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<p>今日はミサトが遊びに来た。ミサトのくせに生意気にも<br />
子連れだ。ズボラ女に家事も育児も務まるわけがない。<br />
加地さんは家事もこなすのかしら。ミライは、ミサトの<br />
娘のアリサちゃんと二人で大はしゃぎ。はしゃぎ疲れて<br />
二人ともソファーで寝てしまった。風邪を引かれると<br />
面倒なので、二人に毛布を掛けてやった。<br />
「うるさいのがやっと静かになったわね。お茶入れるわ」<br />
「ありがとう……でもアスカ、ちゃんとお母さんしてん<br />
のね。意外だなー」<br />
「…それをミサトが言うわけ?」<br />
「アハハそれは言わないでよ。最近はアリサに『ママ、<br />
ちゃんとお片付けしなさい』って怒られるんだから」<br />
「アリサちゃんは加地さん似なのかしら」<br />
「かもねーアハハ。…でも正直な話、あの頃の貴女を見て<br />
いたら、とても家庭に収まるタイプには思えなかった」<br />
「そう…ね。ぶっちゃけ自分でもそう思う。あの頃の<br />
ままだったら結婚もしてなかったかも」</p>
<p>242 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 19:32:34 ID:???</p>
<p>「それがなぜ変わったの?」<br />
「……結局は、あの戦いよ。昔は、自分は特別な人間に<br />
なるんだって決めてた。そうなるのが当然だって思ってた。<br />
でも、あの戦いがあたしを変えたの。『選ばれし者』<br />
になるのなんか、もうたくさん。シンジと結婚して、<br />
あの子が生まれて、初めて自分で抱いた時に決めたの。<br />
もう自分のためだけに生きるのはやめよう。この子と<br />
彼のために生きてみようって。それがあたしなりの<br />
エヴァとの決着の付け方。ねぇ信じられる?セカンド<br />
チルドレンは専業主婦で、サードはしがないサラリー<br />
マンよ?笑っちゃうよねぇ」<br />
「でも幸せでしょ?」<br />
「うん。…結局、全ての人には、それぞれ相応しい場所<br />
があるの。あたし達には主婦やサラリーマンがそうで、<br />
エヴァのパイロットの座はそうじゃなかった。でも、世界を<br />
救う英雄が務まっても、主婦やサラリーマンが務まらない</p>
<p>243 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの[sage] 投稿日:2008/05/09(金) 19:34:04 ID:???</p>
<p>人もいるはず。あたしは、シンジには英雄にも神話にも<br />
なって欲しくない。真面目が取り柄のサラリーマンで、<br />
家では子煩悩なパパでいてくれれば、後は何も望まない」<br />
「なるほどねぇ。シンちゃんはどうなのかな」<br />
「さあ。彼とはあの後、そのことについて一度も話した<br />
ことがないの。だってほら、分かるでしょ?あの話題は<br />
地雷原だから。お互い、相手の地雷を踏みたくないし、<br />
自分のも踏まれたくないから」<br />
「…正直言うと私、あなた達が結婚するとは思わなかった。<br />
あの戦いの後、二人とも傷付いて、落ち込み方が酷かった<br />
ものね…おしゃべりな貴女が無口になって、三人でいても<br />
気まずくて。だけど、少しずつ立ち直るにつれて、あなた<br />
達の仲が深まっていくのがわかった。それが不思議」<br />
「うーん…結局、わかってくれるのは彼しかいなかった<br />
から。高すぎる代償を払わされる辛さとか。それに、<br />
あたしには意地があった。いまさら逃げ出すのは許さない、<br />
コイツはあたしのものにするってね。でも、あたしなりに</p>
<p> </p>
<p>努力もしたのよ?あたしは彼の『普通の彼女』になろうと<br />
決めたの。気付いてた?あの後あたしは、彼を呼ぶとき…」<br />
「『バカシンジ』と言わなくなった」<br />
「そう。とにかく、そういう小さなことから変えていこう<br />
と思った」<br />
「思い出すわ、貴女のお弁当。彼と自分の二人分のお弁当を<br />
これから毎日作るなんて言い出して。シンちゃんは震え<br />
上がってたよね。どんな恐ろしいことになるかって」<br />
「しっつれーよねーアイツ」<br />
「で、『アスカ無理だよ、僕が作るよ』なんて言うから<br />
私、彼を物陰に引っ張って行って、こう言ったのよ。<br />
アスカに作らせなさい。そしてあなたは、それを毎日<br />
残さずに全部食べなさい。それがあなたの義務よって」<br />
「えー何それ!聞いてない!」<br />
「そしたらシンちゃん涙目になっちゃって、しょんぼり<br />
引き下がったわ」<br />
「ひっどーい!」<br />
「…でも今思うと、その頃には彼は貴女に好意を持って<br />
いたんじゃない?嫌いな女の弁当を無理して食べるわけ<br />
ないもの」</p>
<p> </p>
<p>ないもの」<br />
「うぐぐぐぐどうしてくれようアホシンジ」<br />
「ありゃ?マズイかな?」<br />
「人があ・ん・な・に一生懸命作ってた弁当を、涙目で<br />
無理して食べてた…?」<br />
「よしなさいよ昔のことで怒るのは…」<br />
「うぐぐ」<br />
「ママー」<br />
「あらアリサ起きたの?じゃあそろそろ失礼しましょう。<br />
また来るわ、アスカ」<br />
「ぐぐぐ」</p>
<p><br />
一方その頃、休日出勤が早目に終わったので、妻子への<br />
お土産にケーキを買い、家に帰る足取りも軽いマイホーム<br />
パパ碇シンジさん(29)の姿が。碇さんの運命やいかに!</p>
