戦闘 > 4

特殊攻撃 Special Attacks

 このセクションでは、通常の攻撃、呪文の発動、クラスの能力の使用以外の、戦闘中に行う様々な行動について解説する。特殊攻撃には他のアクション(攻撃など)の一部であったり、機会攻撃として行えるものもある。

援護 Aid Another

 近接戦闘において、君は敵の気をそらしたり邪魔をすることで、仲間1人の攻撃か防御を手助けすることができる。もし君が、仲間の1人と近接戦闘を行なっている敵に対して近接攻撃を行える位置にいるなら、標準アクションを1回用いて仲間1人の援護を試みられる。AC10に対する近接攻撃ロールを1回行うこと。成功すれば、その仲間はその敵に対する次の攻撃に+2のボーナス、もしくはその敵から受ける次の攻撃に対してACに+2のボーナスを得る(どちらにするかは君が決める)。ただしいずれの場合も、その“次の攻撃”が君の次のターンの開始時点より前に行われた場合に限る。複数のキャラクターが同じ仲間を援護することがあり、同様のボーナスは累積する。
 このアクションは、他の方法で仲間1人を助けるためにも使用できる。たとえば、仲間が呪文の影響下にある場合や、他のキャラクターの技能判定を補助するという場合に使用できる。

突撃 Charge

 突撃は特殊な全ラウンド・アクションであり、突撃をすれば、移動速度の2倍までの移動をしたうえで攻撃をすることができる。ただし、その際の移動には厳しい制約がある。
 突撃における移動:移動は攻撃の後ではなく攻撃の前に行わなければならない。少なくとも10フィート(2マス)は移動せねばならず、最大で移動速度の2倍までの距離を移動できる。移動は指定した敵に向けて一直線に行わねばならない。この移動の距離が君の移動速度と同じかそれより短く、かつ君の基本攻撃ボーナスが+1以上ならば、君は突撃の際に武器を抜いてもよい。
 敵までの経路は開けておらねばならず、何かによって移動が遅くなってはならない(移動困難な地形や障害物があってはならない)。君はその敵を攻撃することのできる最も近い場所に向けて移動しなければならない。その場所が何かによって占められていたり、何かでふさがれていた場合には突撃は行えない。突撃を行なうクリーチャーのスタート時の接敵面と移動先の接敵面を結ぶいずれかの線が、移動を阻むマス目や移動を遅くするマス目や、クリーチャー(仲間を含む)のいるマス目を通過していたなら、突撃は行えない。無防備状態の敵は突撃を妨げない。
 君は自らのターンの開始時に敵を視線に捕らえていなかったならば、突撃することができない。
 君は突撃を行うラウンドには5フィート・ステップを行なうことができない。
 君が自らのターンに1回の標準アクションしか行えないような制限を受けている状況でも、突撃を行なうことはできる。ただし、その際の移動は君の移動速度分の距離までとなる(通常であれば移動速度の2倍まで)。また、この場合には《早抜き》特技がなければ武器を抜くことはできない。君がこの選択肢を使用できるのは、君のターンに1回の標準アクションしか行えないような制限を受けている場合のみである。
 突撃時の攻撃:移動の後、1回の近接攻撃を行うことができる。君は攻撃ロールには+2のボーナスが得られるが、次の君のターンの開始までACに-2のペナルティを被る。
 突撃するキャラクターは突き飛ばしの試みにおける戦技判定に+2のボーナスを得る。
 たとえ君が十分に高い基本攻撃ボーナスを持っていたり複数の武器を使用しているために追加攻撃を行うことができたとしても、突撃時には1回の攻撃しか行えない。
 ランスと突撃攻撃:騎乗したキャラクターがランスを突撃に用いたなら、ランスは通常の2倍のダメージを与える。
 突撃に対して待機した武器:スピア、トライデント、その他の刺突武器の中には、待機して(固定して)突撃してくるキャラクターに対して用いた場合、2倍のダメージを与えるものがある。

戦技 Combat Maneuvers

 戦闘において、君は敵を妨害したり無力化するために、突き飛ばし、武器落とし、組みつき、蹴散らし、武器破壊、足払いといった技術を使おうと試みることができる。それらの技術はそれぞれに異なった結果をもたらすが、成否を決定する処理は、全て似通ったものを用いる。
 戦技ボーナス:個々のキャラクターやクリーチャーは戦技ボーナス(CMB)を有する。これは戦技を使用する技術を表す。戦技ボーナスは以下の式を使用して計算する:

