でも―
私が困った時や泣きたくなった時はシンジが私を支えてくれた。
「…てな感じよ。レイカには幼馴染みっていう子が居ないから参考にはならないと思うけど」
「うん。でも…結婚してからも名前で呼び合うお母さん達見てて私、凄く良いなって思えるよ」
娘の一言に私は改めてシンジと結婚して良かったな、って想えた。勿論、喧嘩もしたりしたけどシンジ以外の男の人と幸せになった自分が想像出来ない…
狭い人生観だと思う。結局私は男の人をシンジしか知らない訳だし、人生の大半をシンジと歩んできた。
けど私は胸をはって言える。
「レイカ。私は世界で一番幸せよ。シンジと結婚出来て貴方達を産めた事が」
レイカの髪をクシャッと撫でて私はソファーから立つ。レイカが途中までやってくれた家事を手伝って夕飯を作らないと。今日は私とレイカのスペシャル料理をシンジと息子に食べさせてあげよう。
「レイカ。シンジが帰って来たら今の話してあげたら?おこづかい貰えるかもよ♪」
「は~い♪」
我が家に包丁がまな板に当たる音がトントンとリズミカルに二つ響いていた。
【終わり】
最終更新:2007年06月22日 18:26