好敵手

「今日はハンバーグでも作ろうかなぁ…」

私はスーパーで夕飯の材料をカートに入れながらゆるゆると歩いていた。
すると、目の前に髪の長いまぁ…美人の方に入る見知らぬ女性が手を振って微笑みかけてくる。
私に手を振ってるのかしら?間違えたら恥ずかしいのでそれとなく辺りを見回す。私以外近くに誰も居ないわね…
私は軽く会釈してその女性に近づいた。

「久し振りね」
「え~と…ごめんなさい!どなたでしたっけ?」

彼女は眉をひそませ私を見つめた。ヤバい…怒らせちゃった?適当に相槌打っておいた方が良かったかなぁ。でも、私の性格状それは無理な話で…
しかし彼女はいぶかし気な顔を直ぐに笑顔に変えて話しかけてきた。

「ふふっ、相変わらずねぇ惣流さん」
「惣流さん?…んっ?まさか…」

段々と思い出してきた…この声、髪型は違ってるけど、このしゃべり方は…

「綾波?綾波でしょ!」
「高校以来、ご無沙汰ね。惣流さん♪」

特別で無いただの平凡な日に懐かしくも色々と因縁のある『奴』に七年ぶりに出会ってしまった…

「惣流さん。少し時間平気かしら?」

私は久し振りの再会にただ驚くのみだった。

私達はレジで会計を済ませると近くのカフェに立ち寄った。私が最近見つけたお気に入りのお店。私がショートケーキと紅茶を注文すると彼女はコーヒーを注文した。

「随分買うのね」
「綾波こそお惣菜だけしか買ってないじゃない」

お互い買物袋を見ただけで生活スタイルがわかるまでには歳を重ねたらしい。彼女は高校の時とは比べ物にならない位大人っぽくなっていた。事実、二十歳はお互い越えてる訳だが彼女のコーヒーを唇に傾ける仕草や長い髪をかきあげる仕草に図らずも私はドキリとしてしまう。

「彼氏にご飯を作ってあげるの?惣流さん」
「……綾波。もう私『惣流』じゃないから」

彼女は少し驚いた顔をしたが直ぐ様、柔和な顔で笑顔をつくる。

「結婚したのねおめでとう。で、今は?」
「…………『碇』よ」


暫くの沈黙。私の耳には彼女のコーヒーカップを置く音がやけに大きく響いた。私の記憶が呼び覚まされる高校時代、シンジを取り合ってかなり喧嘩をした事。
私は綾波が当時凄く嫌いだった。難くなに名前を呼ばず名字で呼ぶ私。それにならい彼女…綾波も私を決して名前では呼ばない。クラスの名物になるくらい綾波と私は仲が悪かった。

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最終更新:2007年06月08日 00:47
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