 戦技ボーナス(CMB)=基本攻撃ボーナス+【筋力】修正値+特別サイズ修正値

 超小型かそれより小さいサイズのクリーチャーは戦技ボーナスを計算する際、【筋力】修正値の代わりに【敏捷力】修正値を用いる。戦技ボーナスに付く“特別サイズ修正値”は以下の通り:極小-8、微小-4、超小型-2、小型-1、中型+0、大型+1、超大型+2、巨大+4、超巨大+8。特技や能力の中には、特定の戦技を使用する場合に戦技ボーナスにボーナスを与えるものがある。
 戦技を使う:戦技を使用する際、君は試みる戦技に適したアクションを使用しなければならない。多くの戦技は攻撃アクションの一部、全力攻撃アクションの一部、機会攻撃の一部として(すなわち、近接攻撃を置き換えて)使用することができる。それ以外のものは特別なアクションを必要とする。特記ない限り、戦技の試みはその戦技の目標から機会攻撃を誘発する。その機会攻撃が命中したならば、君はそのダメージを通常通り受ける。そのダメージと等しいペナルティを戦技における攻撃ロールに被る。目標が動けない状態、気絶状態、その他対応できない状態であったなら、戦技は自動的に成功する(攻撃ロールにおいて、ダイスの目で20が出たかのように扱う)。目標が朦朧状態であったなら、戦技を試みる際の攻撃ロールに+4のボーナスを得る。
 戦技を試みる際、通常の攻撃ボーナスの代わりに戦技ボーナスを攻撃ロールに加える。呪文、特技、その他の効果から現在攻撃ロールに得ているあらゆるボーナスをこの攻撃ロールに加えること。戦技に使用した武器や攻撃のボーナスを適用しなければならない。この戦技のDCは目標の戦技防御値となる。戦技の試みは攻撃ロールであり、視認困難や通常攻撃ロールに適用されるペナルティも適用される。
 戦技防御値:個々のキャラクターとクリーチャーは戦技防御値(CMD)を持つ。これは戦技に抵抗する能力を表す。クリーチャーの戦技防御値は以下の式を使用して計算する:

 戦技防御値(CMD)=10+基本攻撃ボーナス+【筋力】修正値+【敏捷力】修正値+特別サイズ修正値

 戦技防御値に付く“特別サイズ修正値”は以下の通り:極小-8、微小-4、超小型-2、小型-1、中型+0、大型+1、超大型+2、巨大+4、超巨大+8。特技や能力の中には、特定の戦技に抵抗する場合に戦技防御値にボーナスを与えるものがある。また、ACに適用されるボーナスのうち、状況ボーナス、反発ボーナス、回避ボーナス、洞察ボーナス、幸運ボーナス、士気ボーナス、不浄ボーナス、清浄ボーナスが、戦技防御値に適用される。ACに適用されるあらゆるペナルティが戦技防御値にも適用される。立ちすくみ状態のクリーチャーは戦技防御値に【敏捷力】ボーナスを加えることができない。
 成否の決定:攻撃ロールが目標の戦技防御値と等しいか上回ったなら、その戦技は成功し記載された効果を発揮する。戦技の中には突き飛ばしのように、攻撃ロールが目標の戦技防御値をどれだけ上回ったかによって成功にいくつかの段階があるものも存在する。戦技の試みで出目が20だった場合には常に成功となる(組みつきからの脱出は除く)。出目が1だった場合には常に失敗となる。

足払い Trip

 君は1回の近接攻撃を置き換えて敵に足払いを試みることができる。君は自分よりサイズ分類が1段階大きい敵か、それより小さい敵に対してしか足払いを行えない。《足払い強化》の特技か同様の能力を持っていなければ、足払いの試みは戦技の目標から機会攻撃を誘発する。
 攻撃が目標の戦技防御値を上回ったなら、目標は伏せ状態となる。10以上の差で失敗したなら、君が代わりに伏せ状態となる。目標が3つ以上の脚を持っていたなら、2つを上回る脚1つごとに、戦技攻撃ロールのDCに+2すること。粘体、脚のないクリーチャー、飛行しているクリーチャーなど、足払いされないクリーチャーもいる。

