Aldo(詳細・ネタバレ編)
ヒューム♂、独自グラフィック(ベースはF2b)、ジュノ下層J-8
家族構成:実姉(Emeline )、養妹(Verena )
ジュノを中心に世界各地で活動する裏ギルド「天晶堂 」の若き頭首。
前頭首・グレッゾに拾われて育てられた養子。
無邪気に兵達を見送った少年時代。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2784040
幼少時代から現在までの経緯
タブナジアで姉のEmelineと暮らしていた。
しかしオークに追われ、姉が彼を逃がす為に取り残され捕らえられてしまう。以後姉とは離別、死亡しているものと信じている。
オーク達から逃れ、当時タブナジアの海軍(公認海賊)の一員だったGilgamesh に保護される。
Gilgamesh の紹介で天晶堂 の頭首グレッゾに養子として迎えられる。
以降、グレッゾの実娘Verena と共に兄妹のように仲良く育てられる。
グレッゾが死亡し、天晶堂 の頭首の座を引き継ぐ。
タブナジア滅亡後ノーグに拠点を構えていたGilgamesh と共に裏で数々の取引・犯罪すれすれの行為を繰り返しながら祖国再建を図っている。
妹・フェレーナとの関係
上記にもあるが、アルドと
Verena は血は繋がっていないものの、幼少の頃より兄妹として育っている。仲も非常に良好で、
天晶堂 の店員達にも評判である。そして、アルドにはかつて姉が居た。だがオークの襲撃により生き別れになってしまったトラウマ的な体験を抱いていた(本人は姉が生存しているのは知らず、死別したと信じている)。そこから獣人に対する憎しみが生まれ、毛嫌いする一面を持っている。と同時に、獣人の心を理解できる特殊能力を持ち、人と獣人の共存を望む妹
Verena と喧嘩になることもしばしばあるらしい。彼女の親友であった下層で暮らすゴブリンの少年
Fickblix の事を理解し慈しむようになったのも、彼がこの世を去ってしばらくした、既に手遅れの時期だった。
しかしここで改めて時代を考えると、獣人と人はわずか20年前まで戦争をしており、現在も決して友好的とはいえない関係にある。更に獣人が崇めていた「闇の王」の復活も囁かれている危うい時期でもある。アルドの心配は過保護気味と言われているが、それらを考慮すると妹を心配するのは当然の事であり、決して「シスコン」とかでは無い。またアルドには上記の通り、獣人に襲われ肉親を奪われた過去を持っている。
祖国を滅ぼされ、自分を逃がそうとした姉は目の前で……。アルドのトラウマは今も重く彼の心にのしかかっている。
獣人への警戒心・憎悪は経験からくる物でもあり、当時幼く姉を助けられなかったアルドにとってもトラウマだったのでは無いだろうか。成人して守るべき妹が居る現在、その存在を守るというのは現在の彼ができる、過去の自分の無力さへの償いにも似た部分が伺える。また
Verena もそれを理解してる部分もあるからこそ現在も仲のよい兄妹なのかもしれない。
また幼少の頃から
Gilgamesh と縁の深い二人は、その娘
Lion との交流もある。
Lion と面識があるプレイヤーにアルドは情報などの提供をし、
Verena も
Lion を「ライオン姉さん」と慕っている。これらの関係がジラートミッションに深くかかわっていく。
各種ミッションでのアルドとの関わり
Final Fantasy XIのオープニングムービーに登場するアルドは、元来プレイヤーの次に重要なポストとして開発陣から扱われていた節が強い。その一つとして、彼は本筋のストーリーである「闇の王」討伐までのミッション、後の追加ミッション「ジラートの幻影」および「プロマシアの呪縛」にも登場している。その軌跡をここで要点だけまとめてみた。
三国ミッション
ジラートミッション