<p>今日はミサトが遊びに来た。ミサトのくせに生意気にも<br />
子連れだ。ズボラ女に家事も育児も務まるわけがない。<br />
加地さんは家事もこなすのかしら。ミライは、ミサトの<br />
娘のアリサちゃんと二人で大はしゃぎ。はしゃぎ疲れて<br />
二人ともソファーで寝てしまった。風邪を引かれると<br />
面倒なので、二人に毛布を掛けてやった。<br />
「うるさいのがやっと静かになったわね。お茶入れるわ」<br />
「ありがとう……でもアスカ、ちゃんとお母さんしてん<br />
のね。意外だなー」<br />
「…それをミサトが言うわけ?」<br />
「アハハそれは言わないでよ。最近はアリサに『ママ、<br />
ちゃんとお片付けしなさい』って怒られるんだから」<br />
「アリサちゃんは加地さん似なのかしら」<br />
「かもねーアハハ。…でも正直な話、あの頃の貴女を見て<br />
いたら、とても家庭に収まるタイプには思えなかった」<br />
「そう…ね。ぶっちゃけ自分でもそう思う。あの頃の<br />
ままだったら結婚もしてなかったかも」</p>
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<p>「それがなぜ変わったの?」<br />
「……結局は、あの戦いよ。昔は、自分は特別な人間に<br />
なるんだって決めてた。そうなるのが当然だって思ってた。<br />
でも、あの戦いがあたしを変えたの。『選ばれし者』<br />
になるのなんか、もうたくさん。シンジと結婚して、<br />
あの子が生まれて、初めて自分で抱いた時に決めたの。<br />
もう自分のためだけに生きるのはやめよう。この子と<br />
彼のために生きてみようって。それがあたしなりの<br />
エヴァとの決着の付け方。ねぇ信じられる?セカンド<br />
チルドレンは専業主婦で、サードはしがないサラリー<br />
マンよ?笑っちゃうよねぇ」<br />
「でも幸せでしょ?」<br />
「うん。…結局、全ての人には、それぞれ相応しい場所<br />
があるの。あたし達には主婦やサラリーマンがそうで、<br />
エヴァのパイロットの座はそうじゃなかった。でも、世界を<br />
救う英雄が務まっても、主婦やサラリーマンが務まらない</p>
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<p>人もいるはず。あたしは、シンジには英雄にも神話にも<br />
なって欲しくない。真面目が取り柄のサラリーマンで、<br />
家では子煩悩なパパでいてくれれば、後は何も望まない」<br />
「なるほどねぇ。シンちゃんはどうなのかな」<br />
「さあ。彼とはあの後、そのことについて一度も話した<br />
ことがないの。だってほら、分かるでしょ?あの話題は<br />
地雷原だから。お互い、相手の地雷を踏みたくないし、<br />
自分のも踏まれたくないから」<br />
「…正直言うと私、あなた達が結婚するとは思わなかった。<br />
あの戦いの後、二人とも傷付いて、落ち込み方が酷かった<br />
ものね…おしゃべりな貴女が無口になって、三人でいても<br />
気まずくて。だけど、少しずつ立ち直るにつれて、あなた<br />
達の仲が深まっていくのがわかった。それが不思議」<br />
「うーん…結局、わかってくれるのは彼しかいなかった<br />
から。高すぎる代償を払わされる辛さとか。それに、<br />
あたしには意地があった。いまさら逃げ出すのは許さない、<br />
コイツはあたしのものにするってね。でも、あたしなりに</p>
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<p>努力もしたのよ?あたしは彼の『普通の彼女』になろうと<br />
決めたの。気付いてた?あの後あたしは、彼を呼ぶとき…」<br />
「『バカシンジ』と言わなくなった」<br />
「そう。とにかく、そういう小さなことから変えていこう<br />
と思った」<br />
「思い出すわ、貴女のお弁当。彼と自分の二人分のお弁当を<br />
これから毎日作るなんて言い出して。シンちゃんは震え<br />
上がってたよね。どんな恐ろしいことになるかって」<br />
「しっつれーよねーアイツ」<br />
「で、『アスカ無理だよ、僕が作るよ』なんて言うから<br />
私、彼を物陰に引っ張って行って、こう言ったのよ。<br />
アスカに作らせなさい。そしてあなたは、それを毎日<br />
残さずに全部食べなさい。それがあなたの義務よって」<br />
「えー何それ!聞いてない!」<br />
「そしたらシンちゃん涙目になっちゃって、しょんぼり<br />
引き下がったわ」<br />
「ひっどーい!」<br />
「…でも今思うと、その頃には彼は貴女に好意を持って<br />
いたんじゃない?嫌いな女の弁当を無理して食べるわけ<br />
ないもの」</p>
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<p>ないもの」<br />
「うぐぐぐぐどうしてくれようアホシンジ」<br />
「ありゃ?マズイかな?」<br />
「人があ・ん・な・に一生懸命作ってた弁当を、涙目で<br />
無理して食べてた…?」<br />
「よしなさいよ昔のことで怒るのは…」<br />
「うぐぐ」<br />
「ママー」<br />
「あらアリサ起きたの?じゃあそろそろ失礼しましょう。<br />
また来るわ、アスカ」<br />
「ぐぐぐ」</p>
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一方その頃、休日出勤が早目に終わったので、妻子への<br />
お土産にケーキを買い、家に帰る足取りも軽いマイホーム<br />
パパ碇シンジさん(29)の姿が。碇さんの運命やいかに!</p>