第十話 仇
病院から、ふたつの影が消えていく…。
真名と刹那は、住宅の屋根の上を伝いながら、ある場所へ向かう。
真名は『魔眼』を発動していた。
今から行く「ある場所」に、悪魔がいるかもしれない。
魔眼はその可能性を示していた。
その「ある場所」とは、私と楓が襲われた山の中。
『楓の仇を討つ』
その気持ちが真名と刹那を動かしている。
刹那はそれだけだったが、真名にはもうひとつ思いがあった。
「…みつけたぞ…。」
鬱蒼とした山の中。そこに在るは、フードを被った怪しい人影。
ついに魔眼が悪魔の姿を捉えた。
目の前にいる悪魔にむかって、刹那は夕凪をかまえ、翼を出す。
真名は痛む肩に気を留めず、デザートイーグルに手を掛けた。
悪魔がゆっくりと振り返る。
一時の静寂。
それを打ち破ったのは、悪魔の言葉だった。
「あなた方はお馬鹿さんですか…?せっかく、その命が奪われなくて済みましたのに。」
冷徹かつ、残酷な言葉。
「まぁ、私はあなた方ではなくて、長瀬楓を殺害するために現れましたから、あなた方に用はありませ――――――!!!?」
冷徹な悪魔の言葉は、途中で途切れた。
真名が、ものすごい殺気で悪魔を睨んでいる。
その重圧に驚き、声が出なかった。
「…貴様…、お前は、もう生きていい存在ではない…。」
真名は銃のハンマーを起こし、戦闘の態勢に構える。
刹那も同時に構えた。
「命知らずですね…。今ここで殺されたいですか…?」
「命知らずは…、貴様だ!!!」
真名の声を皮切りに、戦闘は開始された。
悪魔が二人にめがけて、炎の塊を打ち放す。
皮膚や服に掠めて、ジュウッと溶けていっても、二人は気にも留めなかった。
ほぼ全て避けたと言っても良いだろう。
「なかなか…やりますね…。」
そんな悪魔の言葉を無視し、真名は銃弾を打ち込む。
避けられはしたが、何発かは掠めていた。
少し余裕のある悪魔の顔。
その顔を見た真名は、にやりと哂う。
「相手は…私だけではないことを…わすれたのか?」
「…!!?なにっ…!」
悪魔は咄嗟に背後を見た。
刹那が後ろで夕凪を構えていた。
「「神鳴流奥義…、百烈桜花斬!!」」
刹那の攻撃により、悪魔は避けたものの、片腕は吹き飛んでいった。
「やはり…神鳴流は、天敵ですね…。」
悪魔が悔しそうに呟く。
かなりの時が流れていた。
お互いぼろぼろの身であった。
しかし攻勢を緩めない。
真名の肩にも限界が迫っていた。
しかし、『楓の仇を討つ』
『あの「美しい紅葉の景色」を汚さない』
という目的が、今の真名の原動力になっている。
真名は、最後の勝負に出た。
それを刹那が察する。
そして、刹那は真名に言葉を投げた。
「龍宮…、そういえば、報酬の事言ってなかったよな。」
「?あぁ、そうだったな…」
「報酬は…あの、楓を傷つけた悪魔の、命だ!」
「ふん、望むところだ!!!」
真名はそのまま、『最後の勝負』に挑んだ。
つづく>>最後
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