必死に止めようと叫ぶアルドだが、既に負傷していて体は動かないようだ。
イベント終了後、冒険者より先に家路につき、ジュノ下層の天晶堂 にて手厚い出迎えを受ける。
プロマシアミッション
Prishe を追って天晶堂 に訪れた冒険者。それを「罪人」として追うWolfgang の前に「家の主」として「客人」を守る、と立ちふさがる。
一段落した後、Prishe の身柄を証明する証人として、アルドは冒険者に彼女について色々問う。Prishe は前頭首グレッゾと面識があり、突然訪れたジュノでの知り合いとして訪ねてきたのだった。
20年前の航路の地図しかないが、Prishe を帰す為に船を用意する事に同意する(先客が同じ要望でたずねてきていたから)。
アルドは冗談で冒険者にタブナジアに同行して亡命する事を薦めるが、直後に素直に出頭するほうが安全とアドバイスする。
話は進み、Prishe を追ってジュノに訪れたUlmia が天晶堂 のアルドを訪ねる。
冒険者とUlmia のやり取りでタブナジアにあった魔晶石の情報を提供する。
クエスト「世界に在りて君は何を想うのか?」
このクエストは「ジラートの幻影」「プロマシアの呪縛」のミッションをすべて終了した状態で初めて発生する、双方のミッションの完結編である。もちろん、両方のミッションに関わったアルドも登場する。
すべての終わりに
Aldo:フェレーナはライオンがどこかで生きていると感じていた。その言葉、オレは疑いたくはなかった。だがもう二度と会えないだろうと、どこかで思っていた。……お前には敵わんな。
Aldo:冒険者ってのは、新しい土地に行って、新しいモンスターと戦い、新しい宝を持ち帰るだけの存在じゃない。オレたちが諦めちまったことをかなえちまう。……それが本当の冒険者なんだな。古代人と戦ったこと、「虚ろなる闇」と戦ったこと。冒険者の中でも最強の部類に入るお前には、既に、過去のことかもしれない。でもオレたちは忘れないぜ。オレたちの他にも、諦めてた願いを持ってたヤツらは、忘れないはずさ。だから、行くといい。まずはノーグのライオンに会いに。そして……
Aldo:お前を待っているだれかさんのところに、な?
考慮・アルドが「主要キャラクター」から外れた理由
「ジラートの幻影」では冒険者、すなわちプレイヤーの味方として活躍するアルドであるが、それ以降の「プロマシアの呪縛」ではジュノでのイベントで(飛空艇が絡む為に)少々登場するだけ(それでも同様にジラートの味方NPC組の
Lion と
Zeid に比べたら登場してるだけマシかもしれない)、両ミッションの完結編である「世界クエスト」と呼ばれる連続クエスト以降は、直接プレイヤーと絡むことがめっきり減ってしまったアルド。
しかしFFXI発売前からメディアに露出されていたムービー等はAldoという少年が登場し、それがこのアルドの幼少時代の辛い記憶である事は、上記にも記したとおりである。FFXIのサービスが開始された前の時代、プロモーションムービーという形で最も早くプレイヤーの前に登場するヴァナ・ディールの住人がアルドだったわけである。これは現在でも、初めて「ファイナルファンタジーXI」をインストールしたらこのムービーが流れたり、PC版でプレイする際はムービーが流れる等、現在も伝統的には変わっていない。「アルド」というキャラクターが(特に初期・発売前)プレイヤーにとってどのような存在だったか、まずはオープニングムービーでの彼を語る必要がある。
このページトップに載っている写真の少年を中心に、20年前のヴァナ・ディール……更に言うと、タブナジアに遠征に訪れたアルタナ連合軍の登場と、血盟軍との戦い、その敗戦の様が主軸となっており、戦いに翻弄される一般人として少年とその姉の悲劇が描かれている。まるで映画のような美しいCGとシリアスな展開に度肝を抜かれた人も多かったのではないだろうか(特に当時は業界最前線の技術として各雑誌のCDで紹介されたり、当時のスクウェアのゲーム特典DVD等にも収録されていたこともあった)。
