勘違いの連鎖 ◆dGUiIvN2Nw



マヨナカテレビの事件が無事解決し、俺は帰って来た日常を満喫していた。
瀬多と『愛家』でラーメン食ったり、完次の奴を冷やかしたり、四人でどこかに遊びに行ったり。
非日常に焦がれることもなく、俺は順風満帆な生活を送っていた。なのにこの殺し合いに参加させられ、挙句の果てに命まで狙われた。
はっきり言ってめちゃくちゃだ。こんなヤバいところ、さっさと抜け出したい。
幸いなことに、俺には頼りになる仲間がいる。
瀬多。お前はどんな時も冷静で、皆を引っ張ってってくれる。どんな不可能なことでもお前がいれば何とかなる。そんな気がする。
里中。馬鹿みたいな発言が多いけど、時々的を得たこと言うし、その行動力はピカ一だ。きっとここでも弱い人間を助け回っているだろう。
天城。頭良くて、回復系のスキルも持ってて、未だにちょっとキャラ掴めないとこあるけど、それでもその強さは折り紙つきだ。
そう。誰もこんなところで死ぬ訳ない。俺だって、この一年何もしてこなかった訳じゃない。俺も、あいつらも、皆すげえ強くなったんだ。だからきっとこんな殺し合い屁でもねえ。

そんなことを考え、新たな決意を抱いた俺は今、

走っていた。

「うおおおおっ!! 誰か助けてくれえええ!!」
「逃がしません! くらえ妖怪!!」
色とりどりの弾幕が花村を襲う。身をかがめ、そのむちゃくちゃな弾幕をかろうじて避ける。
「だから俺は妖怪じゃねえって言ってんだろ!!」
まさかお試し感覚でペルソナを出現させたところを目撃されるとは思ってもみなかった。しかし、それを見られて有無をいわさず攻撃されるなんてさらに思ってもみなかった。
「……少年は、ああ言っているが?」
「嘘に決まってます! 雷電さんは人が良すぎですよ! この世のどこに悪魔を召喚する人間がいますか」
「いるんだよここに!! つか、ペルソナは悪魔じゃねえ!!」
必死で叫ぶも、どうやら彼女には届かないらしい。
「むむ。妖怪のくせに口が減りませんね。ならこれでどうです! グレイソーマタージ!!」
星型の弾幕が突如出現し、それが形を変えて花村に襲いかかる。
(よ、避け切れねえ!!)
接近する光り輝く弾幕に、思わず目を瞑る花村。しかし、それとほぼ同時にがくんと身体が浮いた。
無我夢中で走っていたため気付かなかったが、この先は急な坂になっていたのだ。
「おわああ!!」
そうとは知らずに全速力で走っていた花村は、そのままの勢いでゴロゴロと転がりながら坂を落ちて行った。ちょうど茂みが深い場所であったことも幸いし、花村の居場所は分からなくなった。
「あー。また逃げられてしまいました」
そう言って早苗は軽くため息をつく。
「……なぁ、早苗。本当にあの少年は妖怪だったのか?」
「あなたもしつこいですね。悪魔を召喚する人間なんていません! この私が保証します!!」
その目は爛々と輝いていた。
「そ、そうか。しかしだな、やはり話も聞かずに攻撃というのは……」
「まったく。これだから雷電さんは」
まるで田舎者を馬鹿にする都会人のように、早苗は鼻を鳴らした。
「いいですか? 話なんて、倒してから聞けばいいんですよ。た と え 相 手 が 味 方 で あ ろ う と !」
「…………」
「これ、幻想郷の鉄則です」
「……ああ、そう……だな。……うん。確かに……そういうもの……かもしれないな」
「かも、じゃなくて、そうなんです! これを認めないとこの世界じゃやっていけませんよ? まあそうですね! 先輩である私がちゃんと雷電さんを一人前にしてあげますから安心してください! 一日も経てばあなたも妖怪退治マスターになれます」
早苗はどこか嬉しそうだった。いや、実際嬉しいのだろう。
幻想郷に来てからは先輩面されることはあっても先輩面することはなかったのだから。
ただ、早苗が教えているその大半が間違っているなんて、彼女は頭の片隅にも考えていなかったが。

【一日目 早朝 B-3 東】
【雷電@メタルギアシリーズ】
[状態]:ダメージ(大)疲労(中)全身に裂傷
[装備]:強化外骨格、スローイング・ナイフ(2/3)
[道具]:基本支給品一式、確認済み支給品1~2、グリーンの全支給品一式(未確認)
[思考]
基本方針:妖怪退治をしながら仲間探し
1:……なにか、とてつもなく間違った方向に向かっている気がする
2:ソリッド・スネーク、ハル・エメリッヒとの合流
3:グリーンのためにも自分の出来ることをする
4:バルバリシアに対する怒り
5:リボルバー・オセロットを警戒
※MGS2エンディング後、MGS4本編開始前からの参戦
※人間の体を成してないものは全員妖怪で、人間に化けている妖怪もいると思っています。また、妖怪は等しく人間の敵だと思っています