組みつき Grapple

 標準アクションとして、敵に組みついてその選択肢を制限しようと試みることができる。《組みつき強化》の特技や“つかみ”能力、あるいは同様の能力を持っていない限り、組みつきはその目標からの機会攻撃を誘発する。両方の手が空いていない人型生物が組みつきを試みる場合、戦技ロールに-4のペナルティを被る。成功したなら攻撃者と目標の双方が組みつき状態となる(Appendicesを参照)。隣接していない敵に対して組みつきに成功したなら、目標を隣接した何にも占められていない空間に移動させる(移動先として有効な何にも占められていない空間がない場合、組みつきは失敗する)。双方のクリーチャーが組みつき状態となるが、組みつきを開始したクリーチャーはフリー・アクションとして組みつきを解除して、攻撃側、防御側双方の組みつき状態を解くことができる。組みつきを解除しないなら、毎ラウンド、標準アクションとして、組みつき状態を維持するために判定を行わなければならない。目標が“組みつきから逃れよう”としていない場合、次のラウンド以降、組みつきを維持するための判定に+5の状況ボーナスを得る。判定に成功したならその組みつきを続けた上で以下のアクションから1つを(組みつきを持続するために使用した標準アクションの一部として)行なうことができる。
 移動:君と目標を君の移動速度の半分まで移動することができる。移動の最後に目標を君に隣接したマスに配置すること。ウォール・オヴ・ファイアーや落とし穴の上といった危険な場所に敵を動かそうとするなら、目標は+4のボーナスを得てフリーで組みつきから逃れる試みを享受する。
 ダメージを与える:君は目標に対し素手攻撃、肉体武器による攻撃、アーマー・スパイクや軽い武器や片手武器による攻撃と同等のダメージを与えることができる。このダメージは致傷ダメージでも非致傷ダメージでもよい。
 押さえ込む:君は目標を押さえ込まれた状態(『状態』項を参照)にすることができる。目標を押さえ込んだとしても、君は組みつき状態のままだが、ACへの【敏捷力】ボーナスを失う。
 縛り上げる:目標を押さえ込んでいるなら(あるいは目標が拘束状態や気絶状態なら)、君はロープを使用して目標を縛り上げることができる。これは押さえ込みの効果と同様だが、脱出のためのDCは(20+君の戦技ボーナス)となる(戦技防御値の代わりに戦技ボーナスを加える)。ロープで縛ったなら、以降のラウンドで押さえ込みを続けるための判定を行う必要はなくなる。目標と組みついている場合でもロープで縛りあげることは可能だが、戦技判定に-10のペナルティを受ける。もし束縛から脱出するためのDCが(20+戦技ボーナス)よりも高くなったなら、たとえダイスの目が20であったとしても、目標はその束縛から脱出することはできない。
 君が組みつかれた場合:組みつかれたなら、君は標準アクションで戦技判定(DCは相手の戦技防御値に等しく、機会攻撃は誘発しない)か〈脱出術〉判定(DCは相手の戦技防御値に等しい)を行い、“組みつきから逃れよう”と試みることができる。この判定に成功したなら、君は組みつきから抜け出し通常通り行動することができる。あるいは、成功した際に、君が組みついた側となり、相手に組みつくことができる(相手は戦技判定を行わずに組みつきから脱出できなくなり、君は戦技判定を行わずに組みつきから脱出できるようになる)。組みつきから逃れたり組みつきを返そうと試みる代わりに、両手を必要としないアクションを行なうこともできる。両手を必要としないアクションとは、呪文の発動や、軽いか片手武器で間合い内にいるクリーチャー(君に組みついているクリーチャーも含む)への1回の攻撃または全力攻撃などである。更なる詳細については(『状態』項の)“組みつき状態”を参照すること。君が押さえ込まれた状態なら、君のアクションは非常に制限される。詳細については『状態』項の“押さえ込まれた状態”を参照すること。
 複数のクリーチャー:複数のクリーチャーが1体の目標に組みつきを試みることができる。最初に組みつきを行なうクリーチャー1体だけが判定を行う。この判定には、組みつきを支援するクリーチャーごとに+2のボーナスを得られる(援護アクションを使用する)。複数のクリーチャーが組みつきから逃れる試みを支援することもできる。この場合も、支援するクリーチャーごとに+2のボーナスを戦技判定に得られる(援護アクションを使用する)。