息を呑む画と展開の中で描かれる姉弟の悲劇。
一夜が明け、そこに映し出されるのは滅ぼされた街と泣きじゃくる弟。
この時のムービーの音声で(英語)、視聴者は少年の名前が「Aldo」である事を知る。そしてその後の悲惨な結末も…・・・。絶望的な雰囲気を重く演出した20年前の戦争。そして「20 years later」という字幕とともに、その月日を感じさせるかのような快晴、緑で覆い茂るかつて滅ぼされた街、タブナジア。
その街を見つめる青年の後姿。その仕草は、ムービー冒頭の少年と一緒…・・・。
見ている者の誰もが「あの少年の成長した姿だ」と直感する場面だ。
そんな青年を見守り、寄り添うかのように集う仲間達。
カメラが引いていくと、その「仲間」が物凄い人数と言う事がわかる。
最後にFFXIのロゴが映し出されて完結するこのムービーこそが、FFXIのサービスそのもののプロモーションムービーとして当時流されたものだった。このムービーを見て冒険に胸を躍らせてプレイを決意した人も多かったのではないだろうか。特に最後の、仲間達が集い、タブナジアを見つめるシーンはムービー前半の重く悲しい物語を吹き飛ばすかのような爽快感と希望に満ち溢れるかのような「ワクワク感」を当時の管理人は感じたものだ。
そして、このムービーの主人公と言える「アルド」の存在は、初期からゲーム内で登場するのではないかと期待していたプレイヤーも多かった事を記憶している。何しろ、あのムービーである。彼が悲しい過去を乗り越え、仲間達を集め、冒険者として活躍しているかもしれない、と期待しないほうが難しい描写だったと思う。そして彼のように仲間を作り、苦難に立ち向かう冒険の地・ヴァナ・ディールに思いを馳せ、ゲームプレイを決意したプレイヤーも(当時は特に)多かったと思う。
そして満を持して、ついにミッション(魔晶石を奪え)でその名が登場したアルド。その彼の現在は……上記の通り、怪しさ満載の組織
天晶堂 の若頭であり、最初は冒険者であるプレイヤーを軽んじてみている為、その腕を試すような言動をしてくる。ムービーで登場した「成長した(と思われた)彼」がかもし出す爽やかな冒険者の先輩ではなかった。それどころかマフィアのような組織のボスとして、むしろダークなキャラクターのような雰囲気を抱えた人物だったのだ。
さらにはミッションでの会話、セルビナでのイベント等で少なくともムービーの少年は、このアルドであることが保証されている。
では逆にムービーの最後に出てくる爽やかな青年は誰なのか?アルドであると仮定した場合、テロップに「20年後」と書かれている以上、ムービーの青年達は「現代のヴァナ・ディールにいる」と思われる。アルドは、その後
天晶堂 の前頭目グレッゾの養子となり、
天晶堂 の運営の手伝いをグレッゾが現役である時代から行っていた事は想像出来る(グレッゾの死後からアルドが頭目を務めている事からも、事前から多少なりとも運営に携わっていないと有り得ないことだと思われる)。ムービーの青年がアルドである場合、あのように自由にタブナジアまで仲間と赴いたのは頭目になる前、更に言うと
天晶堂 の手伝いをする前となるほうが自然と思える。しかしそれだと「現代」である可能性はない。FFXIサービス開始段階で、既にアルドは
天晶堂 の頭目であるからだ。
となると、ムービーの青年は、アルドの過去を知っている冒険者と思ったほうが自然ではないだろうか。更に言うと、スクウェアが演出した「ヴァナ・ディールでの君たちだよ^^」という演出であると、アルドの過去や実際のゲームでの立ち回りを見ると解釈できる。
ジラートミッションでの演出は「失敗」?