【東風谷早苗@東方Project】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、支給品(0~3、すべて未確認)
[思考]
基本方針:神奈子様の仰るとおりに
1:妖怪退治をしながら仲間探し
2:雷電に妖怪退治の何たるかを教える
3:ゴムボールの妖怪(メタナイト)と次に合う時は逃がさない
4:ピエロの妖怪を退治して、元の世界に帰る



「うおおっ! 腰打った! 腰めっちゃ強く打った!!」
まるで腰の曲がった老人のようにしながら、花村は歩いていた。
後ろを何度も振り返り、あの二人が追って来ていないことを確認する。
「あー、走り過ぎてマジ疲れた。もうだるいわ。あったかい布団で眠りてー」
突然襲われて坂を転げ落ちておまけに腰を打った。踏んだり蹴ったりとはこのことである。
しかも、絶対行きたくないと思っていた世界樹の方へと移動している。
いつまたあの勘違いコンビに襲われるか分からないのだ。できるだけ彼らから離れておく必要があった。
「……瀬多の奴、どうしてっかな」
ふいに考えるのは、自分の親友のこと。
あいつはこの殺し合いでもちゃんと自分の役目を見つけて、それを全うしているだろう。
「……会いたい、な」
瀬多じゃなくてもいい。千枝や天城。苦楽を共にしてきた仲間に、会いたい。
「って、なにナーバスになってんだ俺は」
自分で自分の頬を叩き、気持ちを切り替える。
「うし。さっさとこっから脱出して、また青春を謳歌するんだ」
自分に言い聞かせるようにそう宣言すると、再び重い足を動かし始めた。
ガサリ
誰かが茂みを通る音がして、びくりと身体が震える。
まさかもうあの二人が追いついてきたのか。自然、身体に力が入る。
緊張で、思わず喉を鳴らし、花村は武器であるスパナを身構える。
ガサガサと音が鳴る度に心臓が揺れる。スパナを振り被り、いつでも殴打できる姿勢で固まる。
突然、ぬっと人影が姿を現し、慌ててスパナを振ろうとして……止めた。
「む。またお前か」
「……そりゃこっちのセリフだ」
そこには、つい数時間前に別れたルビカンテの姿があった。



