Karaha-Baruha(詳細・ネタバレ編)


  • タルタル♂、1a(金茶メッシュ)、通常配置無し
  • ウィンダス連邦の英雄の一人。目の院の前院長。故人
  • クリスタル戦争で聖都ウィンダスを滅びから救ったとされる偉大なる召喚士。


  ウィンダスミッション・歴史においてその名を残す英雄・カラハバルハ。しかしその思惑・真相は謎に包まれている。イベントで見る彼の情報を元に、彼が目指した先に何があったのか、に迫ってみたいと思う。

英雄の素顔・生前の人間関係

  既に故人であるカラハバルハの情報は少ない。しかし彼を伝説としてではなく、生前の思い出として語る人たちも居る。それは、彼の元同僚に当たる前院長たちと、星の神子である。これに関しては、公式の記事にも「目の院に院長待遇で迎えられた後は、他の院に就任した同期の友人らとの交流を深め、五院の協調体制を構築していった」と記されている(出典はVana'diel Tribune II No.6 ヴァナ・ディール人名事典 殉国の隠者 カラハバルハより)。
  まずはカラハバルハと同じく、石の区に庵があるにも関わらずそこで暮らした事がない、行方不明にして生存不明とされていたZonpa-Zippa。彼はウィンダスミッション中に生存が確認される上、カーディアンとウィンダスに迫る危機についての情報を得られる。その中で彼はかつてカラハバルハとライバルを自称していて、カーディアンの研究に打ち込んでいた。カラハバルハはその研究に興味を示したという(下記参照)。それにしてもライバルを自称するZonpa-Zippaの息子であるAjido-Marujido がカラハバルハに憧れを抱いているとはなんとも皮肉な話である。
  続いてYoran-OranKoru-Moru、そしてShantottoウィンダス三博士だが、この三人はクエストやミッションでの会話をつなぎ合わせてみると、カラハバルハと同級生であることが分かる。更に子供の頃タブナジアに行ったカラハバルハのお土産を三人で奪い合った過去も描かれている為、幼馴染でもある。三人は彼にとっては良き友人であり、ライバルでもあったのかもしれない。現在もYoran-Oranはカラハバルハが放ったと思われる台詞を一言一句変えずに復唱したり、Koru-Moruもそれをすぐに認識したりする辺り、二人にとって彼の存在は大きいものと思われる。
  一方Shantottoは二人とは独自の接し方をしている。黒魔道士AFクエストにて、地下水路へ向かうことになった一行だが、彼女だけ独断でカラハバルハの研究室を目指したのである。その理由とは、生前のカラハバルハに防具を貸したのをまだ返して貰っていないから回収するというものだった。その装備「ウィザードペタソス」は、黒魔道士の証となる帽子であるが、Shantotto本人が「わたくしのお気に入りの帽子」「性能はいいもの」と語っている位なので、元々彼女にとっても価値があるものだった事が伺える。それをなぜカラハバルハに貸したのか?ちなみに冒険者以外でカラハバルハの研究室を訪れたと明記されているのは二人であり、その一人がこのShantottoである。
  さらにShantottoに関して興味深いのは彼女がアトルガン調査の際に使った偽名Karababaである。その響きが非常に近い事から、Karaha-Baruhaの名前をタルタル女性の命名の法則を使って女性の名前にしたものではないか、という見解もされている(詳細は物語中語られていない為に実際は不明であるが興味深いと思いここに記載した)。上記のエピソードと併せて、Shantottoがカラハバルハにそれなりに強い感情を持っているのでは、と考えるプレイヤーも少なくないようである。
  そして最後になるが、最も深い関わりを伺わせるのは星の神子である。上の写真でもあるとおり、彼女はカラハバルハの研究所に戦時から訪れており、ミッション中に冒険者が研究所を発見し、初めて足を踏み入れた時も星の神子がそこに現れ、更に衝撃の事実を語る。