それでも、FFXI、そしてヴァナ・ディールに興味を抱くきっかけになりやすいオープニングムービーの主人公・アルドの登場を喜んだ者も決して少なくは無かったようで、当時の開発陣も、FFXIサービス開始当初から「ジラートの幻影」までの全体的な物語は既に構成していたと語っていた。すなわち、初期のミッションから登場する先輩冒険者
Lion 、闇の王復活等で何かしら重大な謎を追っていると思われる謎の剣士
Zeid 、そしてムービーにも登場し、表の主役は当然冒険者=プレイヤーでありながらも、影の(真の?)主人公格とも思われていたアルドが仲間として参戦する流れは、物語の初期から骨組みとして存在していたことになる。
実際、ジラート開始前の「闇の王討伐まで」のミッションでのアルドは脇役でありながら、過去のトラウマによる獣人への警戒と嫌悪、義妹の
Verena との絆の深さからくる意見の対立等は丁寧に描かれており、その設定と展開は「ジラートの幻影」でも引き継がれている。鬼神出没な
Zeid や、キャラクター設定よりも情報を提供するキャラクターとしての役割が色濃い
Lion よりも遥かに人間臭い一面が取り上げられ、アルドのキャラクターとしての優遇っぷりが見え隠れする。そして行方不明となった最愛の妹の情報を得て、このアルドも冒険者とともに戦う事を決意するわけだが……。
現在でこそ、FFXIの世界も追加ディスク4つ目、それに伴いミッションも増え、キャラクターの描写もバリエーションが豊かになってきた。それはFFXIの技術的な歩みでもあり、ネットゲームと言う、スクウェア・エニックスとしても新しい媒介の中での物語の展開に慣れてきた表れともいえる。しかし、その最初の(すべての追加ディスクのプロトタイプともいえる)「ジラートの幻影」は、物語こそは初期からのミッションとの連携が綿密に計算されていたものの、細かいキャラクター描写や物語の展開運びが現在に比べると荒削りだった感は否めない。(実際、「ミッションクリアおつ!」とNPCに言われるためだけにノーグ等にいかなくてはならない展開が多くて管理人も移動等が苦痛だった記憶がある)
そして、その荒削りな描写の煽りを最も受けてしまったのが、この「ミッション関連キャラの主人公格」に位置付けされているはずの三人に他ならなかった。後付設定であるとはいえ、アルドと
Lion は幼少時代からの昔なじみと言う設定があり、
Lion と
Zeid は時々お互いの調査の出先で出会う、「真実を追う者」という共通点の為に顔なじみであり、情報交換や物語の流れ上協力しあう間柄でもあった。一方
Zeid とアルドには直接的な面識は無く、実際に合流する「ジラートの幻影」ミッション中盤で初対面となる。元々、特に馴れ合わない性格の二人だから、共通の目的があるから協力はするものの、必要以上につるまない、といった描写で物語は進んでいく。それ自体はマンガや小説などでも良く見られる間柄であるし、ドライな関係でも絆は感じられる、として好む人も実際に多いからこそ多用されるシチュエーションといえる。
しかし実際のミッションの運びは、冒険者(プレイヤー)が苦労をして各地を駆け回り情報を集め、必要なアイテムを揃えて進めていくわけで、NPCは結果的にそれに便乗し、物語に沿って敵地に乗り込んだりするものである。これは、ジラートミッションだけではなく、ゲーム全体で言える展開だ。しかしこの三人は、通常はドライで馴れ合わない!という雰囲気を全面的に出しているにも関わらず、重要なエリア等に入るときのムービーでは悪びれも無く「便乗させてもらうぞ」と冒険者に言ったりする。そのときは三人の息もピッタリで、さも当然のように何度もやってのけてしまう。エリアに入る為のアイテムを持っている冒険者を「エリアに入る為だけ」に利用し、ともに進む訳でもなく、さっさと先に進んでいく描写はジラートミッション全体で何度も見られる。当時のプレイヤー達からは呆れも込めて「
便乗ブラザーズ 」と呼ばれていたこともあったようだ。
「デルクフの塔再び」では三人が冒険者とは別途で戦う描写もあるが……。
ラストボスでまで先にさっさと特攻してやられてたら世話無いよ……!
