新婚旅行の行った先で
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第三新東京市の某空港にて
「まさかワシらがセンセらを見送ることになるとはな」「ゴメンね、トウジ。わざわざ見送りまで来てくれて」修学旅行の時は、シンジとアスカが見送ったが今回は真逆になっていた。「アスカも楽しんできてね」「うん、お土産楽しみにしててね、ヒカリ」「碇~、マカデミヤナッツは勘弁な」ケンスケはファインダー越しに出発ゲートをくぐる二人を見送った。
キィィイイイーーーーーーン・・・
「いい天気、けどやっぱり暑いわねぇ」アスカは空港の出口を抜けると、突き抜けるような青い空を見上げていった。「ちょっと待ってよ、アスカ」二人分のトラベルバッグを引きずりながらアスカから少し遅れてシンジが出てきた。「早く来なさいよ、全くいつまで経ってもトロいんだから」だったら自分の分は自分で持ってよ、とは絶対に口が裂けても言えない。言える筈がない。
「けど、案内の人何処だろう、すぐ分かるからって」来る前にミサトから沖縄に行くならガイドをつけるから、と言われた。しかも、直ぐ分かるから、とも言われた。きょろきょろと周囲を見渡すとアスカがその人物を発見した。「!!!!! シンジ、あれ!」その人物は確かに目立った。それはハタハタと振られている【熱烈歓迎】の旗ではなく、沖縄の空の様に青く澄み切った髪の女性であった。
「めんそ~れ~、 ・・・それは沖縄の方言、いらっしゃいの言葉」「綾波!!」「ファースト!!」そう、ファーストチルドレンこと、綾波レイであった。
「なんで、アンタがここに居るのよ!」「・・・・・・・・・」シンジは綾波が小脇に挟んでいた、古ぼけたガイドブックに気が付いた。
「もしかして・・・ 綾波も来たかった、沖縄?」こくん、と何も言わず首を縦に振った。
「アンタが居たら新婚旅行の意味ないじゃん!」赤の他人であれば、問題なかっただか、一時はいがみ合いもし、シンジをめぐって争った人物にガイドをされたとあったならばお邪魔虫もいいとこである。
「はいはい、落ち着いて、アスカ」「そうだぞ、折角の新婚旅行じゃないか」と後ろから激昂するアスカをなだめる声が聞こえてきた。「そりゃ、そうだけど・・・ってミサト!?加持さん!?」「なんで、また二人が此処に?」
「ちゃんと言ったわよ、守ることしか出来ないって、精一杯守ってあげるわよ!」ミサトは意味もなく自信満々で言いのけた。「じゃあ、加持さんは!?」「俺もセカンド・インパクトで修学旅行どころじゃなかったからな」と言い、遠い視線を空に投げかける加持。「答えになってな~~~~~~~~い!!」「お、落ち着いて、アスカ!」
さらにプリプリと怒り出す妻をどうにかしてなだめかけるシンジに又もや別の人物が「お前も落ち着け、シンジ」「父さん!?」「ほら、アスカ、しっかり」「リツコ!?」今度はアスカとシンジとは別の形で許しあった夫婦が登場。「なんで父さん達も!?」「いや、私もリツコくんとは新婚旅行をして無くてな」「もう、ゲンドウさんたら(ポッ)」
「ネルフ本部はどうすんのよ!」そう、ネルフのエヴァパイロットから作戦部長や技術部長、果てはネルフ司令まで参加しての、もはや団体旅行である。只では済まないだろう。が、リツコは平然と「MAGIがあるから大丈夫よ、それに必要最小限の人員は残して来たから」と言い放った。
沖縄から遠い第三新東京市の本部では・・・「なあ、マコト」「なんだよ、シゲル」「俺たちって・・・」「言うな、かえって辛くなる」「碇、帰ってきたら只では済まさんぞ・・・!」「センパ~イ!」取り残された者たちの怨恨の叫びが響いていた。
「もう、イィヤァァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」そして沖縄でもアスカの虚しい叫び声が青い空のもと、何処までも何処までも響き渡っていた。
続く?
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あとがきHDDに残ってた残骸です。かなり前のSSなのでこっちに載せました。気付いて頂ければ幸いです。続きは・・・どうしよう? 出来ても相当先だと思います、では。
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