Star Sibyl : それで……あなたはどうやって、この部屋に入ったのです?天の塔の私の部屋を通る他に、この部屋へ降りる術はないはず。

  なんと彼女の寝室から研究所へ直接くることが出来たのだ。確かにカラハバルハの研究はウィンダスを救う為のものであるから、彼女と密接に連絡を取りその過程や詳細を報告する必要はあるだろうが、何も個室から出入りする事も無いと思える。しかし彼女の個室から彼の研究所への通路は実在するわけであり、二人の関係をいろいろ勘ぐってしまう要素の一つでもある(上記に書いた、この部屋を訪れたと明記されている二人のNPCの一人はShantottoと……この星の神子である)。ちなみに、ミッション上の成り行きとは言え、ここで冒険者を発見した彼女はいつになく感情を露にする台詞を残して部屋へと戻っていく事にも注目してほしい。この台詞は(最後は取り繕っているものの)国の元首としてではなく、本来の彼女の気持ちが見え隠れする貴重な場面でもある。

Star Sibyl : ここにある本を読んだら、お帰りなさい。あなたをここに導いたのが、カラハバルハの星だというならば、私は追い返しも咎めもしません。しかし、ここ中央塔の魔封門から先は、国民であろうと、立ち入りが許されぬ場所。そのことに関しては、ふたたび処罰を考えますよ。
Star Sibyl : わかりましたね。……。あなたに導きの星があらんことを。

  三国共通ミッション、及びウィンダスミッションにおいて、カラハバルハが星の神子にとって特別な存在であるのは随所で見られる。そもそも彼は命を落とす事を承知の上で「完全召喚」を行った節があり、それは愛する国の為に、といえば実に英雄的でかっこいいものである。しかしその「完全召喚」の現場に居た星の神子が国の元首としてではない存在として立ち会っていたら……(少なくともそのシーンでの星の神子の表情はそのように思わせる、感情むき出しの悲痛感が漂っている)。少なくとも今現在もカラハバルハは星の神子にとって大切な存在であり、一人じゃ抱えきれない不安や絶望を感じるとカラハバルハに助けを求めるシーンが見られる。


Star Sibyl : 教えて……カラハバルハ……。私を助けて……カラハバルハ……。

カラハ・バルハの研究室

  召喚魔法の研究をやっていたと言われる、トライマライ水路の奥深くにある「心の院」ことカラハバルハの研究室。イベントで見られる彼の隠れ家をピックアップしてみた。


間取りとしてはかなり広いと思われる。天井も高く、二階建てになっているのが分かる。


研究に使用してただけあって、書籍の量も凄い。この巨大な本棚だけではなく二階にも本棚があるのが見える。


奥行きもそれなりにあり、二階の奥にベッドがあるのが見える。ベッドは一見豪華だが、どことなくくたびれた印象がある。


一階奥にはテーブルと数々の機材、そして札のようなものが宙吊りになっているのが見える。更に本棚もある。


入り口付近。本当に研究と簡単な休憩・仮眠にしか使っていないのか、蜘蛛の巣ができているのがわかる。全体的に整頓はされてても掃除はされていない雰囲気である。

完全召喚・その研究と作戦の全貌

  ウィンダスミッションの中枢にある、といっても過言ではないこの「完全召喚」とは一体何だったのか。ここで彼の研究と作戦、ウィンダスを守るために練った策の全貌を紐解いてみる。
  まず上記にも登場した彼の研究室は通称「心の院」とも呼ばれ、元々召喚魔法について研究を行っていた。30年前に「自然に宿る魔法力から魔法を生み出す魔法術はもう行き着くところまで行き着いている」と星の神子に進言した彼は、「自然ではなく、生き物から魔力を引き出す理論」を打ち立てた。それこそが召喚魔法の原理であり、彼が目指した新たな魔法の姿でもある。そして25年前にこの研究所は人目に隠されたトライマライ水路の奥深くに作られた。当時は彼の理論も研究も生き物の命の尊厳を脅かす可能性があったため、5院から反対されていたのだ。そしてトライマライ水路の真上には星の神子の住まう星の大樹もあり、通路も設けられたと思われる。
  そして20年前、クリスタル大戦中に星の神子が行った星詠みの占いで見えてしまったのがウィンダスの滅亡であった。その秘密は、冒険者とAjido-Marujido が初代星の神子リミララが書き記したとされる「神々の書」を解読されたことにより判明するが、リミララとサルタバルタの「荒ぶる獣」Fenrir結んだ契約が原因だった。そしてカラハバルハも、研究の末それを理解していた模様だ。


