視界と照明、そして物を壊す方法に関するルール以上に冒険者の成功に寄与するルールなど稀だ。各々に関するルールを以下で述べる。
視界と光源
ドワーフやハーフオークには暗視の能力があるが、『種族』収録の他の種族はみな、物を見るのに光がいる。光源が照らす半径と、その光の持続時間については、『光源と照明』表を参照すること。“低照度”の欄は、光源に照らされている半径の外側の、明度が1段階高くなる範囲(例えば、“暗闇”から“薄暗い光”に)を示している。
表:光源と照明
アイテム |
通常 |
低照度 |
持続時間 |
覆い付きランタン |
30フィート |
60フィート |
6時間/パイント |
消えずの松明 |
20フィート |
40フィート |
永続 |
松明 |
20フィート |
40フィート |
1時間 |
投光式ランタン |
60フィート円錐形 |
120フィート円錐形 |
6時間/パイント |
普通のランプ |
15フィート |
30フィート |
6時間/パイント |
陽光棒 |
30フィート |
60フィート |
6時間 |
ろうそく |
なし1 |
5フィート |
1時間 |
呪文 |
通常 |
低照度 |
持続時間 |
コンティニュアル・フレイム |
20フィート |
40フィート |
永続 |
ダンシング・ライツ(松明形態) |
各20フィート |
各40フィート |
1分 |
デイライト |
60フィート2 |
120フィート |
10分/レベル |
ライト |
20フィート |
40フィート |
10分/レベル |
1……ろうそくは明るい照明を発せず、ただ薄暗い光のみを発する。
2……デイライト呪文の明かりは“明るい光”である。
明るい光の範囲内では、全キャラクターがはっきり物をみることができる。“光に過敏”や“光による盲目化”を持つものなど、クリーチャーの中には、明るい光の範囲内にいるとペナルティを受けるものもいる。明るい光の範囲内では、クリーチャーは不可視状態であるか遮蔽を得ていない限り〈隠密〉を行なえない。“明るい光の範囲”には、直射日光の当たる屋外とデイライト呪文の効果範囲内が含まれる。
通常の光は明るい光とまったく同じように働くが、“光に過敏”や“光による盲目化”を持つキャラクターはペナルティを受けない。“通常の光の範囲”には、日中の林冠の下、松明から20フィート以内、ライト呪文の効果範囲内が含まれる。
薄暗い光の範囲内では、キャラクターは物をぼんやりと見ることができる。この範囲にいるクリーチャーは、暗視能力や闇を見通す能力を持っていない相手に対して、視認困難(戦闘時に20%の失敗確率)を得る。薄暗い光の範囲内にいるクリーチャーは、身を隠すために〈隠密〉判定を行なえる。“薄暗い光の範囲”には、空に月が出ている夜の屋外、満天の星明り、松明から20~40フィートの間の範囲が含まれる。
暗闇の範囲内では、暗視能力のないクリーチャーは事実上、盲目状態となる。盲目状態のキャラクターは、物が見えないという明白な効果に加えて、戦闘において50%の失敗確率が付く(あらゆる相手が完全視認困難を得る)。また、ACへの【敏捷力】ボーナスがあればそれを失い、ACに-2のペナルティを受け、視覚による〈知覚〉判定に-4のペナルティを受け、【筋力】や【敏捷力】に基づくほとんどの技能判定にも-4のペナルティを受ける。“暗闇の範囲”には、明かりの灯っていないダンジョンの部屋、ほとんどの洞窟、月が出ていない曇りの夜の屋外が含まれる。
夜目能力を持つキャラクター(エルフ、ノーム、ハーフエルフ)は光源から表にある距離の2倍までの距離にあるものを見てとれる。これらの種族のキャラクターに関しては、事実上、“明るい光”、“通常の光”、“薄暗い光”の距離を2倍として扱うこと。
暗視能力を持つキャラクター(ドワーフ、ハーフオーク)は、光に照らされた区画と、60フィート以内の暗闇の区画が、どちらも普通に見通せる。
暗視のできるキャラクターから60フィート以内では、クリーチャーは不可視状態であるか遮蔽を得ていない限り〈隠密〉で隠れることができない(訳注:クリーチャーの中には60フィートより遠くまで見渡せる暗視能力を持つものもいるので注意)。
壊して押し入る
物体を壊そうと試みる場合、キャラクターには2つの選択肢がある。武器で攻撃して壊すのか、単に腕力でぶち壊すかである。
表:物体のサイズとAC
サイズ |
AC修正値 |
超巨大 |
-8 |
巨大 |
-4 |
超大型 |
-2 |
大型 |
-1 |
中型 |