ルビカンテは二度目の再会に、しかし少しだけ失望した。
強者じゃない。戦える力は持っているのだろうが、それでもこの男は強者じゃない。
それがルビカンテが失望する理由だった。
「で、どうした? 謎の少年」
「それもこっちのセリフだっつーの!!」
何故か怒っている。
この数時間で色々とあったのだろう。
「こっちは大変だったんだぜ。巫女風の女の子とガイコツみたいな恰好した男に追いかけ回されて」
「ほぉ。そいつらは強いのか?」
「え? うーん……まぁ、たぶん」
歯切れの悪い返事だ。
しかし、もしかしたらその二人があの大樹を燃やした犯人かもしれない。
「そうか。ならばその二人組、私が倒してやろう」
「お、マジで! そりゃ助かるわ。わけわかんねーイチャモンつけられて困ってたんだよ」
花村から容姿についての詳細を聞き、それを頭にインプットする。
「よし。それではもう会う事もないだろうが、達者でな」
そう言って、ルビカンテはマントを翻して二人組がいる方向へと足を進める。
「あ、ちょ、ちょっとタンマ!」
「……なんだ?」
「あ、いや。……えーっと、…こういうのもなんだけどさ。一緒に行動しねぇ? 共同戦線っていうか……」
「共同戦線。それはつまり共に戦い、共に傷を癒すということか」
「そ、そうそう! 俺、仲間探しててさ。んで──」
「断る」
ルビカンテは無碍もなく一言でそう言った。
「な、なんでよ?」
「強者は常に一人。群れるのは弱い証拠だ」
「そりゃ、そうかもしれねえけど……。でも別に群れてる奴が弱いなんてことねえだろ。リーダーとか、皆を引っ張って行く奴は一人で生きてる奴より全然強えと思うし」
そう。あの瀬多総司のように。
あいつがいたから平静でいられた。あいつがいたから切り抜けられた。
そんな場面を思い出す度に、あいつは本当に凄い奴なのだと実感できた。
「誰か心当たりがあるという顔だな。そいつは強いのか?」
「……強いぜ。間違いなく強い」
花村は自信を持ってそう言えた。あいつは強い。そんじゃそこらの問題なら何でも解決できるくらいに。
ルビカンテは、花村のその絶対的な自信を興味深げに観察していた。
ゴルベーザ様に刃向うセシル達。彼らもまた複数の人数で寄り添い合って闘ってきた。結局一度も相対することはなかったが、彼らがこれまで生き残って来たのは、花村の言うような強さを持った人間がいたからなのかもしれない。
「……何故私を仲間に引き入れたいのだ? 私が強いからか?」
その言葉に、花村は少しだけ動揺した。
さすがに、「一人じゃ寂しいからです」なんて言えない。
「い、いや。お前ってけっこう良い奴だと思うからさ」
「良い奴? ……良い戦士ということか?」
「? ああ、まあそんな感じ」
ルビカンテはその言葉に柄にもなく感動していた。
フェア精神で今まで戦ってきたルビカンテだが、それを相手側が汲み取ってくれることなどまずない。一対一で戦うために回復させてやれば突然仲間を呼びに行ったり、不意打ちを食らわせようとしたり。戦士としての誇りなんてほとんどの人間は持っていなかった。
そんな中で花村は、自分の戦士としての精神を評価してくれた。それはルビカンテにとってこの上もなく嬉しいものだった。
(そうか。こいつは俺に憧れて、同行を申し出ているのだな。そういえば、私は弟子らしい弟子を一度も取ったことがない)
「貴様、戦闘経験はあるのか?」
「はぁ? まあけっこう豊富な方だとは思うけど」
(豊富とな! 軽薄そうでいてちゃんと稽古を励んでいるということか。一兵士でもない一般市民がこうも自信を持って言えるくらいだ。相当の経験を積んでいるのだろう)
花村の言葉の真実は、自分の世界では、という言葉が初めにつく。ルビカンテの住む戦乱の世界とは違い、悪く言えば平和ボケした世界だ。
つまるところ、そういう世界の人間達に比べると戦闘経験はある、という意味で花村は言ったのであり、ルビカンテの思う一般的な戦闘経験が既に花村達の世界ではキャパシティを越えていることをルビカンテは理解していなかった。
「……よし。いいだろう。同行を許可する。しっかり私の動きを見ておけ」
「いいの!? なんだかよくわかんないけどおっしゃあ!!」
「か、勘違いするな。俺は別に貴様を弟子に取ろうなどと、そんなことは微塵も考えていない」
「は、はぁ」
何言ってんのこいつ? という極めて自然な疑問を口には出さない。下手な事を言って、せっかくの同行許可が反故にされたら堪ったものではないからだ。
「お前のことなど何とも思っていないんだからな。本当に勘違いするなよ」
「……ツンデレかよ」
「ツンデレ!? なんだその心沸き立つような言葉は。まさか戦士に対する敬意の言葉か何かか?」
「あー、……まぁ、あんたみたいな奴を指す言葉なんだけど……」
「そこまで私を買ってくれるか! あ、いや……。ごほん。まあいい。とにかくその言葉はありがたく受け取っておこう。これからはツンデレのルビカンテと呼ぶがいい」
「いや、それはさすがに遠慮したいっていうか。逆にこっちが恥ずかしくなるわ」
「フフフ。真実を語るのに恥ずかしいことなどない。まだまだ青いな」
「……そっすか」
下手に反抗しないのが吉だと見た花村は曖昧に返事をしておいた。
こうしてルビカンテは、花村が弟子になりたがっていると勘違いし、ツンデレの意味すら勘違いしてしまった。この誤解が後々大きな波乱を生むことになるかもしれない。
……たぶんないだろうが。



【一日目 早朝 B-3】
【花村陽介@ペルソナ4】
[状態]健康
[装備]熟練スパナ@ペルソナ4
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1(武器にはならない)、スタンドマイク@星のカービィ
[思考]
基本方針:殺し合いはしない。まず仲間達と合流、その後行動方針を決める
1:瀬多総司、里中千枝、天城雪子を探す為にタウロスタウンに行ってみる。
2:ルビカンテと行動を共にする
3:カインを警戒。
4:ツンデレのルビカンテって……
※カインの名前はルビカンテがカインと呼ぶのを聞いています。
※作中からの登場時期に関しては真ルート突入前、ペルソナはジライヤ
足立に関しては頼りない刑事の印象です。
※雷電と早苗を危険人物と判断しました。

【ルビカンテ@ファイナルファンタジー4】
[状態]ツンデレのルビカンテ
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品未確認×2
基本方針:ゴルべーザ様を探し、指示に従う。強者との戦いを望む。
1:弟子か。……いいかも
2:ツンデレ。何とも素晴らしい響きだ。
3:花村と行動を共にする。戦いを通じて自分の技を教える。
※作中からの登場時期はカインと面識がある以降、時期不明としておきます。
※花村が自分の弟子になりたいと思っていると勘違いしています。また、ツンデレという言葉を敬意ある戦士に送る言葉だと思っています。
※花村から雷電と早苗の容姿を聞きました。


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