  ウィンダスを滅びから救うには初代の星の神子が詠んだ月詠みの予言(古の契約)を破棄するしかないが、それは月の意志であるFenrirを殺すことを意味する。だがウィンダスは星月の加護で成り立っている国家であり、Fenrirを殺し、加護を失えばその時点で滅びを回避できても結局国が次第に衰退して滅ぶのは目に見えている。そこでカラハバルハは月詠みを破棄して尚且つ星月の加護を失わない方法を考えた。それはFenrirを一度殺して同時に月詠みの予言を破棄、その後殺したFenrirを復活させて星月の力も復活させるものである。
  まずフェンリルを復活させるにあたって使ったのが手の院の禁術である。カーディアン製作者が死ぬとそのカーディアンも停止してしまうが、もしその停止したカーディアンを無理やり復活させるとカーディアン製作者も蘇るというもの。だがFenrirがカーディアンを作るわけがないし、そもそもそんな巨大な力を持つ神獣を殺すなど不可能である。そこでカラハバルハが次に打った策が召喚である。力を借りる召喚ではなくFenrirと精神をリンクし、完全に操る「完全召喚」。


本来は別の用途でZonpa-Zippaから借りたカーディアンの知識が後々生きてきた。

  カラハバルハ自らカーディアン「Joker」を作り、完全召喚でFenrirと精神をリンク、そして自ら死ねば自分とリンクしているFenrirを殺すことができる。しかもカラハバルハが作ったJokerを復活させれば自分もフェンリルも復活できる。しかし、これは大きな賭けでもあった。


完全召喚は、すなわち神殺しと自分自身の命の犠牲を意味していた。


この時からFenrirは「消え」ウィンダスから月の加護は消えてしまった。

  一つ目はFenrirと精神をリンクしたまま復活すれば精神が混ざり合って蘇ってしまう可能性があること。この問題に対してカラハバルハが弄した三つ目の策がFenrirの意識をJokerに宿し、自ら完全復活に向けて別途で活動できるようにすることである。このためにJokerに魔法塔の魔導器の全てを任せている。
  そしてもう一つの問題はそもそも誰かがJokerを復活させなければ自分もFenrirも復活できない。Joker復活は国の者に任せるとこもできるが、その時の情勢や手違い、この策の漏洩などで復活が失敗する恐れがある。よってJoker復活は第三者の手によるものが望ましい。これに対する策として当時軍隊用に「主人」の設定をされていたカーディアンたちに目をつけた。カーディアンは「主人」と認識する者の命令に従う。当時戦時中だったウィンダスではカーディアンを軍隊に仕立てるため、それぞれのカーディアンに認識ナンバーの上の者に従うような設定がなされていた。カラハバルハはジョーカーを認識ナンバーの最も高いエース・カーディアンの「主人」に設定したのだ。つまりJokerをカーディアンの頂点に据えたことになる。ジョーカーが死ぬとカーディアンたちは「主人を失った」という問題を解決するために主人・Jokerを復活させようと動き出す。実はJokerーを復活させようとウィンダスを離れて活動しているカーディアンたちが野良カーディアンになったのだ。


スターオニオンズ団のクエストで目覚めるJoker。この瞬間カラハバルハの復活の作戦は成功することになる。

  実際にJokerを起動させたのは野良カーディアンではなくスターオニオンズ団……すなわちこの計画にまったく関係の無い第三者であるが、結果的にカラハバルハの作戦は成功し、Jokerとして復活したFenrirはカーディアンの王として動き出す。Fenrir復活には星の神子の力が必要である以上、ウィンダスを動かせるだけの政治的力が必要だ。もし仮に野良カーディアンたちがいないことを想定すればよくわかるが、Jokerにいくら人知を超えた力があろうとも、結局はタダのカーディアンでしかない。彼一人ではウィンダス国家と渡り合うのは不可能である。それにJokerが活動するにあたってはヤグードも邪魔な存在になるだろう。よってどうしてもJokerが第三勢力の長になる必要が出てくるのである。Jokerが野良ガーディアンの長になり、第三勢力になる事こそがカラハバルハの狙いであった。


