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「題名不明 (498氏連絡ください)」(2007/09/26 (水) 09:32:25) の最新版変更点
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『傷を舐めあって、ずっと生きていけるわけじゃないのよ』</p>
<p> 結婚する前に、ミサトさんにそう言われた。僕とアスカの関係について、あまりよい<br>
印象を抱いていないようだった。でも、そんなのはどうでもいいことだ。<br>
お互いがお互いを必要としているのなら。縋りついてしか生きていることができない<br>
なら、縋りあうしかないから、僕らは</p>
<p> </p>
<p><br>
「ぐえっ」</p>
<p> 突然アスカの腕の力が強くなって、僕の思考は中断された。<br>
……これもいつものことだ。僕はアスカを起こさないようにそっと腕の位置をずら<br>
すと、苦しげな表情を浮かべるアスカの髪をそっと撫で、耳元で「大丈夫」と囁く。<br>
そうしているうちに、徐々にアスカの寝顔は穏やかになっていった。いつものように。<br>
これでいつもの僕の仕事は終わり。最近は寝入りばなに一度うなされるだけ、く<br>
らいになってきた。その変化が僕と暮らしていることによるものだとしたら。僕なんか<br>
でも必要としてくれる人がいるということだ。そしてそれがアスカだというのが、何より<br>
僕にとって大事なことだ。だから、僕はこの生活を止める気は無い。たとえそれがミ<br>
サトさんや、他の誰に止められようとも。</p>
<p><br>
ふと思い立った。アスカに向き直り、頭を胸の辺りに抱え込む。正面から抱き合う<br>
ような姿勢になり、僕は目を閉じた。<br>
しばらくして。</p>
<p>「ねえシンジ」<br>
「なに?」<br>
「確かに暑苦しいわね」<br>
「そう? 離れようか」<br>
「……いや、いい」<br>
「そう」</p>
<p>「シンジ」<br>
「ん?」<br>
「おやすみ」<br>
「……ん、おやすみ」 </p>
<p> </p>
<p><br>
アスカは今日も苦しそうだ。<br>
僕とアスカしか居ないこの世界では、微生物も細菌も存在しないようだ。<br>
あと、レイの顔もあったっけ。……半分崩れてずれているけど。</p>
<p>徐々に治りつつあるかもしれないのは、白血球の働きくらいはあるのだろうか?<br>
いつまでも汚れない包帯をめくりながら、アスカの顔色を見る。</p>
<p>傷痕は良くなっているようだ。元通りにはどうやら戻りそうもないけど。</p>
<p>意識がはっきりしたら、アスカはどう思うんだろうか。それともこのままのまま<br>
僕と二人だけの世界を意識することもなく拒み続けるのだろうか。</p>
<p>アスカが起きたら、いや、アスカが起きた時、うなされるアスカ以上にアスカを。</p>
<p>今のアスカはどうとでも出来る。アスカをこれ以上苦しめることも、もしかしたら喜ばせることも。<br>
目覚めたアスカは? いや、今はそうじゃない。目覚めるかどうかもわからないことを考えても仕方がない。<br>
もし叶うなら、アスカと二人でこの世界の先を見開いて行きたいんだ。</p>