蹴散らし Overrun

 君は移動の合間に使う標準アクションとして、あるいは突撃の一部として、目標を蹴散らし、目標の占めていたマスを通過しようと試みることができる。君は自分より1段階大きいかそれより小さいサイズの相手にのみ蹴散らしを行なうことができる。《蹴散らし強化》の特技や同様の能力を持っていないなら、蹴散らしはこの戦技の目標から機会攻撃を誘発する。蹴散らしの試みが失敗したなら、目標の前方(君が来た方向)の空間で移動を終了する。もし目標の前方が他のクリーチャーに占められていたなら、前方から最も近い何にも占められていない空間で移動を終了する。
 目標を蹴散らそうと試みる際、目標は君を避け、攻撃を受けることなく君を通り抜けさせることを選択できる。目標が君を避けなかったなら、通常通り戦技判定を行う。戦技判定が成功したなら、君は目標の接敵面をすり抜けて移動する。戦技判定が目標の戦技防御値を5以上上回ったなら、君は目標の接敵面を通過し、目標を伏せ状態にする。目標が3つ以上の脚をもつ場合、2つを超える脚1つごとに、戦技攻撃ロールのDCに+2すること。

突き飛ばし Bull Rush

 突き飛ばしは1回の標準アクションとして行うか、突撃アクションの一部として、近接攻撃の代わりに行なうことができる。突き飛ばしを試みられるのは自分より1段階サイズの大きい相手までである。《突き飛ばし強化》の特技か同様の能力を持っていない限り、突き飛ばしはその目標からの機会攻撃を誘発する。
 攻撃が成功したなら、目標を5フィート押し戻す。攻撃ロールが目標の戦技防御値を5上回るごとに、5フィート押し戻す距離を追加できる。君が望むなら目標とともに移動できるが、通常の移動速度までしか移動できない。攻撃が失敗したなら、移動は目標の正面で終了する。
 突き飛ばしにより移動された敵は、この移動により機会攻撃を誘発しない。しかし、君が《上級突き飛ばし》特技を持っているならば誘発する。君は突き飛ばしによってクリーチャーを固体や障害物で占められたマスに移動させることはできない。突き飛ばしの経路にすでに他のクリーチャーがいる場合、君は直ちにそのクリーチャーに対して戦技判定を行なわなければならない。この判定には(突き飛ばしの)最初から数えて追加で押すクリーチャーごとに-4のペナルティを受ける。成功したなら、君はそれらのクリーチャーを、より低い結果から計算される距離まで押し続けることができる。例えば、ファイターがゴブリンを15フィート押し、その5フィート後方に別のゴブリンがいたとする。ファイターは1体目のゴブリンを5フィート押した後で、2体目のゴブリンに対してもう一度戦技判定を行わねばならない。その結果、2体目のゴブリンを20フィート押すような結果だった場合、ファイターはゴブリン2体両方を10フィート(最初のゴブリンが合計で15フィート移動するため)押し続けることができる。

武器落とし Disarm

 武器落としは近接攻撃の代わりに試みることができる。《武器落とし強化》の特技か同様の能力を持っていない限り、武器落としはその目標からの機会攻撃を誘発する。素手攻撃による武器落としの試みは、攻撃に-4のペナルティを受ける。
 攻撃が成功したなら、目標が手で持っているアイテムから1つを選択し(たとえそのアイテムが両手で保持されていたとしても)それを落とす。攻撃ロールの結果が目標の戦技防御値を10以上上回ったなら、目標がそれぞれの手で持っているアイテムを落とす(対象が2つを超える手を持っている場合でも、最大で2つまで)。攻撃が10以上の差で失敗したなら、君は武器落としの試みに使用していた武器を落とす。武器を使用せずに武器落としに成功したなら、落としたアイテムを自動的に君の手に保持してもよい。

武器破壊 Sunder

 君は1回の近接攻撃を置き換えて、攻撃アクションの一部として敵が所持しているか身につけているアイテム1つを破壊しようと試みることができる。《武器破壊強化》や同様の能力を持っていなければ、アイテムを破壊しようとする試みは戦技の目標から機会攻撃を誘発する。
 攻撃が成功したなら、君は通常通りアイテムにダメージを与える。物体の硬度を超えたダメージが物体のヒット・ポイントを減少させる。ヒット・ポイントの総量がちょうど半分かそれより小さくなったなら、その物体は破損状態となる(『状態』項を参照)。君の与えるダメージが物体のヒット・ポイントを0以下まで減少させたなら、君はその物体を破壊することを選択できる。破壊することを選択しなければ、物体は1ヒット・ポイントだけ残った状態であり、依然として破損状態のままである。

