カディーラ

カディーラ(Qadira)


カディーラ は、内海東岸に位置する、カスマロン大陸最大の国家ケレッシュ・パーディシャー帝国 the Padishah Empire of Keleshの最西端の州satrapである。東西通商路“黄金の道”の西側の出口にあたり、内海地域で最も富裕な地となっている。

歴史

かつてこの地は放浪生活を送る採取狩猟民が住む地であり、唯一の定住地として現在に至るまで州都である Katheer があった。
‐43AR、東方のケレッシュ・パーディシャー帝国に併合され、その州となる。
その後、カディーラは戦争と交易によって勢力を広げていった。
4079AR、一番最近の大戦争として、北方のタルドールとの戦争が勃発する。これによりタルドールはシェリアックスなど属国に離反され、大きく影響力を落とした。
4603AR、タルドールとの戦争が終結し、現在の国境が決定された。以後1世紀、カディーラは東方貿易の入り口、黄金と香料の河が流れる地として繁栄を極めている。

政治

ケレッシュ・パーディシャー帝国の皇帝はカリシュ22世 Kalish XXII である。80歳近い現在でも毎年妻と妾を増やし続けている。その結果無数の子供が生まれ、カディーラの宮廷にも200人近い継承権を持たないかわりにある程度の収入を保証された皇子や皇女が位階を得ている。しかし、独立性の強いカディーラでは他の州ほどの尊崇が得られないため、生活を楽しみつつも不満を抱えている。

現在の支配者はまだ30代になったばかりの若い州知事 Satrap of Qadira ゼルビステス2世 Xerbystes IIである。他の州の知事は皇帝によって任命されるが、カディーラのみは世襲が認められている。その代償として、毎年貢物として、13体の黄金の牡牛と300人の美女を皇帝に送らなければならない。Xerbystes II は自分の領域の中では絶対の主権を認められているが、その外の、交易、海賊行為、戦争に関しては皇帝の意に従わなければならない。彼はタルドールを征服することを熱望しているが、未だ実行に移すことができず、内治に力を注いでいる。彼は未だ独身であり、いくつかの縁談(中にはカリシュ22世の最も美しい娘のものも含む)を全て断っている。カディーラの独立性を保つため、カディーラ人の嫁が必要だと考えているからである。

将軍、大商人、航海者、冒険者など各方面で著しい成功を収めた者は「無双 The Peerless」という名誉ある称号を与えられる。危急時には召集されてカディーラが取るべき道について意見を求められ、平時、特に知事があふれる征服欲をもてあましている今などは、その冒険譚を語るように求められる。



軍事



十万を超える巨大な常備軍を持ち、1週間で同数の徴募兵と奴隷兵を招集することができる。陸上兵力はラクダや馬に乗った騎兵と、剣と槍を装備した歩兵からなる。また空飛ぶ絨緞に乗った弓兵と斥候のエリート部隊が荒野や国境地帯を警戒し、ゾー山脈 the Zho Mountains のタルドールとの故郷地帯では買収されたオーガの部族兵がケレッシュ兵以外の者を餌食にしようとうろつき回っている。

住民

多くはケレッシュ人である。

ケレッシュには数千の階級があるといわれるが、おおまかには4つにわかれる。
最上位は貴族である。宮殿に招待されることなく立ち入れ、さまざまな特権を持つが、人間以外の種族には認められていない。
次が市民階級であり、ケレッシュ国内の都市で生まれ、戸籍に記録されている者である。人間以外の市民も一部存在する。彼らは財産権、自衛のため武器を携行する権利、軍隊に入る権利を有する。
次が市民以外の自由民は外国人であるとされる。入出国の際には登録をし、貢物を要求される。市民に近い権利を有するが、権力者の不興を被ると財産を没収されて追放されることもある。
最後が他人の所有物である奴隷階級である。負債の形などのように期限を定められている者以外は、主人によって解放されるまで終生奴隷のままである。