+0 |
小型 |
+1 |
超小型 |
+2 |
微小 |
+4 |
極小 |
+8 |
材質 |
硬度 |
ヒット・ポイント |
ガラス |
1 |
1/厚さ1インチごと |
紙、布 |
0 |
2/厚さ1インチごと |
ロープ |
0 |
2/厚さ1インチごと |
氷 |
0 |
3/厚さ1インチごと |
皮、革 |
2 |
5/厚さ1インチごと |
木 |
5 |
10/厚さ1インチごと |
石 |
8 |
15/厚さ1インチごと |
鉄、鋼 |
10 |
30/厚さ1インチごと |
ミスラル |
15 |
30/厚さ1インチごと |
アダマンティン |
20 |
40/厚さ1インチごと |
表:物体の硬度とヒット・ポイント
物体 |
硬度 |
ヒット・ポイント |
破壊DC |
ロープ(直径1インチ) |
0 |
2 |
23 |
普通の木製の扉 |
5 |
10 |
13 |
小型の箱 |
5 |
1 |
17 |
上質な木製の扉 |
5 |
15 |
18 |
宝箱 |
5 |
15 |
23 |
頑丈な木製の扉 |
5 |
20 |
23 |
石造りの壁(厚さ1フィート) |
8 |
90 |
35 |
岩壁(厚さ3フィート) |
8 |
540 |
50 |
鎖 |
10 |
5 |
26 |
枷 |
10 |
10 |
26 |
高品質の枷 |
10 |
10 |
28 |
鉄製の扉(厚さ2インチ) |
10 |
60 |
28 |
表:アイテムを破壊または引きちぎるDC
【筋力】判定の対象 |
DC |
普通の扉を打ち壊す |
13 |
上質な扉を打ち壊す |
18 |
頑丈な扉を打ち壊す |
23 |
ロープによる縛めを引きちぎる |
23 |
鉄の棒を曲げる |
24 |
かんぬきのかかった扉を打ち壊す |
25 |
鎖による縛めを引きちぎる |
26 |
鉄製の扉を打ち壊す |
28 |
状況 |
DC調整* |
ホールド・ポータル |
+5 |
アーケイン・ロック |
+10 |
*……両方がかかっている場合、大きな方の数値だけを使用すること。
物体への攻撃
相手の武器や盾を斬撃武器や殴打武器で攻撃して破壊するには、“武器破壊”特殊攻撃を行なうこと(『戦闘』を参照)。物体への攻撃も武器破壊とほぼ同様に処理するが、戦技判定が物体のACとの対抗になるところが違う。一般に、物体への攻撃は斬撃武器か殴打武器でのみ行なえる。
アーマー・クラス:物体にはクリーチャーよりも簡単に攻撃を命中させることができる。普通、物体は動かないからだ。反面、物体の中には、一撃一撃のダメージを少しずつ減少させてしまうような頑丈なものも多い。物体のACは(10+物体のサイズ修正(『物体のサイズとAC』表を参照)+物体の【敏捷力】修正値)である。非自律行動物体はもともと【敏捷力】が0なので【敏捷力】修正値は-5で、さらにACに-2のペナルティが付く。そのうえ、1回の全ラウンド・アクションを使って、よく狙って攻撃するなら、近接武器での攻撃は自動的に命中し、遠隔武器での攻撃には攻撃ロールに+5のボーナスが付く。
硬度:物体にはそれぞれ“硬度”がある。これはその物体がどれだけダメージに耐性があるかを数値で表したものだ。物体がダメージを受けた時には常に、その物体の硬度をダメージから差し引く。物体のヒット・ポイントを減少させるのは、硬度を超えた分のダメージだけである(『一般的な鎧、武器、盾の硬度とヒット・ポイント』表、『材質の硬度とヒット・ポイント』表、『物体の硬度とヒット・ポイント』表を参照)。
ヒット・ポイント:物体の合計ヒット・ポイントは、材質と大きさで決まる(『一般的な鎧、武器、盾の硬度とヒット・ポイント』表、『材質の硬度とヒット・ポイント』表、『物体の硬度とヒット・ポイント』表を参照)。合計ヒット・ポイントの半分以上のダメージを受けた物体は破損状態(『状態』を参照)となる。物体のヒット・ポイントが0になると、それは使い物にならなくなってしまう。
非常に大きな物体は、部位ごとに個別のヒット・ポイントを持つ。
エネルギー攻撃:エネルギー攻撃はほとんどの物体に半分のダメージを与える。物体の硬度を適用する前にダメージを半分にすること。GMの裁量において、エネルギーの種類によっては特定の物体に対してとても効果的であるとしてもよい。例えば、[火]は羊皮紙、布、その他のたやすく燃えるものに対して完全なダメージを与えるということにしてもよい。[音波]はガラスや結晶質の物体に対して完全なダメージを与えるということにしてもよい。
