暑い日

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『暑い日』 GWも終わり5月の中頃になってくると「茶摘み」の歌のように夏が近づいてくる。 ここ何日か夏日が続き、僕達も徐々に衣替えを進めていった。 そんなある日、僕とアスカは出来た暇を使い、夫婦でデートに行く事にしたのだが・・・ 「ねぇ、アスカ。 その格好暑くない?」 玄関へと行こうとしたときにアスカに言った。そう、季節の進行とは逆走したかのような 格好をしているのだ。 僕はお気に入りのTシャツに薄手のジャケットを羽織り、初夏らしい服装にしたのだが、 一方のアスカは首元まですっぽりと覆った上着に長めのスカートを着ていた。 「・・・暑いわよ」 かなり不機嫌そうに言い放つ。 「だったら、着替えれば良いじゃないか、あのお気に入りのワンピースとか」 成長し、僕と結婚したアスカは初めて会った時のワンピースに似たものを持っている。 何でも『初心忘れるべからず』だそうだ。  ・・・たまにアスカの考えることが分からなくなる。 僕の考えとは他所に、更に不機嫌になっていくアスカ。今度は僕を睨んで 「アンタのせいだからね」 「何が?」 「アンタ、バカァ!?コレよ、コレ!!」 そう言うと上着を脱ぎ捨てた。 僕もアスカが着込んでいた理由が分かった。 首筋から胸元にかけて点々と記されている『キスマーク』 はい、僕が付けました。太ももにも付けました。     ・・・スミマセン。 確かにコレでは、あの露出の多いワンピースは着られない。と言うか無理。 「あう・・・ その、ゴメン」 「分かればいいのよ、分かれば・・・   じゃ、早く行くわよ!」 と言ってアスカは脱いだ上着をまた着込んで一人でスタスタと玄関に行く。 「いいの、アスカ? 外は相当暑いよ、何だったら今日は家でゴロゴロしても良いし・・・」 「アンタって本当にバカね、これ以上アタシの楽しみをぶち壊す気!?」 そうか、アスカは今日のデートを楽しみにしていたのか・・・本当に僕はバカだなと反省。 「ん、じゃあ行こうか」 「新しく出来た店のアイスクリーム、シンジのおごりね! もちろんアンタは無し!」 「そんな、酷いよ、アスカ~・・・」 そんなことを言って戯れながら僕達は恋人時代に戻ったかのようなデートに出かける。 今日も楽しい一日になりそうだ。 おしまい

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