フェイント Feint

 フェイントは標準アクションである。フェイントを行なうためには〈はったり〉判定を行う。この判定のDCは(10+目標の基本攻撃ボーナス+目標の【判断力】修正値)である。目標が〈真意看破〉技能を修得している場合、DCは(10+〈真意看破〉ボーナス)と前述のDCのいずれか高い方となる。成功すると、君が目標に行う次の近接攻撃において、目標はACに【敏捷力】ボーナスを(もしあれば)加えることができない。この攻撃は次の君のターンまでに行なわれなければならない。
 人型生物でないクリーチャーに対するフェイントは、-4のペナルティを受ける。【知力】が1か2の動物のクリーチャーに対しては、-8のペナルティを受ける。【知力】を持たないクリーチャーに対しては、フェイントを行なうことはできない。戦闘において、フェイントは機会攻撃を誘発しない。
 フェイントを移動アクションで行う《フェイント強化》の特技を持っているなら、フェイントの試みを移動アクションで行うことができる。

騎乗戦闘 Mounted Combat

 このルールは戦闘時に馬に乗る手段をまとめているが、グリフィンやドラゴンといった一般的でない乗騎についても適用できる。
 戦闘時の乗騎:ホース、ポニー、ライディング・ドッグは戦闘用乗騎として訓練を受けている。戦闘騎乗の訓練(〈動物使い〉技能を参照)を受けていない乗騎は戦闘に恐れをなしてしまう。下馬するのでなければ、君はそうした乗騎を制御するためだけに、毎ラウンド、1回の移動アクションとして〈騎乗〉判定(DC20)を行わねばならない。成功すれば、君はこの移動アクションの後に1回の標準アクションを取ることができる。失敗すれば、それは1回の全ラウンド・アクションだったと見なされる(つまり、君は自分の次のターンまでに他に何もすることができないということだ)。
 乗騎は、君のイニシアチブに、君の指示に従って行動する。君は乗騎の移動速度で移動するが、乗騎は移動するために乗騎自体のアクションを用いる。
 ホースは大型サイズのクリーチャーであり(ポニーは違う)、よって10フィート幅の接敵面を占める。処理を単純にするため、君は戦闘中、上記の接敵面を共有するものとする。
 騎乗中の戦闘〈騎乗〉判定(DC5)に成功すれば、君は乗騎を膝で操ることができ、従って、騎乗中に両手を用いて攻撃したり防御したりすることができる。この判定は1回のフリー・アクションである。
 君が自分の乗騎より小さな、徒歩のクリーチャーを攻撃する場合、君は高い位置にいることで、近接攻撃に+1のボーナスを得る。乗騎が5フィートを超えて移動する場合、君は1回の近接攻撃しか行うことができない。基本的に、君は攻撃する前に、乗騎が敵のところにたどり着くまで待たなければならないのだ。そのため全力攻撃を行なうことはできない。乗騎が全力で移動している場合でも、君は騎乗中に行う近接攻撃に関して何らペナルティを被らない。
 君の乗騎が突撃するなら、君もまた突撃に付随するACペナルティを被る。君が突撃の終了時に攻撃を行なうなら、君は突撃によって得られるボーナスを受ける。馬上で突撃する場合には、君はランスで2倍のダメージを与える(『突撃』を参照)。
 君は乗騎が2倍移動を行なっている間に遠隔武器を使用することができるが、攻撃ロールには-4のペナルティを被る。君は乗騎が疾走(移動速度の4倍)している間に遠隔攻撃を使用することができるが、攻撃ロールには-8のペナルティを被る。どちらの場合も、君は乗騎が移動の半分を完了した時点で攻撃ロールを行う。君は遠隔武器を用いて、乗騎が移動している間に全力攻撃アクションを行なうこともできる。同様に、君は通常通り移動アクションを行なうことができる。
 騎乗中の呪文発動:乗騎が君の発動の前か後のどちらかに通常の移動(移動速度)までの距離を移動する場合、君は通常通り呪文を発動することができる。乗騎を呪文発動の前と後の両方で移動させるなら、君は乗騎の移動中に呪文を発動することになり、激しい揺れのため精神集中判定(DC10+呪文レベル)を行なわねばならず、失敗するとその呪文を失う。乗騎が疾走(移動速度の4倍)しているなら、君は乗騎が移動速度の2倍を移動した時点で呪文を発動することができるが、非常に激しい揺れのために精神集中判定はさらに難しくなる(DC15+呪文レベル)。
 戦闘中に乗騎が倒れた場合:君が騎乗している間に乗騎が倒れた場合、君は軟着陸するために〈騎乗〉判定(DC15)を行なわねばならない。この判定に失敗すると、1d6ポイントのダメージを被る。
 君が倒れた場合:君が気絶した場合、君は50%の確率で鞍の上に留まる(軍用鞍に乗っているなら75%)。留まれなければ君は落下し、1d6ポイントのダメージを受ける。君が操らなくなれば、その乗騎は戦闘を避ける。

