Grav'iton (詳細・ネタバレ編)


  • クリュー人♀、独自フェイス、ウガレピ寺院・生贄の間
  • 既に滅んだ古代種「クリュー」族の学者。
  • フルネームはグラビトン・ベリサーチ。


特記事項
  • 既に本人は遥か昔に亡くなってるが、現在でも残留思念としてウガレピ寺院の奥に留まる。
  • 生贄の間に登場するトンベリのNM「Grav'iton」は彼女の肉体の成れの果てと思われる。
  • 失われた遙か古代の歴史の代弁者として、ヴァナ・ディールの隠された秘密をプレイヤーに伝える役目を担う。
  • また、過去の過ちが現代のヴァナ・ディールに復活し、その危険性を訴えるべく姿を現す。
  • 同様に、タルタルとウィンダスに深い関わりを持つクリュー人の一人として、ウィンダスミッションに登場する。


古代よりの声・ジラートミッションでのグラビトン

  初めての登場は、ジラートミッション序盤、Gilgameshがウガレピ寺院を訪れた際に見た幻影からである。


???:古代の亡霊はまだ眠ったままなのかい?連中が目覚めたときは、また訪ねてくるんだね。

  突然その正体を現し、世界を滅ぼさんと動き出したKam'lanautらの話を聞いたとき、「古代の民ジラート」「クリスタルの戦士」等、既に歴史の中に消えてしまった単語に戸惑う中、不意にGilgameshはその不思議な老人の幻影を思い出し、冒険者(プレイヤー)に真相を確認すべくウガレピ寺院に向かうように指示をした。

  ウガレピを訪れた冒険者を待っていたのは未知の獣人・トンベリ。ウガレピ寺院は、トンベリ族の巣窟として知られていた。そして奥深くにある「生贄の間」で襲い掛かってきた3匹のトンベリ。それらを打ち負かした冒険者の前に現れたのは、その3匹のトンベリの一人、Grav'itonと同じ名前を持つ老婆だった。


Grav'iton : おまえたちもういいよ、お止め。
Grav'iton : よく来たね。ついにヤツらは、始めちまったようだね。過去の亡霊にがんじがらめにされて、にっちもさっちもいかなくなっちまってるのさ。本人達は気づいちゃいないようだが、ね。ああ、わたしゃ、グラビトン・ベリサーチ。古代クリュー人の学者の、なれの果てさ。みんなはちぢめて、トンベリって呼んでたがね。いまじゃ、クリュー人生き残りの集合無意識の代弁者、失われた古代の記憶の残滓ってとこさ。いいかい、そいつは、気の遠くなるような話なんだ。なにしろ今から1万年も昔、古代王国で始まった話だからね。ことの起こりは、「石」さ。クリスタルと呼ばれる、不思議な力を秘めた……

  彼女が語りだしたのは、遙か古代にあった「ジラート文明」の記憶。クリスタルの力を用いて栄えたその文明は、更に地底に眠る5つのクリスタルの力を引き出すために世界を繋げるアークをつくり、それらを結ぶパイプラインとなるクリスタルライン、そして制御をする役目を果たすデルクフの塔を建築した。その高い文明におぼれ、ジラート人の王子達はクリスタルの力を使い更なる高み……神々の国「真世界」をこの世に具現化させるという「神の扉」計画を発表、遂行した。そして浮島トゥー・リアを作り出し、そこにクリスタルの力を注ぐ事で「楽園への扉」を開こうとしたのだった。


生前のグラビトン。

  神々の力に触れることを恐れた、「明星の巫女」達とグラビトンらクリューの民は、それに抗議をしたが、理想郷という熱に浮かされてジラート人は耳を傾けなかったという。しかし、その計画はあまりに無謀であり、クリスタルの力を暴走させ世界を破壊してしまう危険性もあった。そして、その計画を阻止すべく、トゥー・リアにクリスタルの力が注がれるときに、北国のアークを破壊する、ゲリラ戦に出た。
  しかし皮肉にもこの行為こそがクリスタルの暴走、すなわち「メルトブロー」を引き起こしてしまい、ジラート国は一瞬にしてこの世から消滅し、暴発の現場であった北の大地は不毛の地へと変わってしまった。クリューの都ソ・ジヤを離れる決意をしたクリューの生き残りの一部はその後南へと避難し、このウガレピ寺院を建てたという。そして長い年月を掛け、トンベリという新たな獣人へと退化していったのだ。
  グラビトン自身、その身はトンベリへと変貌したのだが、その強い念により意識は変化せずにこの世にとどまった。そして今もその姿を変えること無く存在するデルクフの塔の存在を知り、いずれジラートの悪夢が再び起きてしまうのではないかと危惧していたという。そして彼女が予想していた通り、長い眠りから目覚め再び神々の世界をこの世に具現化させるべく動き出したのがKam'lanaut達である。
  自分たちがしたことを後悔していないと語るグラビトン。そして自らの過去を語り、今現在のヴァナ・ディールの運命を冒険者に託し、道を示していくのだった。



