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半年も前から,約束してたのに。
せっかく晴れたのに。
「仕方ないだろ! ボクだって立場ってモノがあるんだから!」
いきなり,有無を言わさずドタキャン。
なんで,今,アタシは独りで車に乗っているのよ?
思わずアクセルをベタ踏みする。 怒りにまかせて。
W16気筒が背後で低い唸りを上げる。
更に排気タービンの力を加え,1001馬力が4輪から路上に放たれる。
ボディに面一に格納されていたリアスポイラーが,くんっとそそり立つ。
まさに言葉どおり猛然とした勢いで,アタシは加速する。
アタシの身体はシートに押しつけられ,あっという間に,周囲の風景が後ろに飛び去る。
前を走る車が静止しているような錯覚を起こす。
先行車には,パッシングを浴びせ,前方を無理矢理こじ開け,追い越し車線を我が物のように走る。
ブガッティ・ヴェイロン,21世紀最初で最後の怪物。
悔しいから,あいつのコレクションの中から一番大事にしているコレを持ってきてやった。
アイツの仕事上の立場は十分承知してる。 伊達に職場結婚したワケじゃない。
でも,だから,だからずーっと前から約束してたんじゃない!