飛散武器の投擲 Throw Splash Weapon

 飛散武器は命中によって壊れ、内容物を目標とその周囲のクリーチャーや物体に飛び散らせ浴びせかける遠隔武器である。飛散武器による攻撃を行なう場合、目標に対して遠隔接触攻撃を行う。飛散武器は武器に対する習熟を必要としないため、-4の未習熟ペナルティを受けることはない。命中した場合には、目標に直撃ダメージを与え、目標から5フィート以内のすべてのクリーチャーに飛散ダメージを与える。目標が大型サイズかそれより大きい場合は、目標の占めるマスの1つを選択し、そのマスから5フィート以内のクリーチャーが飛散ダメージを受ける。飛散武器は精密さに依存した(ローグの急所攻撃のクラス特徴のような)ダメージを与えることはできない。
 君はまたグリッドの特定の交差点を目標とすることもできる。これはAC5に対する遠隔接触攻撃として扱う。しかしながらグリッドの交差点を目標とした場合、隣接するマス目にいる全てのクリーチャーが飛散ダメージを受けるが、直撃ダメージを受けるクリーチャーはいなくなる。君は例えば大型サイズのクリーチャーが占めている交差点を目標とすることはできない。このような場合はクリーチャーを狙うこととなる。
 目標を外したなら(それがクリーチャーであれ交差点であれ)、1d8をロールする。これによって、投擲がどの方向にそれたのかが決定される。1の目が君の方向に戻る方向で、2から8に向かって時計回りにグリッドの交差点か目標のクリーチャーを一周する。次にその投擲が射程単位の何倍の距離を狙っていたのかを調べ、決定された方向に向かってその倍数と同じ数のマス目を数える。武器の落下地点が決まったなら、そこに隣接する全てのクリーチャーに飛散ダメージを与える。

二刀流 Two-Weapon Fighting

 利き腕でない手で2つ目の武器を振るうなら、その武器で1ラウンドにつき1回の追加攻撃を行なうことができる。この方法で戦うなら、利き手での攻撃に-6のペナルティを受け、利き手でない手での攻撃に-10のペナルティを受ける。君はこのペナルティを以下の2つの方法で軽減することができる。1つ目の方法として、利き手でない手で使う武器が軽い武器なら、ペナルティはそれぞれ2ずつ軽減される。素手攻撃は常に軽い武器と見なされる。2つ目の方法として、《二刀流》の特技は利き手のペナルティを2、利き手でない手のペナルティを6軽減する。
 これらの要素の影響は表:『二刀流のペナルティ』にまとめている。
 双頭武器:双頭武器を用いれば、まるで2つの武器で戦っているかのように1回の追加攻撃を行なうことができる。ペナルティは、利き手でない手で使う武器が軽い武器である場合と同じように適用される。
 投擲武器:両方の手で1つずつ武器を投擲する場合にも、同様のルールが適用される。ダーツやシュリケンは、この方法で用いる場合、軽い武器として扱う。ボーラ、ジャヴェリン、ネット、スリングは片手武器として扱う。

表:『二刀流のペナルティ』
条件 利き手 利き手でない方の手
通常のペナルティ -6 -10
利き手でない手で使う武器が軽い -4 -8
《二刀流》の特技 -4 -4
利き手でない手で使う武器が軽い、《二刀流》の特技 -2 -2