グラビトンが語る、クリューの民が導いた小さき子供達

  ウィンダスミッションにて、30年まえに非業の死を遂げた師・Iru-Kuiruの研究を求めてウガレピ寺院を訪れた現鼻の院院長・Rukususuを追って、冒険者もこの地を訪れる。そして、そこで出会ったグラビトンは、Iru-Kuiruが研究していたタルタルとウィンダスの過去、そしてクリュー人との意外な関係を語ることになる。
  メルトブローにより、人の住める環境を失った北の大地。生き残ったクリュー人は南の大陸を目指したが、北の大地に住まう種族はクリューだけではなかった。魔法を得意とし、生活の一部に自然の力を必要とするその民・タルタル族を自分達の業の為に困惑と絶望に追いやってしまったのだ。見かねたクリュー人は、タルタル族を南東の大陸へと導き、月の力が溢れる大地・サルタバルタへいざなった。
  そしてクリュー文明の技術を伝授し、月の力を大地から引き上げる魔法塔の構築を指示した(クリュー人が建築したものと思われる、魔法塔の原型は現在もフォルガンディ地方で見られる)。これによりタルタル族はサルタバルタでの生活が可能になり、後にウィンダス連邦国をそこに築く事になる。そして長い歴史の中で、この出来事と魔法塔の起源等も失われ、Iru-Kuiruの研究につながって行く。また、魔法塔に月の力を満たす際に星の神子と月の神Fenrirは契約を結ぶが、Fenrirの加護を失った現在も魔法塔は大地の魔力を吸い続け、結果的にサルタバルタの豊かな緑を失う結果となっている。既に魔法塔の起源も判らない現在、その対処法をウィンダスは判らず、現在の国家問題に発展している。
  クリュー人であるグラビトンは、今現在もタルタル達に深い愛着を持っており、現在の状況を冒険者とRukususuから聞いて、胸を痛める。そして残留思念である今の彼女では協力できる事は微力といいながら、ミッションの流れでその力を失った「神々の書」に彼女の魔力を込め、一時ではあるものの解読可能にした。


これによりAjido-Marujidoは「神々の書」の解読に成功し、ウィンダスを救う策を考え出すに至る。


断片的に語られる関係・クリュー人とトンベリ族

  元来、クリュー人も元々はジラート人である。古代ジラート王国において、ジラート人が虚ろなる闇に蝕まれたために、意思疎通手段であった「心の声」を失った者達こそがクリュー人と呼ばれる者達であり、クリューの民はジラートからは露骨な迫害こそ受けなかったものの、一種の病気に侵されたものであると認識されており、クリューの民同士で暮らすよう勧められた(これはあくまで自主的に推薦されていた事項であり、強制的なものではなかった)。それ故にジラートを「完全なる民」と信じ、自身はコンプレックスに苛まれている人物もいるようである。ソ・ジヤはジラートの神都アル・タユがかつて存在していた場所の外れにクリューの民が建てた都である。
  ただ「心の声」を聞けなくなったのと引き換えに、クリューの民の大半は霊獣と呼ばれる存在との交流が可能になる能力を身に着けていた。ソ・ジヤで神獣として奉られたこの霊獣こそが現在で言う召喚獣であり、現在の召喚魔法の起源にもなっていると思われる。そしてメルトブローが起きるゲリラ戦の際、クリュー人は霊獣達と共にジラート人と戦い、「神の扉」計画の阻止を図った。
  メルトブローの後、ソ・ジアに留まったごく一部を除いて、クリューの民は南国を目指して避難することになった。そしてたどり着き、築いた新たな都こそが「ウガレピ」であった。都市であったソ・ジアに対し、ウガレピ寺院はあくまで住居区として設けられたものであり、構造が違うのはこの為だと思われる。そして、クリュー人の「成れの果て」と称されるトンベリ族が、この二つの地区に多く存在するのは上記の理由のためでもある。

  トンベリとクリューの繋がりは見えるものの、その変貌の過程はジラートミッションとプロマシアミッションでは多少変化がある。ジラートでその過程を直接語るグラビトンによると「「神の扉」計画を阻止するべく、クリュー人は北の地のアークを破壊した結果、メルト・ブローが発生し、膨大な量のクリスタルの力が放出された。その力を被曝してしまったためか、時とともに種の退化が発生し、トンベリ族へと変貌してしまった」、とされている。その為にグラビトン自身、肉体は同様の末路を迎えている。
  プロマシアミッションにてトンベリとはディアボロスがクリューの民から虚ろなる闇を除去した結果、ヒトのカタチを維持出来なくなった結果であるということが判明。ジラートの民+虚ろなる闇⇒クリューの民、クリューの民−虚ろなる闇⇒トンベリ族という不可逆の種の変化のようだ。虚ろなる闇とはヒトがヒトであるために必要なモノであり、虚ろなる闇を除去してしまうと人間でなくなってしまうことになる。これらから推測するに、トンベリは単に虚ろなる闇を失ったクリューの民の末路ではなく、なにか別の要素が加わってしまったために獣人へと退化してしまった存在であると思われる。ただ、こちらの説にはSelh'teusEsha'ntarlPrisheといった特異例も存在している。


ジラートミッションの終幕にて。「ジラートの幻影」の消滅を遠いウガレピ寺院から感じとったグラビトンはその役目を終えたのを感じたのか、そのまま消えていく。長い時を経て、彼女の心も休まる時が来たと思いたい。

最終更新:2008年11月05日 12:13