Fenrirの意識が目覚めたJokerだが、起動時の記憶も混ざっている。

Joker : 神子よ、小さき民よ、思い出すのだ。始まりの神子の時代から、我が死へいたるまで、そなたらは永い永い予言に従い生きてきた。 その予言は、始まりの神子の強き願い……「月詠み」から始まった。そなたのようにこの地へと降り注ぐ星月に願いを託すことから……。
Star Sibyl :……ああ……。そうだわ、私は天文泉に願った……。絶望に耐え切れず……あの時、死んでしまった、カラハバルハの……助けを……。
Joker :……そう、その願い……。最後にわずかに残った星月の力が、その願いを聞き届けたのだ。そして、小さき彼は、我とひとつに混ざりあったままに死という闇から戻ってきている。
Star Sibyl :……!!!
Joker : 驚くべきことだな、神子よ。そなたの希望、そなたの願いは期せずして、失われし星月の力が蘇る……その「時」を導かんとしている。しかし、そのためには分かたれた我とともに、今一度、そなたの強い願いが必要になる。
Star Sibyl :……!?……それは……!?

  この口調だとJokerに宿ったFenrirは、カラハバルハの作戦に気づいているようであり、Jokerと共に現世に彼が舞い戻った事も暗示している。そしてその通り、元来の肉体は滅び姿形は変わったもののカラハバルハも蘇っていた。


しかし面影は頭のトンガリだけである(生前のカラハバルハが登場するシーンでは衣装からわずかに出ている髪の毛が金髪と茶色のグラデである為フェイスタイプは割り出せる)。

  この「黒き使者」はウィンダスミッションにおいて星の神子との接触を図り、彼女の前に現れる。その際の台詞(というか、「黒き使者」の唯一の台詞)は以下の通りである。

??? :……ミ……

  とても英雄カラハバルハの意識を感じさせる物ではないが、実際ウィンダスミッションの終盤で「黒き使者」はFenrirと融合されたカラハバルハである事が分かり、彼とJokerが融合して初めてFenrirが復活する事も判明する。すなわち「黒き使者」は厳密にいうとカラハバルハの抜け殻、とも言うべき存在であり、Fenrir復活の為に必要不可欠なパーツである。「黒き使者」の居場所が分からない為に冒険者らは古代クリュー人の歌を再現し、召喚する事になるが、これで「黒き使者」が実際に召喚が出来たところを見るともはやカラハバルハの意識はなく、月星の魔力を宿す亡霊のようなもの、といった扱いのようである。
  それにしても最初に向かったのが星の神子の所というのは、僅かに残ったカラハバルハの意識なのだろうか。そう考えると切ないものである。

  ともあれ、カラハバルハの「完全召喚」によるウィンダスを救う策は、彼の意思と研究を解読することに成功したAjido-Marujido の助けもあり、死した獣神Fenrirは復活を遂げ、星の神子と新たな契約を結ぶ事によって成就された。これにより月星の加護はサルタバルタの大地に戻り、ウィンダスに迫っていた危機は回避され、ミッションは幕を閉じる。しかしこのように見ると、全てはカラハバルハが仕組んだ奇跡だったのである。


英雄になる前(アルタナの神兵)

  発売前の「アルタナの神兵」トレーラーでは、なんとフェンリルを召喚するカラハバルハの姿が映し出されている。(一瞬のシーンなので画質が悪いのはあしからず)


建物の屋上で召喚モーションをする彼の後姿

フェンリルと共に「お願い、カラハバルハ・・・」の文字が浮かぶ

  焼け落ちてる街中で倒れている者が数多く映し出されるウィンダス水の区。建物の上で(星の大樹の位置からすると目の院屋上と思われる)召喚を始める彼の後姿に、吼えるFenrirが、クリスタル大戦のウィンダスを象徴するシーンとして出ているのだ。
  実際のウィンダス水の区〔S〕では「彼は研究の為に閉じこもっている」という情報が聞ける為、現段階でのカラハバルハはまだトライマライの奥深くで研究中と思われる。彼が英雄と言われる、歴史的場面の実装が今から待ち遠しく感じる。


最終更新:2008年06月01日 12:35