優しい子守歌

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寝室で泣いているまだ産まれて五日もしない名前のついてない赤ん坊の体を揺すりながらアスカは子守り歌を歌っていた。 いつまでもあなたに この愛をあげましょう ひとはやさしくて弱いから 誰かに寄り添う アスカの優しい子守り歌を聴きながらシンジは幸せに浸っていた。 幸せな一日、平凡だけどありきたりだけど。大切な宝物がひとつふえたことがシンジはうれしかった。 父親から、自分は愛されたかったけど愛されることはなかった。 だから、自分はアスカと子どもを愛したい、大切にしたいと思う。 アスカは腕の中で眠るまだ名前の無い赤ん坊とシンジの二人の顔を見比べながら不思議に思う。 自分の体の中でシンジとの子どもが出来たこと、この子が産まれたこと全て不思議だった。 この子が産まれるまで怖かった。 愛する自信がなかった。 だから怖かった。 「シンジ、あたしはしあわせなのよね」 アスカは少し困った顔をしながらシンジに訊いた。 「当たり前だよ。僕たちは幸せなんだよ。だからこの子を大切にしようね」 シンジは赤子を抱いたアスカをそっと抱き締めた。 アスカは少しだけ泣きそうになった。 だけどそれは悲しい涙じゃなくて幸せな涙だった。

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