遠隔武器によるダメージ:物体は遠隔武器からは半分のダメージしか受けない(攻城兵器の類は除く)。物体の硬度を適用する前にダメージを半分にすること。
効果のない武器:ある種の武器ではある種の物体に効果的にダメージを与えられない。例えば、殴打武器がロープにダメージを与えるのに使われることはない。同様に、ピックやハンマーなどのように石を破壊するためにデザインされているのでない限り、ほとんどの近接武器は石製の壁や扉には大して効果がない。
完全耐性:物体は非致傷ダメージおよびクリティカル・ヒットに完全耐性がある。
魔法の鎧、盾、武器:強化ボーナスが+1あるごとに、鎧や武器や盾の硬度は+2され、ヒット・ポイントは+10される。
特定の攻撃に対する脆弱性:ある種の攻撃はある種の物体に対して特に効果的である。そのような場合、攻撃は通常の2倍のダメージを与え、さらに物体の硬度を無視してもよい。
ダメージを受けた物体:ダメージを受けた物体は、アイテムのヒット・ポイントが0になるまでは、破損状態ではあるが完全に機能し、hpが0になったとたん破壊状態となる。
ダメージを受けているが破壊状態となってはいない物体は〈製作〉技能やいくつかの呪文で修理できる。
セーヴィング・スロー:魔法のものでなく、かつ装備中でないアイテムはまったくセーヴィング・スローを行なえない。セーヴィング・スローに自動的に失敗したものとして扱われ、セーヴィング・スローに成功すると抵抗したり無効化したりできる呪文などの攻撃の効果を常に完全に受ける。キャラクターが装備中の(つまり握っていたり、触れていたり、着ていたりする)アイテムはキャラクター当人と同様に(キャラクターのセーヴィング・スローを用いて)セーヴィング・スローを行なう。
魔法のアイテムは常にセーヴィング・スローを行なえる。魔法のアイテムの頑健、反応、意志セーヴ・ボーナスは(2+その術者レベルの半分)である。装備中の魔法のアイテムは、所持者かアイテム自身のセーヴィング・スローのどちらか高い方を使用する。
アニメイテッド・オブジェクト:アニメイテッド・オブジェクトは、クリーチャーとしてACを算出する。非自律行動物体としては扱わない。
アイテムの破壊
通常にダメージを与えるのではなく、急激な力を加えて何かを壊そうとする場合、成功したかどうか見るには【筋力】判定を行なう(“武器破壊”特殊攻撃などの場合と違い、攻撃ロールとダメージ・ロールを行なうのではない)。硬度はアイテムを破壊する際のDCには影響しないため、DCは材質よりむしろ構造によって決まる。破壊する際の一般的なDCに関しては『アイテムを破壊または引きちぎるDC』表を参照すること。
アイテムがヒット・ポイントを半分以上失っていたら、そのアイテムは破損状態(『状態』を参照)となり、それを破壊するDCは2低下する。
中型より大きなクリーチャーや小さなクリーチャーは、扉を打ち破る際の【筋力】判定に以下のようなサイズ・ボーナスやサイズ・ペナルティを受ける:極小-16、微小-12、超小型-8、小型-4、大型+4、超大型+8、巨大+12、超巨大+16。
また、かなてこや携行型破城槌は、キャラクターが扉を打ち破る際の成功確率を上昇させる(『装備』を参照)。
表:一般的な鎧、武器、盾の硬度とヒット・ポイント
武器防具 |
硬度1 |
ヒット・ポイント2,3 |
軽い刀剣 |
10 |
2 |
片手刀剣 |
10 |
5 |
両手刀剣 |
10 |
10 |
軽い金属製柄付武器 |
10 |
10 |
片手金属製柄付武器 |
10 |
20 |
軽い柄付武器 |
5 |
2 |
片手柄付武器 |
5 |
5 |
両手柄付武器 |
5 |
10 |
射出武器 |
5 |
5 |
鎧 |
特殊4 |
鎧ボーナス×5 |
バックラー |
10 |
5 |
木製ライト・シールド |
5 |
7 |
木製ヘヴィ・シールド |
5 |
15 |
金属製ライト・シールド |
10 |
10 |
金属製ヘヴィ・シールド |
10 |
20 |
タワー・シールド |
5 |
20 |
1……魔法のアイテムの強化ボーナス+1ごとに+2。
2……hpの値は中型サイズの鎧、武器、盾のもの。サイズ分類が中型よりも1段階小さくなるごとに半分にし、1段階大きくなるごとに2倍すること。
3……魔法のアイテムの強化ボーナス+1ごとに+10。
4……材質によって異なる。表:『材質の硬度とヒット・ポイント』を参照。
最終更新:2017年01月28日 20:16