彼女には一つの事実があった。それは父方の祖父の冷徹な陰謀家と父方の祖母の天然腹黒な面を受け継いだ事である。外見は若かりし頃の母を黒髪黒瞳にしたようなものだ。それだけに誰の手にも負えないように見える。
しかし彼女はへっぽこだった。
「誰に似たんだろこの子は」「見た目以外はアンタの血でしょ」「(へっぽこはアスカからのような・・・)」
「・・・おはよう」「あ、レイおばさま、お早うございます~」
私は碇ミライ。そしてこのいい歳して未だ独り身の女は綾波レイ。いつもは仏頂面のくせに、戦友だかなんだか知らないけど・・・パパに対して馴れ馴れしすぎるのよ!パパの将来のお嫁さん第1候補を自認する私にとっては、最大の障壁だ。はっきり言ってママよりも邪魔な存在だと思っている。パパは物心つく前におばあちゃんを亡くしちゃったとか言う訳で、ちょっとマザコン気味の所がある。そして綾波レイの中に母親を求めている・・・パパがこの女を見る目を見てればわかるわ!幸い私にはおじいちゃん譲りの権謀術数を操る手管がある。それを駆使して一刻も早くこの泥棒猫を排除しないと・・・
「泥棒猫で悪かったわね」「へ?!何言ってるんですかおばさま、アハハ~」
なんなの?!これが元使徒の力なの?どうして私が考えている事がわかるの?
「口に出して言ってるからよ」
「…知ってる?私、あなたのパパの浮気相手なの。あなたのママ公認のね」「やっぱりィィィィ!って、ママ公認?」「そう。あなたのパパは優柔不断で、私とママと、どちらも選べなかったの。だから、私とママとで話し合って決めたの。私、子供が産めないから、子供を産めるママがパパと結婚する。そのかわり、時々私にパパを貸してくれるって」「ファ、ファースト!あんた、ミライに話しちゃったの!?」「ママ!」「仕方ないわ。ミライちゃんも大きくなって、そういうことが分かる年齢になっちゃったもの」「…あたし、負けない!ママにもレイおばさんにも負けない!パパはあたしのものにするの!」「どうかしら。碇くんのことだから、今度は私とママとミライちゃん、三人の間で迷うんじゃないかしら」「…レイおばさん。あたしは『現役』よ」「……!」「アスカァ、ミライー、ただいま~」「「「!」」」「あれぇ、三人揃ってどうしたの?」今だ!あたしは壱中の制服姿で、小首をかしげて言った。「碇くん、学校行こ?」「…ミッ、ミライィィィィ!」あたしに抱き着くパパ。凍り付くママとレイおばさん。「「ロリ?」」「碇くん、私、もう来ないから」「シンジ、しばらく別居させてもらうから」二人とも出て行っちゃった。呆然とするパパ。「パパ、あたしがいるじゃない。あたしはパパとずーっと一緒よ」「…そうか、そうだよね。ミライさえいてくれれば…ミライィィィィ」ほらね。パパは、あ・た・し・の・も・の♪
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