ミッションの最終イベントにて、「仲間」として語り掛けてくる二人だが・・・・・・時既に時間切れ。
ジラートミッション進行中の当時は冒険者のLvキャップも現在の75ではなく、まだまだ攻略も模索中で、移動も現在ほど手段も無く、とにかく大変な時期であった。その中での三人の「主人公格」は「うぜぇwwwww」とすら言われていた記憶がある。そもそも、プレイヤーの味方側であるはずのNPC三人組のあだ名が「
便乗ブラザーズ 」の時点で、やはり描写が荒削りすぎて本来開発陣が意図していたものとは違うのでは、と思われても仕方がないといえる。
その後に発売された「プロマシアの呪縛」ではよりキャラクター達の描写が綿密になり、いわゆる「お使い」的な展開にも多少なりとも(ジラートミッション時よりは)明確な理由付けがなされるようになった。それにより、「便乗をする」こと自体に変わりはないが、少なくともそれに不快感を感じるプレイヤーは少なくなったようで、以降続くミッションは比較的NPC達も人気が高いといえる。しかしそれは、逆に言うと、ジラートミッションでの主人公格であった三人組の失敗から学び、改善していった結果とも考えられる。
最終的には「世界クエスト」の連続クエストで物語の完結を見るジラート・プロマシアの物語。これらにも勿論アルドたちも登場しているわけだが、実際にはジラートミッション終盤及びプロマシアミッションでの
Lion (と関係が深いある人物)の扱いのお陰で
Lion 自身が神格化ともいえる重要性を持ち、世界クエストでも重要人物の一人として扱われている。
アルド達は冒険者を援護する為に他のボスクラスの敵と対峙しながらも、最終的にはこの「
Lion の仲間達」といったような扱いでイベントが進む。
もっと出番があってもいいはずなのに……?
ジラートミッション以降もアルド達は勿論登場する。プロマシアミッションでも飛空艇を提供してくれたりし、冒険者に協力的な一面も見せてくれる一方で、フェロー関連クエスト等では冒険者と直接関わっていない形(他のNPCと絡んでいる)で登場する。しかし
天晶堂 の頭目という、ヴァナ・ディールではそれなりに影響力が大きい人物であるにも関わらず、
天晶堂 の影響は随所で感じられるものの、アルド自身は成りを潜めてしまっている感も否めないのが現状の扱いだ。
フェロークエストで「関与している意外な人物」として登場するが、冒険者との直接的なやりとりはない。
プロマシアミッションでは、かつて滅ぼされたとされていたタブナジアに生存者が存在し、その者達が作った街「地下壕」の存在が
Prishe を通してアルドにも伝わっているはずであり、サンドリアミッションの終盤では別のルートでタブナジア復興を掲げている
Rochefogne や(
天晶堂 にいる!)