宗教

最も盛んなのはサーレンレイ信仰であり、デルヴィーシュや軍隊の中では非常に人気があり、サトラップ内で大きな影響力を持つ。かつて教団の指導者がオシーリオン侵攻を呼びかけ、結果かの地はカディーラが領有することとなった。寛容と贖罪を説くこの女神の教団が、タルドールへの戦争の欲望へ傾きはしないかと怖れる僧侶も多く、密やかな分裂が起き始めている。
アーバダーゴルムも一般的であり、この二神は双子であるとみなされており、一方の人気が上がるともう一方は下火になる。現在は平和な交易の時代であり、アーバダーのほうが信者が多い。the White Feather Monks という平和と平穏を説く新宗教が近年東方から伝来した。一部の者は単純にイローリ教会の分派であると考えているが、もっと古い危険な信仰に起源を持つ者だとするものもいる。

地理

カシール Katheer:パシュマン河の河口近くにある、1000の隊商の街と呼ばれるカディ-ラの首都。内海からの商船と砂漠のラクダ隊商や魔法の砂船の間で貨物が受け渡される。学問が非常に盛んで、多くの大学があり、他国からも学生が訪れる。最も名高い大学がヴェニカーン薬科医科大学 the Venicaan College of Medicaments and Chiurgery である。この大学の生んだ魔法と薬草学を併せた治療術がタルドールに対する大きな優位となっている。カディーラの傷ついた兵士のみならず馬やラクダもすぐにまた戦場に戻ることができるのだ。
アル・バシール Al-Basir:カシールからパシュマン河 River Pashman を東に遡った、ゾー山脈の麓にある大遺跡。無数のハーピーが住んでいるため、内部の探索は進んでいない。
ディマイェン Dimayen:南部のメラズ砂漠 Meraz Desert にある農業町。近年灌漑網の崩壊と砂嵐、アンケグの増加に悩まされ、放棄されるかどうかの瀬戸際にある。
グラト Gurat:ゾー山脈にある織物で知られる小さな都市。空飛ぶ絨緞の産地であり、学識高い大学と古サイクロプスの予言者がいることで知られ、訪れたカディーラ人に霊的な導きを与える。
オマシュ Omash:タルドールとの境界である北部国境近くにある要塞都市。時に高名な“無双”を含む精鋭が配備されている。
セデク Sedeq:南部にある奴隷市場で知られる都市。人型生物のみならずビンなどに詰められたジンも売られている。
シャダン Shadun:グラトの東にかつて存在したテラス状の畑で知られていた農村。火山の爆発によって灰に埋まる。今ではノールの巣窟であり、夜になると影のような姿がうろつき回っているという噂がある。
ケッツ砂漠 Ketz Desert:カシールの南に広がる海とゾー山脈に挟まれた砂漠。バグベア、ジャニ、ジャイアントを仲間にした人間の遊牧民が奴隷狩りをしている。
タプール森 Tapur Forest:ケッツ砂漠の中にある森。南北2つに分かれており、多くのフェイと、過酷な気候の中ではありえない豊富な果実や椰子の木が存在する。
ゾー山脈 Zho Mountains:ケッツ砂漠の南から北東に伸び、そのままタルドール国境まで達する岩だらけの山脈。それほど高いわけではないが、多くのジャイアント、ドラゴン、エレメンタルクリーチャーが存在し、通行の障害となっている。噂ではイフリート、オリード、シルフ、アンダインなどの居住地が存在するというが、発見した者はいない。

参考文献

[1] Erik Mona et al. (2008). Campaign Setting, p. 136. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-112-1
[2] Brian Cortijo (2009).Qadira gateway to the east, p. 2. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-180-0
[3] James Jacobs et al. (2011). The Inner Sea World Guide, p. 150. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-169-2
カテゴリー:内海地域
最終更新:2015年02月07日 17:32
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