イニシアチブ変更アクション Special Initiative Actions

 ここに挙げるのは、イニシアチブ順における位置を変更することによって、戦闘中に行動するタイミングを変更する方法である。

行動遅延 Delay

 行動遅延を選択することにより、取りあえず何のアクションも行わず、自分の好きな段階のイニシアチブで行動できる。行動遅延を行なうなら、自発的に自分のイニシアチブの結果を下げる。これは残りの戦闘の間ずっと適用される。これより後、同じラウンドに、新しく決めた、より低いイニシアチブ・カウントが来たなら、その段階で通常どおりに行動できる。君はこの新しいイニシアチブ・カウントをあらかじめ宣言しておいてもいいし、ただ単にそのラウンド、好きなタイミングが来るまで待っていて、行動を行い、その段階で自分の新たなイニシアチブ・カウントの値を訂正してもかまわない。
 成り行きを見守るために費やした時間を取り戻すことはできない。また、誰か他の人のアクションを中断させて割り込むことはできない(それには待機したアクションを用いる)。
 行動遅延とイニシアチブの推移:君のイニシアチブ・カウントは遅延していたアクションを取った時のカウントに変更される。もし遅延していたアクションを行なわないままに、次にアクションを行なう機会が来てしまったならば、遅延アクションは行われなかったことになる(もう一度遅延アクションを取ることはできるが)。
 遅延していたアクションをラウンドが終わった後、自分の本来のターンが来る前の時点で行ったなら、君のイニシアチブ・カウントは新たにその時点の値に上昇するが、もはやそのラウンドはアクションを行なうことはできない。

待機 Ready

 待機アクションは、何らかのアクションを準備しておき、自分のターンが終わってから、次の自分のターンが始まるまでの間のどこかで行うというものである。待機は機会攻撃を誘発しない標準アクションである(待機したアクション自体は機会攻撃を誘発するかもしれないが)。
 アクションを待機させる:待機できるのは1回の標準アクション、1回の移動アクション、1回の即行アクション、1回のフリー・アクションのいずれかである。これを行なう場合、自分が行うアクションとそれを行なう条件を指定する。その後、君の次のアクションまでの間であればいつでも、指定した状況への対応として待機しておいたアクションを行なうことができる。このアクションは、引き金となったアクションより先に行われる。引き金となったアクションが他のクリーチャーの行動の一部であった場合、君はそのキャラクターの行動に割り込む。君が待機しておいたアクションを終えた後、割り込みをかけられたキャラクターがまだ残りのアクションを行なう能力を持っていたなら、そのアクションを再開する。君のイニシアチブ・カウントは変更される。残りの戦闘の間、君のイニシアチブ・カウントは待機しておいたアクションを行なったときのカウントとなり、君が待機していたアクションの引き金となったアクションを行なったキャラクターの直前に行動するようになる。
 君は待機しておいたアクションの一部として5フィート・ステップを行なうことができるが、それは君がそのラウンド、それ以外に実際の距離を移動していない場合に限られる。
 待機によるイニチアチブ・カウントの推移:君のイニシアチブ・カウントは、待機していたアクションを取ったときのカウントに変更される。もし待機していたアクションを行なわないままに、次にアクションを行なう機会が来てしまったならば、待機アクションは行わなかったことになる(もう1度同じ待機アクションを取ることはできるが)。待機していたアクションをラウンドが変わった後、自分の本来のターンが来る前の時点で行ったなら、君のイニシアチブは新たにその時点の値に上昇するが、もはやそのラウンドはアクションを行なうことができない。
 呪文の使い手の精神集中を乱す:「彼女が呪文を発動し始めたら」という条件で、1人の呪文の使い手に対して1回の攻撃を待機させることができる。呪文の使い手にダメージを与えた場合、相手は発動させようとしていた呪文を失ってしまうかもしれない(精神集中判定の結果によって決まる)。
 相殺呪文の待機:1人の呪文の使い手に対して相殺呪文を待機することができる(条件はしばしば「彼女が呪文を発動し始めたら」となる)。この場合、呪文の使い手が呪文の発動を開始した時点で、〈呪文学〉判定(DC15+呪文レベル)により、その内容を識別する試みを行える。識別し、かつ同じ呪文を発動できる状態にある(呪文を準備するキャラクターの場合、準備をしており、発動できる状態にある)なら、その呪文を相殺呪文として発動して自動的に相手の呪文を打ち消すことができる。相殺呪文は片方が信仰呪文でもう一方が秘術呪文であっても問題なく行える。
 呪文の使い手はディスペル・マジックを相殺呪文として使用することができるが、こちらは必ずうまくいくとは限らない。
 突撃に対して武器を待機する:固定具の付いた武器を、突撃を迎え討つために待機することができる。このタイプの武器を待機しておいた場合、突撃するキャラクターに対して攻撃が命中したなら、2倍のダメージを与える。
最終更新:2020年10月16日 23:27