Vauderame の存在も明らかになっている。ジラートミッションを通してアルドと
Gilgamesh は、裏の稼業に手を染めながらも祖国タブナジア復興を最終目標に掲げている事を明らかにしている。その後ジュノの外交官として
Nag'molada が(個人的な理由や思惑もあるが)タブナジア地下壕との接触を行い、飛空艇ルートを確保しているが、それ以前に
Prishe や「顧客」である
Tenzen を地下壕に運ぶ為の飛空艇を準備しながらも
天晶堂 やアルドがそれ以上関与している描写は一切ない。
実際に
天晶堂 の一員としてシーフAFクエストで登場した
Vauderame とアルドが何も情報を交換しあっていないと思うのは不自然な流れであるが、ここは実際にゲーム中で語られていない為推測の域を出ない。長年祖国復興を悲願と掲げるアルド達がタブナジアに現在も存在する地下壕にアルドらが訪れないのは不自然ではないだろうか(世界クエストでも地下壕自体には訪れていない)。本来ならタブナジア地下壕の者達とも接触を図り、物資や海路等を確保したりする展開が自然であると思われるが、プロマシアミッションでは
Nag'molada が提案したジュノ大国からの援助により物資調達が僅かに容易になったと語られているのみである。
更にアトルガンがエリアとして開放された際にも、
天晶堂 の影響自体は色濃く描写されている。アトルガンへ渡る為の許可書を得るのも
天晶堂 でのクエストであり、更にアトルガンへの航路の確保等も
天晶堂 が関わっており、航路開通の際はアトルガン皇国自体が
天晶堂 に頼んだ、という描写すらなされている。冒険者と面識があるアルドが登場しても何ら違和感のない展開である筈だが、実際には新たに実装されたNPCや、アトルガンに渡ってからの会話等で
天晶堂 の影響の強さが物語られる程度である。更にアトルガンには現在も「コルセア」という海賊の存在もあり、これまた海賊と縁の深いアルドやノーグの
Gilgamesh 等が絡んできてもおかしくない展開もある。しかし、アトルガンに関連するイベントにアルドが登場することすらなかった。
これらの、ある種不自然なほどに露出を制限されてしまったアルドに関しては、残念に思うと同時に、彼のFFXIのゲーム自体への登場の仕方に疑問を感じずにはいられないのが管理人の見解である。1つは、何と言っても発売前に期待されていた登場と掛け離れた現在の彼、という立場。オープニングムービーではどうしても最後に登場する青年こそがアルド、としか思えない展開だったにも関わらず登場した実際のアルドは、どこかニヒルで近寄りがたい、怪しい組織のボスであったという事実だ。ミスリードもはなはだしい(別人なら青年の存在そのものが何だったのか、と考えてしまうが、それも上記の通り「冒険者、すなわちプレイヤー達」である、と思うしかない)。あれで新たなファン層を発掘したとも思われるが(笑)、やっぱり予想と大きく掛け離れすぎたキャラクター性で驚く以前に自分は落胆した記憶がある。しかし、進んでいくミッションでの描写を見る限り、やはりムービーでの少年はこのアルドである、という事実は揺らぎないものになっていった。
そして続くジラートミッションでの登場、演出に関しては上記で述べた通りである。しかもジラートミッションでの最後のやりとり、世界クエストでの閉めとして冒険者に語る言葉は、ある種決別に近い雰囲気すらある。
Aldo : お前をこの天晶堂に誘いたいとこだけど、ここにいる器じゃねぇだろうな。旅の途中で表を通りかかったらのぞいていってくれ。いつでも歓迎するぜ。じゃあ、オレは休ませてもらう。お前も次の冒険に備えてゆっくり休んでいくがいい。お互い、つかの間の休息、ってやつだな。
Aldo:……お前には敵わんな。冒険者ってのは、新しい土地に行って、新しいモンスターと戦い、新しい宝を持ち帰るだけの存在じゃない。オレたちが諦めちまったことをかなえちまう。……それが本当の冒険者なんだな。
実際、裏組織のボスという設定自体はうまく使えば、冒険者に協力したり、時には取引したり、登場当初で見せていた関係を続けてもなんらおかしくはない筈。むしろ「おいしい」設定ともいえる。しかし、上の台詞では、アルドが、そしてそれを通して開発陣が、ある種冒険者とアルドの間に線引きをし、完結させてしまったようにもとれてしまう。
「アルタナの神兵」が実装された現在、まだ物語は進展中であり、劇中が20年前のヴァナ・ディール……すなわちオープニングムービーのあの時代の前後である。過去サンドリアクエストでは「タブナジア遠征」の描写も開始され、今後タブナジアでの出来事がゲーム中で語られるのではないかという予想や期待が高まっている中、思い出されるのは、やはりオープニングムービーでのあの幼い日のアルド、というプレイヤーも多いのではないだろうか。今後タブナジアに舞台が移っていく可能性は現在では(訪れるエリアとしては可能性が低いといわれているが)無いわけではない。アルドが新たな形で冒険者と再び接点を持つこともあるのだろうか。
最終更新:2008年11月08日 17:36